2008年10月16日木曜日

「相手の立場になって考える」を実践するワークショップ

キャリア・スキルについてのクラス-Career Development Programmeもまだまだ続いています。一昨日には、カバーレター・ワークショップがあったのですが、このワークショップにちょっとした工夫がしてあり、とても教育的な効果がとても高いと思った次第です。このカバーレター、実はとても大事ですよ、というのがこのワークショップのお題目。

LBSにきている学生は、基本的に転職を前提にしているため、応募したい企業にどんどんとコンタクトをとる必要があります。そのときに履歴書とともに添えて送付状が、カバーレターなのです。

ところで、カバーレターには、こんなことを書きます。「自分はしかじかこういうもので、御社には、こういう理由でとても興味をもっていまして、自分のバックグラウンドを考えると御社のこういうポジションにピッタリでございます、ですからぜひワタクシ目をご検討くださいませ」 これをA41枚に書き上げるわけです。

ワークショップには事前課題がありました。
  • 3つのジョブがあります:経営コンサルタント、インベストメントバンカー、マーケティングマネジャー
  • どれか1つジョブを選んで、それに応募するためのカバーレターを書きなさい
  • 自分の名前はカバーレターに含んではいけません。

はたして、これをどのようにワークショップで使うのでしょうか?

ワークショップで、キヤリアコーチがいいます。

「リクルーターは、何百、何千というカバーレター・レジュメを読むのだから、インパクトのある書き方をしないとみてもらえません」

それはそうなんだけど、そういう抽象的なアドバイスを聞いてもねぇ、と思っていたら、

「みなさんには、実際にリクルーターの気分を味わってもらいましょう」

とのこと。こういう手順を指示されます。

  1. みんなが書いてきたカバーレターを回収します。
  2. ランダムにまたみんなに1枚ずつ戻します。
  3. 手元に戻ってきた他人のカバーレターをさっと読んで、1,2,3,4,5段階で評価してください。
  4. 評価が終わったら、周りの人とカバーレターを交換をして、また同じように評価してください
  5. これを繰り返して、なるべく多くのカバーレターを評価してください。

なるほど!こうすれば、あたかもリクルーターになったような気分を学生に味合わせることができるわけです。みんな同じような書き出し、同じような言い回し、そういったものに出くわして、うんざりする経験を少しでもすると、「ああインパクトのあるカバーレターを書かなければいけないんだ」と思うようになるわけです。私も、採用面接でカバーレターと履歴書を渡されるのですが、斜め読みですから。

ローテクな仕掛けですが、実際に評価者の立場になってもらうことで、学習効果を高める方法は、今後どこかで、自分も使ってみたいと思います。

最近の日本の教育はよく分かりませんが、私が日本で受けた教育に比べると、こちらでは、多面的な学習機会を多く作る努力をしているように感じます。ただのレクチャーだけではなく、今回のワークショップのようなちょっと仕掛けもしてあったり、ビデオをを活用したり、ゲームをしたり、グループで宿題をしたり、ディベートをしたりと、多くの教育メソッドを使っています。もちろん、うまくいっているものもあれば、いっていないのもありますが、こうした様々な挑戦は今後ともどんどんと期待したいと思います。

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