2009年4月20日月曜日

QC→TQC→シックスシグマ→次は?

トヨタの話しに続いてもうひとつ。製造業における日本独特のマネジメント概念はどう生まれてきたのでしょうか?

トヨタをはじめとして、日本の製造業を一躍有名にしたのが、いわゆるTQC (Total Quality Management)というもの。改善や、全員参加、プロセス志向など、独特の概念を産み出し、アメリカをアッと驚かせました。

しかし、よくよく見てみると、このTQCの起源は、じつはアメリカ。もともとは、シューハートの管理図やデミング博士に学ぶところから、日本的なTQCは発展を遂げてきたようです。

海外からその起源を輸入し、それを日本独自の方法論に昇華させるのは、日本のお家芸ですが、この製造業の分野でも、その力をいかんなく発揮しているのがよくわかります。

そして、歴史をさらに進めると、日本的発展を遂げたTQCの威力を目の当たりにしたアメリカは、徹底的に日本の製造業を研究することになります。

1980年代初頭のころです。たとえば、ボストンコンサルティンググループも、当時日本を研究し、かの有名な経験曲線などの経営コンセプトを産み出したといいますから。

また、1985年に米国政府が発表した、米国の競争力強化レポート-ヤングレポートも、日本に比べ米国の製造力低下に危機感を感じたことが背景になっているのは有名なハナシ。

そして、そんな中で1990年代にアメリカの製造業が編めだしたのが、シックスシグマといわれる経営手法です。日本のTQCが、3シグマをひとつの品質のクリアすべき基準として標榜していました。このシックスシグマは、それを倍越えるんだ!という日本への対抗意識剥きだしなのがよく分かります。

モトローラからはじまり、GEが経営手法としてさらに昇華させて、アメリカ、そして世界で一世風靡をしました。

そこから、90年代は、プロセスを抜本的に変革するというBusiness Process Reengineering(BPR)が一躍脚光を浴び、多くのコンサルティング会社も潤いました。

振り返ってみれば、アメリカから生まれた管理の概念が、日本でプロセス改善として発展し、再びアメリカによってそのプロセス改善を全社レベルで行う経営手法に昇華されたわけです。

こうみてくると、次は日本がさらにそのシックスシグマのイイトコロを引き継いで、もう一歩進化させなければいけない!ミッションを担っていたはずなのですが、それが起こらなかったのがなんとも残念なことだと私は思います。

何が起きたのかというと、私が観察するところ、ソノママ、アメリカのシックスシグマを日本の企業に持ち込んだというのがひとつ。ソノママ、経営手法を輸入して、うまくいったと聞いた試しはないので、なんだかんだいって、シックスシグマブームで、終わってしまった感があります。

もうひとつの反応は、「シックスシグマは要は日本のTQCのことでしょ?本質的には同じなんだから、学ぶべきところはないでしょう」というもの。とくにアカデミックの世界ではこうした受け止められ方をされていたように感じます。

要は、シックスシグマの成し遂げた進化を素直に受け止めて、さらにそれを進化させることができなかった日本。それが今の状況ではないでしょうか。

古くは中国のシステム、戦後はアメリカのシステムなどを、アプリケーションとして自在に日本に取り入れ、独特の発展をさせる日本的な強みが、最近はこの品質管理の分野をはじめ、少し影を潜めているのが気がかりです。

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