2009年12月18日金曜日

「組織が主語になる言葉」

これは、いつも読ませていただいている“Nakahara-lab.net 中原研究室 大人の学びを科学する”のブログ・タイトル。冒頭こういう出だしです。
http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/12/post_1621.html


“先日、Learning barで金井壽宏先生がおっしゃっていた言葉で、非常に印象的なものがあった。  それは、 「組織が主語になる言葉は、怪しい」  ということである。”

そう、まさにこれは多くの企業の方々と接していて思うこと。企業もしくは職場の健全度というのは、そこで会話されているコトバでもって、ある程度判断できます。

今、財政的な危機に陥ったある教育機関のコンサルティングを学業の傍らで行っているのですが、まさに「組織が主語になっていたこと」が大きな根本原因だったのです。その教育機関のキーパーソンを集めて、ワークショップを開催したとき、冒頭で議論が膠着して、進まない。議論が進まない。自分たち探しをし始めたのです。

"そもそも私たちのミッションは何なの?ミッションをきちんと定義しないと、だめよ"
"チャリティ組織とは、こうこうしかじか、あるべき"
"今のこの組織は、そうなっていないから問題なのよ"
"この組織はチャリティ組織なのだから、利益を考えてはいけない"
"でも、今はお金がないのだから、利益を出さないといけない"
"創業者との関係をきちんと決めない限り、前に進めない"


この手の議論が始まると、絶対にといっていいほど、議論は収斂しません。なぜか?それは、どの議論の断片もそれなりに一理があるからです。みな、それぞれのバックグラウンドから合理的に正しいと思うコトを主張していくわけですから。

このような場合、全ての関係者が納得し、議論を導いてくれるガイドが必要です。では、どのようなガイドが必要でしょうか?

今回のケースでは、議論がきわめて内側に志向してしまっているので、それを外部から客観的に評価する必要があります。私がこのとき話したのは、「顧客」この一点のみです。

"みんなは、この組織のことばかり話しているけれど、生徒はどう思っているんでしょう?"

"400人の生徒のうち、100人がこの1年間で去ったのは、本当に金銭的な理由だけでしょうか?彼らは、何を思い、何を感じているのか、何に不満をもっているのか、そして彼らがこの組織に何を期待しているのか、みなさん答えられるでしょうか?"

"私たちは、まず、生徒さんの悩みに思いを馳せ、それをくみ取り、そしてその次に、この組織が彼らに何をサーブできるのかを考える必要があるのではないでしょうか。ですから、ミッションやチャリティや各種の施策はおいておいて、生徒のニーズ、思い、悩みから議論しませんか。"


だれもが顧客が大切だと思っています。しかし、議論の渦中に入ってしまうと、それが見えなくなる。そして、いつの間にか組織が主語になっていく。そのときに、この顧客の視点を一気に導入すると、いつだってきわめてパワフル。具体的な顧客の悩みと切り出すと、そこには誰もが逆らえない崇高感があるのです。組織が主語になっている場合は、顧客視点をガツンと議論の中に投げ込んであげると効果的です。ここさえきちんと押さえられれば、いわゆる通常のマーケティングのプロセスにのせてあげることができるからです。

0 件のコメント: