2009年9月20日日曜日

輝くためには(その1)

日本に先日帰国した折に、ひとつの勉強会を開催しました。そのテーマは、“一人一人が企業で輝くためには、どうしたらいいのだろうか”というもの。フィンランドを旅行してからというもの、このテーマで議論しなければいけない、そんな切迫感にも似た気持ちがこみ上げてきていたのです。

日本、アメリカ、イギリス、イタリア、フィンランド。この4カ国を一人当りGDP順に並べるとどうなるでしょうか?一人当りGDPとは、いってみれば、一人当りの産み出している富であり、豊かさの指数として使われます。勉強会でも、このクイズを出したのですが、じつは正確に答えられた方はいませんでした。そう、難しいのです。

2007年の最新の統計によると、1位がフィンランド(46,518ドル)。さすが、北欧パワーをみせつけられます。2位がイギリス(46,121ドル)。次はどこでしょうか?日本?いえいえ、次は、アメリカ(45,489ドル)。次は日本?イタリアよりは多いでしょう。いえいえ。次はイタリア(35,430ドル)で、最後が日本(34,326ドル)。参考までに次がスペインです。金融危機によって、為替等の多少の変化はあれど、ザッとこんな感じです。

みなさんのもっている感覚とこの順位は一致しているでしょうか?そう、先進国の中で、全然、豊かな方ではないことに気付かされるのです。

フィンランドはといえば、フィンランド豊かさのメソッド (集英社新書、堀内 都喜子著)でも紹介されているように:

平均的なフィンランドの人々は夕方4時になると仕事を終えサッサと家に帰る。
土日は基本的に仕事をしない。
社会人でも夏休みは4週間以上とっている。
日本では「ゆとり教育」が問題になっているが、同国の学校の授業数は日本よりもはるかに少なく、塾もない。

一方、日本といえば、みなあくせく働いている割りには、年収300万時代、フリーター、ニート、減収減益、高齢化などといいニュースが聞こえてこない。

この差は一体何なのか?こんな勤勉でまじめな国民が、なぜ一人当りGDP低下の一途を辿っているのか?なぜ?そんな素朴な疑問がふつふつと浮かび上がるわけです。

この問題意識を持っていた折に、London Business SchoolのLynda Gratton教授の主張が目にとまったのです。彼女曰く、企業にHot Spot(アツイ場)をつくり、一人一人がGlow(輝く)環境をつくることが、今求められているというのです。


ここで紹介されているフランクとフレッドの逸話はとても面白い。英語は平易で分かりやすいので、ぜひどうぞ。

たしかに、今の日本では、Gratton教授がいうところの、Hot SpotやGlowできる環境というのは減ってきているのかもしれない。経済が成熟してしまい、プロジェクトX的な熱くなれる場所、燃えることのできる場所が減っているのかもしれない。

もしそうだとすると、輝くために、個々人ができること、企業ができることがあるというGratton教授の主張は、日本にとって、大きな意義をもつことになるような気がするのです。彼女は、壮大なことを主張しているわけではなく、ごくごく「そうだよね」と思えることを言っていますが、その内容はまた今度。(続く)

2 件のコメント:

おぜき さんのコメント...

いつもお世話になっております。
前回の勉強会はありがとうございました。
Glowについて、最近思う事があります。実は「輝ける場所」というのはどこにでもあるのではないかという事です。
それも、マネジメントがその場所をどうやって提供し、個々の成長について考えるかという事を実践する事で、どんな仕事でもというと語弊があるかもしれませんが、実現可能なのではないかと思います。

要は、考え方と、モチベーションの管理の仕方、そして個人の方向性の問題なのかなと思います。

逆に、どこの仕事、何の仕事でもマネジメント次第では「輝ける場所」を作る事が可能という事です。

このことについて、また日本に帰って来た時にゆっくりお話できればと思います。

ちょっといろいろと実験してみます。

twk さんのコメント...

おぜきさん

こんにちは。コメントの書き込みありがとうございます!

まさにそうですね。どんな仕事でもGlowできる可能性がある。

その可能性を生かすも殺すも、マネージャーの責任でもあり、個人の責任でもある、ということですよね。

このテーマについて、ぜひ議論を深められればと思います。今度、おぜきさんの経験や感じたことなどぜひ聞きたいと思っています。