2009年4月18日土曜日

Toyotaを学ぶ


Operations & Technology Managementというオペレーションのクラスでは、さっそく日本企業が大活躍しています。1本目のケースが鉄板焼きのBenihana of Tokyo、2本目のケースでは、トヨタが登場しました。

ちょうどJapan Tripで、名古屋のトヨタ工場を見学させていただいていたので、ライトタイミングでのトヨタのケースでした。

トヨタは、ビジネススクールにも愛され続けていて、多くのMBAのクラスで取り上げられています。そして、多くのビジネススクールがJapan Tripの中でトヨタを訪問しています。それだけ、今でも注目されているトヨタの秘密は何なのか?

私たちがトヨタの工場を訪問したとき、対応していただいたトヨタのマネージャーの話しにその秘密があるように思います。

“TPS(Toyota Production System)は、手法ではなく、宗教です。したがって、このTPSを海外にもっていくには、最低で5年、だいたいは10年くらいはかかるのです。”

“すなわち、工場を立ち上げるには、5年から10年待たなければダメということです。はたして、自動車メーカーで、本気でこれくらいの長いスパンで足腰据えている経営者がどれほどいるでしょうか。”

“今の不況からもトヨタはすぐに回復するなどとは毛頭考えていない。最低でもこの不況からは5年はかかる”


短期的成果を余儀なくされこんな時代だからこそ、これだけ長期に物事を考え続けられる姿勢、そしてそれを実践し続けていることに、心を打たれました。

こうした長期の視点で、どっしりと構え、工場そして、現場を育て行くことで、本当の意味でのオペレーショナルな競争優位が築けることに気付かされます。

TPSは手法ではない!ということですが、じつは、TPSはその思想を体現する手法、ツール類も豊富に提供しています。

驚くべきコトにそれらは、本質的には、われわれ戦略コンサルタントが使う手法、ツールとほとんど、もしくはそれ以上なのです!これははっきりいって、天地がひっくり返るほどの、スゴイことだと思います。

すなわち、イシューツリー、フレームワーク思考、ファクトベース、各種統計的手法などなど、きわめて知的で高度な問題解決能力を後押しするようなツール群が提供されています。それも、ここ最近にコンサル本が流行る、はるか数十年前にこうしたツール群が整備されていたと考えると、そのスゴさを実感します。

たとえば、イシューツリーに対応する手法といえば、特性要因図(フィッシュボーンダイアグラム)。魚の骨のような形で、イシューをロジカルに分解していく方法が推奨されています。また、5Mなどそうした分解を支援するようなフレームワークも用意されていたりします。

欧米の企業では、こうした知的な分析作業は、マネージャーがやるもの、企画部門がやるものと決めにかかります。まさに、フォードが発明した「科学的管理」の思想で、上が企画したことを下が決められたとおりに実行するというヤツです。

それに対して、工場現場で働く第一線のワーカーが、こうした手法を自在に操り、徹底的に知的武装してくるわけですから、そこから生まれるオペレーションは「強い」はずなわけです。

TPSはある意味で宗教かもしれませんが、思想体系にとどまらず、現実的に役に立つ、実践的な考え方、方法、ノウハウの固まりでもあるといえます。

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