2009年6月27日土曜日

MBA1年目の学び “貢献する責務”

最後に残った、リーダーシップに関するレポートを書き終え、内容を担当教官とディスカッション。そして、少し手直しをして、レポートをメールに添付して、Outlookの送信ボタンを押す。これにて、8月の末に始まったMBAプログラムの1年目のカリキュラムを全て終了。

そう、誰もが言うように、MBAの生活はあっという間に過ぎ去っていく。そして、私自身、その意味を実感することとなりました。

1年間、正確に言えば、この10ヶ月を経て、何を学んだのだろうか?目を閉じて、じっとこの10ヶ月を振り返る。わずか10ヶ月ではあるのですが、いくつも自分の中の考え方が変化していることに気付くのです。

変化しているという表現は違うかもしれません。今までの自分というのはそう簡単に変るモノではありません。なんというのでしょう、今までの自分の考え方に“追加”して、いくつかの新しい価値観の柱が構築されつつある、そんな感覚なのです。

そのひとつが、「貢献する責務」です。

人は、社会に対して、所属するコミュニティに対して、もしくは所属する組織やチームに対して、自分が貢献できるところがあれば、「貢献する責務」があるのではないか、そんなことを明確に感じさせてくれるMBAの1年目でした。

「社会に貢献する」なんて、至極当たり前だと思われるかもしれません。そう、事実、全くもって、当たり前のことなのです。私も、MBAに来る前からもちろん、そうしたことを大事に思っていましたし、出願エッセイにも、CSRに関しても論じました。その考えがようやく、自分の中に違和感なく溶け込んでいって10ヶ月だったと思います。

どうして、そのように考えるようになったのでしょうか。

それは、端的に言えば、こちらにきて、自分が所属している社会、組織、チームからの恩恵に比べて、自分が貢献できていることというのはあまりにも限られている、その事実に気付いたことだと思います。

だからこそ、少しでも、自分ができること、自分が貢献できることを、見つけたならば、そのアンバランスを解消するためにも、貢献する責務があると感じるようになったのです。

ロンドンにきて、こちらの生活をセットアップするのに、周りに大変助けられました。子供の学校探しからはじまり、身の回りの準備など様々なアドバイスをいただきました。

ロンドンビジネススクールで、主催されている数多くのイベント、カンファレンスなどにも、参加することができたのも、私が受けた莫大な恩恵のひとつです。ほとんどこうしたイベントは生徒の多大なボランティア活動によって支えられています。

多くのゲストスピーカーは、無償でキャンパスにきてくれ、学生のためにという思いで-もちろん、自社や自分をブランディングする目的もありますが-人によっては、海外から駆けつけてくれるわけです。

学生は、この大不況下、就職もかなり厳しい中、時間を捻出し、各種のイベントを精力的に開催しています。もちろん、そうしたイベントを開催することが、人脈作りに役に立ち、就職に有利になることはあるにせよ、イベント開催に関わる実務の煩雑さを考えると、頭が下がります。

アカデミックでいえば、スタディグループのメンバーにも、レポートの英語のチェックなどいろいろとお世話になりました。

こうしたコミュニティメンバーの貢献によって、私のキャンパスライフ、コミュニティライフが充実しているものになっていると、ひしひしと噛みしめています。

一方で、自分が貢献できることというのは、きわめて限られていると実感する10ヶ月でもありました。だからこそ、少しでも貢献できることがあれば、貢献しなければ!と駆り立てられる自分をときどき発見していったのです。

コンサルティングについてよく知っている私は、この業界に就職したいクラスメイトのアドバイスしたり、コンサルティングクラブの執行委員をしたりと、自分ができることはやろうと考えていますが、そうはいっても、受けている恩恵の方が大きいのは事実。たとえば、地域コミュニティへの貢献などはほぼゼロ。このあたりは、今後大いなる課題。

でも、こうした「貢献する心」というのは、「キャリアゴールを明確にして、それに必要なスキルを身につけて、邁進していくそうした従来型の考え方」にもとづけば、まずもって切り捨てられることでしょう。

たとえば、就職だけを考えるなら、イベント1つ企画して実行する手間ひま、労力より、就職希望先の人とネットワーキングしたり、カバーレターを磨いていった方がいいでしょう。従来型のキャリアゴールを設定して逆算する方式「だけ」を拠り所に突き進む重大な落とし穴があるように思うのです。

一方で、以前のブログでも触れましたが、企業経営についても、「社会に貢献すること」を第一義的におく企業の方が、純粋に利益を追求する企業よりも、結果的に収益率が高いことが実証されています。また、「貢献する心」、英語でいえば、Citizenshipというのでしょう、Citizenshipの高さと組織パフォーマンスは相関することも組織行動学的に分かってきていることも、「貢献する心」の大事さを物語っているでしょう。

「貢献する責務」。私が実践しきれているかといえば、まだまだクエスチョンマーク。これはこれからの課題。でも、この考え方は、この年になってようやく、自分の中に強く醸成されつつあり、これからの人生を生きていく上での指針となる、私の中のひとつの価値観となっているのを感じる至ったMBAの1年目だと思うわけです。

2009年6月26日金曜日

フィンランド写真集3; ロシアとスェーデンの激戦地Porvoo

フィンランドのヘルシンキから車で1時間ほど走ると、
Porvooと呼ばれる小さな街がある。
石造りが多いヨーロッパにあってはめずらしく、
全ての建物が木造で、パステルカラー調にペイントされている。

そんなPorvooは、ロシアとスェーデンの激戦地でもあった。
この建物がなんとも象徴的。
幾多の戦いの度に修復し、壁模様が幾重にも重なっている
建物から見て取れると、ああそこに歴史あり、と感じる瞬間。
やはり、水辺とは切っても切れないのがフィンランドの生活か
静かに流れる川に面するかのように、カラフルな軒が連ねる。
この景観を温存するために、
市民は家の色を変えることも形を変えることも許されないそうだ。

フィンランドではお決まり~船上のカフェ。
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2009年6月25日木曜日

北欧へもう一度行こう!

フィンランドに行って以来、妻とともに北欧にはまっています。じつは、私が試験に忙しかった頃、妻は息子を連れて、スェーデンに二人旅に出かけにいってるくらい。

なんといっても、人がとても穏やかで親切。日本人的にはとてもうれしい。日本的な丁寧さをそこらかしこで、感じることができて、なんだかほっとするというか、1年ほどロンドに暮らしていると、懐かしい感覚というか、そんな感じです。

それから、地政学的にとても面白い位置にあるのが北欧諸国です。じつは、フィンランドに行くまで、あまり意識していなかったのですが、フィンランドの隣国はロシアなのです。それも、フィンランドの東側の国境をビターッと張り付くようにロシアが寄り添っている。

事実、フィンランドの歴史を振り返ると、ロシアの支配下にあったこともありました。だから、多分にロシアの香りもフィンランドをするわけです。それから、バルト三国が、もうすぐこそという位置。とくにエストニアはもう目と鼻の距離。

そんなわけで、ヘルシンキの街中のInformation Centreに行くと、ロシアへのパッケージツアーや、エストニアのタリンへのフェリーツアーなどがバンバン売りに出されているのです。

そして、フィンランドとスウェーデンの関係も面白い。フィンランドの現地の人に聞くと、フィンランドとスェーデンは、文化的な背景や、インフラなどは極めて似ているとか。実際、スウェーデンに行った妻に聞いてもそうみたい。

しかし一方で、歴史を紐解くと、フィンランドは、スウェーデンに支配されていた時期もあり、今でも、フィンランド人にとって、スェーデン人は、「Beloved Enemy」とのこと。

どこかで聞いたような話です。近い民族同士はお互い好きなんだけど、近いが故にいざこざがおきやすくケンカもするというのは、日韓や日中の関係を考えてみても、「ああ納得」です。

そんなわけで、次回の旅が決定。

まずは、ロンドンからフィンランド・ヘルシンキに飛び、再びフィンランドを味わったのち、フェリーを使って、エストニアのタリンとその周辺を満喫。初のバルト三国体験です。ヘルシンキから、フェリーで、1時間半でタリン。そのあとは、タリンから、またフェリーにのって、スェーデンのストックホルムへ向かう。1泊ですが、クルーズの旅を堪能したいと思います。最後は、スェーデンを堪能して、おしまいというもの。

そのあとはまた、東ヨーロッパ、南東ヨーロッパに足を伸ばしたいと思っています。ブルガリア、スロベニアや、クロアチアあたり。旅のことを考えるとキリがありません!

フィンランドに学ぶ「産業ポートフォリオの大転換」

クラスメイトに「どうしてフィンランド行くの?」と聞かれることもしばしば。「北欧の国に行きたかったんだよ」とさらりと答えているのですが、じつは私には、フィンランドに行きかった本当の理由があるのです。

コンサルティングファームに入社すると、遅かれ早かれ、ある種の「洗礼」を受けることになります。それは、ロジカルシンキング的な思考体系を、強制インストールされるのです。脳の思考回路を強烈にチェンジさせられる、そんな儀式です。

私にとってのこの儀式が、フィンランドに関する調査だったのです。だから、何とも思い出深く、そして苦しい、今から思い返すとほろ苦い思い出のするプロジェクト。そのプロジェクト以来、いくつか、フィンランドに行きたいと思っていて、ようやく実現したわけなのです。

そのときのプロジェクトのクラインアントはある政府機関で、IT関連の国家政策をもとに、日本にとってのIT政策の示唆だしをするというものでした。

まだ、北欧ブームの前でしたし、もちろん、日本と北欧との産業的なつながりもそれほど強くないため、情報も集まりにくい。その上、当時、私は、ベンチャー企業のような独立系のコンサルティングファームにいたので、海外ネットワークが使えず、今のように海外オフィスからヒョイヒョウイ情報をとってくることもできなかったのを思い出します。
だから、それこそ、足を棒にして情報をかき集め、フィンランドのありとあらゆる機関にメールを出しまくり、電話したのも、今ではいい思い出です。

フィンランドは、1980年代後半に未曾有の金融危機を経験するも、その後、国の国際競争ランキングで、トップ5に入るまで、大躍進を遂げているのです。フィンランドは何をやったのか?

一言でいえば、フィンランドの産業のポートフォリオを大改造したのです。その中身は、IT産業を創造したことにつきます。フィンランドの伝統産業は、紙・パルプです、なんていったって、森の国ですから、木材が一杯とれます。それからゴム。これも樹木系ですね。そんな森の国が、IT路線に大胆に舵を切ったのが1990年代頭です。

フィンランド発で有名な企業とえいば、NOKIAでしょう。そう、ノキアです。ノキアの出自はゴム屋さんですが、もちろん今の主力事業は通信機器です。これこそ、フィンランドの大改造を象徴している企業といえます。

そして、フィンランドは、今や、見事にITに強い国のひとつとして数えられるようになりました。ここで、面白いのは、従来型の産業もしっかりと残っていることです。今でも、フィンランドでは、紙・パルプは主力産業のひとつです。それに加えて、「IT産業」も創造されたため、結果として国のGDPは増加したわけです。

振り返って、日本は、どうでしょう。今日の日経のニュースでも、JALの支援策が発表されていました。さまざまな企業への公的資金注入も報道されています。要は、日本は、既存産業を維持しようとしているのです。今の産業を維持しようとする日本、新しい産業を加えたフィンランド、そんな違いが明確に見えてきます。

私のコンサルタントとしての、初めての洗礼は、企業へのコンサルティングではなく、政府のお仕事でした。でも、そこで学んだ仕事のやり方はもちろん、何が国家方針のカギなのか、その原理原則-たとえば、どうやって新たな事業をつくるかなど-は、そっくり企業経営に応用できるもので、その後の私のコンサルティング・ライフの礎を作ってくれたプロジェクトでした。

そんなことを思い出しながらのフィンランド旅行でした。

2009年6月22日月曜日

フィンランド料理はどういうの?



フィンランド料理をいただこう。
この日は夏至の祭りで、
ヘルシンキで空いているレストランはわずか二十数件!
そのうちのひとつ、SAVOTTAへ。
白夜の国フィンランドは日が暮れる気配が全くありません。



まずは前菜から。
さすが、冬はマイナス二〇度にまで低下する極寒の国。
味付けが濃く、保存性の高そうな料理が並びます。



肉料理。
これは、ソーセージとDeerを焼いたもので、
最後にクランベリーソースがかけてある。
まあまあかな。



魚料理。
これは美味。まるで鰯を食べているようだ。
島国フィンランドと日本との共通点は、魚料理だった。
シンプルなマッシュドポテトと味付けされた魚がよく合うこと。
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2009年6月20日土曜日

フィンランド庶民の優雅な生活ぶり

フィンランドは一人当りGDPが51,989ドルときわめて大きい。日本が38,559ドルですから、まあ、ざっと軽く25%くらいは多いわけです。

じつは、経済的に豊かなだけでなく、僕ら日本人が持ち合わせていない”本当の豊かさ”を体現しているんだと改めて実感しました。昨日1日見聞きしたことをもとに、そんなフィンランド人の生活について迫りたいと思います。

ヘルシンキ沖のクルーズを楽しんでいると、入り組んだ海岸線や、小島のあちらこちらで、別荘のような邸宅が散見されました。家同士が密集していることもなく、豊な緑の中に、海を面するかのように居を構えているのです。邸宅によっては、プライベートボートが寄せ付けてあります。


ところが、これ、フィンランド人の普段の住まいというのです。現地の人に聞いてみると、それも別に富裕層の住居ではなく、ごく一般の人もこうした住まいをもっているというのです。住居の陸側には、バスが運行していて、街まで10分から15分でいくことができて、通勤も快適というではないですか。

ヘルシンキの人口も大きくなってきていて、こうしたタイプの住居が足りなくなってきているようで、政府も手をうっているようです。都市部の港湾をすこし郊外側に移し、そこの土地を住居地域に変える計画を推し進めています。

それだけではありません。フィンランドの家族は、だいたいサマーコテージをもっているというではないですか。いわゆる「別荘」です。

フィンランドは、国土面積は日本とほぼ同じ、だけど人口は500万人ぽっち。だから、一人あたりの土地がべらぼうにあることがよくわかります。人口密度でいえば、日本の5%くらい。

そんな贅沢な土地を利用して、とくに湖や自然が豊かなより北の地域に、そのサマーコテージとやらをもっているわけです。毎年夏になると、家族でサマーコテージに移り、涼しげな夏を過ごすことになります。もちろん、学校の夏休みも長く、11週間まるまる休みだそうです。

ちょうどこの時期は、夏休みの真っ最中、さらに夏至のお祭りということで、みんな一斉に北方に民族大移動をしたあとで、街はなんというか、もぬけの殻というか、そんな感じがします。

フィンランドの日常生活に欠かせないのが、サウナ。500万人の人口に対して、サウナは200万!もあるそうで、彼らの熱狂的なサウナ好きを垣間見ることができます。アパートには、必ず1個はサウナはあるというし、もちろん別荘にはサウナがついています。

冬の極寒、マイナス二〇度!の中でも、湖に裸でチャポンと飛び込み、その後「寒い寒い」と良いながら、サウナに飛び込むのがなんともいいのだとか。日本の露天風呂のようなもんでしょうか。

森と湖の国と言われるフィンランドの名に恥じることなく、自然と共生している日常生活なんだなあと実感しています。それでいて、世界トップレベルのGDPを実現しているわけですから、それこそ二一世紀的なライフスタイルの秘訣をこの国はもっているようです。

フィンランド写真集2;北欧ショッピング


ヘルシンキ最大級のデパート:STOCKMANN
ちょうどセールの時期で、あちらこちらで値引きのフラグ

STOCKMANNは、市場のような、ごった返したデパート
でも、北欧らしい家具、インテリアがたくさん


そして、日本人に今や大爆発の"marimekko"
フィンランド発のアパレル・雑貨ブランド

イギリスの"Cath Kidston"のフィンランド版?


ポップで力強い、でもどこかやさしくてまるみのあるデザインが特徴的
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フィンランド写真集


飛行機から望むフィンランドの森と群島諸島
さあ、まもなくヘルシンキに着陸だ!

エスプラナーディとよばれるヘルシンキのメインストリート
森の都にふさわしく、緑で一杯だ
フィンランドの英雄的詩人ルーネベリの像とともに


クルーズを楽しもう 
ヘルシンキ沖から望む街並み
落ち着いていて、ゆったりしているのが特徴的
左手にヘルシンキ大聖堂、
右手に北欧最大級の教会ウスペンス寺院


そして、これがヘルシンキ大聖堂とその前の広場
白亜の殿堂とそれを取り囲むパステル調の官舎が
フィンランドのやさしさを醸し出している
ただいま夜の9時、そうフィンランドは日が異様に長いのです
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2009年6月17日水曜日

薔薇園@Regent's Park

薔薇は英国には欠かせない!
リージェントパークで見る100万本の薔薇。





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2009年6月14日日曜日

書評 プライベートレーベル戦略

最近、小売りの自社ブランドが増えたと思いませんか?たとえば、セブンイレブンに行けば、お菓子からはじまり、アイスクリーム、調味料、日用用品にまで、ありとあらゆる商品がセブンイレブンまたは、セブン&アイのロゴが入ったプライベートレーベル品を見かけるはずです。小売りの商品の中で一大カテゴリーを占めるようになったプライベートレーベルを論じた一冊がこれ。

昨今の巨大小売りのプライベートレーベルに翻弄されているメーカーにとって、またはプライベートレーベルをより進化させたいと考えている小売りにとって、極めて有益な本ではないかと思います。



プライベートレーベルのデカさについて語った上で、小売りのプライベートレーベル戦略、およびそれに対抗するためのメーカーのとるべき方向性について論じている本です。先日、著者であるNirmalya Kumar教授の小一時間のセミナーに気軽に参加したところ、すこぶる示唆深かったので、思わず本を買った次第。

プライベートレーベルの大きさ
業界の人には常識になっている観もありますが、まずは、そのプライベートレーベルのデカさについて、こんな単純な、でも切れ味の鋭いスライドでガツんと示されます。




その1:世界一のメーカーは、ネスレでもP&Gでもなく、ウォルマートである
その2:トップの小売り企業のプライベートブランドは、売上げはハンパなく大きい
その3:小売り企業の売上げに占めるプライベートブランド比率もこれまた、デカい

驚くなかれ、教授によれば、P&Gの売上げの16%、ケロッグの14%の売上げはWalmart1社に支えられているのです。

小売りのプライベートレーベル戦略
「自社ブランドって、メーカーの廉価版でしょ」
この認識は、大間違いで、世界のトップリテーラーは、メーカーよりもしたたかにマーケティングを展開しているというのがメッセージ。

たとえば、イギリスでは優良企業でしばしば挙げられることのある、小売り企業テスコ。あなたがテスコに行って、オレンジジュースを買うと想定しよう。あなたは、こういう商品に出会うことになる。

1リットル0.33ポンド Tesco Value(超安いオレンジジュース)
1リットル0.95ポンド Tesco Organic (メーカーと同等、でも安い)
1リットル1.62ポンド Tropicana (メーカー品)
1リットル 1.68ポンド Minute Maid (メーカー品)
1リットル 1.84 ポンド Tesco Finest (メーカー品よりもっと高品質高価格)

何が起きているでしょうか?

メーカー品が、見事に挟み撃ちにされているのです。

もちろん、テスコはメーカーの廉価版も作っているけど、メーカーと同等だけど価格が安い商品、さらには、メーカーよりもうんとプレミアムを乗っけた超デラックス商品にまで手を広げているわけです。

一方で、メーカ-はそうはいっても、テスコの購入額はばかでかいので、テスコの意向は無視できないというジレンマに陥っているのが見て取れます。

「マーケッターになりたいんだったら、P&Gじゃない、いまやリテールに行っても、面白いことがたくさんできるよ」(Nirmalya Kumar教授)

メーカーの戦略
この書籍で書かれているのは、基本的に次の3つ。


1.Fight Selectively; 商品を絞れ
2.Partner Retailers Efficiently;上手にリテーラーと付き合え
3.Innovation;やっぱり商品のイノベーションをしないとダメ

と書くと、当たり前に聞こえるので、この提言の真価は、その細部にあります。たとえば、1.について。

ドイツのマーケットで、1999年から2003年にかけて、Consumer Goodsのシェアがどのように推移していったか調査されています。これまた、衝撃的。以下、1999年→2003年のシェアという見方。

業界一位二位の商品 23.5%→21.9%
業界三位以下の商品 28.2%→22.2%
プライベートレーベル 23.4%→32.1%
プレミアム商品 11.8%→11.9%

まず、驚くのは、このわずか4年で、プライベートレーベルの浸透率の急増ぶりでしょう。そして、これがメーカーに多くの示唆をわれわれに与えてくれています。

  • プレミアム化しろ
  • シェアNo.1、No.2になれ
  • それ以下のシェアならば、利益を小売りに渡す(大幅値引き)覚悟でやれ
  • それができないならばブランド毎きれ

***

まだ日本語に訳されていないようですが、マーケターは必読の書でしょう。

日本ではまだ出版されてないけど、面白い洋書や論文はいくらでもあり、今後、このブログでも、気の向くままに、自分の備忘録のためにも、そうした文献を取り上げてみようと思います。