2008年12月2日火曜日

London Business Schoolは日本人向きのビジネススクール

恒例になっているFinancial Timesのビジネススクールのランキングで、London Business SchoolのMBA ProgrammeおよびExecutive MBA Programmeが欧州ビジネススクールの中で1位、総合で2位にランキングされました。ここ最近は、比較的好ランキングが続いているようです。そして、今までLBSが提供していなかった、学部卒向けのプログラムMaster in Managementを来年から開講することで、総合でも1位を目指そうしています。LBSがもっとも注目してみているのは、来年の頭に発表されるFTによるグローバルビジネススクールランキングでしょう。このランキングでは、欧州、米国、その他のビジネススクールすべてを対象にランキングがされます。

さて、ビジネススクールは、やはりその発祥の地であるアメリカの学校がとても有名で、実際素晴らしい学校がたくさんあると思います。グローバルランキングでも、やはりUSの学校が多く名を連ねます。そこには、長い伝統からくる知識の積み重ねと、高いレピュテーションがあると思います。したがって、日本人は、まずはビジネススクールというと、USの学校を念頭におくのではないでしょうか。日本企業の留学生制度によっては、欧州のスクールに留学する場合は、会社からなぜ欧州系なのか、追加で説明を求められるとも聞きます(USのスクールならば不要)

しかし、最近思うのは、London Business Schoolは日本人にとても適したビジネススクールであると思います。その人にとってのベストスクールは人それぞれなので、日本人と括って議論するのは、少し無理があるのですが、欧州系のビジネススクールのアピールもかねて、そう思う「6つの理由」をあげてみたいと思います。

1.多極化する世界にマッチした世界観に触れることができる
今はまさに金融危機のまっただ中で混沌としていますが、これから先、確実にいえるのは、世界が多極化していくということでしょう。米国一辺倒でもない、EU一辺倒でもない、またBRICS一辺倒でもない、むしろ、これらの国、もしくは国のまとまりが、互いに拮抗しあう世の中になっていくのは、周知の通りです。

こうした世の中になっていく中で、LBSのような、全員がマイノリティで構成されるクラスメイトと2年間を過ごすことは大変価値があることだと思います。イギリス人、アメリカ人ですら、それぞれお10%ずつしかいません。西欧、東欧、ロシア、アフリカ、アジア、US、南米、などバランスよく国籍が分散しています。ある意味で、近未来の世界を、バーチャルにクラスで疑似体験することができると思います。

クラスディスカッションでは、「うちの国では」といった議論もよくされますし、教授の方も、どこかの国に根ざした発言はせず、いつもニュートラルな発言を求められます。我々学生もどこかで、相手のナショナリティを尊敬する必要があることを感じます。そして、世界のニュースに一段と敏感になるようになりました。たとえば、ジンバブエのニュースでも、クラスメイトのだれだれの国だという意識のもと、世界のニュースが身近に感じられるようになるのです。

また、学生だけでなく、教授もきわめて多様です。まだ1ターム目ですが、今まで受けた先生の国籍をあげてみると、メキシコ、スペイン、ロシア、ポルトガル、カナダ、アメリカ、イタリア、ルーマニアなどなどその多様性が分かると思います。

国際感覚が乏しい日本人にこそ!このような環境下での「学び」は激しく大きいように思います。

2.平均年齢が高く、大半の学生が英語を母国語としていないNon-nativeである日本人で留学する場合、概して、平均年齢は高めで、帰国子女でない限り、大なり小なり英語のハンディキャップを抱えることになりますが、上で述べたように、ほとんどがネイティブスピーカーではないので、そんなに気後れすることが少ないと思います。そして、平均年齢に関しては、このブログでも何回か書いたかも知れませんが、29歳と高めなので、日本人の留学生プロファイルとマッチするのがうれしいところです。

そして、先生もほとんどノンネイティブですので、一見英語が聞き取りにくいのではないかと思うかも知れませんが、じつは逆で、ノンネイティブなので聞き取りやすいのです。私などは、流ちょうに話すネイティブよりは、ノンネイティブの方が、難しい言い回しを使わず、スピードも遅いため、聞き取りやすく感じます。

3.授業はケース一辺倒ではないため、ワークロードは、ほどよいハードさ
LBSの授業は、ケース、レクチャー、その他体験学習などがバランスよく配置されていると思います。まだ1学期しか経験していないため一概にはいえないのですがじつはワークロードは大変は大変なのですが、超きついということにはなりません。日本人の留学生の場合は、多くはパートナーや子供とくることが多いと思いますので、家族の時間も必要でしょうし、英語のハンデを克服する時間も必要でしょう。就職活動や、課外活動時間をたっぷりと使いたい人もいるでしょう。こういう場合、ワークロードがほどよいのは、とても助かります。

その秘密は、おそらくケースをこなす数が少ないということでしょう。予習に一番時間をとられるのはケースです。LBSの授業は、一コマ3時間です。一方、よくあるのは90分。そして、その3時間で、ケースを1つ行います。学校によっては、90分で1個ずつですから、想像されるように、ケースをこなす数が少なくなるわけです。この辺りは賛否両論あるかもしれません。その分、クラスでのレクチャーや、ゲームなどが織り込まれるので、学びが少ないというわけではないと思います。またじっくりとケースの議論をできるというメリットもあります。また、グループアサイメントがけっこう課されるので、一方で時間はとられますが、これは楽しく、価値ある経験です。個人的にはグループアサイメントはもう少しあってもイイカモと思っています。

総じて、ワークロードは、大変ながらも、ほどよく調整されていると感じています。

.学校はパートナー/子供も満喫できるロンドンのど真ん中に位置する
やはりロンドンにあるというのは大きいでしょう。演劇、文化、音楽、ミュージカル、美術館、博物館など、ありとあらゆる見物がそろっているし、緑豊かな公園もとても多く、私は、とても住みやすい街だと思います。妻は、東京と同じくらい住みやすいと言っています。日本食を扱う店や日本料理店も多く、日本食が恋しくなると言うこともないと思います。

逆に、よく挨拶代わりに言われる、ロンドンのよくないところは天気。とくに冬は、そして、今は、日中がとても短くなり、寒く、よく雨が降ります。イヤです。ガ、個人的には、日中は授業を受けているわけで、そんなに今のところ苦になっていません。(これからもっと寒くなるのでしょうか?)それに、夏は、湿気もなく、東京のように酷暑になることもなく、本当に気持ちよく過ごせます。

5.日本からは旅行しにくい各国へ手軽にアクセスできる

旅行を満喫できる!これは、勉学以外のプライベートの生活を留学中豊かにする上で、とても気に入っている点です。日本からだとなかなか行きづらい多くの国々へ、手軽にいけます。フランス、イタリア、スペインなどは、もう1,2時間圏内ですし、トルコ、チェコなどの東欧へもすぐ行けます。個人的には、ロシアのセントピーターズバーグ、クロアチアのドブロクニクに加え、アイスランド、エジプトなども行ってみたいと思っています。

距離的、時間的にこれらの国が近いことに加えて、価格的にもヤサシイのも見逃せません。ライアンエアーやイージージェットのような格安航空会社のおかげで、かなり低価格でひとっ飛びできるのが何ともうれしいところです。

6.円高ポンド安によりロンドンは相当生活がしやすくなっている
そして、最後に財政面。欧州系、とくにイギリスのビジネススクールが敬遠されてきた理由のひとつに、とくに私費の留学生にとって、イギリスの物価の高さがあったかと思います。しかし、この為替の大変動のおかげで、ただいま現在は、円高ポンド安になり、かなり生活がしやすくなっています。私がこちらにきた夏は、1ポンド=220円ですが、今は、1ポンド=150円未満ですから、3割安くなった計算になります。たとえば、学校のコーヒー一杯は、1ポンド15ペンスで、今までは250円だったのが、これが170円になるという感覚です。学食は、4ポンドですが、今までは、880円だったのが、今は、600円という感覚です。そうとう日本人の懐にやさしくなったのです。日本の物価に相当近づいたといったもイイと思います。

以上、アカデミックという点でも、ブランディングという点でも、財政面においても、ロンドンビジネススクールは、日本人にとって、今まで以上に学びやすく、そして学びの多い学校なのではないかと思う次第です。

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