グーグルはみなさん、ご存じの通り、新しいマネジメントスタイルをもった会社として有名です。その名も、Oblique Goal Settingというもの。Obliqueは、「遠回しの」といった意味合いで使われています。要は、利益向上といった極めてダイレクトな目標設定をするのではなく、社会貢献を第一義的な目標として設定することを指します。
じつは、最近のManagement領域での研究成果によると、こうしたOblique Goal Settingをする会社の方が、平均的にOutperformしていることが分かってきています。日本のことわざで言えば、「急がば回れ」というやつでしょうか。直接的に利益を訴求するより、遠回りなゴール設定をして方が、結果的に儲かるという、逆説的な現象が観察されているわけです。
Marketing Club主催のイベントで、Googleのマーケターがゲストスピーカーとして、話しをしにきたとき、彼の話しを聞いて、GoogleはOblique Goal Settingを徹底的に実践しているんだと実感したのです。
グーグルは、ミッションに沿った取り組みであれば、まず実践する。そして、それで、世界中の人々に気に入られたなら、その次にじゃあ、それをそうやってお金儲けに変えるかを考える変った手順を採用しているわけです。通常の会社であれば、初っぱなから、これは儲かるのかどうか、そこをまずビジネスプランとして要求されますが、グーグルは全くもって、違う次元の考え方に依拠してきていることが分かります。
グーグルのホームページによれば、グーグルのミッションとは:
Google's mission is to organize the world's information and make it universally accessible and useful.
すなわち、これに即したプロジェクトであれば、”Go”となる。サントリーの企業文化ではないですが、「まずはやってみなはれ」なわけです。
その産物として、出てきたのが、Google Earthや、Google StreetView(これもスゴイ!)などなど。ゲストスピーカーが少し紹介していたのが、次の素晴らしいサービスです。はい、今の時点で、全くお金になっていません。
Discover Ancient Rome in Google Earth
あたかも古代ローマにいるかのような旅ができるという。誰もが一度は夢あこがれた旅が、体験できる超スグレモノ。
Masterpieces of the Prado Museum in Google Earth
あのスペインはマドリッドにあるプラド美術館の絵画があり得ないくらいの高解像度でみられるというもの。これは衝撃的!
なんでこんなプロジェクトをやったかというと、あるグーグルの社員が、プラド美術館の絵画が大好きで、きっとみんなも楽しめると思ったから、以上!
まずは、顧客に受け入れられるサービスをLaunchして、そのあとにお金儲けについて考えるわけです。たとえば、Google Mapは当初は、全くお金につながらないサービスでしたが、最近は、地図の下部にさりげなく、広告を入れ始める実験をしているそうです。
現段階のGoogleは、徹底したOblique Goal Settingな手法を取り入れたマネジメントを実践しているといえます。しかし、物事は何事もバランス。組織行動的には、あまりOblique Goal Settingに傾斜するのも、これからのGoogleの成長を考えるとキケンという見方もできます。実際、最近は無料のサービスをキッていますしね。この点については、またいずれ触れます。
2009年6月7日日曜日
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