2009年3月20日金曜日

MBA学生の三つのセグメント

ロンドンビジネススクールのMBA学生は次の三つのタイプに分けられ、それぞれごとに送るライフスタイルは根本的に異なります。どういうタイプ分けが可能かというと:

1.「シングル」
2.「子供なしカップル」
3.「子供ありカップル」

まず、シングル。このセグメントは、2,3人でルームシェアをして、ロンドンのNight Lifeも思う存分に楽しみ、まるで青春を謳歌するかのように自由気ままに生きているように見えます。 思い立ったその翌日には、海外に旅経っていくタイプ。

次に子供なしカップル。このセグメントは、シングルに比べて、やや落ち着いていて、クリスマスのときなどはしゃれたディナーを食べたり、夫婦・カップルでおしゃれな旅行をしたりという感じ。

そして、子供ありカップル。子供の世話、就職、勉学と、なかなか時間のバランスが難しいのがこのセグメント。みな三〇歳前後なので、子供も生まれたばかりという人もめずらしく、そうなるとけっこう大変。夜泣きをする子供を抱きながら、ケースを読み込むなんてことも。

私は、「子供ありカップル」セグメントです。子供の学校探しやら、妻のサポート、家に帰ると子供が寝るまでは勉強できないので、結構大変なのです!

そんな「子供ありカップル」向けの集まりがPartners Clubの子供の会で、妻がこの運営委員であるChildren’s Committeeに加わることになったので、子供の会のイベントにはこれから皆勤になりそうです。

毎月一回ずつ、子供向けのイベントを開催して、子供とその両親が集まるというもの。先週末は、Easterが近いので、Egg HuntなるイベントがLBSのカフェと庭を使って開催されました。

「子供ありカップル」という同一セグメントが集うので、仲良くなりやすいのがいいところでしょうか。企画の準備、運営とちょっと大変そうですが、それもまた楽しいといえるでしょう。
来月は、Tea Partyだそうで、手作りクッキーに子供達がデコレーションをして遊ぶというイベントだそうです。楽しみです。


Easter Party 2009
庭に隠されたEggを探せ!

ロンドンの変化に驚く母親

先週一週間は、私の母親が、大量の”日本商品”とともに、ロンドンの我が家にきてくれました。和菓子や、せんべい、だしなど、けっこう大量にもってきてくれて、とても助かりました。うちの息子も、プラレールのN700系新幹線をもらうことができて大喜びでした。あまりにも嬉しすぎて、四六時中700系新幹線とともにし、食事中もハコにきちんとしまって自分のすぐそばにおいていましたから。

母親は、都会のロンドン生活は、きわめて便利だとしきりに言っていました。二〇年前は、我が家は、ロンドンの郊外に住んでいたこと、またここ最近ロンドンが急速に便利になってきたことが重なって、その様変わりに驚いているようでした。子供の公園や学校、そしてショッピングセンターもすべて5分以内の徒歩圏内にあるからでしょう。

とくに、我が家の食糧供給基地になっている、スーパーのwaitroseは、大絶賛していて、まるで、日本の高級食料品である紀伊国屋を巨大にして、しかし価格は西友なみの店と、言っていました。たしかに、waitroseは、食材は野菜も肉もおいしく、それほど高くないのです。日本の食料品スーパーは、流通に明らかにどこかに欠陥があるのを確信させます。
http://www.waitrose.com/index.aspx

また、もうひとつ驚いていたのは、Oxford StreetやRegent Streetから、トラッドないわゆる、ブリティッシュらしい店が一掃されてしまったこと。とくに、イングランドらしい模様をあしらった陶器類が全然見かけないことを少し残念がっているようでした。高級デパートであるSelfidgeもモダン化しましたし、そうした陶器メーカーも倒産に追い込まれましたし、時代は変わりました。

いまや、アクアスキュータムなどの高級ブランドが並ぶRegent Streetに、ユニクロが出店しているという感じです。よりモダン、よりお手頃、よりカジュアルな路線に世の中が突き進んでいるのをRegent Streetが象徴しています。

そして、一昨日からは、今度は妻の母親が、また大量の“日本商品”とともに、こちらにやってきくれました。今度は、プラレールのヒカリレールスター(九州新幹線)をもってきてくれて、またもや、我が息子は大喜び。

私が日本に戻ったあとに、その後妻の父親もロンドンで合流し、子供とみんなでスペインに行く予定だそうです!春のスペインは気温も暑すぎずで、それこそ最高でしょうね。私も生ハムが食べたい!

2009年3月16日月曜日

なぜBT会長の話しが面白くないのか?


The Distinguished Speaker Series
Sir Michael Rake
Chairman, BT Group
Wednesday 11 March 2009, RCOG, 27 Sussex Place, London

先日、LBSのゲストスピーカーシリーズで、British Telecomグループの会長である、Sir Michael Rakeが登場しましたが、やや期待はずれの内容だったのは残念でした。その最大の要因は、おそらく聴衆のエクスペクテーションとの乖離です。

BTがどんなチャレンジに直面しているのか、そんな中でBTの会長Michael Rakeはどんなイニシアティブをとろうとしているのか、そこでどんなリーダーシップ像が求められるのか、ぜひ聞いてみたいと思い参加しました。

BTは、民営化に成功し、かつ、じつはグローバル化にも成功している企業のひとつです。NTTがグローバル化するとはあまり想像できないことを考えると、大きな偉業を成し遂げた会社ともいえます。一方で、相変わらず、BTのサービスレベルは悪く、日常会話の皮肉ネタでよく使われるの事実。そういったわけで、BTというのはとても聞くにあたいする面白い企業なのです。

しかし、実際のスピーチは、BTの話しは、ほとんど、というより、全くでなかったのです。話しのトピックは、「昨今の金融危機は・・・」とか「今度のG20は・・・・」など。「今後政府に期待する政策は・・・」など。あまりにもマクロ的な話しで、かつ毎日、連日のように新聞で見聞きしている言葉を再編集したようなスピーチで新鮮みがあまりなかったのです。

何がいけなかったのでしょうか?

聴衆のエクスペクテーションに応えていない!の一言に尽きると思います。

まず第一に、BT Chairmanという肩書きで、このゲストスピーカーで登場するのだとしたならば、聴衆は少なくともBT Chairmanとしての立場の話しを聞きたいと考えるはずです。すなわち、彼は、BTというポジショニングをとってしまっているわけで、実際のデリバリーがそれと乖離していれば、やはり不満が出てきてしまいます。

実際の話しは、昨今の金融危機にまつわるマクロ的な話しばかりだったのですが、そういう話しならば、そういう話しをするライトパーソンがいるわけで、だれもマクロ的な話しを一介の企業リーダーから聞きたいとは思わないでしょう。

仮に、そうしたことを語る豊富な知見があったとしても、BT Chairmanという肩書きを出してしまった以上、その話しの信憑性はゆらいでしまうと思うのです。たとえば、イングランド銀行の総裁がやってきて、「昨今の金融危機は・・・」と話したら、それは納得がいきます。イングランド銀行の総裁と聞いて、聴衆が期待する話しはまさに、そうしたマクロ的な話しだからです。

期待値と実現値のギャップが満足度とはよく言われますが、どんなコンテクストでも成立する、示唆深いメッセージだと思います。そして、その期待値は、スピーカーのちょっとした肩書きだけで、聴衆の中に形成されてしまうわけです。いかに、事前に期待値をコントロールしておくかは、やはりとても大事!といえそうです。

2009年3月14日土曜日

Consulting Club執行委員に選ばれる;LBS生の就職力アップに向けて


London Business Schoolでもっとも大きい公式クラブのひとつ、Consulting ClubのExecutive Committee Memberに当選しました。少し前に、Consulting Clubのメーリングリストにこんなメールが流れているのをみたのが応募するきっかけ:

“The Consulting Club committee members of MBA09 is ready to hand over its responsibility to the new class...If you are interested in being on the executive committee of one of the largest and most active clubs on campus, we would like you to submit your application....”

さっそく、パワーポイントでマニフェストを作成。おそらく私ほどコンサルティングバックグラウンドが長いクラスメイトはほとんどいないので、そこを強調しておいて、マニフェストを提出。

そして、票稼ぎの1週間。幸い、昨年の秋から、多くの人にコンサルティングファームの就職面接の練習相手になっていたので、そうした人に協力をお願いして票集めをしたり、はたまた、日本人、ストリームメイト、などなどの組織票をお願いしたりと、ちょっとした選挙活動をすることになりました。

おかげさまで、無事当選-みなさまありがとうございました。来年度の7名のコミッティメンバーがこれで、揃いました。

そもそも、コンサルティングクラブは何をするのでしょうか?コンサルティングクラブのミッションは以下の3つをいまのところ掲げています。

1) To educate London Business School students about the Consulting Industry
2) To train and prepare students to enter the Consulting Industry
3) To promote London Business School brand to the Consulting Industry

コンサルティングキャリアに興味のある学生に、コンサルティング業界とその仕事内容を知ってもらい、この業界に就職できるためのトレーニングサービスを提供すると同時に、コンサルティングファーム各社におけるLBSのプレゼンスを高めることにあります。

私は、トレーニングプログラムの設計と運営を担当することにしました。というのも、いろんなクラスメイトの面接の練習相手になったり、相談にのったりしたことを通じて、LBSの学生の「面接力」はまだまだ改善の余地があることに気付いたから。

基本的にコンサルティングファームのインタビューでは、FitとCase Crackingの二つが大事になってきます。Fitはいわゆる適性-すなわち、志望動機、会社とのフィット、アスピレーションなどをみるもの。Case Crackingでは、ケースインタビュー(ある企業の具体的な課題をその場で提示し、それに対する解決策を聞く)を通して,分析能力、コミュニケーション能力など総合的な問題解決能力をみるというもの。

で、改善のありかとは、まずもって第一に、Fit!です。要はあまりFitの対策をしていないように見えてしまうのです。みな、ケース面接の対策には心血を注ぐのですが、いざ、じゃあなんでウチの会社に来たいの?という質問になると、どうも切れ味が悪いのです。

結局のところ、MBA生のように頭のいい学生がケースの練習をすれば、ある程度のレベルまで行くわけで、そうすると最後は、この人はこの会社に向いてそうか、向いていなさそうかという世界でもって、内定が判断される事実をもっと重要視すべきでしょう。

また、コンサルティングファームは、Up or Out(昇進しなければ首)が適用されるCompetitiveな環境である一方で、100%クライアントに奉仕する姿勢が問われるというやや変った仕事内容であることも知って置く必要がある気がしています。

第二に、ケースインタビューをすると、答えが面白くない!ことが多いということです。たしかに、理路整然とフレームワークを適用して答えているのですが、そうであるがために、答え自体がみな似たような答えになり、なんだか聞いていて面白くなくなっているのです。

みな、Consulting Case Bookといって、ケースインタビューにどう答えるかを懇切丁寧に解説している本を読み込んでいます。しかし、この教科書には、きわめてオーソドックスな模範解答が掲載されているため、それに学生が倣うためか、モックインタビューをすると、けっこう無難な回答が返ってくるという事態が発生しています。

でも、インタビューアーはMBAホルダーであることも多いですし、インタビューアーはMBA的模範解答なんて、聞き飽きているわけですから、もちろん理路整然としたベースとなる答えをしっかりとしつつ、どこかで自分なりの「スパイス」を所々にブレンドさせてあげて、インタビューアーを一瞬でも「ハッと」させる必要があります。

FitとCaseの両方に課題があり、そのあたりをConsulting Clubでは取り組んでいこうと思っています。

2009年3月13日金曜日

学生による起業ネタ見本市;アントレプレナーシップの授業から

“起業家精神”が起業をするにしろ、就職にしろ高まってきている中、やはりLBSにも必修科目として、Entrepreneurshipの授業があります。その名も、Discovering Entrepreneurial Opportunities(DEO) という授業で、このWinter Termの中では、けっこう“カネ”をかけている方の授業ではないでしょうか。London Business SchoolのEntrepreneurship領域の心意気を感じさせます。

というのも、この授業のフィナーレには、「トレードショー」が行われるのです。各スタディグループが、新しいアイディアにもとづいた商品のプロトタイプをつくり、なぜそれがビジネスとして有望なのかを説明するパネルもつくり、ちょっとしたブースを出展するのです。そして、実際のベンチャーキャピタリストやエンジェルが各グループの新ビジネスを審査して、それがそのまま授業の成績になるというもの。

また、なぜか毎回、LBSのアントレ系の授業を率いるMicheal HayとDominic Houlderおよび、ティーチングアシスタントのChrisの三人がきまって授業に訪れるので、これも人件費を食っているなと思います。その上、多くのゲストスピーカーを招いているのも特徴でしょうか。発想法については広告代理店のサーチ&サーチから、大企業の中でビジネスを立ち上げていく話しについては、Pwc Strategyからゲストスピーカーがきました。またもちろんVenture CapitalistやAngel投資家のゲストスピーチもありました。

クラスの進め方としては、通常のケースディスカッションとゲストスピーカーによるレクチャーと並行して、スタディグループで粛々とトレードショーに向けた新商品プロトタイプに励むという感じです。正直、ケースからの学びは、いまひとつピンぼけのような感じで、そのクラス設計はいただけなかったですが、最後のフィナーレ、「トレードショー」は大いに盛り上がりました。

総勢50グループがそれぞれブースを出展して、各グループおもいおもいの商品をピッチしているのを見るのは壮観です。我がグループは、Personal Safetyに関する携帯のアプリケーションを提案しました-グループメンバーのIT engineerが実際にプログラミングをして、あっさりとプロトタイプを作ってくれました。とはいえ、残念ながら優秀賞には選ばれず(;_;)。アカデミックだけに偏らず、どこかリアルビジネスの接点が保てるような授業は、適度な緊張感を生み、全体としてはなかなかいい試みの授業だったと思います。

「トレードショー」の様子。みな出展準備中。

エンジェル投資家に口どく時はみんな真剣そのもの。

優秀賞発表の瞬間。ちょっとした緊張感走る。


-面白いアイディア-

駐車したいドライバーと駐車場を提供できる個人のマッチングサイト。


プチ苦しみからの解放;革新的な計量カップ



これはスゴイ!なにがどうスゴイか、写真をみて分かるでしょうか?

そうなんです、真上から見ながら計量ができるようになっているスゴイ計量カップなんです。

普通の計量カップは、カップの横に目盛りが刻んでいるため、どうしても横にのぞき込みながら、計量しないといけません。体を曲げながら、そして顔をのぞき込むようにして、無理な体勢を強いられながら、「入れすぎないように入れすぎないように」そわそわしながら、液体を計量するものです。

しかし、この計量カップは、そんな「プチ苦しみ」から見事に解放させてくれるスグレもの。コロンブスの卵的な発想で、鮮やかだなあと思った一品でした。

私たちは、こうした多くの「プチ苦しみ」を日々何らか経験しているのですが、あまりにも「プチ」で「日常的」すぎるため、それに気付かずに過ごしてしまいます。

そうした「プチ苦しみ」に敏感になれるかどうか、がとても新商品開発、商品改良には重要ですね。

Posted by Picasa

2009年3月11日水曜日

百貨店John Lewisの価格戦略


Our price commitment

Never Knowingly Undersold
means that you can trust
our prices.


  • We set competitive prices
  • We actively check and match
    these in the local area
  • We even match sale prices
  • We will refund the difference
    if you find it for less

Never Knowingly Undersold

John Lewis

プライシングのクラスからの題材-上記のようなステートメントをJohn Lewisに入ると、みることができます。ひとことでいえば、「他店でウチより安いものを見つけたら差額を返金します」というコミットメントを示しています。

John Lewisは以前もこのブログでも少し触れたとおりで、けっこうこぎれいな店内で、超激安店というイメージでは全くありません。そんなややアッパー系のポジショニングのチェーン店が、最安値宣言をしてしまって、いいのでしょうか?

こうしたコミットを強烈に告知し、そして、そのコミットメントが本気だと競合店に認識されれば、競合店は、値下げをする意欲を削がれ、結局、価格が高どまりする、ことを目論んでいるわけです。

実際、授業で紹介された研究成果によれば、こうした価格戦略をとった場合ととらなかった場合の比較において、前者の方が得られる利益は50%多いとのこと。一種の“談合”のように機能することが実証されています。

消費者からすると、こんな広告をみると、「おおなんと寛大な!」と思うかも知れませんが、結局のところ価格が高止まりをして、消費者を損をしているという現象がおきていて、こうした相反するメカニズムが働くような戦略は面白いと思います。

2009年3月10日火曜日

B-Schoolを震撼させるMBA内定取消問題

バンク・オブ・アメリカ、MBA学生の内定取り消しへ。今朝Financial TimesにMBA学生にとってはショッキングなニュースが載っていました。

Bank of America rescinds job offers to foreign MBAs
Bank of America has become the first US bank to withdraw job offers made to MBA students graduating from US business schools this summer, citing conditions laid out in its bail-out deal as the reason.

メリルリンチを飲み込んだバンカメは、ここ最近調子がおかしい。数千人単位のリストラを行うことを発表していたし、政府からの資本注入も受けるという。

そして、政府からの資本注入を受ける条件として、MBA学生の内定を取り消さなければならないという。政府がそんな条件を突きつけてきたというのも、にわかに信じがたいが、本当だとすると、かなり興味深いニュースです。

The passed $787bn stimulus bill in effect prevents financial institutions that have received money from the government's troubled asset relief programme from applying for H1-B visas for highly skilled immigrants if they have made US workers redundant.

その上、内定取り消し対象者は、海外学生のみという始末。すなわち、端的に言ってしまえば、米国民のジョブを奪うヤツはけしからんぞ!という論理です。 そういった意味で、日本の内定取り消し問題とはやや次元の異なったハナシになっていて、インパクトは大きいように思います。

まず、第一に、日本よりもはるかに内定時の契約書の縛りが厳しい契約文化の国において、そんなに簡単に契約が破棄されてしまう前例が、政府主導、それもアメリカ都合で作られたことになります。ここまで露骨にやるか!という感じです。

第二に、この慣習に、他の銀行および、これから調子が悪くなる企業がならうとしたならば、USスクールに通う外国人MBA学生、およびこれから就職を考えるその他外国人にとって、きわめてやりにくい状況になるということになります。

そして、これはFTでも指摘されているように、MBAのInternational Student(米国人以外の学生)比率の減少が懸念されます。米国のビジネススクールの場合、今のところなんとか35%くらいまでにInternational Student比率をあげてきましたが、これが一気に低下する必要があります。

なぜならば、もし、International Studentsの米国内での就職が厳しくなれば、やはり、ビジネススクールのAdmissionとしては入学許可を出しづらくなるでしょう。

そういった意味で、このニュースは、ビジネススクールの経営にとっても、ものすごい大きなインパクトになる可能性があります-もちろん学生もですが。

2009年3月9日月曜日

組織の問題をどう教えるのか?

MBA生活の二学期ももう終わりに近づこうとしています。早いモノです。今週から試験やらモロモロのグループアサイメント、個人アサイメントなどの締め切りが次々とやってきて、「ああ学生だなあ」と実感することしきり。

一学期はきわめてファイナンス的、定量的、ハード的な科目が多かったのに対して、二学期はきわめて、定性的、ソフト的な科目が多く、とても対照的です。その筆頭格がこのManaging Organisational Behaviour-組織行動マネジメント-でしょう。個人的には、この手の科目は、ますます重要になると思っていて、けっこう好きです。面白いです。

パーソナリティとは?パーソナリティとパフォーマンスの関係は?モチベーションとは?イノベーションを起こすにはどうすればいいか?組織の構造はどうあるべきか?カルチャーとは?カルチャーはマネジメントできるのか?リーダーシップとは?リーダーシップは身につけられるのか?などなど-そんな「ヤワラカイ」テーマを学んでいきます。

しかし、果たして、そんな柔らかい、ふわふわとしたテーマをどのように学ぶのだろうか、と思う人もいるかもしれませんが、LBSでは次のように、3本立てで、クラスが設計されています。

レクチャー&ケース:
レクチャー半分、ケース半分で3時間の授業。レクチャーは、他の科目に比べると、過去や最近のリサーチ研究をダイジェストしてくれることが多い。ケースは面白いトピック。たとえば、不振に陥った営業パーソンにどのようなアドバイスをするか?組織を抜本的に変えることになったが、各部門ヘッドにだれをアサインするか?などなど

学生プレゼンテーション&レポート:
スタディグループごとに気に入った組織行動的なトピックを選んで、好き勝手にプレゼンして、レポートをまとめるというもの。だれしも、組織行動的な問題で手を焼いてきたもの。そうした学生の経験を引っ張り出してきて、習っている理論と結びつける意図があると思われる。

コンサルティングプロジェクト:
スタディグループごとに、組織行動的なコンサルティングプロジェクトを課している。クライアント探しから、テーマの設定まで自由にやっていい、というか野放し?。ひとつ決まりがあるのは、お金をとってはいけないことになっている。我がチームはグーグルを行う予定であったが、土壇場になってダメになり、クラスメイトのOさんのおかげで無事クライアントを確保。個人的には、コンサルティングを英語の環境で行うといった感じで、面白くなりそうです。

そういったわけで、こうした柔らかいテーマに対して、今までの研究成果からのナレッジを学ぶと同時に、学生の経験をシェアしたり、リアルの現場を体験するように設計されているのが分かります。下手をすると学術的になりかねない科目に、コンサルプロジェクトを課すとことで、プラクティカル性を出す、という意図でしょう。

課題としては、この3つのモジュールがバラバラに走り、かつ担当教官もそれぞれ違うので、これら3つの間のリンケージをわれわれ学生が常に意識していないと、迷子になってしまうことでしょうか。あとは、そこから何を学び取るかは学生次第!

2009年3月8日日曜日

なぜMBAプログラムの低年齢化が進むのか?

世界的な潮流として、MBAのようなマネジメント関連の学位プログラムの低年齢化が進んでいるのはなぜなのでしょうか?

このトレンドに乗っかる形で、今年の8月からLBSでは、職歴がほとんどない人向けの1年のマネジメント-Masters in Management を教える修士プログラムが立ち上がる予定で、そのプログラム責任者と話したのですが、どうやら二つのタイプの人種が、こうしたプログラムにアプライしているようです。

ひとつは、ビジネス以外の分野で勉強をしてきていて、その領域が好きだけど、ビジネススキルが不足しているため、専門分野をビジネスに生かせないと思っているセグメント。たとえば、経済、工学、政治、芸術、スポーツ、解剖などを今まで専攻してきた人で、その専門性を生かして、ビジネスキャリアを気づいていきたい人。

おそらく、今までは、ビジネススキルなんぞは、まずは会社にさっさと入ってから磨くべし、という考え方だったのでしょうが、いやいや、それじゃあ、キャリアの成功はおぼつかない、一度ビジネスの基礎をしっかりたたき込んでから、社会に出たいと思っているということでしょう。応募者の半分以上がこのパターンのようです。

もうひとつのセグメントは、昔からビジネスの世界で生きていこうと思っているのだけど、大学の授業があまりのも学問的、そして、ローカル(自国中心)すぎて、こんなんじゃ実際のビジネスでは使えん、と失望してしまっている人。たとえば、よくBusiness Administrationという専攻がありますが、多くはアカデミアに偏っているようで、そこに危機感を感じる大学生が応募してくるそうです。

この二つのセグメントから見て取れることは、「私は何もビジネス分かりません、0から会社で鍛えてください」という態度ではなく、キャリアにおいてスタートダッシュを切りたいという強いニーズが垣間見えてきます。LBSのMasters in Managementでは、そうしたニーズに対して、PracticalとInternationalityを訴求ポイントにしているようです。チャレンジは、実務経験がない人にどう”Practical”なビジネスを教えるか、ということで、それ相応の工夫が必要です。

さて、それが良いか悪いかは別にして、このような潮流がfundamentalなものだとして、やがては日本にも及んでくるとすると、どこかのタイミングでこの手のビジネスに参入すれば、大きく化ける可能性がある。

たとえば、理系の学生の多くは、実際理系のキャリアをそのまま続けないケースも多く、理系の大学院を出て、銀行、商社、コンサル、マーケターというのは普通にあります(実際、私もその口です)。そして多くの人が理系の大学院に「なんとなく」進学する。つまり、あまり強い欲求に支えられている選択ではなく、将来理系的なキャリアに進まないことが分かっているならば、理系の大学院に進むより、マネジメント専攻の大学院に少し通うという選択も十分に考えられそうです。

成田空港のアジアのハブ化?

先日、Nikkei Netで、「日本の観光競争力、25位に低下 外国人への開放性低く」というニュースがあり、日本は観光資源は豊富だけど、アクセスや開放性の分野では課題が多いらしく、驚くべきコトに、131位中下から3番目だったそうです。ここまで、ランキングが下だと、この閉鎖性自体が、独特のカルチャーを生み、それが日本の観光資源のランキングを押し上げているのかも知れない、という皮肉もいえそうです。
 
アクセスのしにくさのひとつの元凶は、「成田空港」でしょう。東京の中心から遠くかけ離れたところにある空港は、さすがに時間がかかりすぎるというものです。世界中の主要都市の空港は、30分で、中心部にアクセスできるようになっているのではないでしょうか。たとえば、ロンドンでも昔は、ロンドン・ヒースローからは、地下鉄やタクシーなどで、中心部まで出てくるのに1時間ほどかかりましたが、今はHeathrow Expressができたおかげで、20分ほどでPaddington駅へ出てこられます。

おそらく、外国人旅行客に限らず、誰もが遠いと感じている成田空港。その発着枠をさらに増やす努力をしているというから、困ったものだと思います。同じくNikkei Netによれば、” 国土交通省と成田国際空港会社(NAA)は2010年以降の成田空港の発着回数を現行比25%増の年25万回にする方向で検討を始めた”とのことで、” 羽田空港とともに「アジアのハブ」空港に向けて、東京の競争力向上を目指す”のだそうです。

そもそも、ハブというのは、そこを起点としてあらゆるところにアクセスするという意味だとすると、羽田と成田が同時にハブ化することは、あまり考えられないのではないでしょうか。民主主義的な考え方が、ジェレミ・ベンサムの「最大多数の最大幸福」だとすると、こうした取り組みは明らかにこの考え方に反しているといえそうです。羽田で国際便がたくさん飛んでくれたら、なんと便利になることか。

2009年3月7日土曜日

LBS Japan Trip 2009せまる

今年もLondon Business Schoolの生徒、スタッフ、パートナーに日本のことについて、より深く知っていただくことを目的に、ちょうど桜の開花シーズンの8日間でJapan Trip 2009を実施予定です。

参加者には、日本の文化面とともに、ビジネスについて知っていただけるように、MBA 2010の日本人メンバーによって、旅行の企画、手配が急ピッチで進めているところ。

まずは、東京では、アルムナイのご厚意により、フォーシーズンズ椿山荘に滞在する予定です。フォーシーズンズ椿山荘の見事なまでの日本庭園は、参加者に感動を与えるのではないでしょうか。

東京滞在中は、東芝訪問を企画しており、学生に関心の高い、グリーンテクノロジーや、原子力ビジネスなどについてお話しを伺う予定です。文化面では、Tokyo Modern Tour、Tokyo Subculture Tour、Tokyo Bus Tour、Tokyo Sweets Tour、Sumida River Cruise、Tsukiji Tour、Oedo Hot Spring Tour、Kamakura Tourなどの多くの手作りツアーを用意し、東京をきわめて多面的に理解していただくことを考えています。

その後、名古屋で、テイバン、トヨタ工場を見学したのち、京都の旅館に滞在し、日本の和室文化に慣れ親しんでもらいます。京都観光では、みな着物、袴に着替えてもらった上で、各名所を巡ることを企画しています。またこの他にも、More Kyoto Tour、Osaka Tour、Kobe Beef Tour(神戸牛を食す!)などを通してさらに関西エリアを満喫してもらうというもの。

例年、Japan Tripは、お国柄トリップの中でも、もっとも人気が高く、評価が高いことで有名です(今年も頑張らなくては!)。

先日、日経ニュースでは、「日本の観光競争力、25位に低下 外国人への開放性低く」と報じられていましたが、なんのその。なんとももったいない。

実際は、いまだに多くの世界中の人が日本に興味をもってくれていることを感じます。今回の参加者のお国を見てみると、これもまたバラエティにとんでいて、ブラジル、スペイン、UK、アメリカ、カナダ、チェコ、ナイジェリア、インド、ブルガリア、オランダといった感じでしょうか。今こんなに国籍混合の日本への外国人旅行軍団もめずらしいかも。

国の観光政策はいまいちですが、こちらは草の根的に、このJapan Tripを通して、参加者がより日本を好きになってくれたらと思います。

2009年3月6日金曜日

ロゴだけのブランディングは成立するのか?

名前がないロゴだけのブランディングに大きな効果はあるのでしょうか?個人的には、あまりないと思っているのですが、どなたかこの分野に詳しい方がいらしたら教えてください。

通常、ブランドには、「音=ことば」とそれを象徴的に体現する「ロゴ=マーク」があると思います。たとえば、Macで有名な会社は、アップルという音ともに、りんご模様のロゴがあります。

ブランドというものが、一般的には、”A name, term, sign, symbol, or design that identifies and differentiates the products or services of one seller from those of other sellers”といった風に定義されるのだとすると、サインやシンボルだけを使ったブランディングというのはありということになります。

具体例-マーケティングのクラスでブランディングをあつかったときのケースは、ユニリバーのアイスクリーム事業。ユニリバーはブランドの買収に次ぐ買収を繰り返し、ヨーロッパではシェアトップのアイスクリーム事業をもっています。

しかし、課題はなんといっても、そのブランド数の多さ。なんとも、1,600もの大なり小なりのブランドを抱えてしまっている始末。ブランドの統合をするといっても、食料品のブランドはきわめてローカルに密着したものであって、そうヤスヤスとは変えられない。

一方で、こんなにもブランドを抱え込んでしまっては、たとえば広告ひとつとっても、規模の経済を効かせられないというデメリットがあります。有名なサッカーの試合でスポンサーするにしても、統一されたブランドがないので、広告の打ちようがない。

そこで、ユニリバーが考えたのは、ブランドの名前はそのままにするものの、ユニリーバ-のアイスクリーム事業ですよ、とシグナルを出すために、共通のロゴを商品につけることにしたにしたそうです。今でも、ハートマークのロゴがすべての商品についていて、このロゴを見ることによって、消費者がイイ認識をもってもらうというもの。

たとえば、これは学校の売店で売っているアイスリームですが、こんな風にしてマグナムというアイス名にそっとロゴがあしらわれているのが分かります。 (MAGNUMという商品名の上にハートマークがある)


別の例ではこういう感じ。ある雑貨店の前にかざってある看板で、これは別の商品ですが、また同じくユニリバーのアイスクリーム事業に属するので、このハートマークがあしらわれています。





今でコソ、授業で取り上げられたので、このロゴマークに気づきますが、それまで半年間住んできて、一切認知せず、です。また、広告宣伝などは、すべて商品名をベースにして行われているので、そのハートロゴの存在にそれほど気を止めないのが実情なのではないでしょうか。

そもそも、人間がブランドを認識するときは、仮にそれがロゴを頭の中にイメージしていたとしても、やはり言葉=音が必要なのではないでしょうか。われわれが知っている有名ブランドは、そのロゴを容易に想像できるのと同時に、そのロゴがもっている音もあわせて理解しているのが通常です。

これは、思考と言語が密接に関連している人間の脳の構造に起因していると思います。

一方で、先生の方は、私のこの見方にやや消極的で、「ほら、Nikeをみてごらん。彼らは、あのマークしかTシャツとかのせてないではないか」とは言うものの、やはり、あのマークをみた瞬間、われわれは「ナイキ」という言葉を想起する。

Nikeのあのマークは、音をもっているということになります。実際、Nikeは過去には、名前とロゴをあわせて宣伝していたときもあるようです。

そういったわけで、いまだにユニリバーのアイスクリーム事業が行っている“名無しのブランディング”は、一体どれほどの効果があるのだろうかと思っているわけです。ブランディングにおけるロゴやシンボルの意義というのは、面白い研究分野でしょうね。

ロンドンに春がやってきた!

2月の終わりから3月の頭にかけて、急速に春めいてきました。寒い冬を乗り越えて、ようやく到来してくる春にわくわくしている自分がなんだかとても新鮮です。

ロンドンの冬は、夕方の4時くらいから薄暗くなる一方、夏は夜の9時まで明るいため、冬が終わったあとの日の延び方が日本に比べると、とても早いから、なおさらそんな風に感じるのでしょう。

少しずつ春が訪れてきたのを知らせるかのように、木々のつぼみが花開いてきました。

Spring is coming!