2008年11月19日水曜日

ロンドンの物価は高いのか?

最近は、ロンドンの為替が極端に弱くなったこともあって、少しはロンドンの物価も落ち着いてきているのではないかと思いますが、とはいえ、日本からの旅行者は、ロンドンの物価は高い!と口を揃えていいます。そうなんです、実際に高いのです。私も、日本からこちらに数ヶ月前にきて、この物価の高さの前に、本当に日本の国力も落ちてきたなあとしみじみ思いました。



たとえば、ちょっとしたサンドイッチは、500円以上します。日本で食べれば、まずは1000円いかないようなパスタが、こちらでは2000円くらい。ちょっと寿司の入った日本食の弁当でも買おうものなら、まず1500円は見ておいた方がいいでしょう。とにかく高い感じがするのです。

とはいえ、実際に物価に関する統計をみると、意外や意外。都市別生計費指数では、ロンドが106なのに対して、東京は124!なんと、東京の方が統計上は、高いことになっているのです。ちなみに、東京よりさらに、生計費指数が高いのは、モスクワです。今や、モスクワが世界でもっとも物価が高い都市になっています。

いったい、どうなっているのでしょうか?



数ヶ月ここに暮らして、その理由が少し分かってきました。じつは、ロンドンは、食料品日用品が日本に比べて、とても安い。たとえば、うちは、Waitroseというスーパーで、食料品、日用品を買っていますが、このWaitroseはいわゆる、高級スーパーの部類に属するようです。そこでの値段をみてみると、





食パン(日本の食パンの2倍くらい入っていて) 0.45ポンド
クッキー1箱 0.37ポンド
ミネラルウォーター 2L 0.44ポンド
コーンフレーク(日本の2倍くらいの箱) 1ポンド


という感じです。今は1ポンド=150円、ちょっと前までのレートである1ポンド=220円としても、日常品が安いことが分かります。主食になり得る、豆類や、パスタ関連もかなり安いと思います。妻に野菜や肉の値段も聞いても、日本と変らないか、安いくらいだと言っています。

もうひとつ、特筆すべきなのは、こうした日用食料品が、おいしいということでしょうか。にんじん、タマネギ、じゃがいもなどは、なんだか日本よりもおいしい気がします。ここではよく食べられている鶏肉などは、変なくせがなくて、とてもおいしいです。日本で、おいしい野菜や肉は、なかなか地元のスーパーでは手に入らなかったことを考えると、とてもうれしいことです。

さて、なぜ安いのかというと、そのひとつの理由として、日用品には、17.5%の消費税がかからないことがあげられます。。また、子供服にも消費税はかかりません。だから、安いのです。一方で、日用品ではないもの、たとえば、外食であったり、エンターテイメントであったりとした贅沢品には、しっかりと税金がかかります。

こうした発想は、ヨーロッパ特有の「階級社会」からきているのではないかと思います。下級階級のヒトも贅沢さえしなければ、きちんと暮らせる仕組みをつくる、そんな思想が根底に脈々と流れている気がします。逆に、中流階級以上で、自炊の手間をおしんで、サンドイッチを買うような人は、きっちりと20%近い税金をとられるわけです。このあたりの階級に応じた税金徴収の仕組みができあがっているわけです。

一方、日本は、一億層中流な社会。たとえば、今日本で議論になっている、定額給付金のハナシも(これまた全く不毛な政策ですが)、金持ちにも不公平にならないようにとか、細かな議論が繰り広げられていることからも容易に、一億層流中的な発想がみてとれる。みんな総中流で幸せ、という見方もできるが、政府からみれば、国民全員からお金をとれるというわけで、近い将来に向けた、一律増税の布石が着々とうたれています。イギリスのような日常品を非課税にするといったそういう発想はみじんもでてこないわけです。

要は、ロンドンと東京では、ものによって物価の大小が違っていて、ならしてみると、東京の方が高いということでしょう。とくに日本からの旅行客の場合、日用品は買わず、だいたいにおいて、贅沢品だけを買ってすごすことになるので、余計に割高感を感じるのだと思います。

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