2009年3月16日月曜日

なぜBT会長の話しが面白くないのか?


The Distinguished Speaker Series
Sir Michael Rake
Chairman, BT Group
Wednesday 11 March 2009, RCOG, 27 Sussex Place, London

先日、LBSのゲストスピーカーシリーズで、British Telecomグループの会長である、Sir Michael Rakeが登場しましたが、やや期待はずれの内容だったのは残念でした。その最大の要因は、おそらく聴衆のエクスペクテーションとの乖離です。

BTがどんなチャレンジに直面しているのか、そんな中でBTの会長Michael Rakeはどんなイニシアティブをとろうとしているのか、そこでどんなリーダーシップ像が求められるのか、ぜひ聞いてみたいと思い参加しました。

BTは、民営化に成功し、かつ、じつはグローバル化にも成功している企業のひとつです。NTTがグローバル化するとはあまり想像できないことを考えると、大きな偉業を成し遂げた会社ともいえます。一方で、相変わらず、BTのサービスレベルは悪く、日常会話の皮肉ネタでよく使われるの事実。そういったわけで、BTというのはとても聞くにあたいする面白い企業なのです。

しかし、実際のスピーチは、BTの話しは、ほとんど、というより、全くでなかったのです。話しのトピックは、「昨今の金融危機は・・・」とか「今度のG20は・・・・」など。「今後政府に期待する政策は・・・」など。あまりにもマクロ的な話しで、かつ毎日、連日のように新聞で見聞きしている言葉を再編集したようなスピーチで新鮮みがあまりなかったのです。

何がいけなかったのでしょうか?

聴衆のエクスペクテーションに応えていない!の一言に尽きると思います。

まず第一に、BT Chairmanという肩書きで、このゲストスピーカーで登場するのだとしたならば、聴衆は少なくともBT Chairmanとしての立場の話しを聞きたいと考えるはずです。すなわち、彼は、BTというポジショニングをとってしまっているわけで、実際のデリバリーがそれと乖離していれば、やはり不満が出てきてしまいます。

実際の話しは、昨今の金融危機にまつわるマクロ的な話しばかりだったのですが、そういう話しならば、そういう話しをするライトパーソンがいるわけで、だれもマクロ的な話しを一介の企業リーダーから聞きたいとは思わないでしょう。

仮に、そうしたことを語る豊富な知見があったとしても、BT Chairmanという肩書きを出してしまった以上、その話しの信憑性はゆらいでしまうと思うのです。たとえば、イングランド銀行の総裁がやってきて、「昨今の金融危機は・・・」と話したら、それは納得がいきます。イングランド銀行の総裁と聞いて、聴衆が期待する話しはまさに、そうしたマクロ的な話しだからです。

期待値と実現値のギャップが満足度とはよく言われますが、どんなコンテクストでも成立する、示唆深いメッセージだと思います。そして、その期待値は、スピーカーのちょっとした肩書きだけで、聴衆の中に形成されてしまうわけです。いかに、事前に期待値をコントロールしておくかは、やはりとても大事!といえそうです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

「なぜ面白くない話をせざるを得なかったのか」という背景を考えると面白い&核心に迫れるように思いますが、いかがでしょうか。

twk さんのコメント...

匿名さん

コメントありがとうございました。ご指摘のとおりで、もっとも面白いコトをはなせない事情に思いを馳せるとき、今まで見えなかったことが見えてくるのでしょうね。