2008年8月3日日曜日

グラナダ:イスラム王朝とレコンキシタ

マドリッドからぐーっと南下してきまして、イベリア半島のシエラ・ネバダ山脈の麓、グラナダにきています。イスラム建築の最高峰とされるあのアルハンブラ宮殿がある歴史的には超重要都市のひとつ。このグラナダが最も繁栄したのは、イスラム王朝ナスル朝のときだといわれています。1250年からの約250年間。というわけで、マドリッドと比べると、同じスペインとは思えないほど、イスラムの異国情緒溢れる街並が広がります。35度を超える炎天下を歩いていると、ときどきアラビアンな小さな店があり、そこに入ると、少し薄暗くなっていて、空気もひんやりしていて気持ちがいい。日本の風鈴のようなちりりんとした音と共に。汗もすーっとひいていく。ちょっと贅沢なひとときです。

さて、そのナスル王朝も最後は、南下してくるカトリック勢に追いやられてしまう。カトリック側からみると、もともと自分たちの領土を回復したということで、レコンキシタ(国土回復運動)と言われるそうですが、このレコンキシタの長期的な時間軸には驚かされます。722年のコバドンガの戦いから始まり、1492年までの800年!という途方も長い時間をかけたわけですから。それはもちろん、カトリック勢も内紛やら様々な情勢不安定を抱えていた時期もあるわけですが、結局は1世紀弱という時間をかけて、イスラム勢をイベリア半島から追い出してしまったわけです。企業の寿命は30年とも最近は言われていますが、現代の企業の時間感覚からすると、とてつもなく長期的なスパンで物事を成し遂げているなあと思います。この宗教のパワーは何なんだと思うわけです。

企業戦略で、ミッション・バリューというと、その企業の普遍的な使命や、行動規範、原理原則のようなものを示しますが、ミッション・バリューを共有できている企業はとても強い。たとえば、常に現場改善を行動規範とし、社員のひとひとりがそれを実践するトヨタ。Our Credo我が信条で有名なジョンソンエンドジョンソンなどなど。宗教というのはよく考えてみると、ミッション・バリューの共有そのものなわけで、このあたりに1世紀弱にも及ぶレコンキシタを遂行させるパワーの源があるのではないかと勝手に想像しています。ミッション・バリューの浸透のさせ方について、企業も宗教にもっと学ぶ余地があるのではないかと思います。

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