2008年11月19日水曜日

経営手法のイノベーションを考える

興味があるゲストスピーカーや教授の講演にはなるべく出るようにしています。今日はLBSの教授、Julian Birkinshaw氏が、自分の研究分野を簡単に紹介してくれました。Julianは、コア・コンピタンスの著者でもある、Gary Hamelとともに、Mlabという機関を設立し、まさに”M”anagement Laboratoryの文字のごとく、経営方法自体の研究をしています。その内容は面白そう。
http://www.managementlab.org/

Julianの主張は、これからは、経営方法や組織のあり方そのものが、競争優位要因になるんだ、というものです。マネジメントのやり方自体のイノベーションを考える必要がある、そこに21世紀的企業になるための、広大な機会が広がっているという主張です。たとえば、マネジメントとというと、ゴールを明確に定義して、ツリー上の組織の意志決定の仕組みを活用しながら、実行し・・・と想像しますが、本当にそれでいいの?と疑問を投げかけています。

イノベーションというと、商品であったり、技術であったり、もしくはビジネスモデルだったりします。たとえば、iPodはまさに商品のイノベーションでしょう。技術のイノベーションは、自動車、鉄道、飛行機などなど枚挙にいとまがありませんし、ビジネスモデルのイノベーションもDELLの受注生産方式は、あまりにも有名です。その中で、次のイノベーションは、経営方法そのものだ、というわけです。

たしかに、その通りで、経営自体のやり方については、冷静な考察が必要な時期にきていると思います。たとえば、MBA的なハナシでいえば、上記のゴール設定ひとつとっても、明確なそして具体的なビジョンを示す必要がある、と習うことでしょう。たしかに、ベーシックとしては正しいでしょう。しかし、そうでない例が回りを見渡せば、いくらでもみつかります。

たとえば、日本の商社。いったいビジョンは何なのか。かなり曖昧模糊としています。トヨタ。ビジョンの中に「産業に持続的な発展に貢献する」というのがある。これは明快な目ジョンなのだろうか。我がLondon Business Schoolは、Becoming the pre-eminent global business school. 全くビジョンになっていません。そうはいっても、上記の企業や組織は、きちんと業績を出しているわけです。

また、web 2.0的な、集団知を活用する、技術的なプラットフォームも整ってきていますので、こうしたものを存分に活用した新しいマネジメント手法の体系があってもいいと思います。実際、先進的な企業は、こうした新しいテクノロジーを、マネジメントに取り入れていることでしょう。

今まで、固定概念として考えられてきた、マネジメントの方法論は、じつは、事例を丹念にみていったり、新しい技術の登場のおかげで、バラエティに富んだものであって、唯一絶対なものはない。新しいマネジメントの方法を考えることができる時代がきていて、それこそを、経営上の競争優位とすることを考えてみるのは、価値があると思います。

コンサルティングを仕事としてやっていると、どうしても、クライアントごとの個別課題の解決に時間をとられて、なかなかあつかったプロジェクトを振り返ったりして、知の体系化をする時間がないのが課題だと思っていたのですが、今は逆に日々の業務から解放されているので、新しいマネジメントの方法という視点で、様々な事例を見ていきたいと思います。

0 件のコメント: