2008年10月31日金曜日

危機の終わりは、ちょっと楽観視?

相変わらず、連日のように金融危機に関するニュースが飛び交っています。最近は、個別銀行の破たんや救済、大手企業のリストラ、さらには、小国家の危機といったように、危機が至る所に連鎖、波及しています。アメリカの自動車ビッグ3は火の車だし、BP、ペプシなど名だたる企業もリストラの発表を次々としています。そして、ここロンドンではポンドの通貨が急速に弱くなりました。その半端でない方を身をもって体験しています。私が、数ヶ月前に日本から来たときは、1ポンド220円ほどでしたが、先週の金曜日には、いっとき140円まで、ストーンとおっこって行きました。ロンドンはバブル気味でしたから、ざーっとお金が抜けた感じでしょうか。

これだけ悪材料が出そろうと、もうそろそろ勘弁してよ、という気にもなってくるわけで、こちらの人たちは、そろそろこの危機も終わりつつあるのではないか、といった論調が時々聞きます。LBSの友人も、今が「ボトム」だから、株を突っ込んだよ、と言っていたし、LBSの経済学の教授もこんなコメントをしていました。たしか、「今は、The beginning of the end of the crisis」なのだとか。なんとも回りくどい言い方ですが、日本流にいえば、「下げ止まりつつある」ということでしょうか。投資銀行の人と話しても、「君らが卒業しているころにはよくなっているかも」といった声も聞こえてきます。感情的なところも多分にあって、もうこんなに悪いんだから、さすがにこれ以上悪くならないでしょ、というかんじでしょうか。

先のLBSの教授の話によると、日本も似たような問題を経験したが、日本は対応が後手後手になったのが問題だ、竹中大臣が資本注入、不良債権処理に踏み切ってからはすぐに問題は改善したとのこと。日本の状況に比べると、米国もヨーロッパもすぐに対応したので、この点、回復はもっと早いだろう、といったコメントをされていました。でも、これ、ほんとうかと。

その竹中さん、Financial Timesのインタビューで、竹中平蔵氏は、資本注入して、危機を脱出するのに4年かかったと言っています。
http://www.ft.com/cms/s/893ac9c8-757e-11dc-b7cb-0000779fd2ac.htm?_i_referralObject=905563191&fromSearch=n
実際、日本では、1990年代後半に資本注入をし、一時期的に日経平均はあがったものの、本格的に上昇をはじめたのは、2003年とかそんな時期だったと思います。竹中さんのいうところによると、資本注入しても、それは一時的な注入であって、実は、悪い資産はそれ以上に潜んでいて、危機の初期にはそれがわからないんだ、という趣旨でした。確かに、日本でも、政府発表があるたびに、不良資産の金額が雪だるま式に膨れ上がっていた時期がありましたね。さらに悪いことに、今回の金融危機の発端は、日本でいう単純な不良債権‐貸したものが返ってこない-ではなく、より高度な技術を駆使した不良債権なので、資産評価がもっと困難なのではないか、ということでした。

というわけでして、楽観論を展開したい気持ちはすごくわかる一方、われわれの今経験しているCrisisは、まだまだ続きそうです。

2008年10月30日木曜日

統計的仮説検定廃止論

理系の人であれば必ず習うものに、統計的仮説検定なるものがあります。何らかの仮説に対して、白黒をつけるための統計的な方法論です。もうそろそろお役目御免なのではないかと思っています。じつは、最近また「Business Statistics」という授業で、仮説検定やら回帰分析やらを一通りレビューして、やっぱり、仮説検定は使いづらいと思うのです。

その昔、今のMBAに入学する前、工学系の大学院にいた頃は、企業やベンチャー企業と協働で、データマイニングといった大規模なデータ解析をしていた頃もそんな問題意識をもっていたのをふと思い出します。

なぜそう思うのかというと、まず、第一に、ロジックが分かりにくい、ということです。たとえば、ある集団の平均年齢に関する仮説を議論しているとしましょう。統計的仮説検定では、こういう問題意識をもつことが出発点になります。

「平均年齢は25歳ではないのではないか?」

その問題意識のもと、仮に真実の平均年齢が25歳だとして、今手元にあるデータと照らし合わせ、どれだけありえそうかという確率を計算しにいくのです。もし、その確率が低ければ、

「平均年齢は25歳ではない」

という結論が得られることになります。

逆に、もし、その確率があまり低くなければ、「平均年齢は25歳ではないとはいえない」という何とも歯切れの悪い結論になるわけです。

これが仮説検定の論法なのですが、なんというか、わかりにくくありません?

もうひとつ、この論法には、弱点、もっといえば、致命的な欠陥があるのです。上の議論で、真実の平均年齢が25歳だとするという前提を置いているわけですが、この前提が正しいことはほとんどありえません、というかありえないでしょう。真実の平均年齢がぴったり、寸分たがわず、25.000000000000000000000000000000000000000000....になるなんてほとんど、もっと強くいえば絶対にないからです。

ですので、そもそも絶対に正しくない仮説をおいて、それが正しい、正しくないを判断しにいくというなんとも、ロジックが破たんしている議論をすることになるわけです。実際、統計のデータ分析で、サンプル数をあげていけば、すなわち、精度をあげていけば、必ず、「平均年齢は25歳ではない」という結論が得られるようになります。

そもそも、この仮説検定の枠組みが構築されたのは、コンピュータもない、ただただ手計算でデータ処理をする時代にうまれたもの。サンプル数もたかだ20-30個の時代の理論ということを考えれば、やはり時代錯誤的な論法ということになるでしょう。今ですと、サンプル数が平気で数千、数万、もっと多い場合もざらにありますから。

ではどうすればいいのか?

統計には、仮説検定論とは別に、推定論というのがあります。私は、仮説検定はさっさとやめてしまって、その中の区間推定だけでいいのではないかと思っています。区間推定とは、手元にあるデータからすると、「95%の確度で、平均年齢は、24歳~26歳の間にあるといえます」、という主張を導き出す方法です。こちらの方が100倍素直な感じがすると思いますし、ビジネスにも応用がききやすいと思います。

そうはいっても、統計的仮説検定は、今でも世界中の大学で教えられているし、MBAのような学位でも、必ず教えられる、まさにユニバーサルな方法論になっているので、なんとも不思議な感じがします。

要は、統計の理論が構築されたころに比べて、データの入手方法、分析の方法、解析の方法もろもろが変化し、結果として、ビジネスからの要請も大きく様変わりしている中、アカデミックサイドがこたえ切れていない、ひとつの学問分野だと思っています。

2008年10月29日水曜日

コンサル流スライドを書くコツ

コンサルティングのひとつの仕事に報告書というスライド書きがあります。最近は、プレゼンしておしまい、というプロジェクトも減ってきたので、相対的にスライドを書く重要性が薄れている昨今ですが、とはいえ、顧客にメッセージを伝える大事な手段であることは間違いがありません。

よく同僚と話していたのですが、よいスライドとは、「パッと力」のあること。そのスライドを見た瞬間に、パッと衝撃的にわかるというもの。

じつは、いいスライドを書くのは、コンサルタントにとってひとつの壁になります。簡単そうにみえて、奥が深く、はじめのうちは私もとても苦労したのを思い出します。

会社の同僚にスライドを書くときにどういうことに気をつけていますか?と聞かれたので、思いつくままに考えてみました。


1.スライドの「型」を覚える

要はスライドのパターンを覚えるということです。それは1枚のスライドの構成でもそうですし、ストーリーラインの型でもそうです。

実はこの「型」を知っていないと、いいスライドを作るのは難しいと思います。この「型」をたくさん覚えておくことで、必要に応じて「引き出し」てこれるようになります。ゼロベース思考に惑わされて、全部一から作ろうとすると大変です。

なので、いいスライドはすべて学びの対象です。深く考えず、丸ごと覚えておきましょう!そのとき、見るポイントは、どういう「型」を使っているか?です。そういう視点で他のプロジェクト、他のパートのスライドをどんどん見つめましょう。スライドの「型」をどんどん頭に蓄積させていく感じでしょうか。

2.スライドの縦と横の「意味」を明確にする

スライドは紙(もしくはスクリーン)ですので、結局2次元でしか表現できません。「縦」と「横」があるのですが、このそれぞれに明確な「意味」を持たせると、いいスライドができると思います。

田の字のスライドは、まさに明確に「縦」と「横」軸に意味をもたせています。これと同じで、他のパターンのスライドでも同じです。仮にテキストだけのスライドでもです。たとえば、スライドの左側に現状についての記述、右側に将来についての記述をしたとしたら、横軸は、時間軸なわけです。縦軸についても何らか意味をもたせるといいと思います。たとえば、それぞれのテキストを、ビジョン、戦略、アクションの順に書くとしたら、それは立派な軸になります。

スライドは2次元でしか表現できないので、スライド書きは、骨太な二つの軸を選ぶという作業といえるかもしれません。それ以上の次元のハナシを無理につめようとすると、わかりにくいスライドになってきます。

3.スライドのイメージで思考する

スライドのイメージを常にもって思考すると効率的です。仮にプロジェクトの初期段階であっても、スライドのストーリーライン、中身、構成についてイメージしておく。で、頭の中で(もちろん紙に書き出しておくと効果的です)、どんどん進化させていくわけです。

インタビューをしているとき、記事検索をしているとき、クライアントや社内でディスカッションをしているとき、どんなときでも、自分のスライドイメージのどこを改良できるのか、どのファクトがどのスライドにいかせるのかを考え続けましょう。

で、さあ実際にスライドを「書くぞ!」という段階には、だいたいもう頭の中にあるものを「はき出す」だけ、という状況がとても理想的です。時間の圧倒的な節約になると思います。

そして、一回書いたあとでも、一晩くらい寝かせて、またみてみると、さらに改良点がみつかると思います!一発で、いいスライドはかけません。色々と練り直して、進化させ続けていいものができます。

結局、コンサルのアウトプットのひとつがスライドなので、それベースに思考を合わせていくといいと思います。頭にスライドという「絵」を常に思い浮かべることになるので、右脳が鍛えられるとという副産物もあります。

雪降るロンドン

 
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先週で夏時間が終わり、すっかりと日が暮れるのが早くなったロンドン。17時に授業が終わるころには、すでに薄暗く、コートをしっかりと着てちょうどいい気候。

今日の帰りは、とくに寒いなぁと思っていたら、雪が舞い降りてくるではないですか!1時間もしないうちに、雨に変わりましたが、こんなにも早く雪に出会うとは驚きです。

だんだんと「ロンドンらしさ」が増してきた今日この頃の天気です。

2008年10月28日火曜日

入学審査官が語るLBSの入り方



Youtubeより。LBSの入学審査の統括リーダーが語る、出願のポイント。ややありきたりの内容ですが、いくつかしゃべっていたことをあげると、

 ● 自分自身を語ること
 ● 試験を通ることだけが学校ではない―勉強以外のクラブなどでいかに貢献できるかが大事
 ● グローバルな環境に身をおきたいという思いがあるかどうか

海外の大学院の場合、日本と異なり、エッセイと呼ばれる小論文がカギを握ります。そして、あなたの「物語」を文字につづり、入学審査官の心をとらえる必要があるのです。

よく差別化が大事とか、大量にいる出願者から目立つようなことを書かなきゃだめとか、自分自身をマーケティングをしなければいけないとか、そんな出願アドバイスを多く聞きます。それも一理あるでしょう。

だけど、差別化するといって、本当にできるのでしょうか?他の出願者が見えない中で、どう差別化するのでしょうか?目立つことを書く?何が目立つことなのでしょうか?この手のアドバイスはそれなりに正しいのですが、私はもう少しシンプルに考えたいと思います。

大事なのは、自分自身をさらけ出し、それを文字にしていくプロセスを楽しんでいくことだと思います。エッセイの執筆を楽しんでいるということは、それは自分自身であることの証左だと思うのです。ウソを書くのが楽しいとは思わないでしょうから。

自分自身をさらけ出したその物語こそが、入学審査官に響くのではないでしょうか?ノンフィクションの力を信じましょう。それに、こちらの方が、結局自分のこと「だけ」に収集して書けばいいので、楽です。差別化などと考えていると、他人がどうとかこうとか、考えないといけないですから。

私も、エッセイを書くのははじめはかったるかったですが、途中から、自分自身を素材にして物語を書くようで、それは、とても面白い経験でした。

2008年10月27日月曜日

学長が語るLBSの戦略:若手優秀人材の争奪戦




「我々にはスケールが足りない」

LBSの学長Robinは、先日のSchool Strategyのプレゼンで語っていました。Robinは、マッキンゼー、ベインといった経営コンサルティング会社を30年も経験したのちに、昨年にLBSのDeanに就任という経歴の持ち主。副学長は、Strategyの教授であり、かつ戦略担当としてマッキンゼー出身者を最近採用したようで、学校にしてはめずらしく、Strategist色のとても強いマネジメントチームが出来上がっています。

Robinが言うには、LBSは、学生の多様性においてはずば抜けていて、Global Business Schoolとしの強みをいかんなく発揮しているとのこと。これは大いに同感できます。私のStream Dは、およそ40カ国、80人の学生で、今授業を受けています。みなMinorityという環境でディスカッションするのも、よく考えると、本当に貴重な経験だと思います。「ブラジルではこう」とか、「ペルーではこう」といった、各国の生の事情を聞けるのが楽しい。

その一方で、LBSは、「規模」が弱みになっているとのこと。たしかに、MBAの学生はひと学年320人ですので、小規模校に位置づけられるでしょう。では、なぜスケールが必要なのか?学長は2つの点を指摘していました。まず、第一に、規模を大きくしないと教授の数を増やせないのです。教授の数を今よりも増やすことで、より専門領域を充実させることができる点を強調していました。もう一つは、卒業生ネットワークの規模。各都市に300人いないと卒業生がうまく組織化できず、いくつかの都市はこのクリティカル・マスを超えてないそうで、ここを早急にクリアしたいとのことでした。

したがって、ここ最近の動きをみていると、急拡大の方向に舵を切っています。来年から、MBAはもうストリーム80人増やします。エグゼクティブMBAも毎年25%で拡大中。ドバイで行っているMBAプログラムも1ストリーム増やすとのこと。そして、ここ最近物議をかもしているのが、新しい学位 Master in Managementの立ち上げです。学卒、もしくは就業経験が1年未満の22歳前後の若手人材向けの新しいマネジメントプログラムを提供するというのです。

驚くべきことに、Robinが言うには、この22歳ビジネス教育マーケットが、今爆発的に増えているそうなのです。MBAマーケットがグローバルで見れば、飽和してきているのに対して、少し年齢を落とした22歳マーケットは拡大中。さらに、40歳以上を対象にしたエグゼクティブ・MBAマーケットは、米国では減少中だそうです。今後、みなが注目しているのが22歳!なわけです。 実際、この手のプログラムの出願に必要な試験GMAT-共通一次のようなもの―の受験者数をみると、22歳前後は増え続ける一方、30歳以上はほとんど変化がない、もしくは減少しているのだそうです。

そして、最近のMBAの平均年齢が減少している背景には、この22歳マーケットの急拡大があるのです。彼らは、早く昇進し、早く金を儲けようという意識が高く、昔に比べると、MBAのような学位を早くほしがるようになってきている、そんな大きな変化があるように感じられます。企業サイドとしても、学卒で、ビジネスがなんだかまったくわからないよりも、基本的なビジネス・マインド、ビジネス・コンセプト、マインドを身につけている学生をとった方が効率的、そしてなによりも若いのでまだ安くすむというのもあるでしょう。いまや、若手人材の争奪戦が始まっているということです。

したがって、ビジネススクールのMBAプログラムでは最近は、大学卒の学生をそのままクラスに受け入れることもしばしばです。ただ、LBSはそれをしてこなかった-個人的にはいいことだと思います―ですので、平均年齢が29歳と昨今のMBAにしては、高め。これは私のようなやや年寄りにはうれしいことです。だから、今までこの急増する22歳マーケットを取り込めなかったわけで、そこをMBAではない、別の学位、Master in Managementを立ち上げるということにしたというのです。これは、いいことだと思います。それによって、職歴がほとんどない人と、そこそこある人を明確に線引きできるわけですから。

Master in Managementのメリットとしては、これにより、教授の数を増やせること、さらには、若手教授のトレーニングの場として、このプログラムが使えることが挙げられるでしょう。一方で、学生から上がっているデメリットというか、懸念としては、Master in Financeや、35歳+を対象にしたSloan Programmeといった学位とのすみわけをどうするかです。

いずれにしても、私が思うのは、日本の22歳はのんびりしすぎていないか?という懸念です。遊び呆けて終わってしまう大学。一方世界の優秀な若者は、そのころからMaster in Managementや、MBAを検討して、戦闘態勢を整えているわけで、その差に愕然としてしまいます。世界は、若手人材の争奪戦が、ビジネススクールでも、企業でも、加熱してきているのを実感した、Deanのスピーチでした。

日本も大学卒業した直後に入学できる、1年制のビジネスの基礎、コミュニケーション、問題解決能力を叩き込む学位を真剣に検討してもいいと思います。

2008年10月26日日曜日

近所の土曜日マーケット

我が家の生命線、Waitrose。このスーパーはモノがいいのです。TescoよりGood。我が家から2,3分ほど歩いたショッピングセンターの一角にあります。

今日は土曜日。ショッピングセンターでは、各国の料理を売るちょっとしたマーケットが開かれています。この市場は、汚い感じがしない、なかなか感じのいい出店が並びます。

晩に、同じフラットに住む、イタリア人と日本人夫妻を家にディナーに招待していたので、さっさと買い物を済まして帰ったのですが、今度何か買ってみようと思っています。



なにやらカラフルな食材が並びます。好みの具を選んで、くるっと生地で巻いてくれるみたいです。



これは、パンベースのスィートでしょうか。これもうまそうでした。
こういうマーケットは、見てるだけでもほのぼのとした気分になります。
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2008年10月25日土曜日

H&M vs UNIQLO @ London

日本に先日上陸した、スウェーデンの最強カジュアルブランド H&Mは、やはりロンドンでも一大勢力となっています。ファッションブランドがこぞって集まるロンドンの中心街、Oxford Streetには、H&Mが数百メートルおきに何軒も並んでいるのです。H&Mに限ったことではなく、日本でももうすっかりおなじみのZARA、それからロンドンではとても強い、TOPSHOPなどの超大物ブランドは、同じ通りに数店舗出店し、流行に敏感な若者をとりこもうとしています。

さて、そんな競争激戦地に、我らがUNIQLOがOxford Streetに出店しています。そして、H&Mのまどなりに居を構えているのです。この心意気は本当にたいしたものだと思います。Oxford Streetだけでなく、AquascutamなどがあるRegent StreetにもUniqloは出店しています。この写真では、Oxford Streetで、H&MとUNIQLOの看板が並んでいるのがみてとれると思います。

今のところ、UNIQLOは苦戦しているように見えます。客の出入りから見ると、H&Mの方が1.5~2倍くらい入っているでしょうか。なぜこうなるのでしょうか?日本では、UNIQLOは、「低価格」な「ベーシック品」というポジショニングですが、こちらロンドンでは、その価格が1.5倍~2倍くらいの感覚になるので、本来のUNIQLOの強みであるはずの「低価格」があまり生きてこないのです。みなさんも、値段が高いユニクロに行きたいと思うでしょうか?

UNIQLOの値段+αをもってとなりのH&Mに行くと、もうちょっとおしゃれなものがH&Mで買えるわけです。下の写真は、H&Mの店内で、リーズナブルなおしゃれ着がたくさん積んであります。そして、ここ場所は、Oxford Street。まさにファッションこそが命の大通りで、ユニクロのベーシックラインがどこまで通用するのか、という問題もあります。



そんなわけで、これからの冬商戦、UNIQLOも、かなり「おしゃれ」を意識してきたように思います。夏物グッズに比べて、「あ、いいかな」と思う商品ラインナップが増えてきました。次の写真が、今のユニクロの店内です。テーマは、「おしゃれなカラフルダウン」という感じでしょうか。フィット感のあるダウンが、豊富なカラーバリエーションとともに並ぶ店内は、夏場のユニクロの店内比べると、はるかに好感がもてると思います。


とはいえ、「おしゃれ」系で勝負をすると、それはまさに、H&MやZARAの独壇場ですから、これまたとてもつらい戦いを強いられることになります。UNIQLOの海外での苦悩はまだまだ続くと思います。

余談になりますが、ここロンドンの子供たちはとてもおしゃれなのです。公園で遊んでいる小さな子供達をみてみると、みんなセンスを感じさせる洋服を親が着させています。そのひとつの理由が、H&MやTOPSHOPなど、こうしたアパレル店が提供している子供服なのですよね。そこそこ安くて、かなりおしゃれな子供服がこれまた大量に売られているのです。

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日本語教室:言語と文化とマネジメント

Japan Interests Club。LBSで日本に興味のある人が入るクラブです。われわれ、日本人はもちろん主要メンバーとして、活動をすることになっています。先日のLBSの文化祭で、寿司・たこ焼きブースを出したのも、Japan Interests Club。

さて、Japan Interests Clubの一つの活動が、この日本語教室の運営です。毎週3クラス、初心者、ビギナー、中級を開いています。なんと10回くらいのレッスンで10ポンドという破格の価格。同期のKさんがこの運営を仕切ってくれています。この間、はじめて、チューター(ちょっとした面倒見係)として、クラスに参加してきました。



外国人が日本語を一生懸命発音する姿は、なかなか感動的です。日本文化を理解しようとするその姿勢を感じてうれしくなるのでしょう。やはり、助詞の使い方が、超難しいようです。「は」だの、「の」だの、このあたりの使い分け方は、なかなか説明しづらく、もう文型として覚えていくしかないのでしょうね。

この日本語教室は、ボランティアベースの教室で、単位とは何ら関係ありませんが、LBSでは第二外国語のマスターが修了条件になっています。ほとんどの人がInternational Studentなので、何もせずにパスするのですが、これはいい制度だと思います。

というのも、勝手な経験則ですが、日本語を学びたいという意欲の高い外国人マネジャーは、成功している確率が高い気がしています。うちの会社でも、クライアントをみていても、です。言語を理解したいということは、ある意味で、その国の文化を理解しようという行為であり、結果的に、日本人従業員から受け入れられるということなのでしょう。

私は、言語の勉強は、苦手なので、ちょっと最近反省をしているところであります。



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2008年10月19日日曜日

教授へのフィードバック

最近は、それぞれの科目が数回ほど終わったので、教授へのフィードバックアンケートを書くように求められる機会が多いです。こちらの学校では、とにかくフィードバックを記入する機会がとても多い。授業のフィードバックに限らず、入学の選考プロセスや、はじめのオリエンテーション、そしてその他のワークショップなど、体験したすべてのプログラムについて、フィードバックが求められていると思います。これはとても、いいことだと思います-とはいえ、だんだん記入する側も怠け者になってしまってしまいます・・・。

さて、先日は、Ethics-倫理-の授業のフィードバックを記入するように求められました。このEthicsのクラスはちょっとくせもので、我がStream Dの間でも、ちょっと評判が悪い。さすが、みんな高い学費を払っているだけあって、少しでも不満があるとすぐに口にします。教授のクラスの進め方が嫌いで、出席しないという学生もいるのです。よく雑談でも、あのEthicsのクラスはちょっと?だよね、などという会話が飛び交ったりする-とはいえ、冷静に考えてみると、日本の大学の教授の平均的な教えるレベルより上なのだが。

科目そのものが、これといった「答え」がないですから、そもそもが教えにくいという側面はあります。たとえば、Corporate FinanceやBusiness Statisticsですと、もう確固たる理論があるので、その知識をいかにわかりやすく、学生に「移転」させるかを考えればいいので、教えやすい科目でしょう。一方、Ethicsはそうはいかない。何が正しいか、何が間違っているのか、文化的なバックグラウンドによって違うし、個人の価値観によっても違う。教える側としては、なかなかチャレンジングな科目ではることは間違いありません。

とはいえ、やはり私は、教授の教え方に改善点があると思い、以下のような趣旨を記入しました。

その1:「学び」がケースから容易に分かってしまう、もしくは教授がその「学び」をしゃべってしまうため、議論がしらけてしまう場面がある

じつは、この授業、取り扱うケースは、すこぶる面白いのです。たとえば、このあいだのクラスでは、フォードの不良品について扱いました。社会を変えてやるんだと息巻き、Going my wayな若者が、フォード自動車に入社、スピード昇進して、リコール部長に就任。しかし、重大欠陥のある小型車を、欠陥があると知りつつ、リコールをしないことを決定するというハナシ。今はその彼は、ある大学のMBAで、組織行動学の教授として、自ら教えています。

そして、彼自身が、自分を内省して、このケースを書いているのです。今から振り返ってみると、やはりリコールを決定すべきなのだが、当時は、あっという間にフォードの組織文化に染まってしまい、リコールを決定することができなかったというもの。そう、ビジネスパーソンのビジネス判断、倫理的な判断というのは、いとも簡単に組織文化、そこのコンテキストに瞬時に影響されてしまうということなのです。
こうしたことがケースに書いてあるので、何となく教授が落としたいところが見えてしまうのである。みな知的レベルが高い学生が集まっているので、そうすると、発言も妙に斜に構えた発言が増えてくるわけです。その収拾を図ろうと、教授が、その日の学びを、しゃべってしまうわけで、議論から学びが導かれるというようにならないのですよね、これが。

思うに、「組織文化が倫理的な判断に容易に影響を与える」というメッセージはケースから学びとるので、クラスでは、さらにその先について、深く議論をしていくといいのだと思います。たとえば、上記のメッセージが本当だとすると、みんなが職場に帰ったときに、こうした間違いを起こさないためにはどうすればいいのか?こうした間違いの置き方は、組織階級によって違うのか?どういう組織文化だと起きやすいのか?逆にどういう組織文化だと起きにくいのか?間違いを起こさないような組織文化はどう創るべきなのか?などなどと、議論の発展のさせ方はいかようにもあるはずだと思うのです。ケースから読み取れる学びを超えて、どんどんクラスを引っ張っていくようにすればいいのではないでしょうか。

その2:学生からの反論に、教授が応えようとしてしまうため、教授-学生との議論になってしまう

やはり、倫理のクラス。いろんな角度から意見が飛び交います。少しおかしな発言があると、教授がそれに無理に答えてしまうので、いつの間にかクラス議論というよりは、教授と学生のやり取りになっていることがしばしば。そういう意見もあるということで、次の人に意見を言わせればいいのですが、どうも少し向きになっているようです。そんな向きになって言わなくても、言いたいことは分かります!

その3:些末なハナシをところどころでするので、骨太な議論の流れが見えにくくなってしまう

加えて、ホワイトボードのペンが薄くなる度に、「ペンのインクがきれたー」と言ったり、少しずれたハナシをしゃべったりと、骨太の議論の流れを少しずつ回り道をしていくようなのです。些細なことなのですが、これによって、いったい今は、なんの議論をしているんだっけ?となってしまうのです。そうなると、本来の論点をみな忘れて、発言をするようになり、ますます、いったい今は何の議論をしてるんだっけ?となるわけです。

様々なティーチング・スタイルを見ることによって、自分も大いに(反面教師的に?)教え方の勉強になります。

2008年10月18日土曜日

日本の昼定食を楽しむ-日本プレゼンス向上・草の根運動-

LBSのクラスメイトに「ぜひおいしい寿司屋に連れて行ってくれ」と言われていたので、Chicago GSBのIさんのWasabi Nightにもヒントをもらい、我が Stream Dのクラスメイトと日本食を食べにいこう!という企画を行いました。なぜか、日本食というと、Sushi!となりがちなので、もっと幅広に日本食を楽しんでほしいなあと思い、日幅広に日本食を食べられて、学校からも近い「なごみ」でランチをすることにしました。










それにしても、戦略的なマーケティング活動をしているわけでもないのに、そして、国際経済からは孤立してしまっているのに、これだけ寿司・日本食が海外でポピュラーなのも、驚きです。コンテンツ力-食としてのおいしさ/魅力-が十分であれば、プロモーションなどはあまり要らないということでしょうか。コンテンツ力こそが、最大のマーケティングであるのかもしれません。このあたりのからくりは、「MBA的なマーケティング」に対するアンチテーゼになるかもしれません。







日本企業は、上記のような考えでずっと、戦後這い上がってきたのかも知れません。今でも、ブランディング、マーケティング、プライシング、などもろもろのものは苦手で、どうしても「いいものを安く」という信念のもと、電化製品を筆頭に、あっという間に価格競争に自らもっていって、利益を出せない、というのはよく聞く話です。







おっと話がずれてしまいました。クラス委員のような活動をしている、Social Representativeのバーナビ-に次のようなお知らせをストリームに流してもらいました。 あまり、たくさんこられても収拾がつかなくなるので、さりげなくメールで告知。







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Subject: MBA2010 Stream D: Japanese Lunch - Try something delicious and healthy!! : Portal

Enjoyed the Japanese food at tattoo and want to have some more?

Date: 17th October, 12:00-14:00

Venue: Nagomi
It serves a variety of Japanese food, of course Sushi

Near Bond Street station
www.nagomi.co.uk

Price: 10-20 pounds per person

Participants: Room for 15 people from Stream Ds (it's only a small restaurant!)

Please let us know if you would like to come, and we will do this again in the future if there is demand




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じわじわと、「行きたい!」という人が出てきて、最終的には17人でランチをすることになって、ほぼレストランを貸し切っていました。







もちろん、にぎり寿司、刺身、海鮮丼はきっちりとオーダーするとともに、他の日本食、たとえば照り焼きチキン、焼き魚、天ぷら、ポテトサラダ、カツ丼、肉じゃが、枝豆も頼んでみました。みな、おいしい、おいしいと言いながら、みんな喜んで食べていましたね。毎週金曜日はJapanese Lunchをしよう、という人もいて、まあ好評でした。







今後も、地道に日本文化の普及に努めていこうかなと思います。

2008年10月16日木曜日

「相手の立場になって考える」を実践するワークショップ

キャリア・スキルについてのクラス-Career Development Programmeもまだまだ続いています。一昨日には、カバーレター・ワークショップがあったのですが、このワークショップにちょっとした工夫がしてあり、とても教育的な効果がとても高いと思った次第です。このカバーレター、実はとても大事ですよ、というのがこのワークショップのお題目。

LBSにきている学生は、基本的に転職を前提にしているため、応募したい企業にどんどんとコンタクトをとる必要があります。そのときに履歴書とともに添えて送付状が、カバーレターなのです。

ところで、カバーレターには、こんなことを書きます。「自分はしかじかこういうもので、御社には、こういう理由でとても興味をもっていまして、自分のバックグラウンドを考えると御社のこういうポジションにピッタリでございます、ですからぜひワタクシ目をご検討くださいませ」 これをA41枚に書き上げるわけです。

ワークショップには事前課題がありました。
  • 3つのジョブがあります:経営コンサルタント、インベストメントバンカー、マーケティングマネジャー
  • どれか1つジョブを選んで、それに応募するためのカバーレターを書きなさい
  • 自分の名前はカバーレターに含んではいけません。

はたして、これをどのようにワークショップで使うのでしょうか?

ワークショップで、キヤリアコーチがいいます。

「リクルーターは、何百、何千というカバーレター・レジュメを読むのだから、インパクトのある書き方をしないとみてもらえません」

それはそうなんだけど、そういう抽象的なアドバイスを聞いてもねぇ、と思っていたら、

「みなさんには、実際にリクルーターの気分を味わってもらいましょう」

とのこと。こういう手順を指示されます。

  1. みんなが書いてきたカバーレターを回収します。
  2. ランダムにまたみんなに1枚ずつ戻します。
  3. 手元に戻ってきた他人のカバーレターをさっと読んで、1,2,3,4,5段階で評価してください。
  4. 評価が終わったら、周りの人とカバーレターを交換をして、また同じように評価してください
  5. これを繰り返して、なるべく多くのカバーレターを評価してください。

なるほど!こうすれば、あたかもリクルーターになったような気分を学生に味合わせることができるわけです。みんな同じような書き出し、同じような言い回し、そういったものに出くわして、うんざりする経験を少しでもすると、「ああインパクトのあるカバーレターを書かなければいけないんだ」と思うようになるわけです。私も、採用面接でカバーレターと履歴書を渡されるのですが、斜め読みですから。

ローテクな仕掛けですが、実際に評価者の立場になってもらうことで、学習効果を高める方法は、今後どこかで、自分も使ってみたいと思います。

最近の日本の教育はよく分かりませんが、私が日本で受けた教育に比べると、こちらでは、多面的な学習機会を多く作る努力をしているように感じます。ただのレクチャーだけではなく、今回のワークショップのようなちょっと仕掛けもしてあったり、ビデオをを活用したり、ゲームをしたり、グループで宿題をしたり、ディベートをしたりと、多くの教育メソッドを使っています。もちろん、うまくいっているものもあれば、いっていないのもありますが、こうした様々な挑戦は今後ともどんどんと期待したいと思います。

2008年10月15日水曜日

公園:家族にやさしいロンドン

生活費が高いことで悪名高いロンドンですが、じつはいいところもたくさんあります。そのひとつが、公園でしょう。London Business Schoolのすぐ横には、Regent's Parkがあるし、そこから少し南下したところには、Hyde Parkもあります。どちらも超巨大な公園です。公園とは言わないまでも、ちょっとした緑の広場は、街のあちらこちらで見かけることができます。家から少し歩いたところに、Russel Squareというまさにスクエア-広場-があります。


そして、家の真横には、コラムズ・フィールドという公園があるのです。このコラムズ・フィールド、もうすぐで3歳になる息子の大のお気に入りのスポットでして、ほぼ、というより、確実に毎日、せっせと通っているのです。5階にある私のフラットから、この公園が窓から見えるので、息子はよくそこから公園を見下ろして、力強く、こういうのです。


「パパと公園にいくのっ!」


公園につくなり、まずはボール遊び。もうすっかり、秋めいて、落ち葉がぱらぱらと落ちています。そこを行ったりきたりとかけずり回ります。


ときどき、ヤギが公園で放し飼いになっているのですが、遠くの方でヤギがゆったりと歩いているのをみつけると、


「ヤギに食べられる-」


と騒ぎ出す・・・・。食べないって!我が子は、少し、小心者のようで、父親としては、もう少しがんばってほしいなと思う今日この頃です。私に似たのだろうか。



ボール遊びに飽きると、今度は、

「ぐるっと回る滑り台をしーたーい」

と言って、たったと、滑り台に向かって走ってゆく我が子。


ぐるっと回る滑り台とはこのこと。もうすでに何人か子供が滑っていると、

「パパ、滑ってもいい?」

と確認を求めてくる-滑っていいってば!

何とか上によじのぼって、さあ滑る段階になっても、気の強い現地の子供達に押されて、なかなか滑る番が回ってこないかわいいそうな息子。また、上から叫ぶように、聞いてくるのです。

「パパ、滑ってもいい?」

いいよ!と何度かかけ声をかけてあがると、ようやく滑り降りてくる-そして、満面の笑顔で地面に到着です。

そして、また上に登っていくのです。


滑り台に飽きてくると、次は砂場です。

ここの公園は、犬や動物、それから大人だけでは入ってこれないので、なんだか砂場も安心して遊ばせることができます。

さっさと靴と靴下を脱いで、砂をかき集めたり、滑り台をしたり、なんだか一人遊びに夢中になっていきます。

まだまだ遊びは終わりません。






次はブランコ。



「もっと大きくしてよーー!」

という強いリクエストのもと、私は、息子のブランコを押してあげるのです。

ブランコをずっとこいで汗ばんできて疲れてくると、ようやくブランコも終了。

帰ろう!というと、

「ボールで遊ぶー」

といって、また振り出しに戻っていく。え、また全部やるの? ボール遊び、滑り台、砂場、ブランコ・・・・。 ふー!




こうして、子供との時間が過ぎていくのです。子供とたくさん遊んだ暁には、

「パパだけ、だいすきー」

という最大のお褒めの言葉をいただけるのです。

というわけでして、なかなかパパ業も大変だなあと思うと同時に、ここロンドンに留学してきて、学校のイベントやらなんやらで忙しいものの、家族と過ごす時間は、とても増えたのも事実です。こうして、のんびりと子供と過ごすことができるのも、この留学のひとつの大事な一こまになりそうです。

ロンドンというと、大都市、そして金融のセンターというイメージは確かにありますが、もう一方で、じつは家族にとって、とてもやさしい街でもあることを最近感じています。

2008年10月14日火曜日

Birthday Party -いつまでも祝う習慣-


Its OUR birthday party.......and you cant miss it .... coz it will be the BIGGEST this Oktoberfest season!

Start Time:09 October 2008 at 18:00
End Time:10 October 2008 at 02:00
Location:Guanabara (Brazilian Club/Lounge with Live Music)
Street:Parker Street (Corner Drury Lane) WC2B 5PW
Town/City:London, United Kingdom
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という招待状がクラスメートに回覧されました。そう、こないだは「10月生まれを祝う集団誕生会」なるものが開催されたのでした。とにかく、いくつになっても、誕生日をお互いに祝う文化が、こちらではあるようです。今回は、ブラジル風のクラブで、私も含めて10人ほどの10月生まれを祝う会となりました。何かしらにかこつけて、集まって、飲んで、踊る場をつくって、「楽しみ上手」ということだと思います。そういえば、私も小さいときにロンドンに住んでいた頃は、毎年自分の誕生日を盛大に祝ってもらっていたことを思い出します。クラスの友人全員はもちろん、近所の友達を全員を我が家に招待していました。数十人くらい我が家にきていたのではないでしょうか。エンターテイナーを家に呼んで、マジックを見せてもらったり、ゲームをしたりと、今から思うとかなり本格的でした。いずれにせよ、こちらは誕生日を盛大に祝う文化があるようです!

話しはそれますが、私の隠れた趣味に「手品」があるのですが、この頃のマジック体験が原点となっているのでしょう。日本にはテンヨーという少しマニアックな手品メーカーがあるのですが、中高のころはここの手品グッズを集めていました。手品という現象のウラの仕掛けが気になってしかたなかったのです。こうした手品をきっかけとした探求心が、私の理系ごころに火をつけたのでしょう、家族は全員文系の中、私だけなんのためらいもなく、大学は理系の学部に進んだのでした。何気ないことがきっかけで、人生の大きな方向性が決まっていく-なんだか不思議なものです。

Tattoo -LBSの文化祭-








LBSのお祭り、Tattoo。各国が、食事を出したり、ダンスパフォーマンスを見せたり、民族音楽を演奏したりと、まさに大学の文化祭ののり。日本ブースは、寿司とたこ焼きを、浴衣とはっぴでもてなし、一番人気のスタンドとなりました。写真は、まだはじまったばかりで、人も疎らですが、宴の最中は、まさに長蛇の列。おそらく、数あるブースの中でも、一番の人気だったと思います。素晴らしい!

日本食ブームの底力を感じてしまいます。ブームというと少し違うかも知れません。日本食の場合、ブームはもうとっくに過ぎていて、いまは、その食としての、「コンテンツ力」が素直にに評価されている結果なのでしょう。LBSのクラスメートの何人もが、「大の日本食ファン」自称していまして、なんだかこの分野だけ、勝手にグローバル化がどんどんとすすんでいるなあと感じている次第。

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2008年10月8日水曜日

日本発の金融危機への処方箋-Financial Timesから-

先日、Financial Timesに大前研一教授の金融危機に対する提言が掲載されました。日本人の論考があまり登場しない海外紙ですが、こうして日本人の記事が出ると、うれしいものです。ところで、このFTですが、学生特権ゆえ、1週間1ポンド=200円で購読できるのはありがたいことです。また、Wall Street Journalは、無料です。学費が高いのだから、せめてもの福利厚生といったところでしょうか。


話しをもとに戻すと、この記事では、日本が経験した15年におよぶ金融危機とそこからの回復を丁寧に考察した上で、今回のグローバルな金融危機への処方箋を論じています。過去から本質的な学びを抽出し、それを今の状況と照らし合わせて、その学びを現実的なアクションに明快に落とし込む、この手のスキルは私のいるコンサルティングビジネスはもちろん、その他のビジネスでも、必須ですので、とても勉強になります。


さて、どういう記事かというと、

1.今回の金融危機はシステマチックなものなので、個別銀行を片付けても本質的な問題解決にはならない

2.金融危機は、流動性危機、不良債権問題、貸し渋り問題という3つのフェーズがある、今は第一段階の流動性危機であり、この対応をすべきなのに、ポールソンは、第二段階の問題に手をつけようとしている

という趣旨です。原文はFTのホームぺージから。
http://www.ft.com/cms/s/0/d44a3c0a-8ef0-11dd-946c-0000779fd18c.html?nclick_check=1


1.に関しては、現象としては、ベアースタンズ、メリル、リーマンと破綻していくけれど、本質的な問題は、そこにあらず!ということですね。いわゆる、現象のウラを呼んで、本質的な問題に迫らないと解決できません、という例です。とはいえ、現実には、個別銀行や保険会社ごとの対応に追われています。


本質的な問題とは、(今は)流動性危機であるということです。このあたりは、日本の事例が生きてきています。日本の1990年代の金融危機とは、まずは、三洋証券などの流動性危機による破綻、次は不良債権に耐えられなくなって潰れた長銀、日債銀など、そして最後は貸し渋りでダイエーなど多くの事業会社が苦しむという流れです。もちろん、流動性危機に対する解決策が大胆で面白いです。


ファクトに基づいて、本質的な問題に迫り、解決策を練る。まあ、よく最近は聞く言葉ですが、本記事は、そのひとつの具体的ないい例だと思います。

2008年10月6日月曜日

Children's Party - 寮というコミュニティ



Childrens' Party @ International Hall

私は、International Hallという、ロンドン大学の寮に住んでいます。ロンドン大学の近辺には、いくつかの寮が点在していますが、International Hallは、家族寮がある唯一の寮のようです。そして、この寮-こちらでは、Collegeというそうですが-は、ひとつのコミュニティをなしているのです。たとえば、International Hall内には、カフェやバー、ピアノルーム、ちょっとしたシアタールームが併設されていて、みんながくつろげるようになっています。また、シェークスピアの劇を見に行くだとか、スポーツをするだとか、そんなアクティビティも定期的に開催されているのです。

今日は、International Hallに住んでいる家族向けに、子供パーティが開催されたので、うちの2歳11ヶ月の息子を連れて行きました。写真のオレンジのトレーナーを着ているのが我が息子。妻に抱かれていますが、なんだか、ちょっと緊張気味です。最後の方になると、だんだんと慣れてきて、日本人の友達もできて、最後は、外の庭のようなところを駆け巡り、おおはしゃぎでした。

学校では、私の場合は、ビジネススクールなので、ビジネスのハナシが多くなってしまいますが、こうした寮を通じて知り合った人は、全く異なるバックグラウンドを持っているので、それはそれは貴重な出会いのような気がします。今日、お会いした方も、政治、公衆衛生などを専攻されているようでした。こうして、学校とは違ったもうひとつのコミュニティがあるのは、とてもいいことだと思います。こんなところから、多くの学際的な研究も生まれるのかも知れませんね!
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2008年10月3日金曜日

コンサルティング・ファームの実行支援はいいことなのか?

今日は、私の所属するコンサルティング・ファームのCEOが、リクルーティング一環でLBSにやってきました。じつは、今日はあるVolunteerに参加する予定だったのですが、CEOに会ったことがなかったのでせっかくの機会だと思い、会社のAmbassadorとして、CEOのプレゼンに参加することにしました。

じつはこのCEO、もともとはシカゴ大学のビジネス・スクールで教鞭を振るったのち、コンサルティング会社に入ってきたという変わった経歴の持ち主。そのせいか、プレゼンの内容は、けっこうマクロ的な話しが多かったと思います。いまの産業構造の大変化に対応するために、われわれがいるんだとか、今のサブプライムショックに関する見解などを話していました。

私はけっこう、こういうスタンス好きです-個々の企業の支援が大切なのは言うまでもありませんが、産業や社会レベルでインパクトを及ぼすことを考えるのも大事だと思うからです。おっと、話がずれてしまいましたので戻しましょう。

プレゼンの後は、立食パーティで、われわれ社員とLBSの学生との交流会=コネ作りの会でした。今日は、私は学生の立場ではなく、社員の立場で参加です。その中で、いろいろな質問を受けるのですが、ときどき受ける質問の中に、「クライアントの実行まで支援するのですか」というのがあります。

おそらく、この質問の意図として、コンサルティングファームは、戦略立案だけで実行はサポートしないので、「お絵かき」だけ、という批判があるから、なのでしょう。したがって、90年代は、コンサルティングファームはこぞって、「実行支援!」を謳った時期がありました。

でも、本当にコンサルティングファームは、実行支援すべきなのでしょうか?私は少し懐疑的なところがあって、どちらかというと、「実行の立ち上げ支援」までお手伝いさせていただくのがいいのではないかと思っています。

冷静になって考えてみると、実行支援までクライアントと一緒にやっていたら、クライアントとしては、費用対効果が悪いのではないかと思います。なにしろ、コンサルタントは、単価高いですから。実行は、長期に及びますし、コンサルタントの動員人数も半端ではありません。

そもそも、実行段階まで、コンサルタントをべたべたと貼り付けなければいけないとすると、そもそもの処方箋=解決策が適切でない可能性があります。もっと実行可能な戦略が必要か、何らかリソースの充当が必要なのではないかと思います。仮に、実行段階で専門性が必要であれば、それ専門のサポート会社を雇った方がいいでしょう。たとえば、コミュニケーションであれば、広告代理店などです。

やはり、戦略コンサルティング・ファームは、クライントが抱えているAgenda=悩みに応えていく、問題解決の上流工程に資源をある程度フォーカスした方がいいと思うのです。

とはいえ、新しい戦略の実行段階では、今までの延長線上では、組織を動かせない場合も往々にしてあります。新しい戦略の実行立ち上げの段階では、お手伝いさせていただくのは、大いに意味があることだと思います。あくまでも、軌道にのせるまで、という明確な線引きが必要でしょう。それ以降は、むしろクライアントの新しい悩みに応えていった方がいいと思うのです。

だから、最近は、戦略コンサルティング会社が「実行支援しますよ!」というのが本当にクライアントにとっていいのかどうか、よくよく考える必要があると思います。