2009年11月29日日曜日

経営者が考えるべきビジネスモデルの次に大事なこと

WHAT IS YOUR MANAGEMENT MODEL?
This could be your second important question you ever ask about your business. Here’s how you answer it.
Julian Birkinshaw and Jules Goddard
(クリックをすればダウンロードできます)



MIT Sloan Management Reviewに掲載された論文で、実に示唆に富む内容です。



経営者の悩みはつきません。その最たる悩みは、ビジネスモデル。だれに、何を、どのように提供し、どのように対価を回収するのか。



最近は、その悩みに加えて、そのビジネスモデル実現に向けて、どう目標を設定し、どう実行するのか、すなわち経営のやり方、すなわちマネジメントモデルも選択する必要が出てきていることをこの論文は指摘しています。



たとえば、ゴールドマン・サックスのマネジメントモデルと、Googleのマネジメントモデルは明らかに違います。オーストラリアで仕事の合間に波にのるGoogleの社員と、シティで夜中まで働くバンカー。



もちろん、ビジネスモデルは全く違いますが、それに加えて、経営のやり方=マネジメントモデルも違うことは、直観的に分かるかと思います。



では、一体、何が違うのでしょうか?マネジメントモデルが違うとはどういうことなのでしょうか?この論文は、みなが何となく認識している事実を、明示化したことにその価値があると思います。マネジメントモデルというと、堅苦しいですが、その内容は次の4つの視点です。



1.どのようにゴール設定をするのか?

 明確なゴール設定 or 遠回りなゴール設定

2.どのように動機付けを行うのか?

 お金 or やりがい

3.どのように活動をコーディネートするのか?

 官僚 or 自然発生

4.どのように意志決定を行うのか?

 ヒエラルキー or 集合知



たとえば、どのようにゴール設定をするのか?については、こちらを。ストレートにゴール設定をするのか?遠回りなゴール設定をするのか?その選択をする必要があるというわけです。



活動のコーディネーションについては、たとえば、コンサルティングファームのプロジェクトごとのコンサルタントのチーム編成では、官僚的というのは、会社側でチームを決めていくというやり方。もう一方のやり方として、会社がフリーランスのコンサルタントを抱えていて、クライアントがチームメンバーを選ぶというぶっとんだ事例が紹介されています。そう、会社がコンサルタントをアサインするというプロセスがいらないわけです。



このように、この4つの要素、それぞれに関して、大きく二つの方向性があり、経営者は最適な「方法」を選択する必要がある、というわけです。著者ら曰く、このマネジメントモデルは、経営者の間ではあまり議論されることがなく、過去の継続であったり、経営者のやり方・好みで決まっていることが多いとのこと。



今一度、このマネジメントモデルを見直すことを薦めています。さらには、このマネジメントモデルこそが、競争優位の源泉になることを指摘しています。



企業が勝ち残るためには、何らかの意味において、すごいところ=競争優位が必要です。それは、昔は、商品がすごいということからはじまり、ビジネスモデルがすごい、社員がすごいなどいろいろな「すごい」がありました。これからは、この「マネジメントモデルがすごい」というのも、ひとつの戦い方になるだろうということが書かれています。



マネジメントモデルの4つのポイントを簡潔に説明してあると同時に、それらをサポートする極端な事例も多く散りばめられ、思考が刺激されるおすすめの小論文です。来年にはこの本も出るらしく、そのPreview的な価値もありそうです。

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