2008年10月8日水曜日

日本発の金融危機への処方箋-Financial Timesから-

先日、Financial Timesに大前研一教授の金融危機に対する提言が掲載されました。日本人の論考があまり登場しない海外紙ですが、こうして日本人の記事が出ると、うれしいものです。ところで、このFTですが、学生特権ゆえ、1週間1ポンド=200円で購読できるのはありがたいことです。また、Wall Street Journalは、無料です。学費が高いのだから、せめてもの福利厚生といったところでしょうか。


話しをもとに戻すと、この記事では、日本が経験した15年におよぶ金融危機とそこからの回復を丁寧に考察した上で、今回のグローバルな金融危機への処方箋を論じています。過去から本質的な学びを抽出し、それを今の状況と照らし合わせて、その学びを現実的なアクションに明快に落とし込む、この手のスキルは私のいるコンサルティングビジネスはもちろん、その他のビジネスでも、必須ですので、とても勉強になります。


さて、どういう記事かというと、

1.今回の金融危機はシステマチックなものなので、個別銀行を片付けても本質的な問題解決にはならない

2.金融危機は、流動性危機、不良債権問題、貸し渋り問題という3つのフェーズがある、今は第一段階の流動性危機であり、この対応をすべきなのに、ポールソンは、第二段階の問題に手をつけようとしている

という趣旨です。原文はFTのホームぺージから。
http://www.ft.com/cms/s/0/d44a3c0a-8ef0-11dd-946c-0000779fd18c.html?nclick_check=1


1.に関しては、現象としては、ベアースタンズ、メリル、リーマンと破綻していくけれど、本質的な問題は、そこにあらず!ということですね。いわゆる、現象のウラを呼んで、本質的な問題に迫らないと解決できません、という例です。とはいえ、現実には、個別銀行や保険会社ごとの対応に追われています。


本質的な問題とは、(今は)流動性危機であるということです。このあたりは、日本の事例が生きてきています。日本の1990年代の金融危機とは、まずは、三洋証券などの流動性危機による破綻、次は不良債権に耐えられなくなって潰れた長銀、日債銀など、そして最後は貸し渋りでダイエーなど多くの事業会社が苦しむという流れです。もちろん、流動性危機に対する解決策が大胆で面白いです。


ファクトに基づいて、本質的な問題に迫り、解決策を練る。まあ、よく最近は聞く言葉ですが、本記事は、そのひとつの具体的ないい例だと思います。

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