2009年6月11日木曜日

号外~LONDON速報

“仮”の話しです。

東京都内の電車全てが動かなくなったと想像してみよう。それも、少しの間、たとえば、1時間とかではない。まる2日間、48時間、駅構内に入れなくなったと想像してみよう。さて、明日から、どうやって、会社や学校に行こうか、と思うに違いない。

じつは、驚くなかれ、今、このロンドンでは、まさにそれが“仮”の話しではなくて、現実に起こっているのです。ロンドン市内の地下鉄が、ほぼ全てが、ストップしているのです。もちろん,朝のラッシュの帰りのラッシュもお構いなしに、すべて停止。そう、ストというやつです。日本では、久しく聞いていなかったストライキですが、ここロンドンの地であっさりと経験することとなりました。

それこそ、朝、そして夜も、ロンドンの街がひっくり返ったかのような大混乱ぶりです。今まで地下に潜っていた人が、全て地上にわき出てきたような有り様で、道路には車がうじゃうじゃ、歩道には人とうじゃうじゃ、自転車もうじゃうじゃ。


面白いもので、Trasporation for Londonの公式ホームページに行くと、代替手段として、「徒歩」というのがあり、出発地と目的地を入れれば、何分かかるか出てくる。現実問題、バスも溢れ、タクシーもつかまらない状況下では、「徒歩」で行かざるを得ない人も多いのです。



ロンドンは、それはそれは、国際都市で、それなりの“格”があって、しかるべきなのですが、公共機能が2日にもわたってストップし、今日だけで数百万人の足に影響が出るというとんでもないチョンボをしでかしたことになります。なにやら、2年前もストが起きているとか。

企業側の主張は、そこそこ、まともではないのか
コトの発端は、経営破綻しかかった地下鉄のインフラ管理会社を、ロンドンアンダーグランドに吸収する際、バックオフィスの人員合理化しようとしたこと。しかし、冷静に考えれば、それが間違いとは誰も云えないのではないか。また、ロンドントランスポーテーションは、賃料に関しては、この不景気のどん底にも関わらず、引き上げ案を提示している

大都市においては、ストが、結果的にポジティブに働くとは考えにくいのではないのか
そもそも、ストの効果はあるのか?昔の炭坑の時代、すなわち、劣悪な労働環境を改善要求していた頃と、今では状況が全く違う。そこそこの生活水準に達しているロンドンにおいては、その効果はかなり低いのでは?労働組合側は、ストが社会的に、大きなインパクトを与えることから、企業側がそれに譲歩するだろうと期待して、ストを起こす。しかし、企業側も、ストをしたからといって譲歩したら、「ストをすれば譲歩する」という認識が生まれるのを恐れ、おいそれと譲歩することはできない。

日本では、航空会社や私鉄がストを昔(今でも?)やっていた時期がありますが、ストをやったから、結果的に何かいい方向にいったかといえば、そんな話し、聞いたことがありません。航空会社などは、業績が悪くなる一方。

誰もが得をしない、局所解にはまり込んでしまっている?
結果的には、誰もが得をしない、局所解にはまり込んでしまっている!企業側も、譲歩したくても、譲歩できなくなるし、結果的に、労組側も果実を受け取ることができない。また、ストのインパクトで、足止めされた体勢の世論は、労組に賛同するだろうか、しないでしょう。交通機関が麻痺し、大量の市民が困り、そして、怒りを覚える。そう、誰も得をしていないのが、今の状況なのです。囚人のジレンマとでもいいましょうか。

局所解から最適解に移行するためには、外部の力学が必要ではないか
この局所解から、それよりもましな、最適解に脱出するのは、自力ではムリなのではないか。自力で這い上がれるのなら、すでにそれは実現できているはず。政府の介入、もしくは企業破綻などのプロセスを通じて、最適解に強引に移行させる処置が必要なのではないかと思う。今の会社をつぶして、新しい会社を作って、そこに全ての従業員を移行させるとか。その際に、労働契約条件をより柔軟にできるようにしておく。今のこのご時世、もっと勤勉に働いてくれる人はいくらでもいると思われる。そんな法案を国会で通してしまってはどうか。

というわけで、ただいまロンドンの公共機関は、麻痺状態にあります。明日も引き続きストな日が続きそうです。おとなしく、「学習の1日」に致したいと思います。ちょうどいっか!

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