2009年11月20日金曜日

MBA経済テキストのオススメ

日々経済時事ニュースに接している人なら、やはり経済理論を知っているにこしたことはありません。やはりビジネスをするにしても、経済については知っておくべし!ということで、MBAのカリキュラムには大抵、経済科目が織り込まれています。

LBSでは、必修科目として、ミクロ経済(Managerial Economics)、マクロ経済(Understanding the International Macroeconomy)の2科目、選択科目では、世界経済(World Economy)、新興経済(Emerging Market)などなどがあり、MBA科目群の中でも一角をなしているほど重要視されている感があります。

LBSで経済系の科目でよく引用される定番テキストが、コレ。けっこうオススメです。



MBA授業の分厚く、そして厳かで教科書を買って、初めの数ページを読んでアカデミック気分満載になるのですが、授業で配られる教材や読み物でほとんど事足りて、せっかく買った高額なテキストは、読まずにオシマイ、なんていうこともめずらしくありません。でも、この教科書はそうはならず、けっこう役に立ちそう。何がいいのか?

このテキストの序文から少し、引用してみます。

We wrote the first edition of this textbook in the firm belief that there was scope for a different approach to teaching students macroeconomics.
筆者らは、マクロ経済を教える、今までとは全く異なるアプローチがあるという信念のもと、初版のテキストを書きました。

なるほど、今までとは全く違うアプローチだそうだ。じつは、これ、マクロ経済の定番、そして多くの版を重ねているマンキューの経済本のことを暗にさして、それとは全く違うアプローチを展開したいとも読み取れるのです。



というのも、さらに序文を読み進めていくと:

A focus on making the reader a “sophiscated” consumer of economics. We do so by stressing the logic and intuition of economics rather than resorting immediately to technical model building and curve shifting

A global outlook using historical and contemporary data from around the world

Introducing substantive real-world issues first to motivate students an then introducing concepts and frameworks to explain them. Rather than illustrate models with insert boxes, we integrate the facts and the analysis.

つまりは、需給曲線がシフトするだとか、ハコが連なったポンチ絵を使った説明よりは、実際の経済問題をガンガン扱い、図表やデータをふんだんにつかっていますよ。経済理論を振りかざすのではなく、まずは直観やロジックを大事にしますよ、という感じでしょうか。

たしかに、この経済のテキストは、データと図表が大量にのっていて、そこがマンキューに代表される今までのマクロ本とは違うといえそうです。

従来のテキストはどちらかというと、需要曲線と供給曲線のポンチ絵が書いてあって、その線がシフトするといった感じの解説が繰り返しされていて、たしかに理論はめちゃくちゃ分かりやすくいのですが、いつの間にか浮世離れしてしまっていることも少なくありません。

ただし、この本2003年に発刊のため、売り文句のデータが古いのが玉にキズ。とはいえ、図表とデータをふんだんに活用して、ガチガチの経済理論を最小限にとどめたこの教科書は労作だと思います。金融危機を経て、経済や金融への関心が高まっている今、求められている本かもしれません。

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