2010年5月28日金曜日

ダニエル・ピンクから学ぶ「それ、もう知っているよ」から「やっぱりそれ、大事だよね」への変換能力の価値

書きとしゃべりの天才で、ゴア副大統領のスピーチライターをつとめた、ダニエル・ピンク氏が話題のビジネス書、「Drive: The Surprising Truth About What Motivates Us」を出版しました。いかに今の企業が人のモチベーションについて間違った理解をしているか、人は何にモチベートされるかを語った本。











本を読まないまでも、内容のエッセンスは、彼の名スピーチはYoutubeで観ることができます。20万回以上も再生されている人気動画のひとつ。TEDのページへ行けば、日本語字幕でも観ることができます。

(http://www.ted.com/talks/lang/eng/dan_pink_on_motivation.html)



もちろん、内容は素晴らしく多くのメディアでも取り上げられていますが、この本の驚くべき重要な示唆はもうひとつあると思うのです。それはなにか。



ひとことでいえば、ここに書かれている内容は、アカデミックの世界ではすでに50年前に知られている内容だということです。それを、大衆に分かりやすく伝え直していること自体がとてつもなく大きな価値になっていることをこの本は知らしめているように思うのです。



この本のひとつの強いメッセージは、「クリエイティビティが要求される仕事には、内的動機が効果的で、アメとムチ的な動機は害になる」というもの。でも、なんだかんだいって、企業ではアメとムチ的な動機を使いがち、もしくは内的動機にあまり注意を払ってはいない。



もっといえば、そんなことアカデミックの世界でも分かっているし、ビジネスパーソンであればどこかで聞いたことのある話。当たり前の話しでしょ、と片付けられる程度のメッセージかもしれない。でも、実際の企業現場をみると、実践できていない。



こういう話しは世の中にたくさんあるわけで、他にも、「顧客志向は大事」とはよく言うし、それを知らないビジネスパーソンなど今世界のどこをみてもいないでしょう。でも、実践できているか、いつもそのことを意識しているかというとそれは疑問。



すでに既知の内容だったり、なんとなく知っている内容で普段ならあまり注意を払わないような内容を、「あ、そうだよね!それ、やっぱり大事だよね」と思ってもらえるような、既知コンテンツ翻訳能力の価値の威力を、ピンク氏の本から感じるのです。



今は知識ならばグーグルで検索すればおしまい-そう言われて久しいです。だからこそ、「あ、それ、もう知っているよ、聞き飽きた」から、「あ、そうだよね!それ、やっぱり大事だよね」と言わせる既知コンテンツ翻訳能力がますます大事になってきているのではないかと思うわけです。



そして、教育-とりわけビジネススクールのような社会人教育-は、いかに「あ、それ、もう知っているよ、聞き飽きた」から、「あ、そうだよね!それ、やっぱり大事だよね」という変化を起させるかが大事。

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