Strategyのクラスの第1回目のケースは、振り返ってみれば、Zopaでした。日本にも今年のはじめあたりに、参入するといって、一時期話題になりましたので、ご存じの人も多いと思います。
Zopaは、めずらしくイギリス発のベンチャーで、インターネット上のオークションのような感覚で、個人と個人の間で、お金の貸し借りをする、きわめて画期的なビジネスモデルです。
http://uk.zopa.com/ZopaWeb/
アメリカでは、Zopaよりも、Prosperの方が有名でしょう。いずれの企業も、アジア進出を検討しています。
果たして、これは永続的なビジネスモデルなのでしょうか?
私は「あり」だと思っています。その理由は、バックオフィスなど、物理的なものは何も構わないわけで、コストアドバンテージがあるからです。すなわち、銀行を使うよりは、貸してはより高金利で、借り手はより低金利で貸し借りができるのです。
例:3,000ポンドを3年間借りるローン
借り手の利率
Zopa 5.2%
HSBC14.9%
貸し手の利率
Zopa 6.75%
HSBC4.75%
貸し借りを個人間ベースで、市場レートよりも劇的に有利にできる、新たなプラットフォームが出現したわけです。
結局のところ、コモディティというのは、価格が安いところへ行き着きます。たとえば、パソコンでいえば、DELLが台頭してのは、やはり安かったからですし、Amazonが当初アメリカで急成長し出したのは、ネットの利便性云々の前に、本屋より安かったからです。
ローンも考えてみれば、もう昔からあるコモディティ商品です。したがって、本来的には、「価格」が大事なはずです。
しかし、課題は、その「与信システム」だと思います。借り手の「信用」をやはり審査する必要があるわけで、現状はこの部分は、外部の既存の信用システムに独自の分析を加えて、審査しています。
Zopaによれば、ターゲット顧客は、フリーランサーなど、従来の金融機関ではなかなか貸してくれなかった人とのこと。彼らは、Freeformers*と表現しています。そうであれば、なおさら、従来の与信システムを使っているようでは、そういったターゲット顧客には結局高いリスク・プレミアムをつけざるを得ない。
*Freeformers; Freeformers were devined as self-employed, project-based or freelance workers who were not in standard “full-time” employment
したがって、従来の与信システムでは切り取れなかったような、新たなロジックのもとに、新たな独自の与信システムを構築していく必要があると思います。
さらにいえば、Freeformersなんて、難しいややこしいターゲット顧客を設定しないで、ただ単に、”Cost-conscious”セグメントを対象にすれば、ビジネスモデルはよりシンプルになるはずです。なぜなら、このビジネスモデルの最大の強みは、「低価格」なのですから。
まあ、もうひとつその裏をかくと、既存の銀行から総スカンから食らわないように、「あなたたちとは、セグメントを分けていますよ」と演じているのだとは思いますが。
今後の可能性としては、この個人間プラットフォームを使って、個人のプロジェクトを企業とみたてた、取引市場が出てくるかも知れません。すなわち、たとえば、ある人が本を出版しようとしたときに、その出版資金を、個人から調達してくることも考えられます。もしくは、小さな会社の資金をこうしたプラットフォームからお金をひっぱってくることも考えられます。
Zopaは、個人間取引を後押しするビジネスモデルだと思います。
2008年12月27日土曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿