2008年11月29日土曜日

ネット世代の試験対策

最近は、もうすっかり期末試験のシーズン。このはじめのAutumn Termも終わりが近づきつつあると思うと、改めてTime fliesと感じずにはいられません。時間が経つのは早いものです。お世話になって卒業生に一人が、「一瞬一瞬を大事にして!」と言っていましたが、まさにそうなのだろうと思います。

こうした学校のレポートや試験対策には、インターネットが大活躍しているようです。今の学生世代は、まさに空気のようにインターネットを使いこなしている世代ですから、当然といえば、当然です。われわれの学生の間でも、試験前になると、過去問やその解説、クラスのポイントをまとめた資料などが、メールを通じて飛び交っています。

こうしたのはまだまだ原始的な手口であって、先日のBusiness Weekによると、各学校、教授、クラスの、過去問、クラスノートの情報共有サイトがここ数年で急速に伸びているという記事がありました。今まで物理的に行っていたモノを、ネットの世界に載せることで飛躍的に共有を効率化するという、とても簡単なアイディアですが、誰にもとめることのできないトレンドです。ここに紹介されてあるものとして、以下のようなものがあります。

過去問の共有サイト(PostYourTest.com, Exams101.com)
授業のノート共有サイト (NoteCentric.com)
study guides (HowIGotAnA.com)
上記の全部 (CourseHero.com).

その他にも、Business Weekには載っていないですが、よくあるレポート課題のレポートサンプルの共有サイトや、レポートの代筆、添削など、なんでもありの状況になってきています。レポートの代筆や、添削は、インドの比較的低賃金だけど、高学歴な学生を雇えば、安くできるというわけです。

こうしたサイトに対して、学校の先生、教授陣は、憤慨しているようですが、なんと時代遅れな対応をしているのかと、思わずにはいられません。試験問題の共有は、知的財産法の侵害にあたるとして、その違法性を主張したりと、あの手この手で、このサイトをなくそうとしているようですが、「音楽配信」「動画共有」などと同じで、この手のトレンドは、「止めることのできない」トレンドです。いくら阻害しようとしても、大きな力の前にはただただひれ伏すしかないわけです。

問題あるところにビジネスあり。たとえば、レポートのコピー・アンド・ペーストを摘出するソフトウェアで、Turnitin(http://turnitin.com/static/index.html)があります。大学、高校などの教育機関では、スタンダードになっているソフトウェアのようです。学生から提出されたレポートを、このソフトウェアにかけると、「カット・アンド・ペースト度」を算出するというすぐれもの。ネット上の文書などありとあらゆるテキストとの照合をかけることによって、学生が既存の文書をコピーしていないか、アイディアを盗んでいないかを検出するわけです。

アイディアの盗用に関しては、ある種の「倫理的な」問題が伴うので、別の議論が必要ですが、過去問、過去のノート、スタディガイドの共有に関しては、Business Weekで発言しているある教授のコメントは的を得ていると思います。「われわれが、もう少し努力をすればいいだけ」。そうなのです、たとえば単純なハナシですが、新しい問題をつくればいいわけです。

昨日あったStrategyの試験は、朝の9:00にメールで試験が配信されて、その日の12:00に返信すべし、というもの。ネイティブも時間いっぱいかかるという、なかなかライティングヘビーな試験です。この試験の場合は、そもそも何でももちこみOKです。やろうと思えば、クラスメイトとも相談もできますが、時間的なタイトなので、なかなか他人をサポートしている余裕もないわけです。とはいえ、こうした状況下でも、他人の力を借りられる人は、それも立派な実力でしょう。

また、日本のビジネス・ブレークスルー大学院のテストでは、授業によっては、学生の中間レポートに応じて、学生の問題をすべて変えているそうですから、これもまた、イノベーティブなやり方です。

インターネット世代である学生には、従来のもぐらたたきのアプローチではない、インターネット時代にふさわしい対応策が必要、でも学校側が、非インターネット世代なのがなやましいところです。

0 件のコメント: