2009年2月3日火曜日

18年ぶりのロンドン大雪

年が明けてから、ようやく暖かくなってきたなあと思っていたら、昨日は急に冷え込み、しまいには雪が舞い始めました。一夜明けて、起きてみたら、窓からの景色は激変して、辺り一面銀世界ではないですか。とはいえ、積雪量は、10cmにも満たないくらいで、驚くのもつかの間、そそくさと学校に行く準備をする。東京人的感覚からすると、この程度の雪では、公共機関のオペレーションは普通に行われるし、ましては仕事や学校が休みになるとは考えない。

子供が無邪気にはしゃぎながら、

「うわぁあ、パパぁ、ゆきだよぉーゆきぃー」

など、窓に顔を貼り付けながらと喜んでいるのをみると、自分は子供心を失ってきたなあとも思う。私の心境は、

「この雪の中、学校に行くのはかったるいなあ」

ですから。なんとも大人になってしまったものだとしみじみと感じます。

ちらっとiPhoneに目を通して、メールをチェックをすると、学校のメーリングリストに大量のメールがたまっているではないですか!今日は学校はあるのか?遅れてはじまるのか?休みになったか?などなど、学校が休みになるはず、という思惑のメールが飛び交っているのです。

「バカな、もちろん、学校あるでしょ」

と思っていた私がバカで、街中に出ると、ありとあらゆる公共機関が麻痺しているではないですか。私はかろうじて、Baker Streetにまでたどりついたものの、駅の中はごった返していました。

学校につくと、教室の中はガラーんとしており、ポツンと教授が待っているという、なんともわび寂しい光景です。教授も授業をはじめるべきかどうかとMBA Programme Officeに何度も電話で確認しているようで、来ている生徒もザワザワ、一体どうなるんだと、動向を見守っている。

結局、授業は予定通りすべて実施するものの、出席はとらないことになりました。マーケティングのポジショニングの授業で、題材はアメリカの電動工具メーカーが、我が日本が誇るMakitaをガチンコ勝負で追撃するという、日本人的にはハラハラするケースで面白い。
授業は実施されたものの、授業以外の様々なイベントや、学校内で行われるインタビューはすべて中止。翌日の午前中のクラスも中止でした。

「は?」

たかだかこれくらいの積雪で何をこれほどまに騒いでいるんだ!という日本人の私の感覚ですが、こちらではそうではないらしいというのが、何とも都市の違いを見ているようで滑稽です。

クラスメイトのイギリス人によると、こんな大雪(というか、実際は普通の雪なのですが)は、20年降りだと言っていました。とにかく、ロンドンにとっては未曾有の出来事だったのです。

実際、Financial Timesによると、いかにインパクトが大きかったが分かります。労働人口の20%が家にずっといたとのこと。そして、およそ半分の会社で、平常時に比べたら約半分しか、仕事をできなかったとのこと。そして、最後は首相まででてきて、「われわれはできる限りの施策を打って、公共機関を正常に戻すことにつとめている」という声明までしていました。

LBSは授業を行いましたが、LSEやその他の学校、またうちの子の保育園は全休になったというから、なんとも雪に脆弱な都市と言えるでしょう。

ここで忘れてはいけないのは、この雪は予測されていたことなのです。にも関わらず、このような大混乱を引き起こしてしまったことは、非難されるべきでしょう。

たとえば、20年降りというのなら、20年前の混乱はどうだったのか、ロンドン以外の大都市でこのような大雪があったときにはどのような対処をすべきか、など事前に学び、それ相応の予防策はもっとはることができたはずです。とくに北米の大都市は、この程度の積雪は日常茶飯事でしょうから。

解決策はあるのに適切に既存のナレッジが展開、今回の件は適応されていないひとつの典型的な例ではないでしょうか。

イギリスは、ポンドの超安、金融危機、経済危機に加えて、ロンドン大雪ショックと、最近踏んだり蹴ったりな日々です。

おまけ:雪のLondon Business School。いつもとはまた違う美しさを見せていました。


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