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2009年12月7日月曜日

Eメールを上手に書けますか?

みなさん、Eメールを上手に書けるでしょうか?

私たちは誰でも、何気ないEメールをもらっては喜んだり、何気ない励ましの言葉がうれしかったり、はたまた、メールでドキッとさせられたり、怒ったりとしているのではないでしょうか。誰かからの返答を長らく待ったり、きつい依頼分を送ったり。

メールは実に私たちの日常の喜怒哀楽といった感情と密接になってきていると思うのです。

ビジネスにおいてもメールは重要で、マネージャーならば、最低1割、多い場合では2,3割の時間、もしくはそれ以上の時間をメール処理に使っているはずです。最近はブラックベリーやiPhoneが出てきたおかげでもっと増えているかもしれませんね!

この時間の多さは半端な量ではありません。私たちは、莫大な時間をメールに注ぎ込んでいるといえます!

でも、これだけ、私たちの生活にインパクトがあるにも関わらず、この「メール」という響きが軽いのか、こちらのマネジメントの教授に聞いてみても、まだそういう分野(すなわち、マネジメントにおけるメールの効果的な使い方とか)はまだまだないのだそうです。

日本から送った1冊にこんなのがありました。ぱらぱらと読んでみると、これがスゴイ。じつによくできているんです。



つまるところは、英文のメールの書き方なのですが、タダ単に例文が並んでいるのではなく、相手との人間関係におけるパワーバランスや、依頼する内容、礼儀などに応じて、事細かに例文が分析とともに掲載されてあるのです。

とくに巻末の「状況別」依頼表現100 (100 ways to ask)は圧巻です。“フレーズは、ソフト(丁寧)な表現から徐々にキツイ表現になるようリスト化されている”とのこと。

「FastPACK(架空の配達サービス名)で送ってください」という依頼が100通りに並んでいるのです。

たとえば:

非常に丁寧
Do you think you will be able to send it by Fast PACK?

丁寧
I hope you’ll be able to send it by FastPACK.
I wonder if I could ask you to send it by FastPack?

ソフトかつポジティブ
I would be grateful if you would send it by FastPACK.
Could I trouble you to send it by FastPACK?

礼儀正しいがちょっとキツイ
I think we need you to send it by FastPACK

礼儀正しいが相手にノーと言わせない
Would you send it by FastPACK?

直接的な命令
We expect you to send it by FastPACK.
I advise that you send it by FastPACK.

というわけで、この本、読み物としても面白い。
改めて、コトバは、表現豊かになりうることを再認識させられた一冊です。

話しは戻って、メールのビジネスにおける重要性は高まってきているように思います。この本のようなノウハウがもっと共有されてもいいかと思っています。何かおすすめのサイトや本などがあったらぜひ教えてください。

輝くためには(2)

以前のエントリーの続きです。かなり前になってしまいましたが、続きを綴っておきたいと思います。

以前のエントリーから一部抜粋

“今の日本では、Gratton教授がいうところの、Hot SpotやGlowできる環境というのは減ってきているのかもしれない。経済が成熟してしまい、プロジェクトX的な熱くなれる場所、燃えることのできる場所が減っているのかもしれない。

もしそうだとすると、輝くために、個々人ができること、企業ができることがあるというGratton教授の主張は、日本にとって、大きな意義をもつことになるような気がするのです。彼女は、壮大なことを主張しているわけではなく、ごくごく「そうだよね」と思えることを言っていますが、その内容はまた今度”

さて、その輝くための3つの原則とは、コレ。

協力する力
異なる世界から学ぶ力
やる気に火を灯す力


さらに、この力が、

あなた自身にあるか?
あなたのチームにあるか?
あなたの組織にあるか?


というように、3つのレベルでチェックすることを進めています。この3×3のマトリックス、すなわち9つをチェックすることで輝き度とその処方箋が分かるというのです。詳しくは、ぜひこの本を手に取ってみてください。時間があれば、ぜひ訳したいくらい。



さて、さっきの3つの力に戻ります。当たり前のようでいて、自分の反省を込めて考えてみると、仕事が忙しくなってきたり、疲れてきたりすると、意外とできなかったりするもの。たとえば、こんな具合に。

協力する力
→何とか自分で問題をねじ伏せようとしてしまうが、結局時間がかかってしまう
異なる世界から学ぶ力
→切羽詰まっているので、何とか身近にあるノウハウで処理しようとしてしまう
やる気に火を灯す力
→心身ともに削りながら、とにかくこなす、終わらせることに終始する

と、こう書くと、じつはこういう症状の日本企業は多い気がしてきてしまうのです。しかし、悲観していても始まりません。

Good Newsは、この3つの力を企業「外」に求める活動が若手のビジネスパーソンを中心に広がっているのではないかというのが私の勝手な仮説です。これは、この夏に短期的に日本に戻った折に感じた印象です。

たとえば、勉強会ブーム。たとえば、ビジネススクールブーム。たとえば、他企業への自主的なコンサルティング。たとえば、NGOへの活動。たとえば、ボランティア。

10年も不況というニュースが長らく続くと、どこかでその憂鬱な雰囲気を鬱憤すべく、こうした活動に繋がっているのではないかと思ったりするわけです。

問題は、ここが肝心なのですが、それがなぜ企業内に起きないのか?ということなのです。この3つの力を発揮したいと願っている、そういう場を求めている飢えたビジネスパーソンはいるんだけど、その場が社内にないのが問題なのではないか。

だとすると、この当たり前に思える3つの力の重要性に再認識させられるのです。

2009年11月29日日曜日

経営者が考えるべきビジネスモデルの次に大事なこと

WHAT IS YOUR MANAGEMENT MODEL?
This could be your second important question you ever ask about your business. Here’s how you answer it.
Julian Birkinshaw and Jules Goddard
(クリックをすればダウンロードできます)



MIT Sloan Management Reviewに掲載された論文で、実に示唆に富む内容です。



経営者の悩みはつきません。その最たる悩みは、ビジネスモデル。だれに、何を、どのように提供し、どのように対価を回収するのか。



最近は、その悩みに加えて、そのビジネスモデル実現に向けて、どう目標を設定し、どう実行するのか、すなわち経営のやり方、すなわちマネジメントモデルも選択する必要が出てきていることをこの論文は指摘しています。



たとえば、ゴールドマン・サックスのマネジメントモデルと、Googleのマネジメントモデルは明らかに違います。オーストラリアで仕事の合間に波にのるGoogleの社員と、シティで夜中まで働くバンカー。



もちろん、ビジネスモデルは全く違いますが、それに加えて、経営のやり方=マネジメントモデルも違うことは、直観的に分かるかと思います。



では、一体、何が違うのでしょうか?マネジメントモデルが違うとはどういうことなのでしょうか?この論文は、みなが何となく認識している事実を、明示化したことにその価値があると思います。マネジメントモデルというと、堅苦しいですが、その内容は次の4つの視点です。



1.どのようにゴール設定をするのか?

 明確なゴール設定 or 遠回りなゴール設定

2.どのように動機付けを行うのか?

 お金 or やりがい

3.どのように活動をコーディネートするのか?

 官僚 or 自然発生

4.どのように意志決定を行うのか?

 ヒエラルキー or 集合知



たとえば、どのようにゴール設定をするのか?については、こちらを。ストレートにゴール設定をするのか?遠回りなゴール設定をするのか?その選択をする必要があるというわけです。



活動のコーディネーションについては、たとえば、コンサルティングファームのプロジェクトごとのコンサルタントのチーム編成では、官僚的というのは、会社側でチームを決めていくというやり方。もう一方のやり方として、会社がフリーランスのコンサルタントを抱えていて、クライアントがチームメンバーを選ぶというぶっとんだ事例が紹介されています。そう、会社がコンサルタントをアサインするというプロセスがいらないわけです。



このように、この4つの要素、それぞれに関して、大きく二つの方向性があり、経営者は最適な「方法」を選択する必要がある、というわけです。著者ら曰く、このマネジメントモデルは、経営者の間ではあまり議論されることがなく、過去の継続であったり、経営者のやり方・好みで決まっていることが多いとのこと。



今一度、このマネジメントモデルを見直すことを薦めています。さらには、このマネジメントモデルこそが、競争優位の源泉になることを指摘しています。



企業が勝ち残るためには、何らかの意味において、すごいところ=競争優位が必要です。それは、昔は、商品がすごいということからはじまり、ビジネスモデルがすごい、社員がすごいなどいろいろな「すごい」がありました。これからは、この「マネジメントモデルがすごい」というのも、ひとつの戦い方になるだろうということが書かれています。



マネジメントモデルの4つのポイントを簡潔に説明してあると同時に、それらをサポートする極端な事例も多く散りばめられ、思考が刺激されるおすすめの小論文です。来年にはこの本も出るらしく、そのPreview的な価値もありそうです。

2009年11月26日木曜日

イノベーション産み出す問い:Eメールを今発明したらどうなるか?

Eメールを今発明したらどいうものか?


だれもが使うEメール。これを今、発明したらどんなものになるか?


これがGoogleの開発メンバーが、Google Waveを開発するときに投げかけた問い。いや、じつにいい問いではありませんか。



Google Waveは今年の5月にリリースされた、Googleが放つEメールにかわる次世代のコミュニケーションツールです。



リアルタイムにドキュメントや画像などを編集作業できるかなりのすぐれものです。とくに、そのリアルタイム性がウリで、メールを書く際も、相手が一字一字打ち込むのがこちらの画面で確認できるからスゴイ。



私たちは、会話するときも、相手が話し終わったあとに、話しの内容を理解するのではなく、逐次理解しているもの。だから、インターネットの世界でもそうあるべき、ということなのです。



さらに、違う言語でテキストで打ち込んでも、これまたリアルタイムで翻訳していくから、異国のヒトとリアルタイムチャットもできてしまう。







私もまだ使い始めで初心者ですが、慣れるためにあるプロジェクトでは、このWaveを使ってコミュニケーションしようということにしています。(詳しい方いろいろ教えてください!)



話しは戻って、このWave開発にあたっての、問いかけが秀逸。今、Eメ-ルを創るとしたら、どういう姿形をするか?



Googleによれば、Eメールが発明されたのは、40年前。メールなんて、最近のこと、と思っていたら大間違いで、もうかれこれ40年も経つのですね。それから、というもの、ブログ、ソーシャルネットワーク、Wiki、Twitter、Flickrなどなど数え切れないほどのコミュニケーションが出てきました。



であるならば、そういった今流のコミュニケーションスタイルを踏まえて、僕らが今、最も頻繁に使っているEメールを作り替えるとしたら、どうなるか?と問うたら、それこそ、様々なアイディア、インプレーションがわいてきそうです。



こういうのを、リンダ・グラトン教授流にいえば、Igniting Question -燃え立たせる質問-というのでしょう。Igniteとは点火する、という意味。着火させる、そのきっかけをあたえる質問という意味あいです。



こうしたIgniting Questionsを次々と投げかけて、みなをびっくりさせるサービスをリリースし続けることができる。



であるとするならば、みなさんの業界、会社、部署、もしくはチーム、はたまた個人の成長に向けたIgniting Questionは何でしょうか?



たとえば:



戦略コンサルティングファームというビジネスモデルが出現してから、かれこれ100年。その間、基本的なビジネスのやり方は変わっていません。今、0からコンサルティングファームをつくるとしたら、どういう形になるか?



なんていうのは、どうでしょうか。不思議なことに、この業界も基本的な仕事のやり方は驚くほどかわっていません。アイディアあったら、ぜひ募集中です。

2009年11月10日火曜日

企業版暴れん坊将軍:社長が一兵卒になりすます

もうかれこれ1ヶ月前くらいになりますが、“The Art of Engagement”と題したディスカッション・イベントがありました。EngagementとかEngagingというのは、英語ではよく聞く言葉ですが、日本語では「やる気がある」といったようなニュアンスでしょうか。

面白かったのが建設業ClugstonのCEO Stephen Martin氏の話し。じつは、彼、Channel 4の企画番組”Under Cover Boss”に出演。この企画がおもしろい。社長である彼が、一現場作業員となりすまして、建築現場で働くというもの。それをカメラが追っかけていくという企画なのです。
http://www.channel4.com/programmes/undercover-boss/video/series-1/episode-2/chief-among-concerns

まさに、企業版暴れん坊将軍。一兵卒になりすました社長は、現場最前線の驚くべき事実に向き合うことになるわけです。役員室では全く見えなかった風景が見えてきて、矢継ぎ早に様々な施策を打つことになるわけです。

「どうせ、上の奴らは、オレらのことなんかかまっちゃいないんだ」と愚痴る同僚。解雇されたくないから、上司に言われるがままに休みもなく働き続ける契約社員。本社の社員は気付かない、ボーナスの支払いに関するミスコミュニケーション。

やはり、いつだって、現場最前線は大変であり、かつ本社からは遠い存在。本社マネジメントも、本社社員も、いつの間にか現場から遠ざかり情報が届かなくなる。自らは現場に身を置くのは大変だから、どうするかというと、レポートを求める。本社は情報共有と称して、大量の伝達文書を通知する。

そう、形式的な官僚主義がはびこってくる。レポートを書かされる感のある現場。誰も読まない通知文書の山。最前線の社員はまた、本社に対して不満をたれる。こんな日本企業の風景が浮かんできます。

社長がたまに一兵卒になるとイイ刺激になるように、こういうのって、たまに本社と現場社員を月に一度ずつ入替えていったらいいのかもしれないと本気で思ったりしますが、みなさんはどう考えるでしょうか?

“The Art of Engagement” Getting the most out of your employees
In most large companies, the number of employees who are highly engaged in their work is less than 30%, and the number actively disengaged is greater than 20%. These figures are scandalous: engaged workers are the lifeblood of any creative or entrepreneurially-minded company, and most companies are simply failing to create the conditions that make people excited about coming to work.

3.00-3.30pm REGISTRATION
Sainsbury Building, main doors area

3.30pm Engage: Why Employee Engagement Matters
Introduction:
Julian Birkinshaw, MLab
Panel Chair:
Stuart Crainer, Editor, commentator, & business consultant
Panel Speakers:
Nita Clarke, Involvement and Participation Association
David MacLeod, Macleod Review on Employee Engagement
David Smith, Author and consultant; former HR director, Asda

4.45pm REFRESHMENT BREAK
Lower Ground platform area, Sainsbury Building

5.15pm New and Innovative Models of Engagement
Introduction:
Julian Birkinshaw, MLab
Presentations:
Stephen Martin,”Under Cover Boss” – CEO, Clugston
Henry Stewart,”Relax, a Happy Business Story”, CEO Happy

6.30pm AFTER EVENT DRINKS RECEPTION
S1 Lounge area, 1st floor, Sainsbury Building

2009年10月25日日曜日

あなたに従う理由は何?~「らしさ」のリーダーシップ


リーダーシップというと、「あるべきリーダー像」があって、そこを目指していくという考え方を私たちは何となくもっています。たとえば、GEのジャック・ウェルチみたいなリーダーとか、日産のゴーンさんのようなリーダーとか。

でも、それではダメなんですよ、と指摘して、”Authentic Leadership(本物のリーダーシップ)”を提唱しているのがRob Goffee教授。その論説がこちらのハーバードビジネスレビューの記事です。

Why Should Anyone Be Led by You?
By Rob Goffee and Gareth Jones
Harvard Business Review
http://hbswk.hbs.edu/archive/1710.html


ここでいう、Authenticとは、「本物の」という意味。リーダーシップが本物というわけではなく、あなたっぽいリーダーシップかどうか、本当にあなたならではの姿なのかどうか、あなたらしいリーダーシップなのかどうか、本物のあなたらしさをさらけ出しているかどうか、という意味での本物。

Rob Goffee教授曰く、役員室をシーンと静まりかえすのはとても簡単なのだそうだ。ひとこと、「なんで、みんなはあなた方に従いたいと思うのか?」と聞けばいい。たちまち、気まずい空気が流れるてしまうのがほとんどだそうです。

では、どうすればいいか?4つのポイントを提示しています。

Show you’re human, selectively revealing weaknesses.
Be a “ sensor”, collecting soft people date that lets you rely on intuition.
Manage employees with “tough empathy”. Care passionately about them and their work, while giving them only what they need to achieve their best.
Dare to be different, capitalizing on your uniqueness.


そういえば、小室哲哉氏も、アーチストをプロデュースする上で、その人っぽい曲作りをしないと、1曲目はごまかせても、2曲目以降はヒットさせられないと言っていたのを覚えていますが、本質は、Authenticityなのでしょう。

今季、フィギアスケートの織田信成くんは、おとぼけキャラのチャプリンを演じていて、好調ですが、ユーロスポーツの解説者がこう言っていました。「今回の演技はとてもNobuらしい、それがいいんだ。去年の演技は、ちょっと優雅さを求めすぎて背伸びしすぎたね」と。これも本質は同じでしょう。



Rob Goffee教授がこのビデオクリップで最後に言うこの決めぜりふが好きです。

BE YOURSELF MORE, WITH SKILLS

2009年9月27日日曜日

世界の小売りから学ぶ「何気ない斬新さ」

何気ないんだけど、日本人からみるとすごい斬新。海外にいると、そんなアイディアにけっこう出くわすものです。そんな出会いのたびに、凝り固まっていた思考回路を柔らかくしてくれるようで、とても楽しい。そう、何気ないんだけど、現地の人にしてみたら、当たり前なんでしょうけれど、新鮮だったり、意外だったり。そんなアイディアをいくつかご紹介です。

マクドナルドとコンビニの真ん中を狙ったポジショニング

この写真は、なにやさんでしょうか?

その答えは、セブンイレブンなのです。そう、スウェーデンのストックホルム中央駅付近によったセブンイレブンです。でも、レジがコンビニのように見えないところがミソ。レジ周りは、まるでマクドナルドのようなのです。コーラ、ポテト、サンドウィッチなどのセットメニューがずらりとならび、まさにマックお得意のやり方。一方で、店内はもちろん、所狭しと商品が並ぶコンビニそのもの。

まさに、日本のセブンイレブンとマクドナルドを足して2で割ったというよりは、がっちゃんこしました、という感じなのが斬新。何も全く新しいものを創造しているわけではないのですが、既存のモノを組み合わせる妙というか、そんなところが素敵です。日本では、小売りのカテゴリー、ジャンル、形態は、ここ何年も変わってないですが、こんなアイディアを見るにつけ、まだまだ小売りのイノベーションってありそうと予感するわけです。



コンビニとスーパーを同居させる

次は、このブログでもよく出てくる我が家近所の大型スーパーWaitrose。これも、何の変哲のない話しです。どういうことでしょか?

店の入り口をくぐり、右側にいくと、次の写真の光景が広がります。



そう、コンビニなのです。サンドウィッチ、弁当(寿司も売っている!まずいけど・・・)、小さめのスナック、などなどがところ狭しと並び、小さめのレジで顧客を待ち受けるわけです。

ところが、店の左側に入っていくと、こちらがメインなのですが、そう、まさに大型の食料品スーパーなのです。どこまでもどこまでも、食品が並んでいます。


話しとしては簡単で、食品スーパーの一角をコンビニっぽくした、ということなのです。そして、それ用のレジを別に仕立ててあるわけです。一角にあるコンビニはそもそも、食品スーパーとして入荷した商品を再編成しただけなので、そんなお金もかからないはずです。

とはいえ、そのインパクトは大きい。なんといっても,コンビニ的客層をスーパーの顧客に重ねて吸引できてしまうのですから。スーパーに行って、大量に買い物するまでもない、そんなニーズをこのちょっとした一角コンビニが拾っているといえます。


なんとも簡単即席ATMマシン

もうひとつ、このスーパーの話しを続けましょう。私がはじめて、このスーパーに買い物に行ったとき、レジでこう言われました。

店員: "Any Cash Back?"

私: (キャッシュを戻してくれる?ってこと?・・・・これはどういうことだ?)

と、私は混乱したわけです。

どういうことなのか?

タネあかしをすると、この店員は、人力ATMマシーンだったのです。そこで、「はい、20ポンドください」といえば、デビットカード決済する際、買い物代金に20ポンド上乗せしてくれ、そして20ポンドのキャッシュをレジから取り出して渡してくれるのです。

はたからみたら、なんであの人は買い物をしてお金を払わなければいけないはずなのに、お金をもらっているんだ?となるでしょう。

日本では、セブン銀行をはじめ、多くの設備投資をもとにコンビニATMが普及していますが、これは既存のインフラを最大限活用して、いとも簡単に人力ATMを実現したというわけです。

週に何度も買い物をする主婦などは、この仕組みさえあれば、もう本当のATMに行かなくてOK、ということになります。



今日の学び:既存のモノの組み合わせや活用を考える

Posted by Picasa

2009年9月9日水曜日

企業リストラクチャリングの勘所

前回のエントリーで、「変化を受け入れるのには時間が必要」ということを書きました。たとえば、全社に渡るような人員整理を行わざるを得ない場合、それこそ、どうやって、その変化を納得してもらうか、そこがまさに企業変革のキモ中のキモ。

私がコンサルティングで携わったケースで、非常に印象的だったのは、足もとの業績はそこそこよかったのだけど、将来を考えると今組織をスリムにせざるをえなかったケース。そのインパクトは、組織の人員を三分の四に1年以内にするというもので、その規模といい、スピードといい、かなりしんどかった。

そこでも、やはり次の理論は生きていました。その理論とは、変化を受け入れるには、次の4つのフェーズがあるという説。

1.ショック
2.保身
3.承認
4.適合と変化

今、思い起こしても、この4つをだれもが通っていったと思います。これらのフェーズを通貨するスピードに大小はあれ、誰もが通っていたと思います。

じつは、このプロジェクト、このテーマで半年以上続いたのですが、そのプランづくりは、わずか6週間で完了しているのです。かなり生々しいですが、どこのコスト構造からいくら減らし、どの部署から何人削減し、大きな方向性としてこう事業のやり方を変えるというところまで。

この手のプロジェクトの場合、語弊をあえて恐れずにいうと、正直、緻密に分析することはあまり意味がありません。分析をすれば、するほど、組織をスリム化することができない理由がどんどんとみつかり、結局何もできなくなってしまうのです。

たとえば、この人を異動させると、あの人にも異動してもらわなければいけなくなり、そうすると、この人員が足りなくなって・・・と途方もないジグソーパズルを作り上げる作業に陥り、にっちもさっちもいかなくなってしまうものです。

プロセスを効率化する場合もしかりで、緻密にプロセス分析をすればするほど、できない理由が集まってきて、「効率化できませんね」で終わってしまいます。そこそこいけそうなアイディアがでてきたら、「ガツン」と試してみる、につきます。

ここは、LBSのリチャード・ジョリー氏も言っているように、組織は、「チャイナ・ショップみたいにもろくはなく、ガーデニングみたいなものだ」のとおりで、少々大胆にやるくらいが丁度良い。というか、そういうメンタリティじゃないと、何もできなくなってしまう。

というわけで、話しはながくなりましたが、プランは6週間。残りの5ヶ月は何をやっていたのかというと、まさに、先の4つのフェーズへの対応でした。

1.ショック
2.保身
3.承認
4.適合と変化

やはり、1から3まで、どうしても3ヶ月はかかります。その過程で、さまざまな抵抗、政治的な駆け引き、純粋な吐露などに出会うわけですが、そこはやはりきちんとコンサルタントが受け止めて上げる必要があり、そこがコンサルティングの付加価値だったのだと振り返って思います。

当時の統括パートナーは、「僕らの仕事は、サンドバッグ」と皮肉っていましたが、言い得て妙なりで、まさにそのとおり。そう僕らは、サンドバッグ。その抵抗の矛先がある期間どうしても必要なのです。

だから、僕らは毎日、プランをひっさげて、いろいろと非難の声を浴びさせながら、朝は、A事業部長、午後はB事業部長、夕方はマーケティング部長とミーティングをしながら、とにかく話しを聞き回っていました。

ある時期からまさに潮の目が「ガラッと」変わったかのように、ウソのように、その改革はテイクオフしていったのです。そう、臨界点を越えたのでしょうね。そして、この企業の場合、もちろん問題は少し残しながらも、売上を犠牲にすることなく、見事にこの大胆なプランをやり抜いたんですよね。

教訓:
抵抗へのケアが改革の原動力

2009年6月7日日曜日

Oblique Goal Setting;グーグルの新しいマネジメント手法

グーグルはみなさん、ご存じの通り、新しいマネジメントスタイルをもった会社として有名です。その名も、Oblique Goal Settingというもの。Obliqueは、「遠回しの」といった意味合いで使われています。要は、利益向上といった極めてダイレクトな目標設定をするのではなく、社会貢献を第一義的な目標として設定することを指します。

じつは、最近のManagement領域での研究成果によると、こうしたOblique Goal Settingをする会社の方が、平均的にOutperformしていることが分かってきています。日本のことわざで言えば、「急がば回れ」というやつでしょうか。直接的に利益を訴求するより、遠回りなゴール設定をして方が、結果的に儲かるという、逆説的な現象が観察されているわけです。

Marketing Club主催のイベントで、Googleのマーケターがゲストスピーカーとして、話しをしにきたとき、彼の話しを聞いて、GoogleはOblique Goal Settingを徹底的に実践しているんだと実感したのです。

グーグルは、ミッションに沿った取り組みであれば、まず実践する。そして、それで、世界中の人々に気に入られたなら、その次にじゃあ、それをそうやってお金儲けに変えるかを考える変った手順を採用しているわけです。通常の会社であれば、初っぱなから、これは儲かるのかどうか、そこをまずビジネスプランとして要求されますが、グーグルは全くもって、違う次元の考え方に依拠してきていることが分かります。

グーグルのホームページによれば、グーグルのミッションとは:

Google's mission is to organize the world's information and make it universally accessible and useful.

すなわち、これに即したプロジェクトであれば、”Go”となる。サントリーの企業文化ではないですが、「まずはやってみなはれ」なわけです。

その産物として、出てきたのが、Google Earthや、Google StreetView(これもスゴイ!)などなど。ゲストスピーカーが少し紹介していたのが、次の素晴らしいサービスです。はい、今の時点で、全くお金になっていません。


Discover Ancient Rome in Google Earth

あたかも古代ローマにいるかのような旅ができるという。誰もが一度は夢あこがれた旅が、体験できる超スグレモノ。




Masterpieces of the Prado Museum in Google Earth

あのスペインはマドリッドにあるプラド美術館の絵画があり得ないくらいの高解像度でみられるというもの。これは衝撃的!



なんでこんなプロジェクトをやったかというと、あるグーグルの社員が、プラド美術館の絵画が大好きで、きっとみんなも楽しめると思ったから、以上!

まずは、顧客に受け入れられるサービスをLaunchして、そのあとにお金儲けについて考えるわけです。たとえば、Google Mapは当初は、全くお金につながらないサービスでしたが、最近は、地図の下部にさりげなく、広告を入れ始める実験をしているそうです。

現段階のGoogleは、徹底したOblique Goal Settingな手法を取り入れたマネジメントを実践しているといえます。しかし、物事は何事もバランス。組織行動的には、あまりOblique Goal Settingに傾斜するのも、これからのGoogleの成長を考えるとキケンという見方もできます。実際、最近は無料のサービスをキッていますしね。この点については、またいずれ触れます。

2009年5月5日火曜日

おすすめの選択科目;Shadowing Project

Shadowing Projectという、マネージャー/リーダーに朝から晩まで張り付いて、リーダーシップについて考察する選択科目があります。素晴らしい選択科目です。

~パンフレットより~
The shadowing project is one of the most valuable learning experiences on the MBA. Students will spend up to one week observing a manager at work. By drawing on past research and logging behavioural data, they will attempt to build an objective profile of the manager’s style. With data in hand, their end goal is to write a report about the shadowed manager.

と謳われているように、別にレクチャーもなければ、感動的なオチもない科目で、一見つまんなさそうですが、リーダーシップという極めて抽象的で曖昧なスキルに対して、あるリーダーの一挙手一投足を追うことで具体的なリアルな事例に基づいて、内省できるという意味で、とてもオススメです。

~パンフレットより~
The Benefits To Students
The shadowing project allows students to:
1 Observe the challenges faced by contemporary managers
2 Appreciate the real world of managerial work by testing academic theories against observed data
3 Develop a deeper understanding of the relationship between managerial style and organisational context
4 Reflect on leadership values

The Benefits To Managers
The shadowing project is an opportunity for managers to:
1 Learn about their own management style in the context of the organisation
2 Develop an understanding of their communication and networking skills
3Work on their personal development plan
4 Reflect on their effectiveness as a manager and a leader

上記の追加で、学校へのベネフィットとしては、ロンドンビジネススクールの宣伝に自動的になるという隠れた恩恵があります。数年前までは、この科目、必修科目だったので、毎年、300人以上の学生が各企業のトップ、エグゼクティブに「私はロンドンビジネススクールの学生です。しかじかこういう理由でシャドイングさせてください」といえば、これぞ、立派なFace to Faceの広告というものです。

さて、私は、ロンドンビジネススクールのプログラムを統括しているバーキンシャー教授をただいまシャドー中です。なぜ、彼をシャドーすることになったかというと、いくつかの理由があります。

まずビジネススクールのマネジメントは、多様なステークホルダーがいて、企業以上に難しいだろうと思ったこと。その困難さを垣間見たかったこと。ビジネススクールには、生徒、教授、企業、アルムナイなどさまざまなステークホルダーがいます。さらに、企業のように、組織系統が明確ではなく、実行がきわめて難しいのが大学組織の特徴です。

また、人材育成に興味をもっているので、ビジネススクールとしては、どんな形で企業、もしくはビジネスパーソンに価値提供しているのか、内部の視点からみてみたかったこと。

それから、単純に、バーキンシャー教授の研究分野が面白いと思ったこと。彼は、マネジメントのイノベーションについて研究を進めていて、Management2.0などのコピーを使いながら、啓蒙活動、研究活動、教育活動をしています。

実際、マネージャーやリーダーの動きは断片的には見てはいても、朝から晩まで、そして、一件一件処理するメールまで見ていく経験はそんなにできることではなく、個人的には多くの発見があります。

たとえば、やはりWebのリーダーシップやマネジメントスタイルに影響を与える度合いは計り知れなく、古典的なリーダーシップ論では、全くカバーされていません。簡単な例をあげれば、eメールです。

ほとんどのマネージャー/リーダーは、21世紀の今、メールを使って多くのマネジメントを行っています。プラン作り、モニタリング、動機付けなどなど、その範囲たるや、すごいものがあります。

しかし、ここで問いです。果たしてその使い方は、最適化されているでしょうか?ミーティング、電話、立ち話などなどいろいろなメディアがある中でメールの使い方は、最適活用されているでしょうか?-このあたりのトピックは、また別稿で。

Shadowing Projectは、良いところも悪いところも含めて、「人の振りを見て我がふり直せ」がコンセプトの風変わりだけれども、実りのある科目です。

2009年4月27日月曜日

工場見学で見た「なんちゃってToyota Way」

Operations and Technology Managementの一部として、世界的なエネルギー会社ENELの電力プラントを見学しました。そもそも、ローマに行っているのも、これが第一の目的です。

ENEL社は、トヨタのToyota Production Systemに見習って、継続的Kaizen活動に取り組むべく、Lean Manufacturing Programmeに取り組んでいます。 トヨタ工場も見学した上で、プログラムを組んでいるようで、いや、素晴らしいことです、と誉めたいところなのですが!

ちょうど先月に、トヨタのお膝元名古屋で、本家本元のトヨタ工場を見学していることもあって、それとの比較で、考えると、ENEL社の展開しているプログラムは、「なんちゃってToyota Way」という感じです。

まず第一に、このプログラムを「施策」のひとつとして展開しているということです。ログラムのコーディネートは、マッキンゼーが担当していて、コンサルティングプロジェクトとして、はい今月はこれ、来月はここで、とプログラムを展開しているのです。

もちろん、これでも成果はある程度出てくるとは思いますが、トヨタは、このTPSは宗教もしくは思想という位、気合いを入れて、5年から10年というタイムスパンを想定しているのとは、ハナシの次元が違うわけです。

本来は、TPSを導入するということは、PCのOSを取り替えるほど、ややこしいハナシで、壮大な意志決定を伴うはずなのですが、なんだかもうひとつアプリケーションを増やしました、というお手軽感を感じてしまうのです。

また、トヨタのやり方がうまくいくのは、工程に人間の作業が入り込むような、摺り合せ的組み立てプロセスなのですが、一方、電力プラントはほぼ自動化されている大型設備系。人の介在する余地が工程上にあまりありません。

したがって、TPSを電力プラントに応用・展開するためには、相当に知恵をひねって、TPSをヒネリ、カスタマイズしたり、膨大な適用上の工夫が必要になってくるはずです。しかし、そこをやりきるほど、企業幹部から熱意を感じられなかったといのが正直なところです。

このプログラムをやらないよりはマシだとは思いますが、果たして、どれほどトヨタに近づけるかは、疑問が残るところです。

2009年4月20日月曜日

QC→TQC→シックスシグマ→次は?

トヨタの話しに続いてもうひとつ。製造業における日本独特のマネジメント概念はどう生まれてきたのでしょうか?

トヨタをはじめとして、日本の製造業を一躍有名にしたのが、いわゆるTQC (Total Quality Management)というもの。改善や、全員参加、プロセス志向など、独特の概念を産み出し、アメリカをアッと驚かせました。

しかし、よくよく見てみると、このTQCの起源は、じつはアメリカ。もともとは、シューハートの管理図やデミング博士に学ぶところから、日本的なTQCは発展を遂げてきたようです。

海外からその起源を輸入し、それを日本独自の方法論に昇華させるのは、日本のお家芸ですが、この製造業の分野でも、その力をいかんなく発揮しているのがよくわかります。

そして、歴史をさらに進めると、日本的発展を遂げたTQCの威力を目の当たりにしたアメリカは、徹底的に日本の製造業を研究することになります。

1980年代初頭のころです。たとえば、ボストンコンサルティンググループも、当時日本を研究し、かの有名な経験曲線などの経営コンセプトを産み出したといいますから。

また、1985年に米国政府が発表した、米国の競争力強化レポート-ヤングレポートも、日本に比べ米国の製造力低下に危機感を感じたことが背景になっているのは有名なハナシ。

そして、そんな中で1990年代にアメリカの製造業が編めだしたのが、シックスシグマといわれる経営手法です。日本のTQCが、3シグマをひとつの品質のクリアすべき基準として標榜していました。このシックスシグマは、それを倍越えるんだ!という日本への対抗意識剥きだしなのがよく分かります。

モトローラからはじまり、GEが経営手法としてさらに昇華させて、アメリカ、そして世界で一世風靡をしました。

そこから、90年代は、プロセスを抜本的に変革するというBusiness Process Reengineering(BPR)が一躍脚光を浴び、多くのコンサルティング会社も潤いました。

振り返ってみれば、アメリカから生まれた管理の概念が、日本でプロセス改善として発展し、再びアメリカによってそのプロセス改善を全社レベルで行う経営手法に昇華されたわけです。

こうみてくると、次は日本がさらにそのシックスシグマのイイトコロを引き継いで、もう一歩進化させなければいけない!ミッションを担っていたはずなのですが、それが起こらなかったのがなんとも残念なことだと私は思います。

何が起きたのかというと、私が観察するところ、ソノママ、アメリカのシックスシグマを日本の企業に持ち込んだというのがひとつ。ソノママ、経営手法を輸入して、うまくいったと聞いた試しはないので、なんだかんだいって、シックスシグマブームで、終わってしまった感があります。

もうひとつの反応は、「シックスシグマは要は日本のTQCのことでしょ?本質的には同じなんだから、学ぶべきところはないでしょう」というもの。とくにアカデミックの世界ではこうした受け止められ方をされていたように感じます。

要は、シックスシグマの成し遂げた進化を素直に受け止めて、さらにそれを進化させることができなかった日本。それが今の状況ではないでしょうか。

古くは中国のシステム、戦後はアメリカのシステムなどを、アプリケーションとして自在に日本に取り入れ、独特の発展をさせる日本的な強みが、最近はこの品質管理の分野をはじめ、少し影を潜めているのが気がかりです。

2009年4月14日火曜日

You Tube Business School?

Survival of the Fastest
Bite-sized insights to help your business. Watch. Engage. Debate.




You Tube上で、London Business Schoolの教授が最近のトピックについて、1分から3分ほどでしゃべるというもの。どうやら、Executive Programmeの広告のためのようです。

1分から3分くらいなので、飽きずに見てられるのがいい。そして、極めて短時間で、英語で一つのメッセージを伝えるための勉強にもなると思います。

ついこの間できたようで、Recessionガラミのトピックがずらりと並んでいます。たとえば、これ。

“How to retain and develop talent in a recession”



よいメッセージだと思います。

1.公平であれ
不況期には、リストラはつきもの。しかし、そのリストラを実施するにあたっては、フェアであれというもの。これは、まさにその通りで、こういうセンシティブな時期だからこそ、このフェアネスに従業員から疑問符が付いた瞬間に、疑念の渦が組織を駆け巡ります。

2.人材開発をしろ
好況時にはできなかった人材開発に力を入れよ。不況時には人材に余裕が出てくるので、その分、ジョブローテーションや企業内でネットワークを広げたりする絶好のチャンスになるというもの。稼働率が低下してくるので、その分企画次第で、お金をかけずに色々とできますね。

3.組織ミッションの再考
イケイケドンドンでもって、人を引きつけることは不況時にはできない。自らが所属する組織のミッション-社会への貢献-に共感させることでしか、人を引きつけることができない。自分のミッションの再考とそのコミュニケ-ションを計る絶好の機会である。

2009年4月13日月曜日

ビジネス定量分析の「罠」

ロンドンビジネススクールにも、ビジネス定量分析のクラスはたくさんあります。私が受けている必修科目では、Decision Risk Analysisがあります。定量的なモデルにもとづいて、意志決定をすることを学ぶクラスです。

この授業は、昨年担当したProfessor Bertに比べると、若干迫力とおもしろみが欠けると言われているものの、今年のMBA生の中でも比較的人気のある授業のひとつでした。

実際、クラスでは、エクセルと@Riskという比較的手軽なソフトウェアを使い、まるで、手品のタネ明かしを見ているような軽快なノリで、定量モデルの結果を使いながら、見事なまでに最適な意志決定をしていく様を垣間見ることができるのです。

教授も統計モデリングの研究者ですから、定量分析を心より愛しているわけで、定量モデルに基づく意志決定の切れ味の鋭さを、これでもか!というくらい、次から次へと見せてくれます。

しかし、ここに落とし穴があると思うのです。その昔は、統計解析を研究していた私が言うのもヘンなのですが、定量モデルを過信すぎてはいないか?ということです。定量分析は鋭いナイフなみたいなものですから、その分析を間違って使えばひどいケガをしてしまう負の側面を見落としていないか?と思うわけです。

定量モデルを精緻に作り上げて、その結果に基づいて意志決定するのではなく、リーダーであるならば、自らの仮説を検証するために、あくまでも「補助的に」定量モデルおよび分析を併用するのがいいと思います。

定量分析の罠1:思考停止化
定量分析などという高度なことをやっていそうで、じつは定量分析にハマルと思考停止に陥るというパラドックス。定量モデルの作り込みに凝り出すと、定量モデルの内部でどのような計算をしているのか、などをあまり構わなくなってしまうのです。

分析の過程で、どんどんとモデルを複雑にしていき、しまいには、モデルがブラックボックス化してしまい、ただその定量モデルの結果を鵜呑みにしてしまう症候群。また、構築した定量モデルの前提条件なども何も分からなくなってしまうこともしばしばです。

まさにサブプライムローン問題のひとつの象徴でもあります。複雑な数理モデルによって計算された各種金融商品の中身を一体だれが理解していたでしょうか?

定量分析の罠2:定量化しにくいところは見ない
定量モデルを構築しはじめると、定量的に取り扱いにくい領域には、次第に目をそらすようになるものです。定量モデル構築者にとって、そんなものほど見たくないものはありません。

もしかしたら、このバイアスが、リーダーもしくはマネージャーにとって、本質的な事象から目をそらさせてしまうかもしれません。

実際、教材として取り上げられている例は、すべて架空のお話か、きわめて現実を単純化したケースです。まさに企業が直面しているマネジメントディシジョンにおいて、定量モデルが具体的にどのような役割を担うのか、そこに一歩も二歩も踏み込む必要があると思います。

たとえば、企業のバリュエーションでは、大抵の場合、詳細な計算をする前に、だいたいの“落としどころ”を見極めるのが普通です。その落としどころに定量モデルの結果が確実に落ちるよう、ガラス細工を操るがごとく、様々な前提条件の整合性をとっていくのが実態であったりします。

では、その落としどころをどう決めるのか?じつは、実務で最も肝心なポイントは、MBAの授業ではカバ-されません。ここにひとつの定量分析教育の危うさを感じずにはいられません。
それも、そのはずで、定量モデル分析の結果から企業のバリュエーションが定まるという前提に立っている以上、定量分析前の落としどころなどという概念は、定量分析の世界ではあり得ないわけです。

結局どうすればいいのか?

上記の罠については、しつこく警告を出すと共に、定量分析するにあたっては常に、言葉で説明すると一体どういうことをやろうとしているのかを常に意識することだと思います。最終的には、企業現場のミーティングでは、「言語」でやり取りをするわけですから、複雑な定量モデルを持ち出すのではなく、言葉としてその意味するところを語る必要があるのではないかと思うのです。

逆説的ではありますが、定量分析を使いこなすためには、まずもって現象を観察し、そこから直接的にインプリケーションを導出する「定性」分析が大事!ということになります。

2009年3月11日水曜日

百貨店John Lewisの価格戦略


Our price commitment

Never Knowingly Undersold
means that you can trust
our prices.


  • We set competitive prices
  • We actively check and match
    these in the local area
  • We even match sale prices
  • We will refund the difference
    if you find it for less

Never Knowingly Undersold

John Lewis

プライシングのクラスからの題材-上記のようなステートメントをJohn Lewisに入ると、みることができます。ひとことでいえば、「他店でウチより安いものを見つけたら差額を返金します」というコミットメントを示しています。

John Lewisは以前もこのブログでも少し触れたとおりで、けっこうこぎれいな店内で、超激安店というイメージでは全くありません。そんなややアッパー系のポジショニングのチェーン店が、最安値宣言をしてしまって、いいのでしょうか?

こうしたコミットを強烈に告知し、そして、そのコミットメントが本気だと競合店に認識されれば、競合店は、値下げをする意欲を削がれ、結局、価格が高どまりする、ことを目論んでいるわけです。

実際、授業で紹介された研究成果によれば、こうした価格戦略をとった場合ととらなかった場合の比較において、前者の方が得られる利益は50%多いとのこと。一種の“談合”のように機能することが実証されています。

消費者からすると、こんな広告をみると、「おおなんと寛大な!」と思うかも知れませんが、結局のところ価格が高止まりをして、消費者を損をしているという現象がおきていて、こうした相反するメカニズムが働くような戦略は面白いと思います。

2009年3月6日金曜日

ロゴだけのブランディングは成立するのか?

名前がないロゴだけのブランディングに大きな効果はあるのでしょうか?個人的には、あまりないと思っているのですが、どなたかこの分野に詳しい方がいらしたら教えてください。

通常、ブランドには、「音=ことば」とそれを象徴的に体現する「ロゴ=マーク」があると思います。たとえば、Macで有名な会社は、アップルという音ともに、りんご模様のロゴがあります。

ブランドというものが、一般的には、”A name, term, sign, symbol, or design that identifies and differentiates the products or services of one seller from those of other sellers”といった風に定義されるのだとすると、サインやシンボルだけを使ったブランディングというのはありということになります。

具体例-マーケティングのクラスでブランディングをあつかったときのケースは、ユニリバーのアイスクリーム事業。ユニリバーはブランドの買収に次ぐ買収を繰り返し、ヨーロッパではシェアトップのアイスクリーム事業をもっています。

しかし、課題はなんといっても、そのブランド数の多さ。なんとも、1,600もの大なり小なりのブランドを抱えてしまっている始末。ブランドの統合をするといっても、食料品のブランドはきわめてローカルに密着したものであって、そうヤスヤスとは変えられない。

一方で、こんなにもブランドを抱え込んでしまっては、たとえば広告ひとつとっても、規模の経済を効かせられないというデメリットがあります。有名なサッカーの試合でスポンサーするにしても、統一されたブランドがないので、広告の打ちようがない。

そこで、ユニリバーが考えたのは、ブランドの名前はそのままにするものの、ユニリーバ-のアイスクリーム事業ですよ、とシグナルを出すために、共通のロゴを商品につけることにしたにしたそうです。今でも、ハートマークのロゴがすべての商品についていて、このロゴを見ることによって、消費者がイイ認識をもってもらうというもの。

たとえば、これは学校の売店で売っているアイスリームですが、こんな風にしてマグナムというアイス名にそっとロゴがあしらわれているのが分かります。 (MAGNUMという商品名の上にハートマークがある)


別の例ではこういう感じ。ある雑貨店の前にかざってある看板で、これは別の商品ですが、また同じくユニリバーのアイスクリーム事業に属するので、このハートマークがあしらわれています。





今でコソ、授業で取り上げられたので、このロゴマークに気づきますが、それまで半年間住んできて、一切認知せず、です。また、広告宣伝などは、すべて商品名をベースにして行われているので、そのハートロゴの存在にそれほど気を止めないのが実情なのではないでしょうか。

そもそも、人間がブランドを認識するときは、仮にそれがロゴを頭の中にイメージしていたとしても、やはり言葉=音が必要なのではないでしょうか。われわれが知っている有名ブランドは、そのロゴを容易に想像できるのと同時に、そのロゴがもっている音もあわせて理解しているのが通常です。

これは、思考と言語が密接に関連している人間の脳の構造に起因していると思います。

一方で、先生の方は、私のこの見方にやや消極的で、「ほら、Nikeをみてごらん。彼らは、あのマークしかTシャツとかのせてないではないか」とは言うものの、やはり、あのマークをみた瞬間、われわれは「ナイキ」という言葉を想起する。

Nikeのあのマークは、音をもっているということになります。実際、Nikeは過去には、名前とロゴをあわせて宣伝していたときもあるようです。

そういったわけで、いまだにユニリバーのアイスクリーム事業が行っている“名無しのブランディング”は、一体どれほどの効果があるのだろうかと思っているわけです。ブランディングにおけるロゴやシンボルの意義というのは、面白い研究分野でしょうね。

2009年2月25日水曜日

Mr Drunk Minister 中川昭一にみる「組織行動論」

椅子から転げ落ちるかと思ったほど「驚愕」したのが、Mr drunk Ministerこと中川昭一氏。



小泉純一郎氏の最近のコメントではないが、「笑っちゃうよ」という感じでもあり、ここ海外にいると、もう恥ずかしいから「勘弁してよ」です。

それにしても、最近の政治家の議論のレベルの低さには、ほとほとうんざりさせられます。政治のニュースといえば、郵政分社化がよかったのかどうか、はたまた、かんぽの宿の譲渡先がどうのとか、直近の深刻の経済状況の対処からすれば、全くといいほど関係ないポリティクスに時間を使っていて、あきれるばかりと思っているのは私だけではないと思います。

そして、麻生首相がオバマ大統領と会談し、オバマ大統領に「内需拡大よろしく!」と頼まれれば、ポンと、30兆円のバラマキ政策が出てくる。そして、みんなその利権にたかってくるという始末で、本当に経済を活性化させる気があるのかどうか。

さて、話しは戻って、私がなぜThe Drunk Ministerに驚愕したのは、そのYoutubeでの衝撃的な映像もさることながら、なぜ明らかに泥酔しきった中川財務大臣がだれも会見を中止したり、代理人をたてることもなく、実施されてしまったのか、ということです。

想像してみてください。たとえば、隣に座っていた白川日銀総裁は、記者会見の前に、絶対、「この男、ちゃんとしゃべれるのか?」と思ったことでしょう。目が朦朧としていて、ろれつが回らない、そして、酒臭い。側近もそうした中川氏をもろに間近で見ているのにもかかわらず、誰も止めることができない。

少しスマートであれば、その酔っぱらい大臣の映像が全世界に放映されて、そのイメージダウンのインパクトの重さを容易に想像できるだろうに、それができなかった。

そのひとつの答えが、2003年2月1日のスペースシャトルコロンビア号の空中分解事故に見ることができるように思います。

チャレンジャーに続く、コロンビアの事故は、米国民にショックを与えた事故。事故までの経緯を組織行動学な見地から、分析しているのが、”The Wisdom of Crowds – Why the many are smarter than the few”の第九章。Organisational Behaviorのサイドリーディングです。ちなみに、日本では、なぜか、『「みんなの意見」は案外正しい』というオチャラけた題名になってしまっていますが、詳細なファクトに基づいたけっこうシリアスな本。

この章で語られているのは、少人数チームによる意志決定の危険性。ただ単に多くの意見を集めた方がいいよね、という短絡的な議論ではなく、少数人数がゆえの組織バイアスの働き方に言及しています。

コロンビア号の事故は、地球を脱出する際に、小さな破片がシャトルを傷つけていて、大気圏に再突入する際に、その傷口から熱が入り、最終的には爆発してしまうというもの。

地上部隊は、その破片による傷のリスクを詳細にシミュレーションしているものの、そのトピックをシャトルに乗っているManagement Mission Team(MMT)と交信する際、極めて奇異なやり取りをすることになってしまったのです。

地上部隊:もちろん、深刻なダメージがある可能性はあるが、温度分析によると、破片が貫通しているほどではない。もちろん、破片の大きさや、それがどこにぶつかったかなど不確実な要素があり、なんともいえないののだが

MITのリーダー:貫通していないということは、ひどいダメージはないということだね。

このやりとりがきっかけで、その後は、”この破片は深刻なダメージをもたらしていない”というムードのもと、最後まで会話が進む。

著者が指摘するのは、明らかにさまざまな前提の上でのはじめの地上部隊からの発言なのだが、MITリーダーが、「大丈夫なんだね」という言葉を発した瞬間、だれもそれに疑いの余地を挟むことはしなかったというもの。

これが、著者の言う、少人数グループの意志決定の弊害というわけです。少人数グループの議論の特徴がいくつか、述べられています。


-少人数グループは、意見の相違より一致を大事にする
-初期の影響力のあるグループメンバーの発言がきわめてグループの意志決定に影響を与える
-そうした意志決定後は、いくら新しい情報が入ってきたとしても、その結論をサポートする情報にしか目がいかなくなる

ここでの問題の構造が、今回の酔っぱらい会見をだれも制することなく、世界中に露呈した問題の構造と似ているのではないかと思うわけです。

おそらく、中川氏とその側近と何人かのグループで、移動しているわけですが、そこに少人数グループによる誤った意志決定メカニズムが働いたというのが一説となり得るのではないでしょうか。

2009年2月24日火曜日

ビジネススクールにもスタッフ人員削減の余波;スタンフォードGSB


長引く気配のある不景気。

”平成20年10~12月期の国内総生産(GDP)は年率換算で12・7%減少し、戦後2番目の落ち込みとなった”(産経ニュース)

この数字の大きさを疑わずには居られない人も多かったのではないでしょうか。10%以上も瞬時におっこってしまうとは、ただ事ではありません。まさに経済が凍り付いているとでもいいましょうか。

日本だけでなく、もちろん世界経済も大変なのも、みなさん周知の通り。

一方で、こうした不景気に強いと言われているのが、ビジネススクールですがそうともいえない現実が突きつけられているようです。なんと、かのStanford Graduate School of Businessのスタッフの12%にあたる50人ほどの人員削減が行われた模様。

スタンフォードのDean曰く、”This was the most painful decision I have had to make in my nearly 10 years as dean”

たしかに、ビジネススクールは、不景気と逆相関するかのように、入学希望者数は増える傾向にあります。LBSも願書出願者数が今年は顕著に伸びているようです。しかし、だからといって、定員を急に増やせるわけでもありません。設備の問題や、教授、クラスなどの受け入れ体制をすぐには整えられないでしょう。

だから、いくら願書出願者数が伸びたからといって、それが売上げ向上にはほとんどつながらない。

一方で、ビジネススクールにとって、最も大事な収入のひとつが寄付金ですが、これが景気の影響をもろに受けるという訳なのです。企業からの寄付金、卒業生からの寄付金でもって、多くの収入をまかなっている学校にとってこれは痛い!スタンフォードもこの寄付金の減少(とその運用成績の低下)が顕著で、人員削減に踏み切ったとメディアでは報道されています。

これは大変なことで、スタンフォードがこういう状況ですから、他はどうなってしまうのか。

London Business Schoolはどうか-いまのところ、そうした人員整理のニュースは聞こえてきません。この間の学生会のような場では、学長は、こう言っていました

”うちの学校はそもそも寄付金への依存率が低かったから、幸いにもその影響を、他のビジネススクールに比べると影響を受けていない”と。


実際、LBSは歴史が浅いこともあり、寄付金の額がそれほど大きくなく、往年fundingに苦労していたのですが、こうした危機のときには、"いまのところは"、妙な形で吉と出た、という感じでしょうか。

ビジネススクールも、企業と同じく不況に苦しんでいる実体が明らかになってきました。

2009年2月12日木曜日

Appleのかっこいいプレゼン


The Marketing & Entrepreneurship Clubs are delighted to welcome Pascal Cagni, General Manager & Vice-President, Apple Europe, Middle East, Africa & India to the campus.

今日のスピーカーは、Appleのヨーロッパ、中東、アフリカ、インドを統括しているPascal Cagni氏。
名前からも推察されるようにフランス人で、もともとはコンパックの営業を担当していて、ジョブスに声をかけられて、アップルに移ってきたのだそうです。

彼のメッセージは、いたってシンプルなもの。

Break the rule. Change the world. Think differently
みなと同じように考えていては絶対にダメ。ビジネススクールで教える10のことを紹介したのち、それらと全く真逆のことをアップルはやっているということを説明していく。

Streamline product line
アップルのプロダクトラインナップは超シンプル。たとえば、PC事業では、Laptop/Desktop、もしくは、Pro/Consumerの2軸で切った4つの商品ラインナップしかない。

Innovation & Design
R&Dドリブン、かつデザインをとても大事にすべきというメッセージ。

上記のメッセージは、すでにご存じの方も多いと思いますが、個人的に学びになったことは、プレゼンテーションの作り方です。

なんといってもプレゼンテーションマテリアルがとてもかっこいい。AppleのCMやウェブページのように、すっきりとしたシンプルなデザイン、それでいてクールなイメージを与えてくれる、だれもが好きになるプレゼン資料だったと思います。無駄な文字はすべてそぎ落とされ、象徴的なファクトと、動画や静止画、それからイラストを存分に活用されているスライドは、大変勉強になりました。かっこいい。

ストーリー展開もなかなかのもので、たとえばこんな感じです。出だしには、Appleは今は賞賛される企業のひとつですが、わずか10年前は、破綻寸前の企業でしたという話しがあり、ふとスクリーンに目をやると、DELLのCEOのマイケル・デルのコメントが投影されている。もし、あなたがアップルのCEOだったら、どうやってこの会社を建て直しますか?という質問に答えている。

“Shut it down and give the money back to its shareholders”
「私だったら、さっさと会社をたたんで、お金は株主に戻す」

そして、その次に、出てくるスライドには、以下の数字がポッと描き出されている。

アップルの現在の時価総額 $88B
デルの現在の時価総額 $18B

これだけのギャップを見せられると、もうプレゼンテーターはそれほどしゃべらなくても、このわずかなファクトがすべてを自動的に語って、強烈なインパクトともに、聴衆のマインドに刻まれるわけです。


さらにたたみかけるように、直近の四半期の業績も前年比に比較して伸びているという単純な数値をみせられる。数十%減が当たり前の今のご時世において、伸びているだけで、「おおおっ」となる。


劇的な再生劇の事実を示した上で、では、これはどうして可能になったか、その秘密を教えましょう、というこういう流れです。そうすることによって、その次に語る「秘密」の中身に対する聴衆の関心度がぐーんと高まっている状況を意図的につくりだすことに成功しています。

デザインが命の会社は、やはりプレゼンも右脳にビビッドに訴えかけることが得意のようです。


2009年2月8日日曜日

浅田真央は不調なのか?

4大陸選手権でSP6位、フリーで挽回して総合でかろうじて3位で表彰台に登ることができた浅田真央。少し前の、「滑れば1位」という状況ではないようで、確実に王者としてのキレがなくなってきています。これは、滑りを見れば、素人でも一発で分かります。ここで多くの人が思うことは、「ああ王者の地位をキープするのは大変だ、スランプ時期に入ってしまったのね」ではないでしょうか。

浅田真央は不調なのでしょうか?

妻は大のフィギュアスケートファンで、妻の話によると、彼女は「今は不調で当然」ということでした。なんで?と聞くと、こんな答えが返ってきました。

“真央ちゃんのジャンプだけど、今は苦手分野を克服しようとしていて、ジャンプするときのエッジの向きを内側から外側に変えているのよ。これは採点で減点されないように。今の採点ルールだと外側じゃないと減点されてしまうわけ。それから、真央ちゃんはサルコ(ジャンプの種類)なんだけど、今それに挑戦しているの。これはずっと今までやってこなかったから慣れてないジャンプね。”

“ジャンプ以外でも、どんどん高度な技を入れてきている。今まで真央ちゃんにとって、ジャンプ以外の時間は彼女にとって「お休み」の時間で、だいたいレベル1の技しか入れてなかったんだけど、今はレベル4の技をどんどん入れてきている。スパイラル(足をあげながら滑る技)とか、ステップシークエンスなんかは格段によくなってきている”

というわけでして、ジャンプもさることながら、ジャンプ以外についても、まさにすべての滑りの大改革を断行している最中ということがよく分かります。今までの成功体験を捨て去って、今までの滑りのパターンを捨て去って、より将来に成長できるように、滑りのリストラクチャリングをこの時期に着々を行っているのです。それも、一個ずつ直していくというより、一気呵成にすべてのパーツを同時並行的に直しているのもチャレンジングだと思います。

こうしたリスクのある取り組みは、オリンピックシーズンではできないから、その前のいまのこの時期にやっているという戦略と見て取れます。「不調」にも二種類あって、単に今までのやり方が通用しなくなっているから「不調」なのか、それとも、将来向けた変革をしているから一時的に「不調」になっているのか。この二つの違いはとても大きいように感じます。

さて、一方の現在の王者、韓国のヨナキムはどちらというと、妻の言葉を借りると、現在の滑りの完成度を上げる、すなわち滑りに磨きをかけているようです。改革を進めている浅田真央と、改善を積み上げているヨナキム。単純に二人を比べることはできないことがよく分かります。

この話しが面白いと思うのは、企業経営にも全くあてはまると思うからです。

単に、パフォーマンスの善し悪しだけを見ていてはダメ。黒字化した、赤字になってしまった、株価があがった、下がった、だけではダメ。そうしたパフォーマンスに影響を及ぼしている、その企業の持っているファンダメンタルの力と、将来に向けた種まきがどうなっているのかどうか、そこに対する考察をゆめゆめ忘れてはいけないことを再確認できます。

とくに今は、どの企業をみても真っ赤っか。でも、その中でも、ちゃんとした企業は今のこの時期を利用して、筋肉質な財務体質の作り込みをしたり、将来の芽を余ったリソースを使って仕込んだり、この株価が安いときに必要なリソースを買収したりと、ひっそりと取り組みを進めていることでしょう。同じ赤字企業でも、業績を不況のせいにするか、将来のための改革の時期とするかは、全くもって大きな分かれ道です。