ビジネススクールは、景気が悪くなると、うれしいことに、出願者数が増加します。一方で、LBSを含め、他の企業と同じように、多くのビジネススクールの台所事情は厳しいものがあります。この矛盾は一体どういうことなのでしょうか?
さて、少し質問を変えて、LBSの売上はいくらでしょうか?なにで稼いでいるのでしょうか?
LBSは学校とはいえ、企業と同じように、収入があり、支出があり、最終的に利益もしくは損失を出すことには変わりありません。
答え:LBSの2009年の売上は、ざっと145億円です。
ちなみに、東大が約2,000億円、日本大学が1900億円、慶應大学が1300億円というわけで、それほど大きくないというか、LBSは規模としては、こじんまりしているといえますね。
さて、この145億円のうち、授業料はどれくらい占めますか?
答え:75%。
かなり大部分を授業料に依存していることが分かりますね。国からの助成金が8%、寄付が6%、研究助成金が4%、施設貸し出し3%、投資収入1%という具合。まず、なんといっても寄付額の向上が課題です。
さて、この売上の大部分を占める授業料ですが、LBSの看板プログラムであるMBAはこの授業料のどれくらいを占めますか?
これが、前知識なく、分かった方は、かなりセンスがいいと思います。というのも、この答えに、ビジネススクールのビジネスモデルの本質が隠されているからです。
答え:21%
そう、MBAプログラムは、授業料のわずか五分の一しか占めていない。どういうことでしょうか?ビジネススクールといえば、MBAなはずで、その授業料がこれだけ?
じつは、パートタイムMBAがあり、それをExecutive MBAというのですが、これがさらに21%占めます。でもまだ合わせて4割程度。
もっとも売上構成比率が大きいのは、Executive Educationといわれる、学位ではないビジネス教育の売上。これがなんと43%も占めます。それは、1週間程度のコースであったり、もしくは企業向けにカスタマイズされたものであったりします。で、このExecutive Educationは単価が最も高い。
もうおわかりかと思いますが、MBAはあくまでも旗艦プログラムで、その評判でもって、Executive Educationを受注するというモデルなんですね。
昨今の経済状況の厳しさは、このExecutive Educationをモロに直撃しますので、ビジネススクールとしては、つらいわけです。これが、学位のプログラムへの出願者数の数はうなぎ登りなのに、台所事情は厳しい理由です。
ビジネスには、ツボのようなものがあって、ビジネススクールの場合、それはMBAプログラムにあたり、この評判次第で、その他のプログラムの売上が響いてくるわけです。何がツボになるのか、それを見極めるのがとても大切ですね。
(上記の財務情報は、LBSウェブサイトのAnnual Review 2008-2009からみることができます)
2010年1月31日日曜日
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