2008年10月31日金曜日

危機の終わりは、ちょっと楽観視?

相変わらず、連日のように金融危機に関するニュースが飛び交っています。最近は、個別銀行の破たんや救済、大手企業のリストラ、さらには、小国家の危機といったように、危機が至る所に連鎖、波及しています。アメリカの自動車ビッグ3は火の車だし、BP、ペプシなど名だたる企業もリストラの発表を次々としています。そして、ここロンドンではポンドの通貨が急速に弱くなりました。その半端でない方を身をもって体験しています。私が、数ヶ月前に日本から来たときは、1ポンド220円ほどでしたが、先週の金曜日には、いっとき140円まで、ストーンとおっこって行きました。ロンドンはバブル気味でしたから、ざーっとお金が抜けた感じでしょうか。

これだけ悪材料が出そろうと、もうそろそろ勘弁してよ、という気にもなってくるわけで、こちらの人たちは、そろそろこの危機も終わりつつあるのではないか、といった論調が時々聞きます。LBSの友人も、今が「ボトム」だから、株を突っ込んだよ、と言っていたし、LBSの経済学の教授もこんなコメントをしていました。たしか、「今は、The beginning of the end of the crisis」なのだとか。なんとも回りくどい言い方ですが、日本流にいえば、「下げ止まりつつある」ということでしょうか。投資銀行の人と話しても、「君らが卒業しているころにはよくなっているかも」といった声も聞こえてきます。感情的なところも多分にあって、もうこんなに悪いんだから、さすがにこれ以上悪くならないでしょ、というかんじでしょうか。

先のLBSの教授の話によると、日本も似たような問題を経験したが、日本は対応が後手後手になったのが問題だ、竹中大臣が資本注入、不良債権処理に踏み切ってからはすぐに問題は改善したとのこと。日本の状況に比べると、米国もヨーロッパもすぐに対応したので、この点、回復はもっと早いだろう、といったコメントをされていました。でも、これ、ほんとうかと。

その竹中さん、Financial Timesのインタビューで、竹中平蔵氏は、資本注入して、危機を脱出するのに4年かかったと言っています。
http://www.ft.com/cms/s/893ac9c8-757e-11dc-b7cb-0000779fd2ac.htm?_i_referralObject=905563191&fromSearch=n
実際、日本では、1990年代後半に資本注入をし、一時期的に日経平均はあがったものの、本格的に上昇をはじめたのは、2003年とかそんな時期だったと思います。竹中さんのいうところによると、資本注入しても、それは一時的な注入であって、実は、悪い資産はそれ以上に潜んでいて、危機の初期にはそれがわからないんだ、という趣旨でした。確かに、日本でも、政府発表があるたびに、不良資産の金額が雪だるま式に膨れ上がっていた時期がありましたね。さらに悪いことに、今回の金融危機の発端は、日本でいう単純な不良債権‐貸したものが返ってこない-ではなく、より高度な技術を駆使した不良債権なので、資産評価がもっと困難なのではないか、ということでした。

というわけでして、楽観論を展開したい気持ちはすごくわかる一方、われわれの今経験しているCrisisは、まだまだ続きそうです。

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