2008年11月23日日曜日

新世代学生の出現:B-Schoolのチャレンジ

こないだBusinessWeek恒例のビジネススクールランキングの発表がありました。めでたく1位に輝いたのは、Chicago Business Shcool。この特集を手がけた編集者のインタビューを聞いたのですが、彼らによると、今の学生は、いままでの世代とは違う、新人類世代が入ってきているんだそうです。したがって、当然違ったニーズを持ち合わせているわけで、学校側もそれへの対応が迫られているわけです。この新人類世代の特徴として、私なりの解釈をすれば、ネット世代、自己中心的、グリーン世代、個性喪失の4つ。

ネット世代:
インターネットをフル活用して育った初めてのジェネレーションがビジネススクールに着始めているという指摘。たしかに、私も高校、大学の頃からインターネットを使い始めたのを思い出すと、そうかもしれません。要は、ネットが当たり前と心から思える世代が入学してきたということです。こうした学生の新しい趣向を学校側が、十二分に対応できるかどうかがチャレンジだというのです。

たしかに、ネットの活用をもっともっと活用するチャンスは至るところにあると思っています。たとえば、今日も、教授からのメールがあり、「みんなから質問のメールが多いので、返事が遅れるかもしれないけど、ごめん」との発信がありましたが、それに対して、クラスメートが「Strategyのクラスで集団知を習ったように掲示板を使って、集団知で、質問に答え合おうよ、、」との提言。いや、たしかにそのとおりです。先生、生徒とのコミュニケーションだけでなく、生徒から知恵をひっぱってくる仕掛けをより活用する余地はあるな、と思いました。

また、オンラインでのクラスもほとんどないので、これも検討の余地ありです。今、私は、Spoken Englishという英語のスピーキングに関するコースを受けているのですが、これが唯一のオンラインの授業です。リアルキャンパスの学校であったとしても、すべてクラスで受講しなくてもいいのかもしれません。リアルとオンラインの双方の活用は、これから検討に値する面白いテーマだと思います。

自己中心的:
自己中心的な世代のようです。自分をみて、かまってくれないとイヤという世代のようです。したがって、画一的なカリキュラムを押しつけられるのがイヤな世代。ここ最近のビジネス・スクールのトレンドとして、選択科目のフレキシビリティをぐーんとあげてきているようです。たとえば、シカゴは、1年生のときから自分の関心に合わせて、バンバン選択科目をとれると聞いています。一方、LBSは、いまのところ、1年生の1学期は、100%必須科目で埋め尽くされています(笑)。このあたりの方針は学校によって大きく分かれるところです。

グリーン世代:
環境問題、エネルギー、CSR、こうしたトピックへの関心度が飛躍的に高いのがこの世代の特徴です。こうした問題を学ぶためのカリキュラム、教授、体制を整えるのがひとつのチャレンジになるとのこと。たしかに、この分野は新しいので、なかなか教授も揃えるのが難しいし、理論も確立していないので、教えるのも一筋縄ではいかないところです。いまのところ、多くのビジネス・スクールは、授業でメインに扱うというよりは、他の機関との連携や、クラブ活動などの課外活動を通して、こうしたイシューを学んでもらおうと考えているようです。

個性喪失:
じつは、一見すると個性が失われているように見えるのもこの新しい世代の特徴なのだとか。これは、ネットを駆使する世代ということ大いに関連しているでしょう。みんな瞬時に同じような情報を浴びることができるし、何か分からないことがあればネットでさっと答えをみつけて回答することができる。Googleからきたスタディグループのメンバーは、以前、ケースのディスカッションをするとき、ティーチングノート(先生用のインストラクション)をネット上で、上手に見つけていました。出願用のエッセイを書くときも、ネットで、合格者のエッセイサンプルを見つけてきて、それを加工して、出願する。さっと、正しい答えにたどりつくことはできるものの、みんな同じ情報に基づいてしまうため、書くモノに個性がなくなってしまうのです。

ビジネス・スクールのアドミッション側も、最近はどのエッセイも同じようなモノになってきてしまっているとも指摘しているとのこと。そういうこともあって、エッセイをただ文章で書かせるのではなく、パワーポイントでプレゼンをさせたり、「砂漠を車で旅するには誰をつれていきますか」といった一見奇抜な質問を出したりすることで、出願者の個性やユニークさを見いだそうとしているのでしょう。

多くの企業と同じように、顧客(=生徒)のニーズの変化にあわせて、もしくは先取りして、ビジネス・スクールもこれからどんどんと進化を続けなければならなそうです。そして、この新人類の登場は、マーケティング的に言えば、新セグメントの登場。それは、企業にとっても、チャレンジであり、ビジネスチャンスにもなり得ると思います。

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