2008年12月8日月曜日

1学期の履修科目

ほぼ1学期の授業が終わりに近づきつつあります。来週は、個人に合わせて、ライティングやプレゼン、インタビュートレーニングなどがあるのみになっています。試験も、いくつかのレポ-トおよび、Financial AccountingのExamのみ。試験が終わったら、すぐに地中海にあるマルタ島へ飛ぶ予定でいます。

さて、今学期の履修科目を振り返ってみると、かなり広範囲な科目をカバーしていることになります。LBSの方針として、どんなバックグラウンドをもっていようと、まずは一通り満遍なく必修科目を受講することが求めているようです。

<9月>
Understanding General Management
ケース・ゲームを使って経営全般を俯瞰する。教授のフレームワークにしたがって、ざくっと経営とは何かを学ぶ。その他、グループワークや個人レポートもあり、MBA的学習スタイルに慣れるという意味合いもありました
Global Leadership Development Programme
ライティング/プレゼンなど、ベーシックなスキルを身につける-外部機関が講師。個人的には英語のコミュニケーションの練習になりGood。
Global Leadership Assessment for Managers
個人の360度フィードバック、ケース、ゲームを使ってマネージャーとしてどう成長するかを学ぶ。今までエリートであればあるほど、将来挫折する可能性があるというメッセージが好き。ある意味でMBA生に対する警告。
Business Statistics
仮説検定、重回帰分析までの基本的な統計解析スキルを学ぶ。講義、グループで問題演習、PC演習の3つがワンセットになっていて、バランスがいい。加えて、グループレポートと個人レポートの二つが必要


<10月~12月>
Financial Accounting
財務分析以前の、財務諸表の作り方/仕組みについてじっくりと学ぶ。じつはこれらの科目の中で一番ヘビーかも。会計は奥が浅いようで、深いです。
Financial Accounting - Application Session
Financial Accountingの応用事例や演習など。先生がメキシカンで、無機質な会計を、ノリノリな科目にしていくテクニックはミモノ。
Corporate Finance
いわゆるCorporate Financeをひとおりカバー。企業価値算出までが1学期までの内容。2学期まで続く長いプログラム。ロシアアンな先生が、クラスのとの関係性を作るのが上手で人気。逆に後半の講師は、講義自体はうまくないが、本質的な問いを何度も迫ってくるので、それはそれでいいやり方。
Managerial Economics
ミクロ経済学を学ぶ- 需要・供給理論、ゲーム理論、オークション、産業分析などなどを、レクチャー、ケース、グループプロジェクトを通じて学ぶ。
Strategy
ケース・ゲーム演習などを通じて、ポジショニング、リソース、組織について学ぶ。フレームワークそのものというよりは、ケースが極端なものが多くて面白い。また、いくつもの研究成果を途中途中で教えてくれるのもけっこう役に立つ。Intensiveなグループワークあり。朝に課題を言い渡され、その日の22時までに提出するという、グループダイナミクスが試される日がある。
Strategic Problem Solving
いわゆるロジカル・シンキングを学ぶが、学生からの評判は今ひとつ。
Business Ethics and Corporate Social Responsibility
マネージャーとして、倫理的な問題に対してどう判断を下すかを学ぶ。まずは、きわめて個人的な意志決定から、CSRに通じる大きな意志決定まで、答えのないIssueに取り組む。奥が深くて好き。
IT for Business Value
DBなど古典的なハナシからWeb2.0まで。
Career Skills
レジュメの書き方、インタビュー、コネの作り方などかなり実践的な内容。LBSのCareer Servicesが提供してくれているプログラム。最後は、個々人のCareer Developmentスキルがものを言う。
Global Leadership Development Programme(続)
ライティング/プレゼンなど、ベーシックなスキルを身につける-外部機関が講師。私は、Online受講による英語練習コースおよび、アドバンストライティングコース、マインドマップコースの3つを履修


満遍なく学ぶとはいえ、実は負荷としては、相当にFinance系の科目の負担が重くなっているのが実情でしょうか。10月以降からは、週に、Financial Accountingが3時間、その応用編としてFinancial Accounting-Application Sessionが90分、そしてCorporate Financeが3時間、optionalで、Corporate Finance Tutorial Sessionが90分という具合に、Finance系科目が多いのです。加えて、Financial Accountingは、個人レポートが4つ、Corporate Financeは、毎週の個人レポートおよび、グループアサインメントが3つという具合に、他の科目に比べると授業以外の負荷も多いのが特徴です。

FinanceおよびAccountingともに、積み上げの科目であるため、どこかで挫折すると、それ以降がついていけなくなるという科目です。落ちこぼれを出さないように、相当な配慮をもってカリキュラムが設計されています。

個人的には、Corporate Financeは仕事でも使っていたものの、今回きちんと復習するとても良い機会になりました。Accountingは、Financial Analysisはしていましたが、Financial Analysisに入る一歩手前のいわゆる「会計」そのものについては、それほど勉強したことがなかったので、大いに勉強になりました。Accountingの学びのもうひとつは、いわゆるCorporate Financeのように鮮やかな理論的な背景のない科目において、どのように定性的なルールを理論化していく様をみることができたのは大きいと思います。これについては別途書きたいと思います。

そして、これだけビジネススクールが、Finance系の科目に力を入れていると言うことは、逆に多くの人が学びたいと思っているともいえます。そして、Finance系を志しているクラスメイトは、さらに自主的に勉強会を開催して、昨今のディールについてディスカッションしたりしていますから、上には上がいます。なので、もうひとつ再確認するのは、Financeの領域で自分は戦うべきではないということ。選択科目は、よりソフトスキル、もしくは、Change Management系の科目をとる予定です。

広範な科目を一気に短期間の間にカバーするので、今一度、自分の関心領域なのか、どこに興味がないのかを再確認できた1学期だと思います。と同時に、忘れてはいけないのは、世界中に友人が急速にできつつあること。

まだはじまって数ヶ月なのでなんともいえませんが、こうしたビジネススクールでの科目はあくまでも、素材に過ぎず、極言すれば、素材はなんでもよくて、何らかの素材を使って、1.自分の思いや思考を深めると同時に、2。その素材を使った議論を通して、ヒトとのつながりを増幅することができる、それが価値なのではないかと思っています。

2008年12月7日日曜日

ある日の休日:友人との交流

今日は、スタディグループのメンバー5人を自宅に招いてランチをする日。ところが、朝になって、3歳になる息子の体が熱いではないか!熱を出してしまったようです。急遽中止にしようかとも思うモノの、妻と話してそのままランチを実施することに。息子には、となりの寝室でゆっくりと休んでもらうことにしました。

最近、何度か外国人を呼んできた経験をもとに、外国人にウケるメニューにすることにしました。日本人的にけっこう好きな肉じゃがなどよりは、やはり分かりやすく、味がしっかりついているものがいいみたいです

したがって、本日のランチはいたってシンプル。

前菜:
豆腐サラダ
枝豆、

メイン:
手巻き寿司(サーモン、まぐろ、かんぱち、アボガド、きゅうり、厚焼き卵)
味噌汁
からあげ、照り焼きチキン

デザート:
ケーキ、ハッピータン、せんべい、緑茶

手巻き寿司は、ゲストにとって体験型の料理になり、なんといっても外国人の大好きな寿司なので、とても喜ばれます。そして、準備する方も楽なのもポイントです。にぎり寿司はみな知っているようですが、手巻き寿司は意外と知られていません。これは、日本の家庭料理なんだ、と適当に説明を加えるととてもウケます。ご飯をのりにつけすぎて、うまくまけなかったりと、なかなかみんな楽しんで巻いていました。

ネタは、売れ行きがいいのは、文句なしにサーモン。脂身がたくさんのっていて外国人ウケするようです。サーモン、まぐろ、かんぱちを、4:3:2で調達したものの、サーモンはあっさりとなくなったものの、かんぱちは一切れ残ってしまった。きゅうりはほとんど人気がなかったので、次回はなくてもいいかも。

そして、からあげ、照り焼きチキンもよく食べていました。とくに、唐揚げは売れ行きがよかったと思います。ケンタッキー・フライド・チキンで、この手のものはなじみがあるのかもしれません。

枝豆も好評でした。ビールによく合いますから。枝豆はたっぷりの塩でゆでて、しょっぱく味つけをしました。外国人には、やはりしっかりとした味付けがポイントです。

今回新しく試してみたのは、豆腐で、サラダと味噌汁に使ってみたのですが、これは賛否両論でした。全部残した人もいれば、全部食べた人も。豆腐のような繊細で、かつ、微妙な味わいは、なかなか難しいのかも知れません。とはいえ、のりも昔は外国人は「ヘンなにおい」があって敬遠されていたものの、今は何の問題もなく、バリバリ食べていますから、これも慣れなのかも知れません。地道に普及活動を続けます!

今日よく聞かれたのは、日本の食材はどうやって作るのか?という質問。たとえば、豆腐はどうやって作るのか?味噌はどうやって?のりは?といった質問を受けたのですが、なかなかうまく説明できず、反省です。

食事のあとは、グループメイトがもってきてくれたケーキと、日本茶を楽しむ。あわせて、Rice Crackerであるハッピータンを出すも、こちらは意外に手つかずでした。

前日にLBSのイベントSanta Pub Crawl-全員でサンタの格好になり、ロンドンの街中を歩くイベント-があり、みな二日酔い気味だったのですが、けっこう食べてくれたと思います。今度は、ちらし寿司を出そうと思っています。そして、妻に感謝です。

さあ、その後夕方からは、この寮の家族クリスマス・パーティ。でもうちの子は、熱を出していたので、残念ながら我が子は行けずじまいでした。心配をしてくれた、同じ寮に住んでいる元医者が、英史をみてくれたところ、今のところ心配はないよ!とのこと。ひとまず安心です。ちょうど日本人の留学生で、元医者の方がいらっしゃって、大変心強い限りです。

せっかくなので、妻と交代で、家族クリスマス・パーティに参加することにしたのですが、やはり多くの家族と触れあえるので、こういうコミュニティでのパーティはいいもんだなあと感じます。子供も0歳から5歳くらいで、ちょうど境遇が同じような家族が集まっているのもいいのでしょう。

だんだんとこの家族寮でも知り合いが増えてきたので、こういうパーティに参加するのが楽しみになっています。そして、何よりも貴重な情報交換の場になっています。子供の病院とか、家族で行きやすい旅行の行き先などなどの、旬な情報が入ってきます。やはり、「高品質な情報は、コミュニティから」です。

そして、夜はMicro-Economicsのレポートを書きます!

2008年12月2日火曜日

London Business Schoolは日本人向きのビジネススクール

恒例になっているFinancial Timesのビジネススクールのランキングで、London Business SchoolのMBA ProgrammeおよびExecutive MBA Programmeが欧州ビジネススクールの中で1位、総合で2位にランキングされました。ここ最近は、比較的好ランキングが続いているようです。そして、今までLBSが提供していなかった、学部卒向けのプログラムMaster in Managementを来年から開講することで、総合でも1位を目指そうしています。LBSがもっとも注目してみているのは、来年の頭に発表されるFTによるグローバルビジネススクールランキングでしょう。このランキングでは、欧州、米国、その他のビジネススクールすべてを対象にランキングがされます。

さて、ビジネススクールは、やはりその発祥の地であるアメリカの学校がとても有名で、実際素晴らしい学校がたくさんあると思います。グローバルランキングでも、やはりUSの学校が多く名を連ねます。そこには、長い伝統からくる知識の積み重ねと、高いレピュテーションがあると思います。したがって、日本人は、まずはビジネススクールというと、USの学校を念頭におくのではないでしょうか。日本企業の留学生制度によっては、欧州のスクールに留学する場合は、会社からなぜ欧州系なのか、追加で説明を求められるとも聞きます(USのスクールならば不要)

しかし、最近思うのは、London Business Schoolは日本人にとても適したビジネススクールであると思います。その人にとってのベストスクールは人それぞれなので、日本人と括って議論するのは、少し無理があるのですが、欧州系のビジネススクールのアピールもかねて、そう思う「6つの理由」をあげてみたいと思います。

1.多極化する世界にマッチした世界観に触れることができる
今はまさに金融危機のまっただ中で混沌としていますが、これから先、確実にいえるのは、世界が多極化していくということでしょう。米国一辺倒でもない、EU一辺倒でもない、またBRICS一辺倒でもない、むしろ、これらの国、もしくは国のまとまりが、互いに拮抗しあう世の中になっていくのは、周知の通りです。

こうした世の中になっていく中で、LBSのような、全員がマイノリティで構成されるクラスメイトと2年間を過ごすことは大変価値があることだと思います。イギリス人、アメリカ人ですら、それぞれお10%ずつしかいません。西欧、東欧、ロシア、アフリカ、アジア、US、南米、などバランスよく国籍が分散しています。ある意味で、近未来の世界を、バーチャルにクラスで疑似体験することができると思います。

クラスディスカッションでは、「うちの国では」といった議論もよくされますし、教授の方も、どこかの国に根ざした発言はせず、いつもニュートラルな発言を求められます。我々学生もどこかで、相手のナショナリティを尊敬する必要があることを感じます。そして、世界のニュースに一段と敏感になるようになりました。たとえば、ジンバブエのニュースでも、クラスメイトのだれだれの国だという意識のもと、世界のニュースが身近に感じられるようになるのです。

また、学生だけでなく、教授もきわめて多様です。まだ1ターム目ですが、今まで受けた先生の国籍をあげてみると、メキシコ、スペイン、ロシア、ポルトガル、カナダ、アメリカ、イタリア、ルーマニアなどなどその多様性が分かると思います。

国際感覚が乏しい日本人にこそ!このような環境下での「学び」は激しく大きいように思います。

2.平均年齢が高く、大半の学生が英語を母国語としていないNon-nativeである日本人で留学する場合、概して、平均年齢は高めで、帰国子女でない限り、大なり小なり英語のハンディキャップを抱えることになりますが、上で述べたように、ほとんどがネイティブスピーカーではないので、そんなに気後れすることが少ないと思います。そして、平均年齢に関しては、このブログでも何回か書いたかも知れませんが、29歳と高めなので、日本人の留学生プロファイルとマッチするのがうれしいところです。

そして、先生もほとんどノンネイティブですので、一見英語が聞き取りにくいのではないかと思うかも知れませんが、じつは逆で、ノンネイティブなので聞き取りやすいのです。私などは、流ちょうに話すネイティブよりは、ノンネイティブの方が、難しい言い回しを使わず、スピードも遅いため、聞き取りやすく感じます。

3.授業はケース一辺倒ではないため、ワークロードは、ほどよいハードさ
LBSの授業は、ケース、レクチャー、その他体験学習などがバランスよく配置されていると思います。まだ1学期しか経験していないため一概にはいえないのですがじつはワークロードは大変は大変なのですが、超きついということにはなりません。日本人の留学生の場合は、多くはパートナーや子供とくることが多いと思いますので、家族の時間も必要でしょうし、英語のハンデを克服する時間も必要でしょう。就職活動や、課外活動時間をたっぷりと使いたい人もいるでしょう。こういう場合、ワークロードがほどよいのは、とても助かります。

その秘密は、おそらくケースをこなす数が少ないということでしょう。予習に一番時間をとられるのはケースです。LBSの授業は、一コマ3時間です。一方、よくあるのは90分。そして、その3時間で、ケースを1つ行います。学校によっては、90分で1個ずつですから、想像されるように、ケースをこなす数が少なくなるわけです。この辺りは賛否両論あるかもしれません。その分、クラスでのレクチャーや、ゲームなどが織り込まれるので、学びが少ないというわけではないと思います。またじっくりとケースの議論をできるというメリットもあります。また、グループアサイメントがけっこう課されるので、一方で時間はとられますが、これは楽しく、価値ある経験です。個人的にはグループアサイメントはもう少しあってもイイカモと思っています。

総じて、ワークロードは、大変ながらも、ほどよく調整されていると感じています。

.学校はパートナー/子供も満喫できるロンドンのど真ん中に位置する
やはりロンドンにあるというのは大きいでしょう。演劇、文化、音楽、ミュージカル、美術館、博物館など、ありとあらゆる見物がそろっているし、緑豊かな公園もとても多く、私は、とても住みやすい街だと思います。妻は、東京と同じくらい住みやすいと言っています。日本食を扱う店や日本料理店も多く、日本食が恋しくなると言うこともないと思います。

逆に、よく挨拶代わりに言われる、ロンドンのよくないところは天気。とくに冬は、そして、今は、日中がとても短くなり、寒く、よく雨が降ります。イヤです。ガ、個人的には、日中は授業を受けているわけで、そんなに今のところ苦になっていません。(これからもっと寒くなるのでしょうか?)それに、夏は、湿気もなく、東京のように酷暑になることもなく、本当に気持ちよく過ごせます。

5.日本からは旅行しにくい各国へ手軽にアクセスできる

旅行を満喫できる!これは、勉学以外のプライベートの生活を留学中豊かにする上で、とても気に入っている点です。日本からだとなかなか行きづらい多くの国々へ、手軽にいけます。フランス、イタリア、スペインなどは、もう1,2時間圏内ですし、トルコ、チェコなどの東欧へもすぐ行けます。個人的には、ロシアのセントピーターズバーグ、クロアチアのドブロクニクに加え、アイスランド、エジプトなども行ってみたいと思っています。

距離的、時間的にこれらの国が近いことに加えて、価格的にもヤサシイのも見逃せません。ライアンエアーやイージージェットのような格安航空会社のおかげで、かなり低価格でひとっ飛びできるのが何ともうれしいところです。

6.円高ポンド安によりロンドンは相当生活がしやすくなっている
そして、最後に財政面。欧州系、とくにイギリスのビジネススクールが敬遠されてきた理由のひとつに、とくに私費の留学生にとって、イギリスの物価の高さがあったかと思います。しかし、この為替の大変動のおかげで、ただいま現在は、円高ポンド安になり、かなり生活がしやすくなっています。私がこちらにきた夏は、1ポンド=220円ですが、今は、1ポンド=150円未満ですから、3割安くなった計算になります。たとえば、学校のコーヒー一杯は、1ポンド15ペンスで、今までは250円だったのが、これが170円になるという感覚です。学食は、4ポンドですが、今までは、880円だったのが、今は、600円という感覚です。そうとう日本人の懐にやさしくなったのです。日本の物価に相当近づいたといったもイイと思います。

以上、アカデミックという点でも、ブランディングという点でも、財政面においても、ロンドンビジネススクールは、日本人にとって、今まで以上に学びやすく、そして学びの多い学校なのではないかと思う次第です。

2008年12月1日月曜日

改めて思うこと:企業は変えられるという事実

Strategyのクラスでは、さまざまな業界や企業の変革のケースを扱うのですが、こうしたケースをじっくりと学んでみると、改めて、企業は変えられるという単純な事実を認識させられます。

私たちは、多くの「慣性」にのっかって、日々の延長線上で考え、仕事を回しがち。こうした惰性を、Organizational Inertia(組織の慣性、うまい訳が見つかりません)と呼ぶようですが、私はこの概念けっこう好きです。なぜなら、いろんな企業のコンサルティングを通して、まさにこうしたOrganizational Inertiaを歯がゆくみてきて、それらを上手に整理してくれているからです。

Strategyのクラスではこんな風にOrganizational Inertiaを整理してくれました。
構造的な慣性
 ・組織が複雑/硬直化して変えられない
 ・すでに投資してしまったからもう変えられない
心理的な慣性
 ・こういうもんだという思い込みから変えることができない-メンタル・ブロック
 ・行き過ぎたコミットメントが邪魔して変えることができない

こうしたOrganizational Inertiaが企業の変革を邪魔するわけです。しかし、一方で、変革に成功する企業を勉強することで、Organizational Inertiaに抗して、企業を変えることができるんだと、思えるのは実にうれしいことです。過去のコンサルティングの中でも、「やはりこの企業は変ることができないのか」と悲観的になったこともありますが、そう思う必要はない!というメッセージですから、勇気づけられます。

企業変革事例その1 スイスの時計産業
この事例は驚愕です。企業を変えた、というよりは、産業そのものを変えてしまったのですから。Organizational Inertiaというよりは、もっと大きな慣性、Industrial Inertiaというべきか。

スイスの時計産業は、高級時計セグメントとして、一躍時計産業の頂点に君臨しますが、日本勢・香港勢の安価で性能のよい時計の出現によって、スイスの時計産業は、危機に瀕するわけです。変化に対応するといっても、それはそれは難しく、スイスの時計産業は、時計職人の小さな個人商店の集まりとそれらを束ねる幾重にも成る組合からなっていたのでした。
しかし、スイスのコンサルティング会社とこの状況を憂うスイスの銀行によって、産業としてこうあるべきという青図に向けて、一気呵成にバラバラの産業を統合化し、強力な中央集権的な企業を創り出したのです。この成果が、スイスの時計産業を救うことになる「Swatch」なわけです。あらゆる生産ラインを一元化し、いらない工場はたたみ、複数あった組合は統合させてひとつの企業とし、デザインはすべてイタリアのトップデザイナーにアウトソースし、というように、産業構造自体を変えてしまったのです。想像を絶することを次々とやり遂げたのだと思います。

企業のレベルで物事を、変えられないといっているのは「まだまだ甘い」。そんな風にも聞こえてくるケースです。

企業変革事例その2 オーティコン:デンマークの補聴器メーカー
これは、企業文化を根本的に、変えてしまった事例。企業文化は、企業のDNAのようなもので、変えられないという先入観を覆すのにはうってつけのケースです。

デンマークの補聴器メーカー、オーティコンは、もともと技術志向の会社で、その先端的な技術によって一躍補聴器のトップ企業に躍り出るものの、これまた、海外勢であるソニーやシーメンス(ドイツ)の攻勢によって、危機に瀕するわけです。さらに、オーティコンの問題だったのは、そのきわめて官僚的な組織カルチャーのおかげで、にっちもさっちも身動きがとれない状況にありました。技術志向が強く、顧客をみない、その上、官僚的。日本企業でもよく聞く話です。

再生請負CEOのKolindは、まずは、マーケティング機能の強化、業務の効率化、などなど今の表出する問題点をつぶしにかかります。それはそれで、すぐ成果が現れ、めでたしめでたし。

ところが、Kolindが素晴らしいのは、この回復は、一過性のモノであると認識していたことです。危機に瀕したときは、とりあえずそこそこ外れない打ち手を打てば、業績は回復するもの。しかし、それが定常的に続く仕組みを作るのが難しいことを指摘しました。

Kolindは、組織文化を抜本的に変えるために、組織、部署というものを一切なくしてしまったのです。すべて、プロジェクトベース。だれがプロジェクトを起案してもいい。プロジェクトを起案したヒトは自分で人材を集め、チームをつくり、成果を出す。Kolindは、これを、スパゲティ組織と呼びました。官僚的な組織の全く正反対の組織形態に大きく、振り子を振ったわけです。

さすがにあまりにも混沌としたために、そのあと、もう少しいわゆる、伝統的な組織に戻します。しかし、戻したとしても、昔に比べれば全然、ましなわけで、オーティコンは今でもイノベーティブな製品を出す企業として、活躍をし続けています。徐々に変えるのではなく、一気に行き過ぎなほど変えてみる、そんな手法をKolindはとり、抜本的に組織文化自体を変えることに成功しました。

面白いケースたちです。

2008年11月29日土曜日

ネット世代の試験対策

最近は、もうすっかり期末試験のシーズン。このはじめのAutumn Termも終わりが近づきつつあると思うと、改めてTime fliesと感じずにはいられません。時間が経つのは早いものです。お世話になって卒業生に一人が、「一瞬一瞬を大事にして!」と言っていましたが、まさにそうなのだろうと思います。

こうした学校のレポートや試験対策には、インターネットが大活躍しているようです。今の学生世代は、まさに空気のようにインターネットを使いこなしている世代ですから、当然といえば、当然です。われわれの学生の間でも、試験前になると、過去問やその解説、クラスのポイントをまとめた資料などが、メールを通じて飛び交っています。

こうしたのはまだまだ原始的な手口であって、先日のBusiness Weekによると、各学校、教授、クラスの、過去問、クラスノートの情報共有サイトがここ数年で急速に伸びているという記事がありました。今まで物理的に行っていたモノを、ネットの世界に載せることで飛躍的に共有を効率化するという、とても簡単なアイディアですが、誰にもとめることのできないトレンドです。ここに紹介されてあるものとして、以下のようなものがあります。

過去問の共有サイト(PostYourTest.com, Exams101.com)
授業のノート共有サイト (NoteCentric.com)
study guides (HowIGotAnA.com)
上記の全部 (CourseHero.com).

その他にも、Business Weekには載っていないですが、よくあるレポート課題のレポートサンプルの共有サイトや、レポートの代筆、添削など、なんでもありの状況になってきています。レポートの代筆や、添削は、インドの比較的低賃金だけど、高学歴な学生を雇えば、安くできるというわけです。

こうしたサイトに対して、学校の先生、教授陣は、憤慨しているようですが、なんと時代遅れな対応をしているのかと、思わずにはいられません。試験問題の共有は、知的財産法の侵害にあたるとして、その違法性を主張したりと、あの手この手で、このサイトをなくそうとしているようですが、「音楽配信」「動画共有」などと同じで、この手のトレンドは、「止めることのできない」トレンドです。いくら阻害しようとしても、大きな力の前にはただただひれ伏すしかないわけです。

問題あるところにビジネスあり。たとえば、レポートのコピー・アンド・ペーストを摘出するソフトウェアで、Turnitin(http://turnitin.com/static/index.html)があります。大学、高校などの教育機関では、スタンダードになっているソフトウェアのようです。学生から提出されたレポートを、このソフトウェアにかけると、「カット・アンド・ペースト度」を算出するというすぐれもの。ネット上の文書などありとあらゆるテキストとの照合をかけることによって、学生が既存の文書をコピーしていないか、アイディアを盗んでいないかを検出するわけです。

アイディアの盗用に関しては、ある種の「倫理的な」問題が伴うので、別の議論が必要ですが、過去問、過去のノート、スタディガイドの共有に関しては、Business Weekで発言しているある教授のコメントは的を得ていると思います。「われわれが、もう少し努力をすればいいだけ」。そうなのです、たとえば単純なハナシですが、新しい問題をつくればいいわけです。

昨日あったStrategyの試験は、朝の9:00にメールで試験が配信されて、その日の12:00に返信すべし、というもの。ネイティブも時間いっぱいかかるという、なかなかライティングヘビーな試験です。この試験の場合は、そもそも何でももちこみOKです。やろうと思えば、クラスメイトとも相談もできますが、時間的なタイトなので、なかなか他人をサポートしている余裕もないわけです。とはいえ、こうした状況下でも、他人の力を借りられる人は、それも立派な実力でしょう。

また、日本のビジネス・ブレークスルー大学院のテストでは、授業によっては、学生の中間レポートに応じて、学生の問題をすべて変えているそうですから、これもまた、イノベーティブなやり方です。

インターネット世代である学生には、従来のもぐらたたきのアプローチではない、インターネット時代にふさわしい対応策が必要、でも学校側が、非インターネット世代なのがなやましいところです。

2008年11月26日水曜日

ブレーンストーミングには批判も必要!?

Wikipediaによると、

「ブレーンストーミングとは、少数の集団で自由に意見を出し合い、あるテーマに関する多様な意見を抽出する技法のことである。質より量を重視し、お互いの意見に批判をせず、自由に意見を出し合うことで、周辺知識を列挙することができる」

ここでのポイントは、お互いの意見を批判しないです。こういうことは、おそらくビジネスパーソンの間では周知の事実でしょう。

しかし、最近の研究によると、じつは、そうしたお互いを批判しないというルール自体が、自由な発想を阻害するのだそうです。むしろ、批判を恐れずに議論をしあうことでより創造的なアイディアを引き出し、結果的に実りのあるブレーンストーミングになるというのです。

批判をしないというルールそのものが、頭の思考をどこかで縛ってしまうということなのでしょう。何となく分かる気がします。そして、自分がアイディアに対して、相手がチャレンジしてきたら、やはりぐっと一段と深く考えますから、そこからより一歩クリエイティブなアイディアが出てくるというわけですね。自分の経験と照らし合わせても分かる気がします。

ここで大事なのは、何の束縛もなく、意見を言い合うというのが、ブレストのそもそもの意味だったはず。それが、いつの間にか、相手を批判してはいけないという盲目的なルールに昨今なってしまった、というのは大きな気づきです。

そして、自分の意見を批判されても、それはその人が批判されているのではなく、その意見がチャレンジされているという感覚をきちんと持ち合わせることが、私たちに必要になってくると思います。ここの精神構造の変革なくして、ただ批判OKとしてしまっても日本企業ではおそらく昨日しないのだと思います。

<以下、研究結果の概要について-LBSポータルサイトより>
New research from Professor Charlan Nemeth finds that setting rules in brainstorming can impair creativity
‘Don't criticise anyone's ideas' is a typical rule of brainstorming sessions, but new research from Charlan Nemeth, Visiting Professor of Organisational Behaviour at London Business School reveals that such instructions can actually make people less creative.
While discussing ideas without fear of criticism is intended to encourage people to share creative ideas, research suggests that criticism and debate are in fact liberating and stimulating for creative thought and thus lead to creative outcomes from brainstorming.
Charlan Nemeth, Visiting Professor of Organisational Behaviour at London Business School, has previously documented the value of debate, even criticism, for creativity in a study conducted both in France and in the United States. In this more recent study, she explored whether it was lack of criticism that impaired creativity, or the setting of rules. Charlan predicted that when participants were given suggestions, not rules, they would produce more creative ideas, particularly when encouraged to criticise freely.
Charlan and her co-authors found that giving participants rules produced less creative outcomes than giving suggestions. Whether criticism was allowed or not had less of an impact than the way in which this guidance was delivered.
This research suggests that imposing rules on creative processes produces effects of conformity and convention that are not conducive to creativity. People are less likely to play, to come up with the "wild" ideas, that are part of the creative process when they are trying to follow rules, regardless of how well meaning those rules may be. Having rules to remember and consciously follow may also distract people from creative thinking.
The research, ‘The "rules" of brainstorming: an impediment to creative thought', was funded by the Institute for Research on Labor and Employment at University of California Berkeley which has supported Charlan's previous research on the liberating role of conflict in group creativity.
Created on 19 Nov 2008

2008年11月23日日曜日

Case Competition

欧州のUndergraduates、MBAのリクルーティングのために、うちの会社の東京オフィスメンバーが、やってきました。私もロンドン丁度ロンドンにいるので、昨日の夜と今朝とインタビューなど、お手伝いをしました。こちらの学部生や他の学校のMBAと交流できたりしたのは、新鮮でなかなか楽しかったです。

その後、午後は、Case Competitionのための初会合のために、学校に移動。Case Competitionとは、ある会社の実際のケースにもとづいて、その会社への提言を3,4人のチームでまとめ、それらをチーム間で競うというものです。今回は、シンガポールのNUS Business Schoolが主催するCompetitionでBest World Internationalという、化粧品などをマルチ商法で販売するシンガポール企業への提案になります。Best World InternationalがこのCompetitionをスポンサーしています。

こうしたCompetitionはビジネス・スクールにはたくさんあります。こうした既存の企業への提案をするケースもあるし、ビジネスの起業プランを競うものもあるし、さまざまなものがありますので、学生は自分の趣向に合わせて、どれに参加するか選んでいくことになります。

こうしたCompetitionは、また世界に新しい友人を作り、とても良い機会だと思っています。今回のチームは、元気のいい中国系アメリカ人エド、ドイツとUSのハーフのトーマス、シンガポールのイーホン、そして私の4人。必修科目(Core科目)を一緒に取り組むStudy Groupと違ったメンバーと作業を進めるのも新鮮です。

一方、SponsorであるBest World Internationalにしてみれば、そんなに大きくないこの会社にとって、こうした企画をスポンサーすることによって、世界中のビジネススクールに通っている学生に名前が知り渡るのは大きな宣伝効果になります。また、何十チームと、スポンサー企業への提言を考えてもらえるわけですから、安いコンサルティングフィーだと思えば、とても費用対効果は高いモノでしょう。質の悪いコンサルティング会社を1社頼むよりも、はるかにいいかもしれません。

一方で、主催社であるNUS Business Schoolにとっても、NUSのロゴが入ったケースをみなが読みますから、これも、世界中のリーダー候補へNUSの名前をとどろかせるのにとても効果的なわけです。私も、このCompetitionの前には、この学校の名前をよく知らなかったことからも、認知をあげるという意味で、効果があるということでしょう。

さてこのケースの主人公である、Best World Internationalとは、こんな会社です。

Best World specializes in the development of health and wellness
products that are distributed through its proprietary direct selling
channels. Founded in 1990 to provide quality products to enhance
lives, Best World has since evolved into one of the leading
companies in the health and wellness industry. Today, Best World
has a healthy presence in Australia, Brunei, China, Hong Kong,
Indonesia, Malaysia, Taiwan, Thailand and Vietnam – even as it
continues to expand outside the Asia-Pacific region.

お題は、「今後のさらなるアジアマーケットの拡大に向けて、どのような打ち手を展開すればいいか?」です。どの国にエントリーして、どのような顧客に、どのような商品を、どのように届けるのか? 業界がMulti-Marketing(いわゆるマルチ商法)なだけに、通常のマーケティングに少しヒネリを加えて考える必要がありそうで、面白そうです。たとえば、この商売は、どうしても「うささんくささ」、社会的な許容度が大いに関係するので、その国の文化と大いに関係があったりするわけです。そんな視点も踏まえた上での提案が求められるます。どなたか、いいアイディアがありましたら、教えてください。Straight Forwardにマーケティングプランを書いてもつまらないので、競争のルールを変えるような提案をしようとハナシをしています。

このケースの中でビックリさせられるのが、日本のMulti-Marketing Businessのマーケットサイズ。アムウェイなどを輩出しているアメリカにおけるマーケットサイズは、29.5 Billion ドルなのに対して、なんと27.3 Billionドルもあるのです!!ほぼ、アメリカと変らない大きさが日本にはあるのです。その次は、ドーンと離れて、Koreaの8.03 Billionです。そして、Taiwan 1.56、Malaysia 1.26と続くわけです。はっきりいって、アジア=日本のようなものです。-この会社は日本には参入していません。日本への参入への是非は大きな論点になるでしょう。

ところで、SNSのようなネット上のネットワークを使って、販売できないかを考えたいと思います。そして、上記のようなビジネスは、どうしても高価で(だからこそ原価率を低くできて儲かるわけですが)、それ故にアッパーセグメント、30歳以上を狙うのが通例なのですが、ここはぐーっとプライシングを下げて、ネットと親和性の高い若い世代にも変えるような商品を投入して、SNSのネットワークに乗せて売ることはできないものでしょうか。マルチ商法のピラミッド階層を、ネット上で実現するようなイメージ。もう少し議論する必要がありそうです....

“パスタ”がしみじみとおいしい

日本で食べる熱々の「釜揚げうどん」がおいしいように、「素パスタ」がとても気に入っています。作り方はとてもカンタン。

たっぷりと張った水に、多めかなと思うくらい塩をドバっと入れて、パスタをゆでる。10分ゆでたら、さっと熱湯をきり、そのまま皿にパスタをのせる。あとは、オリーブオイルをたっぷりとパスタに絡ませて、仕上げはパルメザンチーズをどっさりとかける。「素パスタ」の一丁上がり。

まだ熱いうちにパスタを頬張ると、パルメザンの塩気と、オリーブオイルの豊かな風味、それからパスタの少し堅めの歯ごたえが絶妙にマッチして、なんとも至福な気持ちになれる一瞬なのです。ペンネで作ってもとてもおいしいです。ちょっとした夜食にもってこいです。

ここロンドンにいるから、なんとなく「おいしい」が感じているのかもしれませんが、じつは、パスタもパルメザンチーズも、オリーブオイルも、日本で買うより、ほんの少しだけ質がいいのではないかと思っています。というのも、たとえば、オリーブオイルにしても、こちらのスーパーでは、ものすごい選択肢があるわけで、メーカーにしてみたら熾烈な競争にさらされているわけです。

一方、日本では、オリーブオイルがスーパーにあればいい、というくらいで、品種の多さは問われないでしょう。逆に、日本のもちもちとした「米」はやはり、こちらで買うと、日本で買うのに比べるとパワー不足を感じてしまいます。

パスタは色々の応用も、いともカンタンにできる食材でもあり、我が家の食卓に「パスタ」が登場する機会が増えている今日このごろです。

食材が少しずついいモノを使っていることで、結果的には、ある臨界点を超えて、「ああ、うまい!」と感じているのかもしれません。-強引に学びをみつけるとすれば、ほんの積み重ねが、結果的には、大きな差につながるということでしょう!

そう考えると、企業もそうで、たとえば業界内の2社を比べたときに、やっている業務や活動はそんなに変らなくても、ひとつひとつの細かいタスクレベルの仕事の精度が少しずつ違うだけで、企業の最終的な業績には大きな差がついているのはよくあることかと思います。

新世代学生の出現:B-Schoolのチャレンジ

こないだBusinessWeek恒例のビジネススクールランキングの発表がありました。めでたく1位に輝いたのは、Chicago Business Shcool。この特集を手がけた編集者のインタビューを聞いたのですが、彼らによると、今の学生は、いままでの世代とは違う、新人類世代が入ってきているんだそうです。したがって、当然違ったニーズを持ち合わせているわけで、学校側もそれへの対応が迫られているわけです。この新人類世代の特徴として、私なりの解釈をすれば、ネット世代、自己中心的、グリーン世代、個性喪失の4つ。

ネット世代:
インターネットをフル活用して育った初めてのジェネレーションがビジネススクールに着始めているという指摘。たしかに、私も高校、大学の頃からインターネットを使い始めたのを思い出すと、そうかもしれません。要は、ネットが当たり前と心から思える世代が入学してきたということです。こうした学生の新しい趣向を学校側が、十二分に対応できるかどうかがチャレンジだというのです。

たしかに、ネットの活用をもっともっと活用するチャンスは至るところにあると思っています。たとえば、今日も、教授からのメールがあり、「みんなから質問のメールが多いので、返事が遅れるかもしれないけど、ごめん」との発信がありましたが、それに対して、クラスメートが「Strategyのクラスで集団知を習ったように掲示板を使って、集団知で、質問に答え合おうよ、、」との提言。いや、たしかにそのとおりです。先生、生徒とのコミュニケーションだけでなく、生徒から知恵をひっぱってくる仕掛けをより活用する余地はあるな、と思いました。

また、オンラインでのクラスもほとんどないので、これも検討の余地ありです。今、私は、Spoken Englishという英語のスピーキングに関するコースを受けているのですが、これが唯一のオンラインの授業です。リアルキャンパスの学校であったとしても、すべてクラスで受講しなくてもいいのかもしれません。リアルとオンラインの双方の活用は、これから検討に値する面白いテーマだと思います。

自己中心的:
自己中心的な世代のようです。自分をみて、かまってくれないとイヤという世代のようです。したがって、画一的なカリキュラムを押しつけられるのがイヤな世代。ここ最近のビジネス・スクールのトレンドとして、選択科目のフレキシビリティをぐーんとあげてきているようです。たとえば、シカゴは、1年生のときから自分の関心に合わせて、バンバン選択科目をとれると聞いています。一方、LBSは、いまのところ、1年生の1学期は、100%必須科目で埋め尽くされています(笑)。このあたりの方針は学校によって大きく分かれるところです。

グリーン世代:
環境問題、エネルギー、CSR、こうしたトピックへの関心度が飛躍的に高いのがこの世代の特徴です。こうした問題を学ぶためのカリキュラム、教授、体制を整えるのがひとつのチャレンジになるとのこと。たしかに、この分野は新しいので、なかなか教授も揃えるのが難しいし、理論も確立していないので、教えるのも一筋縄ではいかないところです。いまのところ、多くのビジネス・スクールは、授業でメインに扱うというよりは、他の機関との連携や、クラブ活動などの課外活動を通して、こうしたイシューを学んでもらおうと考えているようです。

個性喪失:
じつは、一見すると個性が失われているように見えるのもこの新しい世代の特徴なのだとか。これは、ネットを駆使する世代ということ大いに関連しているでしょう。みんな瞬時に同じような情報を浴びることができるし、何か分からないことがあればネットでさっと答えをみつけて回答することができる。Googleからきたスタディグループのメンバーは、以前、ケースのディスカッションをするとき、ティーチングノート(先生用のインストラクション)をネット上で、上手に見つけていました。出願用のエッセイを書くときも、ネットで、合格者のエッセイサンプルを見つけてきて、それを加工して、出願する。さっと、正しい答えにたどりつくことはできるものの、みんな同じ情報に基づいてしまうため、書くモノに個性がなくなってしまうのです。

ビジネス・スクールのアドミッション側も、最近はどのエッセイも同じようなモノになってきてしまっているとも指摘しているとのこと。そういうこともあって、エッセイをただ文章で書かせるのではなく、パワーポイントでプレゼンをさせたり、「砂漠を車で旅するには誰をつれていきますか」といった一見奇抜な質問を出したりすることで、出願者の個性やユニークさを見いだそうとしているのでしょう。

多くの企業と同じように、顧客(=生徒)のニーズの変化にあわせて、もしくは先取りして、ビジネス・スクールもこれからどんどんと進化を続けなければならなそうです。そして、この新人類の登場は、マーケティング的に言えば、新セグメントの登場。それは、企業にとっても、チャレンジであり、ビジネスチャンスにもなり得ると思います。

2008年11月21日金曜日

不況の幕開けにどう対応する!?

まさに本格的な不況の幕開けとなりました。

The Bank of England says that the UK has entered a recession which will continue into 2009, and suggests it may cut rates further.(BBC)

金融危機の煽りをうけて、今度は、企業側が、きわめてパニック的な施策に走っています。中期的な視点を置き去りにして、経営上動かしやすい施策に走っているのに危機感を感じます。すなわち、コスト削減、その中でも人削減、もうひとつは価格の切り下げです。

最近ニュースの常套句ともなってきているのが、人員削減のニュース。その削減数を競うかのように、次々と飛び込んでくるこの手のニュース。ここ数日のBBCニュースのトピックから拾ってみます。

Sun Micro to cut up to 6,000 jobs
RBS to cut 3,000 jobs worldwide
Virgin Media plans 2,200 job cuts
Mobile phone group Vodafone announces £1bn of cost cuts
Peugeot Citroen cuts 2,700 jobs
Rolls-Royce plans 2,000 job cuts
Wolseley to shed 2,300 more jobs
JPMorgan cuts first of an expected 3,000 jobs
AstraZeneca plans 1,400 job cuts
Citigroup job cull to hit 75,000
......

とにかく、この手の何らか業績向上が見える打ち手を発表しないと、株価がもたないのでしょう。経営的な打ち手として、人削減は、善し悪しは別として、もっとも簡単にコストを落とすことができますから。

こんなニュースを連日聞いていれば、消費者意欲はあっという間になくなってしまうもの。そのために、イギリスのリテール各社は、こぞって値下げに走りまくっています。ディスカウントの連発です。たとえば、UKのスーパーで、イギリスに住んでいるヒトなら誰でも知っているマークス・アンド・スペンサーは、昨日は、全品20%引きのセールをしました。その他にも、Dorothy Perkins, Burtons, Debenhams, Selfridges や John Lewisといった小売りセクターは軒並みディスカウントをして、顧客減をなんとか食い止めようとしています。まさにカンフル剤を打って、売り上げを確保しようというわけです。

一方、その発信源になっている「金融」危機は落ち着いてきたとの見方もありますが、しかし、まだまだ火タネは残っています。US最大の銀行シティや、UKでもっとも信頼できると言われているHSBCの雲行きが怪しくなってきていることや、AIG以外の保険会社の問題が表面化してきていないのも、何か不自然です。それに、竹中さんが指摘していたように、実際の損失額は、想定より多く、追加の公的資金が必要になる可能性がきわめて高いでしょう。さらに、不良債権の処理に追われていれば、新規の貸し出しは確実に減るわけで、結果として企業側にも大いに影響されてしまいます。

構造的な長期な不況が続く、そういう前提で企業の戦略を組み立てる必要性がいまほど、求められているときはないのではないでしょうか。そして、こうした戦略を立案するにあたって、日本の不況を通して成長した企業から学ぶものが大いにあると思っています。

たとえば、吉野屋。顧客の回転率と、オペレーションの効率性を吉野屋ほど追求したファースト・フードは、ここロンドンでは見たことがありません。この手の、高回転、超低価格型のレストランは、大きなビジネスチャンスがあると思います。また同じような発想として、日本で大ブレイクしたのが、回転寿司です。こちらロンドンでも、Yo Sushiなど、回転寿司はあることにはありますが、どちらかというと、寿司が回転する、ちょっと変った、面白いレストランというポジショニングで、値段も高めなのです。日本における回転寿司のビジネスモデルのポイントは、その劇的な効率性です。通常、30%と言われる食材原価に、50%もかけていることからも、その他の販売管理費などの少なさが想像できるでしょう。ビジネス・プランでも書こうかな。

もうひとつは、やはりユニクロに代表されるような「ベーシック×高品質×低価格」、というポジショニングをとることでしょう。不況に入ってしまうと、どうしても消費者の気持ちはふさぎ込みがち。おしゃれをしようとか、派手になろうとか、そういう気持ちは起きてこないものです。日本でも、1990年後半そんな状況下で、ユニクロは、大躍進をとげたわけです。派手にはしないけど、高品質なモノにはならされているけど、お金がない、もう派手にはしなくてもいい、そんな消費者が急速に増えて、ユニクロの提供価値がそこにぴたっとはまったわけです。そういった意味で、「ベーシック×高品質×低価格」なポジショニングをするような企業はいいのではないでしょうか。

先日、アクセンチュアのパートナーの話しを聞く機会があったのですが、彼女も、いまは消費者は、ありとあらゆるもので、"trading down"している、すなわち、格を落としてモノを消費しているといいます。実際、スターバックスは急激に業績をおとして、マックは業績好調ことからも分かるように、明確な消費のシフトが起きているわけです。

小手先の経営施策で、一時しのぎの利益確保に走るよりは、日本の事例を参考にしながら、ビジネスモデルやポジショニングを見直す絶好のチャンスでもあるように思います。そして、上記のようなビジネスモデルやポジショニングは、仮に景気が回復したとしても、ダメになることはありません。不況でも好況でも、ツヨイのです。