2008年11月21日金曜日

不況の幕開けにどう対応する!?

まさに本格的な不況の幕開けとなりました。

The Bank of England says that the UK has entered a recession which will continue into 2009, and suggests it may cut rates further.(BBC)

金融危機の煽りをうけて、今度は、企業側が、きわめてパニック的な施策に走っています。中期的な視点を置き去りにして、経営上動かしやすい施策に走っているのに危機感を感じます。すなわち、コスト削減、その中でも人削減、もうひとつは価格の切り下げです。

最近ニュースの常套句ともなってきているのが、人員削減のニュース。その削減数を競うかのように、次々と飛び込んでくるこの手のニュース。ここ数日のBBCニュースのトピックから拾ってみます。

Sun Micro to cut up to 6,000 jobs
RBS to cut 3,000 jobs worldwide
Virgin Media plans 2,200 job cuts
Mobile phone group Vodafone announces £1bn of cost cuts
Peugeot Citroen cuts 2,700 jobs
Rolls-Royce plans 2,000 job cuts
Wolseley to shed 2,300 more jobs
JPMorgan cuts first of an expected 3,000 jobs
AstraZeneca plans 1,400 job cuts
Citigroup job cull to hit 75,000
......

とにかく、この手の何らか業績向上が見える打ち手を発表しないと、株価がもたないのでしょう。経営的な打ち手として、人削減は、善し悪しは別として、もっとも簡単にコストを落とすことができますから。

こんなニュースを連日聞いていれば、消費者意欲はあっという間になくなってしまうもの。そのために、イギリスのリテール各社は、こぞって値下げに走りまくっています。ディスカウントの連発です。たとえば、UKのスーパーで、イギリスに住んでいるヒトなら誰でも知っているマークス・アンド・スペンサーは、昨日は、全品20%引きのセールをしました。その他にも、Dorothy Perkins, Burtons, Debenhams, Selfridges や John Lewisといった小売りセクターは軒並みディスカウントをして、顧客減をなんとか食い止めようとしています。まさにカンフル剤を打って、売り上げを確保しようというわけです。

一方、その発信源になっている「金融」危機は落ち着いてきたとの見方もありますが、しかし、まだまだ火タネは残っています。US最大の銀行シティや、UKでもっとも信頼できると言われているHSBCの雲行きが怪しくなってきていることや、AIG以外の保険会社の問題が表面化してきていないのも、何か不自然です。それに、竹中さんが指摘していたように、実際の損失額は、想定より多く、追加の公的資金が必要になる可能性がきわめて高いでしょう。さらに、不良債権の処理に追われていれば、新規の貸し出しは確実に減るわけで、結果として企業側にも大いに影響されてしまいます。

構造的な長期な不況が続く、そういう前提で企業の戦略を組み立てる必要性がいまほど、求められているときはないのではないでしょうか。そして、こうした戦略を立案するにあたって、日本の不況を通して成長した企業から学ぶものが大いにあると思っています。

たとえば、吉野屋。顧客の回転率と、オペレーションの効率性を吉野屋ほど追求したファースト・フードは、ここロンドンでは見たことがありません。この手の、高回転、超低価格型のレストランは、大きなビジネスチャンスがあると思います。また同じような発想として、日本で大ブレイクしたのが、回転寿司です。こちらロンドンでも、Yo Sushiなど、回転寿司はあることにはありますが、どちらかというと、寿司が回転する、ちょっと変った、面白いレストランというポジショニングで、値段も高めなのです。日本における回転寿司のビジネスモデルのポイントは、その劇的な効率性です。通常、30%と言われる食材原価に、50%もかけていることからも、その他の販売管理費などの少なさが想像できるでしょう。ビジネス・プランでも書こうかな。

もうひとつは、やはりユニクロに代表されるような「ベーシック×高品質×低価格」、というポジショニングをとることでしょう。不況に入ってしまうと、どうしても消費者の気持ちはふさぎ込みがち。おしゃれをしようとか、派手になろうとか、そういう気持ちは起きてこないものです。日本でも、1990年後半そんな状況下で、ユニクロは、大躍進をとげたわけです。派手にはしないけど、高品質なモノにはならされているけど、お金がない、もう派手にはしなくてもいい、そんな消費者が急速に増えて、ユニクロの提供価値がそこにぴたっとはまったわけです。そういった意味で、「ベーシック×高品質×低価格」なポジショニングをするような企業はいいのではないでしょうか。

先日、アクセンチュアのパートナーの話しを聞く機会があったのですが、彼女も、いまは消費者は、ありとあらゆるもので、"trading down"している、すなわち、格を落としてモノを消費しているといいます。実際、スターバックスは急激に業績をおとして、マックは業績好調ことからも分かるように、明確な消費のシフトが起きているわけです。

小手先の経営施策で、一時しのぎの利益確保に走るよりは、日本の事例を参考にしながら、ビジネスモデルやポジショニングを見直す絶好のチャンスでもあるように思います。そして、上記のようなビジネスモデルやポジショニングは、仮に景気が回復したとしても、ダメになることはありません。不況でも好況でも、ツヨイのです。

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