2009年12月21日月曜日

巨大岩の上にある街はロンダ

標高800メートルに位置するロンダは、なんと、岩だらけ。何人かの方々からロンダを薦めてもらったので、やってきました、この町に。スペインのマラガからバスで1時間45分ほどかけて、地中海沿岸から山へ登っていく。バスの車窓から、のどかな田園風景やなだらかな斜面と段々畑、また時折通り過ぎる白い屋根が連なる小さな街を楽しんでいると、ロンダにつく。この辺りのバスは、どれもすこぶる快適。シートの余裕もたっぷりあるし、バスの車体も新しいのがいい。スペインらしからぬ、時間の正確性も旅行者には強い味方です。



さて、このロンダの最大の見せ場は、この標高差100メートルあるヌエバ橋からの絶景。このような見せ場スポットは、まず日本ではあり得ない。危険すぎるのです!



そして、その深くV字に切り出された谷をのぞき込むと、おお、久々に味わうこの恐怖の感覚。もうかれこれ10年以上前には、山岳部時代に日本アルプスを縦走したいた頃の感覚が瞬時によみがえって来ました。



ヌエバ橋から望む、岸壁にはせり出すようにホテルやレストランが建ち並びます。日本のように地震が多い国でしたら、まず建築基準法にひっかかって、こんなのは無理で、観光スポットにならないでしょうね。



これは橋の反対側からの景観。いやー、人間、どんなところにでも住めるものですね。巨大岩の上にあるロンダは、コルトバと打って変わって、力強さたっぷりの街となりました。そして、やはりこれくらいのインパクト!がないと観光スポットにはなり得ないというのもひとつの教訓です。
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アイスランド人が語るアイスランド経済

今日は、アイスランドについて考えさせられた1日となりました。というのも、アイスランドの旦那さんとフランス人のカップルが3人の子ども!を連れて我が家に遊びにきてくれたからです。ロンドンとは国際都市といったものですが、本当に様々な国籍の人がいる。奥さんはフレンチですが、モーリシャス島のとなりにあるレユニオンの出身。じつに優しい方です。



私にとって、こうしたゲストと話すのが一番の世界経済の勉強になっています。その国の人話しをすることによって、日頃の乾いたニュースに彩りが添えられのです。彼らが本当はどう思っているのか、そんな素顔を垣間見ることで、経済の実態が少し見えてくるように思います。



日本人にとっても、2008年の金融危機では記憶に新しいアイスランド。アイスランドは、わずか30万人の人口で、国土は北海道と四国を足したくらいの実に小さな国。しかし、侮ってはいけない。金融危機以前は、一人当りGDPが8万ドルを超し、日本の実に2倍!世界でもトップ5に入る強さを誇っていたのでした。EUには加盟せず、独自の通貨クローナをもっていましたが、金融危機で一気にやられ、3つの銀行は全て崩壊、国の公的管理下に置かれました。



そもそも、なぜ一人当りGDPが高かったのか?

アイスランドの産業は、漁業と金融が主だとのこと。そして、漁業は相当に儲かっているのだそうです。金融に関しては、アイスランドの銀行はUKにもどんどん進出し、金利を高めに設定して、お金を集めまくっていたそうです。そのお金をどんどんまた融資していく。



そして、とにかく浮かれていた!

景気がいいときには、それでいいのですが、アイスランド人曰く、「それが長続きするわけがなかった」とのこと。なにしろ、貸し出しが相当ずさんになっていた模様。アイスランドは狭い国土、そして、みんな知り合い。だから、きちんとした審査もろくにせずにどんどん集まったお金を使って融資、投資しまくっていたらしいのです。



この世の春を謳歌していた頃は、アイスランド人はみんないい思いをしていたとのこと。会社の経費を使って、色々と楽しいことをやれたのだそうだ。まあ、バブル期の日本と似たようなものなのでしょうね。


EU加盟に一気に動いている!

危機をへて、今は一気にEU加盟に動いているそうだ。歴史的に、アイスランドはいつもEUとロシアの間にいて、どっちつかずの態度をとって、両者をもてあそんでいたそうだ。今回の金融危機の際も、ヨーロッパ勢ではなく、ロシアが4000億ほど融資するというニュースを覚えている方もいると思います。ヨーロッパが助けてくれるのなら、ロシアがいるもんね、という感覚。ところが、結局、ロシアは救済策を言い出したものの、結局お金を出してくれなかった!んだそうです。そうだったんだ。



でもって、やはり頼れるのはEUということで、一気に加盟申請に傾き、すでに加盟申請手続き中という変わり身の早さには脱帽です。それだけ、ショックが大きかったということでしょう。そうとなると、話しは早い。アイスランド人曰く、「すでに多くの経済活動がEUに組み込まれている」そうで、もともとヨーロッパに根を根ざしているということを主張していました。



でも様々な障壁が立ちはだかる

とはいえ、やはりEUへの反対も根強いようです。とくに、北欧諸国から独立した経緯があるアイスランドにとって「その独立心!を失うのか!」的なノリがあるらしく、ここを克服しなければいけないらしいのです。もうひとつ、彼が言っていたのは、漁業権がどのような影響を受けるか不透明なので、この点について多くの国民が疑心暗鬼になっているとのこと。



彼自身は、フランスに4年、イギリスに8年住み、海外生活が長く、もうアイスランドに戻る予定はないようです。アイスランドは今後、どうなるでしょうか。やはり30万の小国が単体で、この不安定な金融の世界を生き延びるのは不可能と証明されてしまった以上、EUには加盟すべきでしょう。でもアイスランド政府も気付いているように、早く動かないと、喉元通ればなんとかというように、危機の痛みを忘れてしまうと、独立熱がメジャーになりかねないと思います。

2009年12月19日土曜日

スペインとは“食”で繋がる!

スペインといえば、何を思い浮かべるでしょうか?

日本からスペインへはじつは直行便が飛んでいません。ロンドンやオランダなどのヨーロッパのの都市で一度乗り換えてこなければいけません。文化的、経済的にもにもラテンで南米と親密ですので、そういった点からも日本とつながりがうすい。

ところが、地理的な環境を見ると、意外と似ていることに気付かされます。まず、緯度がだいたい同じ。山がある。海に囲まれている。だからなのかどうか分かりませんが、日本食との共通点があり、だからこそ、私たち日本人はスペイン料理がウマイ!と思うのではないかと勝手に推測しています。

いやいや、スペイン料理は本当においしいのですよ。



ハムとチーズの盛り合わせ。スペインの生ハム、ハモン・セラーノは、口に入れると、塩味が絶妙でとろけそう。このあたりはどこかとろや和牛の感覚と近いのかもしれない。



これは、タパスの基本形とでもいいましょうか、ホタルイカの天ぷら。スペイン人の友人曰く、これは絶対食べろ、とのこと。

オリーブオイルで揚げてあるので、香りがとてもいい。レモンを搾って、熱々のまま口に頬張る。外はかりっとしているけど、ひとたびかむと、中はジューシー。アツアツと言いながら食するのが美味です。

そもそも、天ぷらのルーツは、このオリーブオイル揚げがルーツだとか。日本人の味覚に合うわけですよね。




そして、おなじみのパエリア。ライスに魚介ベースでの味付けですから日本人好みにきまっています。子どもは正直なもので、パエリア大好きと化し、顧客満足を通り越して、歓喜のダンスを始める始末。そう、顧客歓喜はこういうことですね。



そして、数々のタパス。食べきれません。調子にのって、オーダーしすぎました。



もちろん、イベリコ豚もおいしくいただけます。野菜ときのことともにいただくこのイベリコ豚も、ポーク料理が大好きな日本人の味覚によく合うこと。

やはり、人間、食べ物が豊かだと幸せになれるのだと実感させてくれるのがスペイン料理。

私たちがスペイン料理が好きなように、じつはスペイン人も日本料理好き。私のスタディ・グループメンバーだったスペイン人も毎日のように寿司を買って食べていると言っていたっけ。

先日は、スペイン人ファミリーと料理を教えあう会をやったほど。我が家で食事するときは、日本料理を教え、こちらから向こうにお邪魔するときは、スペイン料理を教わるというもの。料理をつまに話しも盛り上がり、このやり方はなかなかいいことを発見。

そう、スペインとは“食”でつながります!

ビジネススクールMBAも提携・連携の時代

 
産経ニュースによると、神戸大・慶応大・京都大がMBA教育で提携するとのこと。

神戸大と慶応大、京都大の3校は18日、MBA(経営学修士)教育で包括的な連携を行うと発表した。来年1月18日に基本合意書を締結する。私立と国立の専門職大学院が広域で提携するのは初めて。

現在、3校のMBA教育方法はそれぞれ異なるが、各校の強みを学び合うことで従来の欧米型ではない日本独自のMBAプログラムを開発するのが目的。来秋にも“出前授業”や単位互換を行う方針という。


日本のビジネススクールでもMBAプログラムで提携が始まってきました。その目的はまだこのニュースだけではクリアではないところもありますが、欧米のビジネススクールではここ最近、提携はかなり多く見ることができます。

たとえば、ロンドンビジネススクールは、その「国際性」というウリをより強固にするために、かなり広範に世界中のビジネススクールと提携をしています。その形態はいくつかの形があるようです。

1.交換留学
ロンドンビジネススクールの場合、MBAの学生のじつに35%(120人くらい)もが、30の他のビジネススクールに交換留学に出かけていきます。ですから、2年目にもなると、最近見ないなぁという学生が大量に続出するわけになるわけです(笑)。スペイン、中国、アフリカ、香港、オーストラリア、アメリカなど世界中のビジネススクールに出かけていくことができます。その枠は相当数あるため、希望をすれば大抵第二希望内にはどこかへ行けるようです。逆に、LBSに世界中のビジネススクールから交換留学にくるため、交換留学生ということで一クラスの絆ができあがっているようです。

2.ジョイントディグリー
LBSに現在あるのは、コロンビアビジネススクールと香港のHKUビジネススクールとの2校。それぞれの学校とジョイントでMBAを出すようです。また、コロンビアビジネススクールのあるニューヨーク、HKUのある香港、そしてLBSのあるLBSの3地点で学ぶという選択も可能だとか。いずれにしても、地理的な多様なニーズをとらえるために、他のビジネススクールと提携しています。中東エリアは提携はせず、独自にキャンパスを構えて、Dubai London MBA Programmeがあります。

3.カリキュラム共同開発
たとえば、最近何かと話題のCSRやEthicsに関しては、LBS、Oxford、Cambridgeで授業で使用するケースや教材を共同開発をしています。これは企業に置き換えて考えてみると、R&D、商品開発はジョイントで行うのと似ていますね。

企業の世界でも、全ての企業活動を独自に行う必要がなくなっていったとのとまったく同じ現象が、ビジネススクールでも起きていると見ることができると思います。

2009年12月18日金曜日

「組織が主語になる言葉」

これは、いつも読ませていただいている“Nakahara-lab.net 中原研究室 大人の学びを科学する”のブログ・タイトル。冒頭こういう出だしです。
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/12/post_1621.html


“先日、Learning barで金井壽宏先生がおっしゃっていた言葉で、非常に印象的なものがあった。  それは、 「組織が主語になる言葉は、怪しい」  ということである。”

そう、まさにこれは多くの企業の方々と接していて思うこと。企業もしくは職場の健全度というのは、そこで会話されているコトバでもって、ある程度判断できます。

今、財政的な危機に陥ったある教育機関のコンサルティングを学業の傍らで行っているのですが、まさに「組織が主語になっていたこと」が大きな根本原因だったのです。その教育機関のキーパーソンを集めて、ワークショップを開催したとき、冒頭で議論が膠着して、進まない。議論が進まない。自分たち探しをし始めたのです。

"そもそも私たちのミッションは何なの?ミッションをきちんと定義しないと、だめよ"
"チャリティ組織とは、こうこうしかじか、あるべき"
"今のこの組織は、そうなっていないから問題なのよ"
"この組織はチャリティ組織なのだから、利益を考えてはいけない"
"でも、今はお金がないのだから、利益を出さないといけない"
"創業者との関係をきちんと決めない限り、前に進めない"


この手の議論が始まると、絶対にといっていいほど、議論は収斂しません。なぜか?それは、どの議論の断片もそれなりに一理があるからです。みな、それぞれのバックグラウンドから合理的に正しいと思うコトを主張していくわけですから。

このような場合、全ての関係者が納得し、議論を導いてくれるガイドが必要です。では、どのようなガイドが必要でしょうか?

今回のケースでは、議論がきわめて内側に志向してしまっているので、それを外部から客観的に評価する必要があります。私がこのとき話したのは、「顧客」この一点のみです。

"みんなは、この組織のことばかり話しているけれど、生徒はどう思っているんでしょう?"

"400人の生徒のうち、100人がこの1年間で去ったのは、本当に金銭的な理由だけでしょうか?彼らは、何を思い、何を感じているのか、何に不満をもっているのか、そして彼らがこの組織に何を期待しているのか、みなさん答えられるでしょうか?"

"私たちは、まず、生徒さんの悩みに思いを馳せ、それをくみ取り、そしてその次に、この組織が彼らに何をサーブできるのかを考える必要があるのではないでしょうか。ですから、ミッションやチャリティや各種の施策はおいておいて、生徒のニーズ、思い、悩みから議論しませんか。"


だれもが顧客が大切だと思っています。しかし、議論の渦中に入ってしまうと、それが見えなくなる。そして、いつの間にか組織が主語になっていく。そのときに、この顧客の視点を一気に導入すると、いつだってきわめてパワフル。具体的な顧客の悩みと切り出すと、そこには誰もが逆らえない崇高感があるのです。組織が主語になっている場合は、顧客視点をガツンと議論の中に投げ込んであげると効果的です。ここさえきちんと押さえられれば、いわゆる通常のマーケティングのプロセスにのせてあげることができるからです。

2009年12月17日木曜日

イスラムが色濃く残る街、コルドバ

日本人には、宗教という概念があまりない-少なくとも私自身は普段はあまり意識しないで生活しています。じつは、文化も然り。日本人は、独特の宗教観をじつのところ、持っていると思うし、外から見るときわめて独特な文化も持ち合わせています。ところが、それを顕在的に実感としてもたないのは、奪われたことがないからではないか、そんな風に思います。奪われてはじめて気付くものがある。


スペインの南、コルドバは、文化の色が長い歴史の中で何度も塗り替えられ、その結果として独特な雰囲気を醸成しています。(コルドバの街並み)



8世紀まではキリスト教であったコルドバも、オスマン・トルコによる侵略でイスラム教に。その後、イスラムは大繁栄。その際のイスラムらしい建造物は街のいたるところで見ることができます。(メッシータで見ることのできるアーチ)



その後15世紀には、再びキリスト教徒の手にコルドバの地は明け渡されます。イスラムの建物を利用して造られたカテドラルがこれ。さらに、この建造に数百年を要していることから、その建築スタイルも変わっていく。まさに建築の変化と宗教の変化の両方が相まって、複雑性の高い建物に仕上がっています。(カテドラル)


さらには、ユダヤ人街もコルドバには残されています。ここは毎年5月には、花の祭典を行うようで、細く曲がりくねった通路が人と花で一杯になるそう。そんな時期に訪れるのもいいかもしれませんね。
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スペイン~城を改装した豪華ホテル

パラドールをご存じでしょうか?

パラドールとは、スペインにある国営のホテルチェーン。なんとその数はいまや、92。国営といって、侮ってはいけない。これらのホテルは、昔の城、宮殿、修道院を改装してホテルにしていることも多く、スペインの歴史や文化を堪能するにはうってつけ。

"観光の中心地ヨーロッパ、そしてその中の歴史と文化の宝庫スペインには素晴らしいホテルがたくさんありますが、スペイン独自に開発され国営のホテルとして世界中の脚光を浴びているのがパラドールなのです。"

"ベガ・インクラン伯爵が(現国王の祖父にあたる)アルフォンソ13世に提唱して自分の所有するグレードスの狩猟の為の山荘改装し1928年にパラドールとして公開したのが第一号です。その後、貴族制度の崩壊と共に荒れ果てていた昔からの歴史的建造物である古城や宮殿、修道院といった文化財を国家で買い受けあるいは借り受けて修復を施しホテルとして見事に蘇らせることに成功したのです。"

"文化財の保存の費用を生み出し、宿泊客からは一級の設備の整ったホテルでありながら、実在の歴史上の人物がかかわった城や宮殿に実際に触れ、中世の旅が味わえるということで世界中の旅行客から人気を集めているのです。アルハンブラ宮殿の修道院を利用したホテル・サンフランシスコや神聖ローマ帝国皇帝を兼ねたカルロス5世が住んでいたハランディージャ・デ・ラ・ベラなどは特に有名です。"


(パラドールの日本総代理店ウェブページより)

そして、驚くべきはその破格の値段。20歳~35歳までの若者であれば、何と一泊朝食付きで56ユーロ(およそ7500円)で泊まれるのです。これは、日本でいえば、東横イン並のローエンドな値段で、ラグジュアリー感満載のホテルを満喫できるわけです。その他シニア向けや連泊割引なども多く用意されていて、賢く使えばかなりよいと思います。

これを見逃さない手はないでしょう。

凍えるロンドンを逃げるようにして、やってきたのが南国色漂うマラガのパラドール。ここは、マラガの街並みを一望できるジブラファル城にあり、そこからの景色は息を飲むかのよう。マラガの海、街並み、要塞を展望するこの景色は、ホテルのロビーからはもちろん、レストラン、そして部屋からいつでも眺めることができるのは何とも贅沢。

爽やかで心地よい風とともにこの景色が朝を出迎えてくれ、夜は夜景とともにこの景色を楽しむ。中心街からは少し離れた丘の上にあるため、喧騒からも離れ、なんだかとてもゆったりとした時間が流れるていくかのよう。

そして、なによりもいいのがスタッフが子どもにとてもフレンドリー。あまりにもラグジュアリーすぎるホテルに泊まって、子どもが騒いで肩身がせまくなることもないのが嬉しい。



マラガのパラドールは30部屋


左にあるのがパラドール~最高のロケーション!


部屋からの景色


歴史を感じさせる佇まい


アンダルシアの雰囲気に寄り添うように過ごすことができたパラドール。次はどこのパラドールに行こうか、そんな風に思わせる魅力があります。
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2009年12月12日土曜日

「ジョージ・ソロス VS アカデミックの世界」から見えてくることとは?

イングランド銀行に対しポンドを空売りし、ポンドを暴落させたとして名を馳せたジョージ・ソロス。そして、ソロスファンドは、数千%の利回りをたたき出していく。

そのジョージ・ソロスと、ロンドンビジネススクールの教授陣Sir Andrew Likierman (chair), Julian Franks, Richard Portes, Lakshmanan Shivakumarがパネルディスカッションを展開しました。

独自の視点で世の中を見ているジョージ・ソロスと、ファイナンスの理論を通して世の中を見ている教授陣の対立が透けて見えるようで、面白かった。

じつは、私はソロスの思想には明るくないのですが、表面上は(?)教授陣は、ソロス氏の主張に賛同していましたが、おそらく根本的な思想の違いがあることがディスカッションから伝わってきてのが印象的。かつ、それは、私たちにとって、重要な示唆を含んでいます。

それはどういう対立軸か?

ファイナンスの世界には、効率的市場仮説という考え方があって、ファイナンスを少しでもかじれば、すぐに出てくる考え方です。

それは、おおやけ情報に基づいて株を買ったとしても、平均的な儲け以上よりは儲けられないというもの。この基本的な考え方からは、アカデミックの世界は様々なメッセージを紡ぎ出してきました。

パネルのJulian Franks教授によれば:

ハイリスク・ハイリターンの考え方
投資分散によるリスク低減の考え方
正味現在価値の考え方

が挙げていました。で、ソロス氏は、この効率的市場仮説を真っ向から否定する立場をとっています。この仮説を否定するということは、そう、上記3つの考えもたちどころに崩れることになるというわけです。

Franks教授曰く、「これらの一連の美しい体系が崩れ去るので、だから効率性市場仮説にこだわらざるを得ないのだ」と。

さらに、若きホープ的な教授であるShivakumar教授は、明確に「効率性市場仮説は、使えるのだ。どんな理論にでも限界はある。限界があるところは、他の理論で補っていけばいいのである」という主張。また、「それらの限界や、ソロス氏の主張についてはアカデミックの世界では今研究している」ともいう。

ソロス氏が大もうけした最大の秘訣は、ハーがリー生まれのユダヤ人であった彼が、ナチスの迫害から逃れながら、さらにはハンガリーのハイパーインフレを間近に見ながら、独自の視点でマーケットを見ることができたことだと思うのです。

効率性市場仮説の限界については、ソロス氏も教授陣も認めるところ。ここは両者とも賛成しているのでしょう。しかし、その仮説をなんとか維持して、よく言えば発展させよう、悪く言えば、つじつまを合わせようとするアカデミックの世界に対して、自分独自のモノの見方をした結果、その仮説を否定するソロス氏。

ここには大きな違いがあり、その違いこそが、ソロス氏の大もうけの秘訣なのではないかと思ったパネルディスカッションでした。

既存の見方を通して物事を整理しようとするか?
ありのままの事実を自ら咀嚼しようとするか?

みなさんはどちらのタイプですか?

2009年12月11日金曜日

ヒートテックっていいですね

 



去年の冬から手放せないものがあります。そう、ユニクロのヒートテックです。明日からの旅行に備えて、オクスフォード・ストリートで、ヒートテックを追加。日本ほどの熱狂ぶりはないので、手に入りにくいということはなく、それは助かっています。

なにしろ、冬のロンドンは、日本より底冷えするため、ヒートテックは本当に欠かせません。そして、冬のヨーロッパ諸国も概して、東京より寒いので、そうヨーロッパを満喫にするにも、ヒートテックは欠かせないわけです。

最近は、毎日来ているので、ヒートテックのありがたさが当たり前になってしまったのですが、去年はじめて着たとき、一瞬暖かい空気の固まりに包まれる感がしたのが、今でも衝撃的に覚えています。売り文句に偽りなし、と感じる瞬間でもありました。

こちら、ロンドンでは、JAPAN TECHNOLOGY –FROM TOKYO TO THE WORLDをキャッチにプロモーションが展開されています。そして、何よりもユニクロのヒートテックが秀逸なのは、やはり、このコトバに凝縮されていると思います。

Give yourself a fashion edge with HEATTECH

すなわち、ヒートテックを使って、よりファッショナブルになろうと。そういうわけです。ヒートテックを着ることで、薄着でいい、冬だからといってド重いコートを着る必要はないというわけです。また、ヒートテックを下着としてきて、上着のファッションは他ブランドという組み合わせもOKです。

ファッションをじかに追求するのではなく、ファッショナブルになることを「支援する」ポジションを取りに行ったことが個人的には最大の学びです。より抽象化すれば:

ある価値そのものを提供するのではなく、その価値がより発揮できるように「支援する」というのもマーケティング上あり。

ということになりますでしょうか。

今年のヒートテックは、「魅せる」ヒートテックもあるので、徐々にファッションそのものを提供する方向にも進みつつありますね。
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大学院生のクリスマス・ディナー会

コチラロンドンではいたるところがクリスマスめいて参りました。

私が住んでいるロンドン大学寮であるInternationl Hallでも、いくつかクリスマス・イベントがあって、こういったのがあるのも、大学寮のいいところかもしれません。この間は、Children's Xmas Partyがあり、4歳になった我が子もサンタさんからプレゼントをもらって、大喜び。

International Hallについては、ときどきロンドン・ビジネス・スクールのアプリカントからも質問を受けるので、そのうちまとめてブログに書きたいと思います。

今日の写真は、昨日のクリスマス・ディナー会。外で食べるとちょっとしたパスタだけで10ポンドしてしまうロンドンで、なんと一人5ポンドでクリスマスディナーが食べられるというもの。今まで、メキシカンディナー、レバノンディナーとあったのですが、ことごとく逃していたので、ようやくこのシリーズ・ディナーに参加することができたというわけです。

 

 


コースは、トマト・スープ、ターキーと野菜、フライド・ポテト、パン、ワイン、デザート。寮のディナーですから、めちゃくちゃおいしい!というわけにはいきませんが、これで5ポンドと聞けば、納得。

また、ロンドン大学参加の他の学生の話しを聞くことが出来るチャンスでもありました。ロンドン・ビジネス・スクールは、ロンドン大学傘下ではあるものの、比較的独立しているので、他学部との交流は少ないので、このような機会は貴重ですね。
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