2008年12月21日日曜日

シンプリシティの法則

The Laws of SIMPLICITY
DESIGN, TECHNOLOGY, BUSINESS, LIFE
John Maeda

一冊の本。
MIT Media Arts and Sciencesの教授による著作で、ちょっと話題になった本です。シンプリシティをどう実現すべきかについて10の法則について、語っています。その10の法則とは:

Law 1: Reduce – The simplest way to achieve simplicity is through thoughtful reduction.
Law 2: Organize – Organization makes a system of many appear fewer.
Law 3: Time – Savings in time feel like simplicity.
Law 4: Learn – Knowledge makes everything simpler.
Law 5: Differences – Simplicity and complexity need each other.
Law 6: Context – What lies in the periphery of simplicity is definitely not peripheral.
Law 7: Emotion – More emotions are better than less.
Law 8: Trust – In simplicity we trust.
Law 9: Failure – Some things can never be made simple.
Law 10: The one – Simplicity is about subtracting the obvious, and adding the meaningful.

そのエッセンスは、Complexityが増している世の中だからこそ、SimplicityがDesign Technologyの世界だけでなく、BusinessやLifeにも今にもまして、求められてきている、ということだと思います。すなわち、Complexityの高い世界の中での、Simplicityの有効性です。これについては、全く同意。

Simplicityはビジネスにも必要との主張ですが、全くそのとおりで、私がいたコンサルティングの世界においても、いつもSimplicityを追求していたように思います。

手をつけなければいけない様々な問題点、こうしたらいいのではないかというアクションのアイディア群、ステークホルダーのさまざまな声、膨大なマーケットデータなどなど・・・。その中から、どしっとした、なおかつ刺さる物語を紡いでいくような仕事であったともいえます。

じつは、私はクライアント報告用のスライドを書くときには、99%手書きで書いていました。えんぴつと消しゴムをもって、白紙のA4用紙に向かうわけで、気分はさながら作家のようでした。その理由のひとつは、スライドが複雑に成りすぎないということです。手で書くと、細かいことは書けず、骨太な分かりやすいスライドになりやすいのです。

Simplicityのビジネスの効用とは、要は「売れる」ということ。この本の中では、iPodやgoogleの検索画面などが事例として紹介されてありました。

iPodではないですが、最近、このシンプリシティの威力を垣間見たのがiPhoneです。このiPhoneですが、じつは、うちの3歳の息子も、操作できるという優れものなのです。シンプルなボタンと、直感的な操作が功を奏して、うちの子も、ボタンを押しては、写真をみて喜んでいます。

そして、このiPhoneですが、我がLBS学生の間のシェアは、気づいてみたらものすごい高い。確実に学生の30%はiPhoneをもっていると思います。私のstudy groupに関して言えば、6人中4人がiPhoneを使っているという状況です。われわれのような顧客セグメントにバチっとはまってしまっているのです。

もしかしたら、MBAの学生などは、ある種ものすごい情報の洪水におかれるわけで、そして、職を失った2年間を過ごすわけで、通常よりもComplexityが高まっている状況下であるからこそ、シンプルに作りになっているiPhoneが受けているのかも知れません。

ちなみに、AppleのMacユーザーのシェアも、MBAの学生の間では高く、その比率は年々高まっています。将来の企業幹部候補が、今はものすごい勢いで、Appleシフトを水面下で続けているこの現象は、今後ボディブローのようにMicrosoft陣営のPCメーカーに影響を与えることは必至です。これが、Simplicityの私が間近で見る威力です。

話しはもどり、この本の最大の学びは、世の中ある方向に極端に触れると、必ずその反動がくるのが世の常ということ。Complexityに触れれば、Simplcityが出てくるわけです。

上述の反動ということでいえば、今は、金融危機により、極端な状況に世の中がふれていますから、何らか逆の反動が、これまた世界規模で、必ずあるはずで、そこには莫大なビジネスチャンスがあります。

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