2009年4月30日木曜日

スタディグループのリーダーシップ・コンフリクト

スタディグループのリーダーシップ・コンフリクト

「うちらのスタディグループは、やっぱりタスクの割り振り方に問題があると思う。たとえば、このプロジェクトでは、オレは、疎外感を感じていて、チームに貢献しているという感じがしない。」

スタディグループのあるチームメンバーに端を発して、スタディグループ内の進め方に関しての「すれ違い」がボンと表面化しました。

学校側から、スタディグループの健康診断ともいうべき、フィードバックを受け取るのですが、我がスタディグループは、MBAプログラム開始時期に比べて、個人間の対立が向上していて、そして、満足レベルが下がっているという結果が出たのです。これは、メンバーが60問くらいの問診票を集計することで、スタディグループの健全度をみようとしているものです。

リーダーシップスタイル、というと大げさですが、ようは、チームの束ね方の違いが、ある種の個人的な感情の対立に、少し変容していたということです。

そもそもは、タスクの割り振り(コーディネーション)に問題があるのではないか、と示唆したのは、フィードバックをしてくれた組織行動の先生。じつは、私ははじめピンときてこなかったのが第一印象。

アサイメントには、それぞれチームメンバーからリーダーを割り当てるのですが、個人的には、そのリーダーが仕事の進め方をきめ、メンバーは、基本的にそのリーダーのやり方に従うというのが暗黙の了解かと思っていたら、そうではなかったところに今回の原因がありそうです。

たとえば、冒頭のプロジェクトの例。あるマーケティングのシミュレーションのアサイメントなのですが、リーダーは、頭脳明晰で、ある意味で、ひとりで全部できてしまうのですが、とはいえ、明快な主張をすれば、すぐに彼はそれを理解し、意志決定に反映させるタイプ。そして、明確な役割分担をしないで進めるタイプなので、積極的に参加しようとしない限り、メンバーが取り残される可能性もあり、ここに「疎外感」の生まれる余地があるわけです。6人中、3人が深くコミットしていたというのが実情。

また、私がリードしているとあるプロジェクトも、実質的に6人中3人で回しています。プロジェクト初期のみんなの関心度合いから、この3人をコアに進めてきていて、もはや暗黙の了解かと思っていたら、メンバーから、このプロジェクトがどう進行しているのかが分からないとの声。もちろん、プロジェクトのロジック、進行予定、議事録などは全メンバーとは共有していましたが、“3人をコアメンバーにする”という暗黙の了解がじつは、そうではなかったということが判明しました。

それぞれみな何らかしらの「チームの束ね方」のクセみたいなものをもっていて、当たり前に推し進めていることが、全く違ったバックグラウンドを持つ人にとっては、当たり前ではないという、これまた当たり前の事実なのですが、それを経験している次第。

全く異なるバックグラウンドのメンバーが、突如チームを形成するなんていうのは、これから21世紀のプロジェクト・仕事には、どんどん増えていくのは間違いなし。われわれコンサルティング・ファームのプロジェクトチームを編成する際も、外部のエクスパートと連携することが多くなってきていることからも、このトレンドの必然性と必要性をひしひしと感じています。

そんなときには一体、何をよりどころにしてチームを推し進めていくのか。リーダーとして、自分はこういう進め方をしていく、チームとしてはこういうことを期待する、という、普段は意識していないが、各人がもっている「チームの束ね方」「流儀」を顕在化させ、明示的にチームのプロトコルとして共有する必要性を感じます。 組織の文化や業界の慣習に頼らずに、この「チームはこうする」という掟を気持ちよく合意し、それにもとづいた運営をするという、全く新たなスキルが求められていることに気付かされるのです。

チームビルディングの初期にチームとしてのプロトコルを「明示的に」合意せよ、ということで、実際、チーム契約書もはるか8ヶ月前に結んでいるわけですが、なかなかうまくいかないところが、現実の難しいところです。

これがMBA的リーダーシップ教育の一端?なのかもしれない。

0 件のコメント: