2008年12月9日火曜日

コトバを磨く

Advanced Business Writing.

今日は、朝の9時からはじまり、夕方の5時まで続くライティングの特訓デーでした。学生のコミュニケーション・スキルを向上させる一環として、提供されるものです。じつは、きわめてベーシックなものも含まれていて、ビジネススクールでこんなのも提供するのか、と驚きますが、もしかしてこれはLondon Business Schoolだけなのかもしれません。LBSの学生の特徴として、きわめて多様なナショナリティがありますが、そのせいか、我々日本人に代表されるように、LBSは、欧米ウケするコミュニケーション・スキルに全般的に不足しているのかもしれません。

コースの概要としては、次の2つは全員が受講します。

Best Practice Presentations & Communications
Writing with Impact

その上で、学生の興味に応じて、以下から2,3のプラグラムを選ぶことになっています。私は、Advanced Business Writing、Mind Mapping & Memory、The Spoken English Company (online programme), Speed Readingを選択しました。そして、今日がAdvanced Business Writingの日というわけです。

Accent & Voice Coaching (half day course)
Advanced Business Writing
Advanced Information Management Skills
Dealing with Stress
Influencing & Persuading
Listening & Observing
Managing Meetings
Mind Mapping & Memory
Personal Impact
Public Speaking
Speed Reading
Successful Negotiation
The Art of Communication
The Spoken English Company (online programme)
Winning Competitive Presentations

さて、このAdvanced Business Writing、6人くらいのグループで受講します。

頭の中に散らばっているさまざまな英文を再整理するのにとても役だったと思います。そして、やはりコトバは大事!です。コトバはメッセージを運びますから、コトバの善し悪しで、伝わるか伝わらないかが決まってしまいます。コトバは大事です。

何をやったのかというと、ひとつには、伝えにくいメッセージをEmailで伝えるという課題。Study Groupdのメンバーが無断で、ミーティングに欠席したときに、それをフィードバックする際に、どう書くかというもの。模造紙にそれぞれ、メールを書き、壁一面にそれをはり、お互いのを比べるというやり方。伝え方にお国柄というか、それぞれのキャラが出て面白い。それ言い過ぎでしょう、というものから、超ソフトなものまで、レンジはバラバラでした。講師のファシリテートにより、それぞれの伝え方がどういうインパクトをもつのか、どういう効用があるのかをディスカッションする。コトバのさじ加減ひとつで、相手の感情を傷つけたり、もしくは相手をやる気にさせたりすることができますから、コトバは何とも強力なツールです。

また、さまざまなタイプの英文を読み、それらの特徴をディスカッションしました。ハーバード・ビジネス・レビューの記事は、ライティングという観点から、やはりよく書けていると思います。また、エコノミストの英文もしかりです。シンプルな単語で、かつ全体の構成がしっかりしている。一方、極端なアカデミックな論文を読み、その読みにくさを体感する。そして、この間行われた Obama’s Victory Speechは、やはり聞いていてほれぼれします。レトリックや繰り返し、構文の作り方、よく練られています。Obamaの場合は、抑揚の付け方、ポーズの取り方の絶妙さとあいまって、感動的なスピーチが生まれています。

学びは、英文ひとことと言っても、上のように、さまざまな書き方があるということ。そのタイプは、

Exposition: 何かを説明するときの書き方。アカデミックな英文に使われる
Description: ある状況・プロセスを説明するときの書き方
Argument/Persuasion: ある主張を論じたり相手を説得するときの書き方
Narrative: 物語を語るときの書き方

の4つがあり、それぞれにテクニックや心得を俯瞰しました。私の場合、仕事では、Argument/Persuasion的な英文はよく書いていましたが、Descriptionや、さらには、Narrativeはあまり練習というか、書いたことがないので、これからの課題です。

コトバは、メッセージを運びます。いいイ文章を書く、刺さるメッセージを紡ぎ出す。コンサルティングでも、最後になやむのは、どういうコトバをスライドに書くか、どういうコトバで伝えるのか、です。

日頃、いい文章は何か?という観点では、あまり文章を読んでいないので、とてもいい機会になったと思います。ビジネスの場面では、どういうメッセージを伝えるか?にまずは、プライオリティが置かれますが、もう一歩踏み込んで、それをどういう言葉で効果的に伝えるか、そこでの原理原則は何か?まではあまり気が配られません。

せいぜいあるのは、ロジカルライティングに代表されるような、ある意味カチカチとした書き方程度ですし、最近の風潮としてそれがヨシとされているきらいがあります。でも、じつは言葉はもっともっと豊かで、さまざまな表現方法があるのにも関わらず、です。本当は、もっと効果的でグッと伝える方法があるのかもしれません。

ロジカルシンキングを包含するような、新たな書き方の体系が、今後脚光を浴びてくることでしょう。書き方というと、とてもシャビーに聞こえますが、もっともっと、注目されてもいい、そんな領域だと思います。

0 件のコメント: