2009年8月25日火曜日

書評:ワールドガイド 北欧 JTB

もっと良くなるのになあ、このガイドブック。

まずは、正確性です。

昼下がり、おもたいバックをひきずり、ホテルを探し回る。日差しは照りつける。子どもは疲れてきて、叫び出す。お腹がすく。ガイドブックの地図を頼りに、不慣れな都市を歩く。地図に書いてある場所にホテルがなぜかない。何かがおかしい。これは、まさに今日私が体験したことでした。そうなのです、ホテルの地図へのプロットが間違っていたのです。その上、地図の表記もザツで、高架になっている道路もそれと示されていないので、歩き回っていると分かりづらい。

さて、何とかホテルにつき、さぁ、昼ご飯はどうしようかと思っていると、twk Jr.が「白いご飯が食べた-い」と言うではないですか、「おおやはり日本人なんだなぁあ」としみじみ思いながら、ワールドガイドに記されてあった、「チョップスティックス」というチャイナレストランに行くことに。そう、いつだって、中華料理は僕らに見方です。中国人よ、どこの国にもたくましく進出してくれているおかげで、僕らは中華をどこでも食べることができるのです。

話しをもとに戻しましょう。この「チョップスティックス」、またもや地図の場所が実際と違うのです。一ブロックずれているのです。また、飲茶が25クローネ~(1クローネ14円)と記載してあるのですが、安いので40クローネくらいはするし、平均的には40~50クローネくらい。読者としては、プライスゾーンを見誤るかと思います。

また、スウェーデン料理を出すあるレストラン、プリンセンは300クローネからと紹介されているのすが、どう考えても、一人300クローネでは食べられないほど、実際は高めの料金設定なのです。前菜だけで、200クローネくらい軽くいってしまうプライシングなのです。安い飲み物と軽い前菜で、たしかに300クローネ~といえますが、果たして、それが読者に親切かどうか。

次に、一貫性が欠けるかなと。

一貫性が欠けるというのは、言い換えれば、この本の想定している読者ターゲットが見えづらいのです。

モデルコースとして、紹介されてあるものは、たとえば、11日間で4カ国巡るというけっこうタイトなスケジュールで、若者向けを想定しているのかと思うのです。また、冒頭にも、「航空券だけを買って旅するという人」に役に立つと書いてある。その一方で、紹介されてあるレストランは、どちらかというと、高額帯が多いのです。

欧州版の「ワールドガイド」ではないのですが、このスペイン版のワールドガイドに掲載されてあるレストランを、スペイン人にレビューしてもらったことがあるのですが、「この本は、高いところしか紹介しないんだねぇ、こんなところはいけないなあ」とのこと。

おそらく、JTBのガイドブックなので、本来は、やや富裕層以上の人が読者層になるべくところを、「地球の歩き方」から少しでもパイをとろうと、若者を狙うニュアンスを出してしまったために、そこで、不整合が出てしまったのではないかと勝手に推察しています。

読者、旅行者の視点を忘れていると感じるなあと思うのは、紹介はしてあっても、アクションを起こせないことがあるのです。たとえば、代表的なスウェーデン料理として、アジのフライが紹介されてあって、日本人バリバリの私としては、アジのフライにぐぐっときてしまう。ところが、それがどこで食べられるのか、またアジのフライと書いてあるだけで、現地のコトバでどういうのかが書いてないため、今一歩行動に移せなかったり。

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と、一ユーザーとして、徒然なるままにコメントするのは簡単だけど、改めて、ユーザー視点でモノヅクリをするというのは難しいんだなあと自戒の意味をこめて思います。商品やサービスをつくりこんでいると、自分の趣味に走ったり、納期が迫っていて「分かっているけど、今はムリ」と思ってしまったり、チームの力量で実現できないとあきらめたり、いろんな顧客の声がありすぎてどれに対応すればいいのか分からなくなったり、自分の心が折れそうになって「これで、イッカ」とあきらめたりと。

コンサルティングのプロジェクトでもそうですが、クライアントの満足に応えるのは、ときには、というか多くの場合、険しい道なりなんですよね。でも、常にクライアントと接する仕事をしてきたからこそ、いつも緊張感がもていたと思いまし、そこに喜怒哀楽があると改めて振り返ります。

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