2009年4月30日木曜日

スタディグループのリーダーシップ・コンフリクト

スタディグループのリーダーシップ・コンフリクト

「うちらのスタディグループは、やっぱりタスクの割り振り方に問題があると思う。たとえば、このプロジェクトでは、オレは、疎外感を感じていて、チームに貢献しているという感じがしない。」

スタディグループのあるチームメンバーに端を発して、スタディグループ内の進め方に関しての「すれ違い」がボンと表面化しました。

学校側から、スタディグループの健康診断ともいうべき、フィードバックを受け取るのですが、我がスタディグループは、MBAプログラム開始時期に比べて、個人間の対立が向上していて、そして、満足レベルが下がっているという結果が出たのです。これは、メンバーが60問くらいの問診票を集計することで、スタディグループの健全度をみようとしているものです。

リーダーシップスタイル、というと大げさですが、ようは、チームの束ね方の違いが、ある種の個人的な感情の対立に、少し変容していたということです。

そもそもは、タスクの割り振り(コーディネーション)に問題があるのではないか、と示唆したのは、フィードバックをしてくれた組織行動の先生。じつは、私ははじめピンときてこなかったのが第一印象。

アサイメントには、それぞれチームメンバーからリーダーを割り当てるのですが、個人的には、そのリーダーが仕事の進め方をきめ、メンバーは、基本的にそのリーダーのやり方に従うというのが暗黙の了解かと思っていたら、そうではなかったところに今回の原因がありそうです。

たとえば、冒頭のプロジェクトの例。あるマーケティングのシミュレーションのアサイメントなのですが、リーダーは、頭脳明晰で、ある意味で、ひとりで全部できてしまうのですが、とはいえ、明快な主張をすれば、すぐに彼はそれを理解し、意志決定に反映させるタイプ。そして、明確な役割分担をしないで進めるタイプなので、積極的に参加しようとしない限り、メンバーが取り残される可能性もあり、ここに「疎外感」の生まれる余地があるわけです。6人中、3人が深くコミットしていたというのが実情。

また、私がリードしているとあるプロジェクトも、実質的に6人中3人で回しています。プロジェクト初期のみんなの関心度合いから、この3人をコアに進めてきていて、もはや暗黙の了解かと思っていたら、メンバーから、このプロジェクトがどう進行しているのかが分からないとの声。もちろん、プロジェクトのロジック、進行予定、議事録などは全メンバーとは共有していましたが、“3人をコアメンバーにする”という暗黙の了解がじつは、そうではなかったということが判明しました。

それぞれみな何らかしらの「チームの束ね方」のクセみたいなものをもっていて、当たり前に推し進めていることが、全く違ったバックグラウンドを持つ人にとっては、当たり前ではないという、これまた当たり前の事実なのですが、それを経験している次第。

全く異なるバックグラウンドのメンバーが、突如チームを形成するなんていうのは、これから21世紀のプロジェクト・仕事には、どんどん増えていくのは間違いなし。われわれコンサルティング・ファームのプロジェクトチームを編成する際も、外部のエクスパートと連携することが多くなってきていることからも、このトレンドの必然性と必要性をひしひしと感じています。

そんなときには一体、何をよりどころにしてチームを推し進めていくのか。リーダーとして、自分はこういう進め方をしていく、チームとしてはこういうことを期待する、という、普段は意識していないが、各人がもっている「チームの束ね方」「流儀」を顕在化させ、明示的にチームのプロトコルとして共有する必要性を感じます。 組織の文化や業界の慣習に頼らずに、この「チームはこうする」という掟を気持ちよく合意し、それにもとづいた運営をするという、全く新たなスキルが求められていることに気付かされるのです。

チームビルディングの初期にチームとしてのプロトコルを「明示的に」合意せよ、ということで、実際、チーム契約書もはるか8ヶ月前に結んでいるわけですが、なかなかうまくいかないところが、現実の難しいところです。

これがMBA的リーダーシップ教育の一端?なのかもしれない。

2009年4月29日水曜日

夏学期の履修科目

今学期は、ひとつの節目です。皆ますます自分の興味に応じて、ギアを変えていく、そして分散していくからです。ある意味で、新たな「始動」という感じでしょうか。というのも、まず、今タームから徐々に選択科目が入ってきました。今学期をもって、必修は終わり、そして1年間共にしたスタディグループも解散で、来学期からはすべて選択科目に移行します。そして、各種クラブ、コミッティ関連の代替わりが起きるのも今学期というわけです。

***

さて、今学期、私は、下記の科目を履修しています。

Understanding International Macro Economy(必修)
とても大事な科目と思っている。LBSの教授が書いた"Macroeconomics: Understanding the Wealth of Nations, 2nd Edition"という教科書を使ったマクロ経済の授業。豊富なマクロデータを実証的に紹介しながら説明するのがいいところ。とはいえ、理論と照らし合わせると、例外にコトを欠かない科目でもあり、教える側もタイヘン。それを逆手にとって、毎回、スタディグループがデベートを繰り広げる。中間試験と最終試験の二本立て。

Management Accounting (必修)
いわゆる「管理会計」。下に挙げたShadowing Projectのおかげで、ここ最近休んでいるので、最近何を教えられているのか把握しきれていないが、Management Accountingはおかしな科目だと思う。ただあるのは、Measuring Performance であるべきでしょう。リーダー・マネジャーの視点で考えたとき、学問的な領域で括られる「管理会計」を学ぶよりは、どういった計器を用いて、どのように企業の実態をモニタリングするか?という、より本質的な問いに答える科目に仕立てた方がいいのではと思う。

Operations and Technology Management (必修)
トヨタに代表されるTPSや、技術マネジメントなどを扱う科目。この領域は、直観に反するような理論や、鮮やかな理論があり、それらを理解するための仕掛けが巧妙。個人的にはそのあたりの設計が学び。また、日本の題材が多く出てくるので、個人的に共感を覚えやすい。シミュレーションゲームと、海外での工場見学付き。

MarkStrat (必修)
前期のマーケティングの授業の続きで、前期のクラスの学びを使って、スタディグループ対抗、シミュレーションゲームを行うというもの。1時間のディスカッション・レクチャーがあったあと、2時間以内にグループで意志決定をしなければならない。また次のクラスまでにチームで、もうひとつ意志決定をする必要。最終的に株価が一番高かったチームのカチ。競争環境、顧客のニーズなどのレポートを読み込み、どのセグメントに、どういうポジショニングをし、4Pをどうするかを決定していく。チームの一人はゲーム類が大好きで一生懸命にやっていてくれて、私は楽をさせてもらっている(^^)

Corporate Strategy (選択)
コーポレートレベルでの戦略論を、ケースをベースにして扱う。本社の付加価値とは?事業ポートフォリオはどう組むべきか?組織再構築はどう行うべきか?などなどきわめて、グレーな領域を扱う。白黒が明確に出ないクラスですが、その分考えるきっかけを与えてくれ、深みのあるクラス。

Shadowing Project (選択)
リーダーに一週間張り付いて、その行動ログをすべて記録し、それにもとづいて、リーダーシップについて考察するというもの。また、リーダーシップに関する論文を7,8個読む必要があるのだが、これが面白い。私は、London Business Schoolの副学長をShadowingさせてもらっている。今日はその二日目を終了したところ。分刻みで記録をとる、とてもボトムアップ的なアプローチをとるこの科目は、とてもいいと思う。コンサルティングでも、この手の手法でデータを集めていたが、やはり現場に行くと、いろいろと発見があるものだ。

Managing Organisational Behaviour Audit Project (必修)
前期のManaging Organisational Behaviourでの学びをコンサルティングプロジェクトを通じて、応用するというプログラム。我がスタディグループのプロジェクトは、コンサルティング・バックグラウンドがあるということで、私がリードしているのだが、なかなか面白い結果が出てきている。やはり、現場は小説より奇である。

***

来学期以降は、ファイナンス関連はとらず、もっぱらリーダーシップ、チームワーク、組織変革などの組織行動に関わる科目をとる予定です。あわせて、最先端のマーケティングの選択科目と、今や目が離せないGlobal Economyあたりを履修しようと思っています。

2009年4月28日火曜日

ロンドンビジネススクール受験に課せられるMBAエッセイ

大学院ヘアプライするためには、多くの書類を用意する必要がありますが、その中でも最も大事なのがエッセイでしょう。通常4から7問くらいで構成されていて、リーダーの素質、素養、学校とのフィット、過去の経歴・業績を見抜くために、エッセイがあるといえます。

ロンドンビジネススクールのエッセイは、他のビジネススクールに比べると、きわめて現実的というか実践的な質問が並ぶのが特徴です。あまりひねった質問もないし、崇高な質問もないといえます。したがって、キャリアプランが明確で、ロンドンビジネススクールの特徴を受け入れられれば、他の学校に比べると、比較的書きやすいかもしれません。

Question 1 (600 words)
In what role do you see yourself working immediately after graduation? Why? How will your past and present experiences help you achieve this? How will the London Business School MBA Programme contribute to this goal? Why is this the right time for you to pursue an MBA?

Question 2 (200 words)
Where do you see your career progressing five years after graduation and what is your longer term career vision?

Question 3 (500 words)
Please describe your experience of working in and leading teams, either in your professional or personal life. Include any specific challenges you have faced. Given this experience, what role do you think you will play in your first year study group?

Question 4 (400 words)
Student involvement is an extremely important part of the London MBA experience and this is reflected in the character of students on campus. What type of student club or campus community event s will you be involved with and why? How will you contribute?

Question 5 (150 words)
Describe any significant experiences outside of your home country. What did you gain from these?

たとえば、Q1では、卒業直後に何をやりたいか、明確に書きけれという。そして、それを達成するのに、ロンドンビジネススクールがどう役に経つかを書く必要があります。Q2で答えなければいけないように、長期、中期のゴールも大事だけど、卒業直後の自分像を正確にイメージできているかが大切ということです。

それとか、Q3では、1年間を苦楽を共にする、6人1グループのスタディグループでどういう役割を担うか、というのも、まさに入学後にあなたはどう達振る舞うかをダイレクトに聞いています。簡単そうに見えますが、今までのリーダーシップ、チームワークの経験から照らし合わせて、自分「らしさ」が滲み出る、あなたならではの、立ち振る舞いを書く必要があります。

また、Q4ではアカデミック以外の課外活動で何をやりたいか、どういう貢献をするかということを聞いています。ビジネススクールの半分以上の価値は、クラブ活動、カンファレンス、旅行などの課外活動からくるといっても過言でもなく、そこで何を貢献できるかどうか聞いているわけです。

最後のインターナショナルな経験を聞いているのは、LBSらしいですね。要は、世界中から留学生が集まってくるので、そうしたDiverseな環境の中での受容性があるかどうかを判断するための質問です。海外経験は必須ではないけれど、多国籍ななかでもやっていけることを証明できればOKでしょう。

どれもシンプルですが、具体性と実践性が要求される質問だと思います。これから、受験のみなさん、ぜひ頑張っていいエッセイを書き上げてください!

2009年4月27日月曜日

工場見学で見た「なんちゃってToyota Way」

Operations and Technology Managementの一部として、世界的なエネルギー会社ENELの電力プラントを見学しました。そもそも、ローマに行っているのも、これが第一の目的です。

ENEL社は、トヨタのToyota Production Systemに見習って、継続的Kaizen活動に取り組むべく、Lean Manufacturing Programmeに取り組んでいます。 トヨタ工場も見学した上で、プログラムを組んでいるようで、いや、素晴らしいことです、と誉めたいところなのですが!

ちょうど先月に、トヨタのお膝元名古屋で、本家本元のトヨタ工場を見学していることもあって、それとの比較で、考えると、ENEL社の展開しているプログラムは、「なんちゃってToyota Way」という感じです。

まず第一に、このプログラムを「施策」のひとつとして展開しているということです。ログラムのコーディネートは、マッキンゼーが担当していて、コンサルティングプロジェクトとして、はい今月はこれ、来月はここで、とプログラムを展開しているのです。

もちろん、これでも成果はある程度出てくるとは思いますが、トヨタは、このTPSは宗教もしくは思想という位、気合いを入れて、5年から10年というタイムスパンを想定しているのとは、ハナシの次元が違うわけです。

本来は、TPSを導入するということは、PCのOSを取り替えるほど、ややこしいハナシで、壮大な意志決定を伴うはずなのですが、なんだかもうひとつアプリケーションを増やしました、というお手軽感を感じてしまうのです。

また、トヨタのやり方がうまくいくのは、工程に人間の作業が入り込むような、摺り合せ的組み立てプロセスなのですが、一方、電力プラントはほぼ自動化されている大型設備系。人の介在する余地が工程上にあまりありません。

したがって、TPSを電力プラントに応用・展開するためには、相当に知恵をひねって、TPSをヒネリ、カスタマイズしたり、膨大な適用上の工夫が必要になってくるはずです。しかし、そこをやりきるほど、企業幹部から熱意を感じられなかったといのが正直なところです。

このプログラムをやらないよりはマシだとは思いますが、果たして、どれほどトヨタに近づけるかは、疑問が残るところです。

ローマな休日;幾千年もの昔へ

三度目のローマは、暖かい日差しが迎えてくれました。

パリもロンドンも、それからバルセロナなどヨーロッパ諸国には素晴らしい都市が多く、数え上げたらキリがありません。しかし、多くのヨーロッパ諸国を形作っている文化・文明の多くは紀元後、あるいは西暦1,000年以後にそのルーツがあるのに対し、ローマの起源は、紀元前。その桁違いの古さに畏敬の念を感じずにはいられません。



そこは、まさに紀元前にタイムトリップをしたかのように、その石造りの古代ローマ遺跡が街中に、力強く、力強く、遺っています。いや、遺跡が残っているというよりは、古代ローマに、現代社会が紛れ込んでしまっているといってもいいかもしれない。そんな錯覚を鮮烈に覚えさせるほど、文字通り幾千年もの彼方を彷彿とさせてくれるのが、ローマ。


悠久の錯覚を求めて、世界中から旅行客が集まります。まるで蟻の行列をみるかのように、古代ローマの名所には、ツーリストがいるのです。さらには、古代遺跡の合間を縫うようにして、できあがった現代の道路と、そこを忙しなく走るローマの自動車とバス。そこに、今のローマの姿があります。古代ローマの息吹と、隣り合わせに、観光客と自動車の喧騒。

そんな喧騒から逃げるかのようにして、イタリア人の友人と同じホテルに宿泊しました。少しローマの中心部から離れると、小鳥のさえずり声が一日中聞こえるとても静かな住宅街が広がっていました。カフェでのんびりと、カプチーノを飲んだり、ぶらぶらと散歩したり。

夜は、子供をベビーシッターに預けて、イタリア人の紹介による、典型的なローマディナーをいただきました。その特徴は、質実剛健!パスタは、コシが強く、日本のうどんのよう。肉もかたまりでガツんと出てくる。そして、味付けは、しょっぱいくらいに塩・こしょうしてあるのです。これぞ、ローマ食!

すでに多くの見所は、前回にローマに来たときに巡っていたので、今回は、どこかを廻らなければいけないというヘンなプレッシャーもなく、なんだかローマの喧騒を傍目に、のんびりとしたローマトリップになりました。

2009年4月25日土曜日

ローマへ上陸!修学旅行再び?

クラス一同80人で、ロンドンからローマへ
ぞろぞろ、ぞろぞろと、
さながら修学旅行のよう

まずは足慣らしにS. Maria In Trastevereに
3時間半かけてイタリアらしいゆったりディナー
そのあとは、巨大なジェラートを苦労して平らげる

そして、LBSでパブを占拠!
***
翌日は、トリップの本来の目的、
イタリアの誇るエネルギー会社ENELを視察する
Posted by Picasa

Is This Art? ビジネススクール初のちょっとした企画

面白いです。おそらく、ビジネススクール初なのは間違いなし。5月下旬に開催しようとしているArt Exhibitionに向けて、ちょっとした宣伝イベントを行いました。おかしなアート?をロンドンビジネススクールの中庭に展示しました。

Organising Committeeの一人が、突然、ワイルドな発想を思い付いて、すぐさま実行することになりました。私では到底思い付かないようなクリエイティブなアイディアで、いやいや、刺激になります。

その名も、Is This Art?



木と木の間にロープを張り、そのロープに、女性の下着や、男性のブリーフ、そしてプライベートのときに着るような色とりどりの服を吊し、さらにおかしな履歴書やカバーレターのフレーズをあわせて貼り付けて、出来上がり。そのフレーズは、企業に送る履歴書やカバーレターには、送れないけど、書いたら笑えるそうなもの。たとえば:

Interests: Gossiping
Job-related skills: Able to say the ABCs backward in under five seconds
Job description IT Director: Repeatedly fix what you repeatedly break
Job description Student: Copy and paste the internet
Ding! Sorry, I can’t offer you the job. But are you free for dinner tonight?
Ding! R U Kidding?

真っ青な空のもと、突然1日だけ展示されたこのアート?の心は何か?ジョブマーケットが厳しくなって、カバーレター送付、レジュメの作成、インタビュー、コネづくりと忙しくしているMBA学生。本来の実力以上に取り繕ったり、本当の自分を覆い隠して、よく見せようとしてはいないのか?

それが表の顏だとしたら、ウラの顏、真の顏、本当の自分は何だったか、ちょっと思い出してみようよ!というじつは、かなり本質的なメッセージが詰まっているのでした。

最低限のコミュニケーションは学校側に事前にしておいたのですが、やはり少し問題が発生したのも事実。プログラムオフィスからは、Non-student向けのエグゼクティブプログラムもLBSでは行っているので、そうした人がこういうのを見たらどう思うのかという懸念の声。また、セキュリティオフィスからは、イザというときに、避難の邪魔になるという声など。

とはいえ、最後は、Career Servicesのトップが、この趣旨に大いに賛同してくれて、ホンチャンの5月末のArt Galleryにスポンサーしてくれることにもなったので、ひとまずいい結果になったといえるかな。

そして、個人的には、このOrganising Teamで働いていると、今まで使われていなかった脳の領域が動き出す感じです。

2009年4月21日火曜日

今のMBA就職戦線がどれほど厳しいか?

金融危機で企業の業績はへこんでいますが、それと同様、ジョブマーケットも大変厳しい状況に立たされています。この就職戦線の厳しさは、もろにMBAの学生を直撃していきます。

厳しい厳しいといっても、どれほど厳しいか、少し定量的にみてみましょう。私の聞いているところでいうと、LBSの確保しているサマーンインターシップの数の昨年対比で以下のとおりです(最新の数値はもう少し改善しているかもしれません)

コンサルティングファーム 40%
投資銀行           30%

40%減、30%減ではありません。コンサルティングファームで、6割減、投資銀行で7割減というありようです。それもそのはずで、経験者をリストラしている最中に、新しい人を採用しようとはなかなかならないもの。

金融機関系が壊滅状態になったために、その分コンサルティングファームに流れ、そのコンサルティングもそれほど状況が思わしくないため、次はインダストリーに流れていくという大きなトレンドができつつあります。

これは個人的にはいいことだとおもっています。より多様なキャリアと追求するいい機会になるのではないかと期待しています。

最近、周りを見渡してみると、なんだかんだいって、みなサマーインターシップのポジションを確保してきているように思います。みな、状況の厳しさを知るやいなや、それぞれ二の策を実行して、成果を出してきています。しっかりしています。

とはいえ、依然厳しいに違いはありません。Career Servicesからは、この状況に対応するため、こんな案内がきています。その名も、ブートキャンプ!

Take Advantage, now's your chance to get focussed!In response to the feedback received through your Job Status Forms, Career Services has launched Sector Specific Boot Camp for students pursuing careers in:

1. Finance
2. Telecoms, Media and Technology
3. Pharmaceuticals, FMCG and Manufacturing
4. Energy

Boot Camps will be held at lunchtimes on Tuesdays and Thursdays on April 21, 23, 28 and 30. Please check Career Central for session times.

The Boot Camps will provide you with core sector knowledge from sector specialists and key information and resources to help you in your job search. You will also get personalised feedback (from sector specialists, career coaches and the group) on how to handle interviews, your pitch, how to leverage the network in this sector and any other topics that you would like help with.

Topics covered in the Boot Camps will include:
Where to look for opportunities
Ensuring your CV/ Cover letter highlight the critical skills for this sector
Tough interview questions for this sector and how to answer them
A customised speculative e-mail for networking
How to reply to job ad that you are applying for

There will be 4 interactive, focussed sessions in each Boot Camp. Open to all programmes. SIGN UP TODAY to reserve your place and receive your pre-boot camp assignment from Career Services.         

日本発レストラン革命!Benihana of Tokyo

Operations & Technology Managementのクラスの第一回目のケースは、日本人がアメリカでオープンした鉄板焼きレストランBenihanaでした。8人で鉄板を囲み、シェフが目の前で面白おかしく、パフォーマンスをしながら、野菜、肉、魚を焼いてくれるという、レストランです。



我がスタディグループは、Benihanaに感動し、さっそくロンドンにあるBenihaniに本日行ってきました。なるほど、日本の鉄板焼きに比べて、エンターテイメント要素が盛りだくさん。味付けも外人ウケするように、ソース、醤油たっぷりの濃いめ。



われわれのシェフ。タマネギを積み上げ、そこから火を噴出させ、Volcano!と喜んでいます


さて、なぜ、オペレーションのクラスで取り上げられるほどすごいのか?

オペレーションにおけるさまざまなイノベーションをBenihanaは起こしているということなのです。その結果、通常営業利益率は0-9%のレストランビジネスで、何と34%の利益率という驚異の数値をたたき出しています。

1. レストランのキャパシティをあげるために、食事時間をきっちり1時間に短縮化した。8人ひとつのテーブルに座らせ、シェフがペースを主導して、食べるため、みな1時間で食べ終わる。最後に肉を焼いた後、シェフはおじきをして去っていくので、ああ終わりなんだとお客さんも思う。これで、きっかり1時間でお客さんは帰らせられる。ダラダラおしゃべりするなんてことを許さない雰囲気を作らせない!すべてはシェフのペースに顧客は巻き込まれる

2. バーの設置と8人同時にテーブルに案内することで、レストランの回転率を劇的に向上させた。レストランには、よくバーが併設されていて、食事の前に軽く何かを飲むことがある。アノ仕組みを発明したのがBenihana。バーがあることで、待ち顧客が8人たまったところで、テーブルに案内することができる。そして、8人まとめて処理できる。仮にお客さんがたくさん待っていたとしても、バーがあることで、「待っている」という感覚を緩和することができる

すなわち、バーで需要の変動を吸収し、8人ずつを1時間という時間内できっちりバッチ処理できるというオペレーション上の革命が行われたというのがオチでした。

身近なワダイを使い、動画を見せつつ、そしてシミュレーションを駆使した、なかなかよく設計された授業でした。

今週木曜日からは、クラス一同で一路ローマへ!オペレーションの授業の一環として、ローマにある、とある工場を見学することになっています。果たして、イタリアの企業で、オペレーションが学べるほど高度な工場があるかは甚だ疑問ですが、楽しんできたいと思います。もちろん、滞在を延ばして、週末もローマで過ごす予定でいますので今から楽しみです。ローマは10年ぶりです!

2009年4月20日月曜日

イギリスMBAの会@ロンドン

この週末は、イギリスMBAの会が、ロンドン Nagomiで開催されました。発起人のCambridge Mさんありがとうございました。

イギリスでMBAを学んでいる日本人はおよそ70名いるそうで、今回参加してのが40人。いやいや、すごい人数が集まりました。これだけまとまった日本人をこっちロンドンで見るのもはじめてです。

欧州のMBAは1年生が多いのが特徴です。ですから、1年生の方と話すと、ついこの間、「これから始まりますね」などと話していても、もう「そろそろ終わりです」ということになり、月日が経つのが早いコトを感じることしばしです。

みなさん、これも何かのご縁なのでこれからもどうぞよろしく。

QC→TQC→シックスシグマ→次は?

トヨタの話しに続いてもうひとつ。製造業における日本独特のマネジメント概念はどう生まれてきたのでしょうか?

トヨタをはじめとして、日本の製造業を一躍有名にしたのが、いわゆるTQC (Total Quality Management)というもの。改善や、全員参加、プロセス志向など、独特の概念を産み出し、アメリカをアッと驚かせました。

しかし、よくよく見てみると、このTQCの起源は、じつはアメリカ。もともとは、シューハートの管理図やデミング博士に学ぶところから、日本的なTQCは発展を遂げてきたようです。

海外からその起源を輸入し、それを日本独自の方法論に昇華させるのは、日本のお家芸ですが、この製造業の分野でも、その力をいかんなく発揮しているのがよくわかります。

そして、歴史をさらに進めると、日本的発展を遂げたTQCの威力を目の当たりにしたアメリカは、徹底的に日本の製造業を研究することになります。

1980年代初頭のころです。たとえば、ボストンコンサルティンググループも、当時日本を研究し、かの有名な経験曲線などの経営コンセプトを産み出したといいますから。

また、1985年に米国政府が発表した、米国の競争力強化レポート-ヤングレポートも、日本に比べ米国の製造力低下に危機感を感じたことが背景になっているのは有名なハナシ。

そして、そんな中で1990年代にアメリカの製造業が編めだしたのが、シックスシグマといわれる経営手法です。日本のTQCが、3シグマをひとつの品質のクリアすべき基準として標榜していました。このシックスシグマは、それを倍越えるんだ!という日本への対抗意識剥きだしなのがよく分かります。

モトローラからはじまり、GEが経営手法としてさらに昇華させて、アメリカ、そして世界で一世風靡をしました。

そこから、90年代は、プロセスを抜本的に変革するというBusiness Process Reengineering(BPR)が一躍脚光を浴び、多くのコンサルティング会社も潤いました。

振り返ってみれば、アメリカから生まれた管理の概念が、日本でプロセス改善として発展し、再びアメリカによってそのプロセス改善を全社レベルで行う経営手法に昇華されたわけです。

こうみてくると、次は日本がさらにそのシックスシグマのイイトコロを引き継いで、もう一歩進化させなければいけない!ミッションを担っていたはずなのですが、それが起こらなかったのがなんとも残念なことだと私は思います。

何が起きたのかというと、私が観察するところ、ソノママ、アメリカのシックスシグマを日本の企業に持ち込んだというのがひとつ。ソノママ、経営手法を輸入して、うまくいったと聞いた試しはないので、なんだかんだいって、シックスシグマブームで、終わってしまった感があります。

もうひとつの反応は、「シックスシグマは要は日本のTQCのことでしょ?本質的には同じなんだから、学ぶべきところはないでしょう」というもの。とくにアカデミックの世界ではこうした受け止められ方をされていたように感じます。

要は、シックスシグマの成し遂げた進化を素直に受け止めて、さらにそれを進化させることができなかった日本。それが今の状況ではないでしょうか。

古くは中国のシステム、戦後はアメリカのシステムなどを、アプリケーションとして自在に日本に取り入れ、独特の発展をさせる日本的な強みが、最近はこの品質管理の分野をはじめ、少し影を潜めているのが気がかりです。

2009年4月18日土曜日

Toyotaを学ぶ


Operations & Technology Managementというオペレーションのクラスでは、さっそく日本企業が大活躍しています。1本目のケースが鉄板焼きのBenihana of Tokyo、2本目のケースでは、トヨタが登場しました。

ちょうどJapan Tripで、名古屋のトヨタ工場を見学させていただいていたので、ライトタイミングでのトヨタのケースでした。

トヨタは、ビジネススクールにも愛され続けていて、多くのMBAのクラスで取り上げられています。そして、多くのビジネススクールがJapan Tripの中でトヨタを訪問しています。それだけ、今でも注目されているトヨタの秘密は何なのか?

私たちがトヨタの工場を訪問したとき、対応していただいたトヨタのマネージャーの話しにその秘密があるように思います。

“TPS(Toyota Production System)は、手法ではなく、宗教です。したがって、このTPSを海外にもっていくには、最低で5年、だいたいは10年くらいはかかるのです。”

“すなわち、工場を立ち上げるには、5年から10年待たなければダメということです。はたして、自動車メーカーで、本気でこれくらいの長いスパンで足腰据えている経営者がどれほどいるでしょうか。”

“今の不況からもトヨタはすぐに回復するなどとは毛頭考えていない。最低でもこの不況からは5年はかかる”


短期的成果を余儀なくされこんな時代だからこそ、これだけ長期に物事を考え続けられる姿勢、そしてそれを実践し続けていることに、心を打たれました。

こうした長期の視点で、どっしりと構え、工場そして、現場を育て行くことで、本当の意味でのオペレーショナルな競争優位が築けることに気付かされます。

TPSは手法ではない!ということですが、じつは、TPSはその思想を体現する手法、ツール類も豊富に提供しています。

驚くべきコトにそれらは、本質的には、われわれ戦略コンサルタントが使う手法、ツールとほとんど、もしくはそれ以上なのです!これははっきりいって、天地がひっくり返るほどの、スゴイことだと思います。

すなわち、イシューツリー、フレームワーク思考、ファクトベース、各種統計的手法などなど、きわめて知的で高度な問題解決能力を後押しするようなツール群が提供されています。それも、ここ最近にコンサル本が流行る、はるか数十年前にこうしたツール群が整備されていたと考えると、そのスゴさを実感します。

たとえば、イシューツリーに対応する手法といえば、特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)。魚の骨のような形で、イシューをロジカルに分解していく方法が推奨されています。また、5Mなどそうした分解を支援するようなフレームワークも用意されていたりします。

欧米の企業では、こうした知的な分析作業は、マネージャーがやるもの、企画部門がやるものと決めにかかります。まさに、フォードが発明した「科学的管理」の思想で、上が企画したことを下が決められたとおりに実行するというヤツです。

それに対して、工場現場で働く第一線のワーカーが、こうした手法を自在に操り、徹底的に知的武装してくるわけですから、そこから生まれるオペレーションは「強い」はずなわけです。

TPSはある意味で宗教かもしれませんが、思想体系にとどまらず、現実的に役に立つ、実践的な考え方、方法、ノウハウの固まりでもあるといえます。

2009年4月16日木曜日

日本の文化;口内調味




Japan Trip中、日本で、来る日も来る日も、外国人と日本食を食べていると、どうしても気になることがあります。それは、白いご飯にしょうゆを、まるでソースのようにかけて、食べること。そして、醤油ご飯をひたすら食べ続けること。

食に対する根本的な思想の違いを感じずにはいられません。西洋の料理は、料理の一品、一品がそれ自体で、ひとつの世界をなしていて、それで完結するのに対して、日本の料理は複数の料理をつまみながら食べます。

たとえば、西洋料理といえば、まずスープが出てきて、前菜、そしてメインで、デザートという流れの中で、一品一品をそれぞれが、一つの楽章かのようにして楽しみます。まさに、この感覚で、白いご飯という料理を、彼らは味わおうとしているのです。

それに対して、日本の日常的なご飯というのは、いわゆる「口内調味」という独特な文化を持ち合わせています。

少し塩気のあるおかず、たとえば魚であったり、肉であったり-を少し口に含み、その塩気を緩和させるかのように、次に白いプレーンなご飯を口に追加する。そして、最後に味噌汁で、口の中に汁気を含ませる。

言い換えれば、メイン、主食、スープを、口の中で絶妙にブレンドさせ、和食の見事なまでのハーモニーを楽しむわけです。そういう理由で、すべての料理が、いっぺんに出てくるのが和食の場合普通です。

そして、和食の場合、きれいに食べようと思えば、あまり皿の上を汚くせずに食べることができるメリットがあることに気付くと思います。

一方、こうした口内調味の文化のない西洋料理の日常料理だと、ワンプレートの上に、トマト煮込みのビーンズ、マッシュドポテト、コーンなどをのせ、そしてフォークでもってグチョグチョにかき混ぜるという展開になる。

韓国も日本と近い食文化を持ち合わせていますが、白いご飯を食べるときでも、おかずをご飯の上にのせ混ぜて食べるという意味で、彼らは、口内調味文化は薄いように思います。

なかなか、日本のもっている「口内調味文化」は美徳だなあと思うわけなのです。ところが、こんな話しをトリップ参加者にしても、なんだかイマイチぴんと来ていない様子。

「その割には、ヌードルをあんなにズルズル食べるというのは何か矛盾していないか」などというちょっとした皮肉も言われてしまい、やや返事に窮してしまう。まあ、他人がどう思うといいのです。日本式をアピールしていきましょう。

2009年4月14日火曜日

LBS「らしさ」;教授が教えにくいビジネススクール

どうやらLBSは、教授にとっては、教えにくいビジネススクールのひとつのようです。時間にルーズなラテン系の学生も多いせいか、授業を時間通りにはじめられないなど、教授としては統制を利かせにくい学生集団ではることは間違いありません。

それにもまして、この学校で教えにくくさせているのが、クラスディスカッションの「さばき」でしょう。そこそこ知能が高く、かつバックグラウンドがバラバラな集団から出てくる発言を上手にさばきつつ、クラスを運営をするのは、相当なファシリテーション能力が必要です。

USのビジネススクールでは、きわめて高評価の教授でも、こちらにくると評価が割れるということがあります-もちろんその逆もあると思います。

たとえば、前学期のManaging Organisational Behaviourを担当したアメリカ人の教授は、USスクールでは極めて高い学生満足度だったみたいですが、こちらでは”He is too American”などと、レッテルを貼られてしまう一幕もありました。とはいえ、総合的にはすごくクラス運営をしたとは思います。

この教授の場合、各授業で伝えたいメッセージが極めて分かりやすい反面、そのメッセージへ強引へもっていこうとするため、授業の節々では学生から反感を買う局面も。「オレの言うことに文句があるのか!」的な雰囲気を醸し出してしまうのです。

白黒を明快につけていくので、とても分かりやすいのですが、それを素直に飲み込めない学生にとっては、「そんなの押しつけるなよ」という感じでしょうか。

また、国籍を使ったジョークなども軽率に発言するので、これまた反感を買うことになるという。たとえば、きわめて些細ですが、「フランス人は働かないから~」といった枕詞をつけてみたりするので、もちろん、フランス人はふてくされたりするわけです。

そんなやり取りをみていると、グローバルな環境でもっていなければいけない「常識」、陥りがちな「罠」が少しずつ垣間見えてくるのです。

というわけでして、LBSの特徴として、教えにくいビジネススクール、といえるでしょう。教授たちも苦労しているわけです!そんな苦悩を見ることも、Diversityな環境のひとつの学びになると思っています。

You Tube Business School?

Survival of the Fastest
Bite-sized insights to help your business. Watch. Engage. Debate.




You Tube上で、London Business Schoolの教授が最近のトピックについて、1分から3分ほどでしゃべるというもの。どうやら、Executive Programmeの広告のためのようです。

1分から3分くらいなので、飽きずに見てられるのがいい。そして、極めて短時間で、英語で一つのメッセージを伝えるための勉強にもなると思います。

ついこの間できたようで、Recessionガラミのトピックがずらりと並んでいます。たとえば、これ。

“How to retain and develop talent in a recession”



よいメッセージだと思います。

1.公平であれ
不況期には、リストラはつきもの。しかし、そのリストラを実施するにあたっては、フェアであれというもの。これは、まさにその通りで、こういうセンシティブな時期だからこそ、このフェアネスに従業員から疑問符が付いた瞬間に、疑念の渦が組織を駆け巡ります。

2.人材開発をしろ
好況時にはできなかった人材開発に力を入れよ。不況時には人材に余裕が出てくるので、その分、ジョブローテーションや企業内でネットワークを広げたりする絶好のチャンスになるというもの。稼働率が低下してくるので、その分企画次第で、お金をかけずに色々とできますね。

3.組織ミッションの再考
イケイケドンドンでもって、人を引きつけることは不況時にはできない。自らが所属する組織のミッション-社会への貢献-に共感させることでしか、人を引きつけることができない。自分のミッションの再考とそのコミュニケ-ションを計る絶好の機会である。

2009年4月13日月曜日

ビジネス定量分析の「罠」

ロンドンビジネススクールにも、ビジネス定量分析のクラスはたくさんあります。私が受けている必修科目では、Decision Risk Analysisがあります。定量的なモデルにもとづいて、意志決定をすることを学ぶクラスです。

この授業は、昨年担当したProfessor Bertに比べると、若干迫力とおもしろみが欠けると言われているものの、今年のMBA生の中でも比較的人気のある授業のひとつでした。

実際、クラスでは、エクセルと@Riskという比較的手軽なソフトウェアを使い、まるで、手品のタネ明かしを見ているような軽快なノリで、定量モデルの結果を使いながら、見事なまでに最適な意志決定をしていく様を垣間見ることができるのです。

教授も統計モデリングの研究者ですから、定量分析を心より愛しているわけで、定量モデルに基づく意志決定の切れ味の鋭さを、これでもか!というくらい、次から次へと見せてくれます。

しかし、ここに落とし穴があると思うのです。その昔は、統計解析を研究していた私が言うのもヘンなのですが、定量モデルを過信すぎてはいないか?ということです。定量分析は鋭いナイフなみたいなものですから、その分析を間違って使えばひどいケガをしてしまう負の側面を見落としていないか?と思うわけです。

定量モデルを精緻に作り上げて、その結果に基づいて意志決定するのではなく、リーダーであるならば、自らの仮説を検証するために、あくまでも「補助的に」定量モデルおよび分析を併用するのがいいと思います。

定量分析の罠1:思考停止化
定量分析などという高度なことをやっていそうで、じつは定量分析にハマルと思考停止に陥るというパラドックス。定量モデルの作り込みに凝り出すと、定量モデルの内部でどのような計算をしているのか、などをあまり構わなくなってしまうのです。

分析の過程で、どんどんとモデルを複雑にしていき、しまいには、モデルがブラックボックス化してしまい、ただその定量モデルの結果を鵜呑みにしてしまう症候群。また、構築した定量モデルの前提条件なども何も分からなくなってしまうこともしばしばです。

まさにサブプライムローン問題のひとつの象徴でもあります。複雑な数理モデルによって計算された各種金融商品の中身を一体だれが理解していたでしょうか?

定量分析の罠2:定量化しにくいところは見ない
定量モデルを構築しはじめると、定量的に取り扱いにくい領域には、次第に目をそらすようになるものです。定量モデル構築者にとって、そんなものほど見たくないものはありません。

もしかしたら、このバイアスが、リーダーもしくはマネージャーにとって、本質的な事象から目をそらさせてしまうかもしれません。

実際、教材として取り上げられている例は、すべて架空のお話か、きわめて現実を単純化したケースです。まさに企業が直面しているマネジメントディシジョンにおいて、定量モデルが具体的にどのような役割を担うのか、そこに一歩も二歩も踏み込む必要があると思います。

たとえば、企業のバリュエーションでは、大抵の場合、詳細な計算をする前に、だいたいの“落としどころ”を見極めるのが普通です。その落としどころに定量モデルの結果が確実に落ちるよう、ガラス細工を操るがごとく、様々な前提条件の整合性をとっていくのが実態であったりします。

では、その落としどころをどう決めるのか?じつは、実務で最も肝心なポイントは、MBAの授業ではカバ-されません。ここにひとつの定量分析教育の危うさを感じずにはいられません。
それも、そのはずで、定量モデル分析の結果から企業のバリュエーションが定まるという前提に立っている以上、定量分析前の落としどころなどという概念は、定量分析の世界ではあり得ないわけです。

結局どうすればいいのか?

上記の罠については、しつこく警告を出すと共に、定量分析するにあたっては常に、言葉で説明すると一体どういうことをやろうとしているのかを常に意識することだと思います。最終的には、企業現場のミーティングでは、「言語」でやり取りをするわけですから、複雑な定量モデルを持ち出すのではなく、言葉としてその意味するところを語る必要があるのではないかと思うのです。

逆説的ではありますが、定量分析を使いこなすためには、まずもって現象を観察し、そこから直接的にインプリケーションを導出する「定性」分析が大事!ということになります。

2009年4月7日火曜日

日本を訪ねて:Japan Trip 2009

春学期が終わったかと思いきや、瞬く間に2週間の春休みも終わり、新しい学期の始まりです。


春の陽気に包まれて、ロンドンも観光客も戻りはじめ、公園では多くの人が芝生で戯れていて、街に活気が戻ってきました。そんな中の夏学期のスタートはすこぶる気持ちがいい。


春休みは、日本に戻って、Japan Tripの「添乗員」をやりました。今までの伝統を汚すことなく、”Best Trip Ever”と絶賛する声が多く、参加者は思う存分、ニッポンを心ゆくまで堪能したのではないかと思います。


Japan Trip 2009




個人的にも、8ヶ月間、日本を離れた後、外国人目線で見る日本は、長年住んでいたのにも関わらず、とても新鮮で、さまざまな気づきがありました。



しかし、参加者が声をそろえて日本を絶賛する中、そんな状況とは裏腹に、私にとっては、逆に、未だに外国人、そして世界にとっては多くの障壁がある日本という国に「危機感」を募らせたというのが率直な思いです。



そんな気づきについては、このブログでも少しずつアップしていきたいと思います。