2009年2月23日月曜日

MBAの授業はENTERTAINMENT



LBSのようなフルタイムMBAの授業設計は、けっこう大変だろうなと時々思います。その最大の理由は、学生が授業に慣れてきてしまうからです。

当初は、仕事から抜け出して、毎日授業を受けるのが新鮮であっても、徐々にそうした生活にも慣れてきてしまう。ビジネスに生きてくる「学び」を提供するためには、それ相応の学生への刺激がないとダメですが、授業の毎日に慣れてくると、そうした刺激にも慣れてきてしまう。

そして、少しでも授業や講師がつまらないと、”ああ、あのクラスはBoringだよね”とレッテルをはられてしまい、それが続くと、もうその講師は授業を教えられなくなってしまう。授業に変化球をつけ、生徒を飽きさせず、学びを2年間提供し続けるのは、それほどたやすい仕事ではないと感じるのです。

そういうわけで、授業設計には、学生が飽きないようにする、さまざまな「仕掛け」がほどこされています。ある意味で、一本の授業は、緩急がついたひとつの3時間エンターテイメントを楽しむような感じになっているのです。

そうした「仕掛け」のひとつは、「意志決定+種明かし」です。

これはビジネススクールのケース・ステディ系授業の王道でしょう。何らかの状況のもとに、あなたならどうするかという意志決定を迫る。最後には、その意志決定にまつわる種明かしがされ、「ああ、そうか、なるほどね」とか「うーむ」という強いインパクトをもってして、授業が終わるというパターンです。

たとえば、先日は、Organisational Behaviourの授業で、あるレーシングチームを扱いました。あなたは、あと45分後に今日のカー・レースに出場するかどうかの意志決定を迫られているのです。あなたの置かれている立場や、レースに出場しないことの弊害や、直近の事故率のデータが添えられている。刻々と時間が迫る中、さあ、出場するのか、しないのか?

そのタネ明かしは、なかなか秀逸で、じつは、このケースは、スペースシャトル「チャレンジャー」が発射オーライの意志決定をしたときの状況そっくりにケースが書かれているのです。事故率のデータなども全く同じ。ただ違うのは、カーレースに出場するかしないか、とシャトルを発射させるかしないか。組織的なプレッシャーの働き方も同じように書かれています。

授業の最後では、アメリカの期待を一身に背負ったチャレンジャーが、発射したあとすぐに、木っ端みじんに爆発するシーンをクラスでみて、かなりしんみりとした雰囲気の中、授業の幕が下ろされたのでした。

その他にも、生徒を飽きさせない「仕掛け」はいくつかあり、追々ここでも紹介していきたいと思います。

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