2009年11月30日月曜日

「信頼力」とはリスクをとること

元ボストンコンサルティングファームで、今はドリームインキュベータを率いる堀紘一氏は、「今の若者は信じる力は弱い」と言い切ります。すなわち、最近の傾向として、信頼する、そういった力が弱まってきているというのです。

ビジネスにおいては、信頼=TRUSTが大事。そう言われます。でも、一体信頼するとはどういうことなのでしょうか?また、信頼がなぜ、ビジネスにおいて(いや、もちろんそれ以外でも)大事なのでしょうか?

じつは、Madan M. Pillutla教授の論文の中で、”Trust Involves Risk”というフレーズが出てくるとおり、信頼するとは、リスクをとることに他なりません。信頼するとは、相手が返報しないリスクを認識しつつも、何かを与えることといえます。

たとえば、何らか重要な情報を相手に与える際、もしかしたらその情報は漏洩するかもしれない、その情報を本来の目的に使ってくれないかも知れない、そんなリスクを抱えつつも、相手を信頼するときは、その情報を渡すわけです。

仕事を部下に任せるときも同じです。その仕事を任せたとしても、期待したとおりにできあがってこないかもしれない。でも、その部下を信頼するから、そのリスクを抱えつつも、仕事を任せるわけです。

で、なぜこの信頼することが大事かというと、信頼された相手も、その信頼の重さを感じ取って、信頼してくれた人に何かを返そう、そう思うのです。そこからいわゆる、信頼関係がはじまり、物事が進んでいくわけです。

でも、この初めのリスクをとることができなければ、何も始まらない。

冒頭の質問に戻って、なぜ信頼力とでも呼ぶべき力が落ちてきているのか?それは、昨今のリスクをとりたがらない若者の嗜好が原因で、信頼するという行為の中にあるリスクをとることを避けているからではないか、そんな風に読み解くことができます。

"Trust Involves Risk”

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