2009年2月5日木曜日

学校がInternationally Diverseするのも大変


中欧の都、プラハに来ました。今日は、早速、中世の色を色濃く残すこの街を、たっぷりと堪能しようと思います。中欧諸国はロンドンからわずか2時間という近さなのが何ともうれしいところです。未曾有の金融危機という枕詞を聞いて久しくなってきましたが、その結果としての、円高メリットを思う存分享受すべく、なるべく多くの国に訪れ、グローバルな見聞を広めたいと思っています。

グローバルという意味では、London Business School は、”Internationally Diverse” を強く標榜しています。実際、Associate DeanもこんなコメントをLBSのポータルでしています。


Sabine Vinck, Associate Dean MBA and MiF Programmes, said: "I am particularly pleased that in the MBA ranking we have been recognised as one of the most internationally diverse schools in the world.
"Of the top ten schools, we have the highest percentage of international students, the highest international mobility ranking, and the highest international experience ranking. It is this diverse, global outlook which sets us apart from the competition and is key to the London Business School experience".

当然、グローバル化が進んでいるのだから、学生のダイバーシティを高めるのは必然なのだから、外国人学生比率を高めればいいじゃないか、と思うかもしれないのですが、コトはそう簡単でもないなのです。学生のダイバーシティを高める、すなわち、世界中の国籍の学生を受け入れて、International Student比率、すなわち外国人の比率を高めるのは、ビジネススクールとしては、極めて難しい舵取りを迫られることになるのです。

なぜでしょうか?

端的に言ってしまえば、就職率が下がるからです。外国人学生がその母国に帰って就職すれば、あまり問題はないのですが、英語圏のビジネススクールにくるような学生はどうしても、たとえばロンドンで働きたいとか、アメリカのビジネススクールならば、米国内で働きたいと考える傾向はとても強い。

しかし、そうした学生は、すべてとは言わないですが(もちろん例外はたくさんある)、Nativeと比べれば、リクルーターの目から見れば、どうしても、競争力が落ちてしまう。単純なハナシ、近年の「自国民を雇用せよ」という世論的なプレッシャーがある中で、全く能力が同じ二人がいたとして、ひとりは外国人、もう一人は自国人だったとしたら、リクルーターはどっちをとるでしょうか?つまるところは、そういう問題です。そして、海外労働VISAの問題も絡んできています。

就職率が下がってしまうと、ビジネススクールとしては致命的です。なぜかといえば、そもそもキャリアチェンジを目的としてきている学生が多い中で、ビジネススクールに言っても就職できないということになれば、一気にその学校の人気は地に瞬く間におちるからです。ビジネススクールのランキングを決める上でも、たとえば3ヶ月以内就職率は使われていますし、卒業生がどれだけの割合すぐに就職できるかどうかは、ビジネススクールにとっては、きわめて、きわめて、大事な指標なのです。結局は、「ビジネス」スクールです。ビジネスが卒業後にできなければ話しになりませんから。

そういった事情がウラにはあって、それほど簡単には、Diversityをチャッチャと高めにくい。海外学生比率と就職率という、この相反する命題に折り合いをつけていかなければならないからです。

たしか、留学予備校のAgosの会長も以前、おっしゃっていました。最近は、MBAの受験におけるインタビューで、アドミッションは、何をみているかという話で、こんなことをコメントされていたと思います。MBA卒業後に、受験生が企業で働くだけの英語力があるかどうかをみる、すなわち、授業について行くだけの英語力だけでなくて、卒業後に企業で活躍できるだけの英語力があるかどうかを見る、というのです。このあたりもやはり、就職率を意識しているが故のコメントだと思います。

そうした状況の中で、我田引水的ですが、London Business Schoolはけっこう頑張っているんじゃないかなあと思います。海外学生比率は、おそらくもっとも高い水準を維持しながら、就職率を他のトップスクールと同じ、というのが、LBSが評価されてきている理由のひとつでしょう。ここの仕組みを作ることができたことが、今は大きな強みになっているように思います。

一方いままではよかったのですが、これだけのInternational Studentsを抱え込んでいるので、これからが大変です。今のように、超「就職氷河期」においては、非常に就職率が影響を受けやすくなります。職が大量にあればいいでしょうけど、今のようにシューンとしぼんでしまっているようなときには、やはり、海外学生組は、不利に成らざるを得ません。Deanは、「ありとあらゆるリソースをCareer Service(就職支援課)に振り向ける。これがトッププライオリティだ!」と言っていましたが、学校としても、何とか学生に職を確保してもらおうと懸命です。

以上、ビジネススクールがInternationally Diverseするのもけっこう大変なんです、というお話でした。

さあ、これからプラハの街へ踏み出してきます。



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