前回のエントリーで、「変化を受け入れるのには時間が必要」ということを書きました。たとえば、全社に渡るような人員整理を行わざるを得ない場合、それこそ、どうやって、その変化を納得してもらうか、そこがまさに企業変革のキモ中のキモ。
私がコンサルティングで携わったケースで、非常に印象的だったのは、足もとの業績はそこそこよかったのだけど、将来を考えると今組織をスリムにせざるをえなかったケース。そのインパクトは、組織の人員を三分の四に1年以内にするというもので、その規模といい、スピードといい、かなりしんどかった。
そこでも、やはり次の理論は生きていました。その理論とは、変化を受け入れるには、次の4つのフェーズがあるという説。
1.ショック
2.保身
3.承認
4.適合と変化
今、思い起こしても、この4つをだれもが通っていったと思います。これらのフェーズを通貨するスピードに大小はあれ、誰もが通っていたと思います。
じつは、このプロジェクト、このテーマで半年以上続いたのですが、そのプランづくりは、わずか6週間で完了しているのです。かなり生々しいですが、どこのコスト構造からいくら減らし、どの部署から何人削減し、大きな方向性としてこう事業のやり方を変えるというところまで。
この手のプロジェクトの場合、語弊をあえて恐れずにいうと、正直、緻密に分析することはあまり意味がありません。分析をすれば、するほど、組織をスリム化することができない理由がどんどんとみつかり、結局何もできなくなってしまうのです。
たとえば、この人を異動させると、あの人にも異動してもらわなければいけなくなり、そうすると、この人員が足りなくなって・・・と途方もないジグソーパズルを作り上げる作業に陥り、にっちもさっちもいかなくなってしまうものです。
プロセスを効率化する場合もしかりで、緻密にプロセス分析をすればするほど、できない理由が集まってきて、「効率化できませんね」で終わってしまいます。そこそこいけそうなアイディアがでてきたら、「ガツン」と試してみる、につきます。
ここは、LBSのリチャード・ジョリー氏も言っているように、組織は、「チャイナ・ショップみたいにもろくはなく、ガーデニングみたいなものだ」のとおりで、少々大胆にやるくらいが丁度良い。というか、そういうメンタリティじゃないと、何もできなくなってしまう。
というわけで、話しはながくなりましたが、プランは6週間。残りの5ヶ月は何をやっていたのかというと、まさに、先の4つのフェーズへの対応でした。
1.ショック
2.保身
3.承認
4.適合と変化
やはり、1から3まで、どうしても3ヶ月はかかります。その過程で、さまざまな抵抗、政治的な駆け引き、純粋な吐露などに出会うわけですが、そこはやはりきちんとコンサルタントが受け止めて上げる必要があり、そこがコンサルティングの付加価値だったのだと振り返って思います。
当時の統括パートナーは、「僕らの仕事は、サンドバッグ」と皮肉っていましたが、言い得て妙なりで、まさにそのとおり。そう僕らは、サンドバッグ。その抵抗の矛先がある期間どうしても必要なのです。
だから、僕らは毎日、プランをひっさげて、いろいろと非難の声を浴びさせながら、朝は、A事業部長、午後はB事業部長、夕方はマーケティング部長とミーティングをしながら、とにかく話しを聞き回っていました。
ある時期からまさに潮の目が「ガラッと」変わったかのように、ウソのように、その改革はテイクオフしていったのです。そう、臨界点を越えたのでしょうね。そして、この企業の場合、もちろん問題は少し残しながらも、売上を犠牲にすることなく、見事にこの大胆なプランをやり抜いたんですよね。
教訓:
抵抗へのケアが改革の原動力
2009年9月9日水曜日
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