2009年9月13日日曜日

ディケンズは、庶民のヒーロー


<ディケンズの家の入り口。>

日本でも「クリスマスキャロル」などの著作で有名なディケンズの住んでいた家が近所にあります。普通の住居と見分けがつかないくらい、看板のなければ、道標もないけれど、よく見ると、「ディケンズの家」と書いてある。他人の家ではないだろうな、とおそるおそる思いながら、ベルを鳴らすと、ドアが開き、通路の奥に小さなディケンズストアを見ることで、「ああ、ここでよかったんだ」と思うわけです。

さて、このディケンズ氏は、1800年代の産業革命とともに、大衆から支持されて、一世風靡した作家です。じつは、その理由は、もちろん、その作風が庶民の心を掴んでいたというのもあると思いますが、ディケンズ氏そのものヒーローストーリーによるところも多いと思います。すなわち、作者力とでもいうのか、そのディケンズの経歴そのものが浮き沈みが激しく、彼が紡ぎ出すストーリーに鮮やかさを添えていると、そんな風に思うんです。

ディケンズは、もともとは、中流階級の生まれですが、父親のビジネスの失敗により、どんどんと生活は困窮していくわけです。ディケンズの家で見ることができるショートビデオでも紹介されますが、家を転々とし、その度に家の広さが狭くなっていく。しまいには、借金の背負いすぎで、父親は罪に問われ家族で牢獄生活をするというところまで落ちるわけです。ディケンズは、その少年時代をロンドンの裏路地で、街の闇を見ながら過ごしていくわけです。

そんなディケンズも、新聞記者として活躍し、そして小説を執筆することで、イギリスの表舞台に返り咲いていく様は、当時の一般大衆、庶民には大きな励みになったのではないかと思うわけです。もちろん、地獄を見た経験から大衆生活を見事に描き出したコンテンツ力もすごかったと思いますが、ディケンズ自身がある意味で大衆のヒーローであったのではないかと思います。

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<ディケンズの家。地下の書庫>

ブレークしているモノには、そのモノ自体がもっているコンテンツ力に加えて、そのコンテンツ力を増幅させるストーリーが伴っていることが実に多いものです。

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