2010年1月31日日曜日

STRENGTHS FINDER

MBAプログラムでは、多くの自己診断をしていく機会がおおくあります。360度評価、性格診断、価値観診断、人的ネットワーク診断、リーダーシップタイプ診断があげられるかと思います。



そうした自己診断ツールのひとつ、組織コンサルティング会社Gallup社が開発したStrengths Finderをご存じでしょうか?



Strengths Finder-その名前のごとく、200近い質問に答えることで、34の強みタイプから5つ特定してくれるというきわめてシンプルな診断ツールです。正確には、強みそのものではなく、強みになりえるポテンシャル領域を特定してくれるというもの。



その書籍、Strengths Finderは、50万部のベストセラーともなっていて、とてもポピュラーな診断ツール。







コンセプトもシンプル。人は、弱みを克服するより、強みを伸ばした方が、5倍伸びが早いのに、人はいつも弱みばかりを指摘されそれを克服することを求められる。これは、何か間違っていないか?



強みをきちんと理解して、それを踏まえて、人間関係、リーダーシップ、キャリアを考えてみようということです。



ところで、私の5つのStrengthsは以下のとおり。私らしいでしょうか?



Learner

People who are especially talented in the Learner theme have a great desire to learn and want to continuously improve. In particular, the process of learning, rather than the outcome, excites them.



Responsibility

People who are especially talented in the Responsibility theme take psychological ownership of what they say they will do. They are committed to stable values such as honesty and loyalty.



Individualization

People who are especially talented in the Individualization theme are intrigued with the unique qualities of each person. They have a gift for figuring out how people who are different can work together productively.



Ideation

People who are especially talented in the Ideation theme are fascinated by ideas. They are able to find connections between seemingly disparate phenomena.



Self-Assurance

People who are especially talented in the Self-Assurance theme feel confident in their ability to manage their own lives. They possess an inner compass that gives them confidence that their decisions are right.



友達同士で、この結果を交換しあうと、なかなか楽しいですよ。


"You can be a lot more of who you already are"



(このStrengths Finderをうけるためには、まず本を買わなければいけません!)

ロンドンビジネススクールの売上はいくら?

ビジネススクールは、景気が悪くなると、うれしいことに、出願者数が増加します。一方で、LBSを含め、他の企業と同じように、多くのビジネススクールの台所事情は厳しいものがあります。この矛盾は一体どういうことなのでしょうか?


さて、少し質問を変えて、LBSの売上はいくらでしょうか?なにで稼いでいるのでしょうか?



LBSは学校とはいえ、企業と同じように、収入があり、支出があり、最終的に利益もしくは損失を出すことには変わりありません。



答え:LBSの2009年の売上は、ざっと145億円です。



ちなみに、東大が約2,000億円、日本大学が1900億円、慶應大学が1300億円というわけで、それほど大きくないというか、LBSは規模としては、こじんまりしているといえますね。



さて、この145億円のうち、授業料はどれくらい占めますか?



答え:75%。



かなり大部分を授業料に依存していることが分かりますね。国からの助成金が8%、寄付が6%、研究助成金が4%、施設貸し出し3%、投資収入1%という具合。まず、なんといっても寄付額の向上が課題です。



さて、この売上の大部分を占める授業料ですが、LBSの看板プログラムであるMBAはこの授業料のどれくらいを占めますか?



これが、前知識なく、分かった方は、かなりセンスがいいと思います。というのも、この答えに、ビジネススクールのビジネスモデルの本質が隠されているからです。



答え:21%



そう、MBAプログラムは、授業料のわずか五分の一しか占めていない。どういうことでしょうか?ビジネススクールといえば、MBAなはずで、その授業料がこれだけ?



じつは、パートタイムMBAがあり、それをExecutive MBAというのですが、これがさらに21%占めます。でもまだ合わせて4割程度。



もっとも売上構成比率が大きいのは、Executive Educationといわれる、学位ではないビジネス教育の売上。これがなんと43%も占めます。それは、1週間程度のコースであったり、もしくは企業向けにカスタマイズされたものであったりします。で、このExecutive Educationは単価が最も高い。



もうおわかりかと思いますが、MBAはあくまでも旗艦プログラムで、その評判でもって、Executive Educationを受注するというモデルなんですね。



昨今の経済状況の厳しさは、このExecutive Educationをモロに直撃しますので、ビジネススクールとしては、つらいわけです。これが、学位のプログラムへの出願者数の数はうなぎ登りなのに、台所事情は厳しい理由です。



ビジネスには、ツボのようなものがあって、ビジネススクールの場合、それはMBAプログラムにあたり、この評判次第で、その他のプログラムの売上が響いてくるわけです。何がツボになるのか、それを見極めるのがとても大切ですね。



(上記の財務情報は、LBSウェブサイトのAnnual Review 2008-2009からみることができます)

2010年1月30日土曜日

ロンドンビジネススクールの日本語ウェブサイト・リニューアル

Japan Interests Clubで管理・運営している日本人向けウェブサイトがリニューアルされ、旧サイトのコンテンツを継承しつつ、さらに内容が充実しました。



コロンビアビジネススクールの日本語ウェブサイトの担当者にかなり具体的なアドバイスをいただき、またMBA2011のメンバーの多大な努力で、新しくなりました。



もともと、私がウェブサイト担当になったとき、HTMLスキルに不十分な私が、その更新に多大な時間がかかっていたのが最初の発端でした。これでは、役に立つ情報もアップできなくなってしまうのではないか、というものでした。



LBSの日本語サイトが立ち上がったのは2006年ですが、それからわずか4年足らずですが、より便利なツールが世の中に出回り、それを使おう、ということになりました。



というわけで、ビジネススクール、MBA、ロンドンビジネススクールに興味がある方は、ぜひ、新しいサイトを散歩してみてください。

当たり前の知識がなぜ使いこなせない?

ブログのエントリをサボっていたら、あっという間に一ヶ月。1月のエントリがゼロというのも寂しいので、このあたりでひとつアップしたいと思います。



さて、池田信夫氏の最近のブログエントリーで、最近の政治家は、大学1年生のマクロ経済レベルの常識も知らないことを嘆いています。氏のおっしゃるとおり、その知識レベルで、何十兆もの国家予算が動かされていると思うと、確かに恐ろしくなります。



この事実に象徴されるように、「当たり前の常識が使いこなせない現象」が最近は増えているのではないかと思うわけです。「えっ、そんなことも知らないの?」とみなさんも思ったりしたことはないでしょうか?逆に、これさえもっと早く知っていれば、もっと楽できたのに、と思ったり。



この悲しい現象も、専門領域の細分化と情報の劇的な増加による、逆説的な、でも、必然的な結果ではないかと思うわけです。これだけ、情報が豊かになったのに、逆に、その当たり前が使いこなせなくなってしまうというのも何とも皮肉です。



でも、なぜ、こんなことがおきてしまうのでしょうか?



まず、第一に、そもそも専門分野が増えたおかげで、「当たり前」が増えすぎた。だとすれば、全ての人が「当たり前」をカバーできることは不可能になってきているわけです。ある人にとってのものすごく当たり前なことは、すぐ隣の人にとっては宇宙語。



もうひとつは、情報が多すぎると、頭の中できちっと理解しようとしないからだと思います。たとえば、学校で膨大な読み物を課されたとしたら、まあ斜め読みか、読まないかのどちらかで、結局何が書いてあったかは覚えていないでしょう。これと同じ原理です。



じつは、当たり前の知識が使いこなせない理由はいくつかのタイプがあると思います。



1. そもそも知らなかった

2.知っていたけど、使おうと思わなかった

3.知っていたけど、使おうと思ったけど、使いこなせない



それぞれに対応策が違ってきますが、冒頭の政治家のエピソードは、3.ですね。使いこなせるように勉強したり、自分で手に負えない場合は、それに精通している人を雇えばいいでしょう。



1も深遠な問題ですが、一番たちが悪いのは、2.だと思います。その当たり前の知識自体は知っているのですが、いざその知識が必要という状況になったとしても、その知識が役に立つと気付かないということです。



これは自分にもけっこうあって、あとで振り返ってみて、あの知識が使えたのにと思い出したりします。その場になると、知っていたはずの知識がすっと出てこないんですよね。



また、その知識自体は、知っているので、本で読んだり、人が聞いたとしても、「知っている知っている」と思い、その学びをさらに吸収せず、さらっと流してしまうのです。授業で聞いたとしても、そんなこと知っているよ、となってしまうわけです。



そんなわけで、情報は増えたのに、当たり前の知識が逆に使えないパラドックス、さあ、これはどう解決すればよいのでしょうか?