2010年4月7日水曜日

MBA科目の教授法はケース・メソッドだけ?

たまには授業のこともブログに書いてみよう!先週末でついに私の冬学期も終了し、残すは最後の夏学期のみ。早いものです。すでに卒業する仲間も多く、あちらこちらで名残惜しむようなイベントやディナーが開かれています。




さて、冬学期にとったのは、5つの選択科目。自分も教壇にたっていたせいか、私の場合、自分が何を学ぶかに加えて、その授業がどのように教えられるか、にも興味津々なわけです。実際、ここでの教授方法は実に多様です。



MBAというと、「ケースメソッド」が有名ですよね。ある実在の企業や人物を記述した20ページほどの冊子(ケース)があり、学生は事前にそれを読みこみ、クラスで議論を展開することで、擬似的にマネジメント体験をするというもの。



実際は、この「ケースメソッド」を基本としつつも、授業によって変化球を組み合わせているのが実態で、いつでもどこでもケース、ケースしているというわけではありません-とはいえ、あくまでもロンドン・ビジネス・スクールでは、という前提ツキです(他のビジネススクールもほぼ同様だと思いますが、知らないので)。



ということで、それぞれの選択科目の教授法をあえてひとつのキーワードにあらわすと何になるか?そんなことを考えてみると、やはり科目ごとにバラバラ。



Leading Teams and Organisations

“ゲーム”

リーダーシップを教えるこの選択科目の特徴は、ゲーム。毎回のクラスで、チームでゲームを行い、そこでのリーダーやチームメンバーの実際の立ち振る舞いを振り返りつつ、リーダーシップについて理解を深めるという手法です。ゲームをするので、純粋に毎回楽しいですが、まああくまでもゲームなので、そこからの学びを実際のマネジメントの現場とどうひもづけられるかが教授の腕の見せ所。



Managing the Corporate Turnarounds

“ゲストスピーカー”

企業再生の修羅場を教えるこの選択科目のキーワードは、ゲストスピーカー。ひたすら、毎回ゲストスピーカーが授業を展開していきました。ターンラウンドマネージャー、バンカー、アリックスパートナーズなどの再生プロフェッショナル、プライベートエクイティから続々とゲストがやってきて、それぞれの視点で話しを語ってくれるというもの。立場を変えれば見える風景が変わることがよく分かるスタイルですね。



Paths to Power

“思想”

影響力の源泉を探るこの授業のポイントは、思想。この領域は古くは哲学からはじまり、社会学、心理学、経営学などじつに多くの学問からの学びがある。群雄割拠という感じでじつに多くの考えが存在している。それらの思想たちが紹介されつつ、クラスで議論して理解を深めていくタイプですね。



New Venture Development

“プロジェクト”

起業とビジネス・プランの書き方を学ぶこの授業は、はい、実際にビジネス・プランを書いて、最後はエンジェル、ベンチャーキャピタルの前でプレゼンするというもの。いわゆる、プロジェクトものです。個人的に試したいアイディアがあったので、チームを募集してプランを書いてプレゼンしましたが、能動的にやっている分勉強になりますね。手間ひまかかるけど学びが多いのはプロジェクトものの特徴。



Financing the Entrepreneurial Business

“自転車”

ベンチャーの資金調達がテーマのこの授業は、まるで自転車を覚えるときのよう。あまり事前に知識は与えられないまま、宿題や課題が課されるというスタイル。ウンウン悩みながらも、転んで擦り傷を負いながら、怪しげなベンチャーのお金周りを肌感覚でみにつけていくわけです。というわけで、けっこう負荷は重いけど、学び感は大きい。もしかしたら、OJTにじつは学びの方法は似ていますね。



こうしてみると、クラスのあり方はじつに多様。ということは、裏返して考えると、じつに学び方というのはさまざまだということを痛感します。この他にもまだまだあるし、さらに開拓の余地もまだまだありそう!

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