経営の世界で、企業の内部に潜む本質的な「競争力」を指摘したゲイリー・ハメルは、こう指摘しています。この半世紀であらゆるイノベーションが起き、生活が大きく様変わりした中で、経営そのものは、全くといって進化していない。
組織図があり、上司がいて、部下がいる。そんな指令系統の中で、企業活動は進んでいく。この構図は、この100年ほど全く変わっていない。だからこそ、そこにイノベーションのチャンスがあることをハメルを指摘しました。
前置きが長くなりましたが、経営と同じように、教育もそうなのではないかと最近思っているのです。「教育」と言った瞬間、どんな絵をイメージするでしょうか?
教室があり、そこに、先生がいて、何十人かの生徒がいる。
でも、このスタイルは、いつからのものでしょうか?江戸時代の寺子屋からはじまった方式は、いまでも全世界で使われています。日本でも、もちろん、この手の教育方法が主流です。大きな変化がないまま、何百年が流れているのです。驚くべきコトに!
しかし、です!仮に、教育の目的が、人のポテンシャルを最大化することだとしたら、その実現手段は、もっとさまざまであっていいはず。
たとえば、移動が目的だとしたら、どのような手段があるでしょうか?昔の人は、それこそ、歩行でしょう、もしくは、乗馬かもしれません。しかし、技術の進化によって、鉄道が出てきました。
さらに、自動車、飛行機など、さまざま移動手段が出てきて、世界は劇的に様変わりをしました。そう、今や、移動の手段は多様です。そして、格段に早く、便利に、移動ができるようになりました。
もし、教育が、歩行の段階、もしくは、乗馬の段階で停滞しているとしたら、それは私たちにとって、それこそ、ぞっとするほど、莫大な損失なのではないでしょうか。もちろん、教室・先生/生徒モデルにも、そこでは、様々なカリキュラムの改訂や教授法の進化はありますが、それは、電車がより速くなるという「改善」の領域を出ません。
じつは、難しく考えなくても、学びの手段は様々で、その変化の萌芽があちらこちらで見ることができるんです。
たとえば、こないだ、日本にいたときは,日経アソシエで勉強会特集をしていました。会社の始業前に朝食会と称して、ビジネスパーソンが集まるのです。先生が教えるというよりは、教え会うという今までと違うスタイルは、最近の日本における勉強会ブームに見ることができます。
旅をしながら学んで行く。そんなスタイルもあります。Go Learn Toのサイト、Golearnto.comに行けば、語学、スポーツ、趣味を旅行して学ぶ、体験型ツアーをたくさん選ぶことができます。まさに体験型の学びです。
また、前回のBlastbeatという社会事業も、まさに体験型を通じて気づきを得ていくというモノ。高校生が、音楽イベントを企画、運営し、利益をだすことをつうじて、社会貢献、ビジネス、起業を肌感覚で感じるプログラムとのことです。
新しい技術、とりわけWebの登場も、無視できません。Web技術が可能にした、オンライン教育の可能性についても、触れないわけにはいきません!
ここイギリスでは、ロンドン大学のExternal System、Open Universityが何万人規模という形で、遠隔教育プログラムを提供しています。アメリカでは、フェニックス大学や
カプラン大学がeラーニングの大学としては、大きく、どんどんその受講生は増えています。
日本では、大前研一氏のビジネス・ブレークスルーが、AirCampusというプラットフォームを使用して、オンライン教育を展開しています。そして、来年の4月には、世界のどこでも通用するグローバル・リーダーの輩出を目指す、ビジネス・ブレークスルー大学を開学します。
じつは、今回、縁があって、このビジネス・ブレークスルー大学開学の準備をお手伝いさせていただいています。将来の教育の風景を変えるプロジェクトに携わることが出来きることに感謝。
そう、まさに、今は、Education2.0が動き出す、そんな時期だと予感します。
2009年8月15日土曜日
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2 件のコメント:
示唆の溢れたエントリーをいつも楽しみにしています。久しぶりのエントリーがあって嬉しく思いました。基本的フォーマットが何ら変わっていないものは他にもありそうですね。選挙、医療、観光等々。裁判なんてのもそうかも知れませんね。私のブログからリンクを張らせていただければと思います。
珈琲男さん
はじめまして、twkです。そうですよね、フォーマットが変わっていないモノは他にもありますよね。
僕がいる業界、コンサルティングの世界もまさに教育と同じで、そのひとつです。コンサルティングファームも変わらなければ、と思っています。
ぜひ相互リンクを張らせてください!これからもよろしくお願いします。
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