2009年2月12日木曜日

Appleのかっこいいプレゼン


The Marketing & Entrepreneurship Clubs are delighted to welcome Pascal Cagni, General Manager & Vice-President, Apple Europe, Middle East, Africa & India to the campus.

今日のスピーカーは、Appleのヨーロッパ、中東、アフリカ、インドを統括しているPascal Cagni氏。
名前からも推察されるようにフランス人で、もともとはコンパックの営業を担当していて、ジョブスに声をかけられて、アップルに移ってきたのだそうです。

彼のメッセージは、いたってシンプルなもの。

Break the rule. Change the world. Think differently
みなと同じように考えていては絶対にダメ。ビジネススクールで教える10のことを紹介したのち、それらと全く真逆のことをアップルはやっているということを説明していく。

Streamline product line
アップルのプロダクトラインナップは超シンプル。たとえば、PC事業では、Laptop/Desktop、もしくは、Pro/Consumerの2軸で切った4つの商品ラインナップしかない。

Innovation & Design
R&Dドリブン、かつデザインをとても大事にすべきというメッセージ。

上記のメッセージは、すでにご存じの方も多いと思いますが、個人的に学びになったことは、プレゼンテーションの作り方です。

なんといってもプレゼンテーションマテリアルがとてもかっこいい。AppleのCMやウェブページのように、すっきりとしたシンプルなデザイン、それでいてクールなイメージを与えてくれる、だれもが好きになるプレゼン資料だったと思います。無駄な文字はすべてそぎ落とされ、象徴的なファクトと、動画や静止画、それからイラストを存分に活用されているスライドは、大変勉強になりました。かっこいい。

ストーリー展開もなかなかのもので、たとえばこんな感じです。出だしには、Appleは今は賞賛される企業のひとつですが、わずか10年前は、破綻寸前の企業でしたという話しがあり、ふとスクリーンに目をやると、DELLのCEOのマイケル・デルのコメントが投影されている。もし、あなたがアップルのCEOだったら、どうやってこの会社を建て直しますか?という質問に答えている。

“Shut it down and give the money back to its shareholders”
「私だったら、さっさと会社をたたんで、お金は株主に戻す」

そして、その次に、出てくるスライドには、以下の数字がポッと描き出されている。

アップルの現在の時価総額 $88B
デルの現在の時価総額 $18B

これだけのギャップを見せられると、もうプレゼンテーターはそれほどしゃべらなくても、このわずかなファクトがすべてを自動的に語って、強烈なインパクトともに、聴衆のマインドに刻まれるわけです。


さらにたたみかけるように、直近の四半期の業績も前年比に比較して伸びているという単純な数値をみせられる。数十%減が当たり前の今のご時世において、伸びているだけで、「おおおっ」となる。


劇的な再生劇の事実を示した上で、では、これはどうして可能になったか、その秘密を教えましょう、というこういう流れです。そうすることによって、その次に語る「秘密」の中身に対する聴衆の関心度がぐーんと高まっている状況を意図的につくりだすことに成功しています。

デザインが命の会社は、やはりプレゼンも右脳にビビッドに訴えかけることが得意のようです。


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

コンサルは
左脳系なプレゼンが多いけど、
右脳系って大切だよねー。

広告代理店の人たちの
プレゼンもとても参考になったよー。

twk さんのコメント...

るいさん

コメントありがとうございます!ご無沙汰しています。元気ですか?

コンサル時代、同僚とときどき、今回のプレゼンは、動画などを駆使しようなどと話したりするのですが、最後はやはり時間がなくなって、Conentionalな感じに落ち着いていました。