2008年10月19日日曜日

教授へのフィードバック

最近は、それぞれの科目が数回ほど終わったので、教授へのフィードバックアンケートを書くように求められる機会が多いです。こちらの学校では、とにかくフィードバックを記入する機会がとても多い。授業のフィードバックに限らず、入学の選考プロセスや、はじめのオリエンテーション、そしてその他のワークショップなど、体験したすべてのプログラムについて、フィードバックが求められていると思います。これはとても、いいことだと思います-とはいえ、だんだん記入する側も怠け者になってしまってしまいます・・・。

さて、先日は、Ethics-倫理-の授業のフィードバックを記入するように求められました。このEthicsのクラスはちょっとくせもので、我がStream Dの間でも、ちょっと評判が悪い。さすが、みんな高い学費を払っているだけあって、少しでも不満があるとすぐに口にします。教授のクラスの進め方が嫌いで、出席しないという学生もいるのです。よく雑談でも、あのEthicsのクラスはちょっと?だよね、などという会話が飛び交ったりする-とはいえ、冷静に考えてみると、日本の大学の教授の平均的な教えるレベルより上なのだが。

科目そのものが、これといった「答え」がないですから、そもそもが教えにくいという側面はあります。たとえば、Corporate FinanceやBusiness Statisticsですと、もう確固たる理論があるので、その知識をいかにわかりやすく、学生に「移転」させるかを考えればいいので、教えやすい科目でしょう。一方、Ethicsはそうはいかない。何が正しいか、何が間違っているのか、文化的なバックグラウンドによって違うし、個人の価値観によっても違う。教える側としては、なかなかチャレンジングな科目ではることは間違いありません。

とはいえ、やはり私は、教授の教え方に改善点があると思い、以下のような趣旨を記入しました。

その1:「学び」がケースから容易に分かってしまう、もしくは教授がその「学び」をしゃべってしまうため、議論がしらけてしまう場面がある

じつは、この授業、取り扱うケースは、すこぶる面白いのです。たとえば、このあいだのクラスでは、フォードの不良品について扱いました。社会を変えてやるんだと息巻き、Going my wayな若者が、フォード自動車に入社、スピード昇進して、リコール部長に就任。しかし、重大欠陥のある小型車を、欠陥があると知りつつ、リコールをしないことを決定するというハナシ。今はその彼は、ある大学のMBAで、組織行動学の教授として、自ら教えています。

そして、彼自身が、自分を内省して、このケースを書いているのです。今から振り返ってみると、やはりリコールを決定すべきなのだが、当時は、あっという間にフォードの組織文化に染まってしまい、リコールを決定することができなかったというもの。そう、ビジネスパーソンのビジネス判断、倫理的な判断というのは、いとも簡単に組織文化、そこのコンテキストに瞬時に影響されてしまうということなのです。
こうしたことがケースに書いてあるので、何となく教授が落としたいところが見えてしまうのである。みな知的レベルが高い学生が集まっているので、そうすると、発言も妙に斜に構えた発言が増えてくるわけです。その収拾を図ろうと、教授が、その日の学びを、しゃべってしまうわけで、議論から学びが導かれるというようにならないのですよね、これが。

思うに、「組織文化が倫理的な判断に容易に影響を与える」というメッセージはケースから学びとるので、クラスでは、さらにその先について、深く議論をしていくといいのだと思います。たとえば、上記のメッセージが本当だとすると、みんなが職場に帰ったときに、こうした間違いを起こさないためにはどうすればいいのか?こうした間違いの置き方は、組織階級によって違うのか?どういう組織文化だと起きやすいのか?逆にどういう組織文化だと起きにくいのか?間違いを起こさないような組織文化はどう創るべきなのか?などなどと、議論の発展のさせ方はいかようにもあるはずだと思うのです。ケースから読み取れる学びを超えて、どんどんクラスを引っ張っていくようにすればいいのではないでしょうか。

その2:学生からの反論に、教授が応えようとしてしまうため、教授-学生との議論になってしまう

やはり、倫理のクラス。いろんな角度から意見が飛び交います。少しおかしな発言があると、教授がそれに無理に答えてしまうので、いつの間にかクラス議論というよりは、教授と学生のやり取りになっていることがしばしば。そういう意見もあるということで、次の人に意見を言わせればいいのですが、どうも少し向きになっているようです。そんな向きになって言わなくても、言いたいことは分かります!

その3:些末なハナシをところどころでするので、骨太な議論の流れが見えにくくなってしまう

加えて、ホワイトボードのペンが薄くなる度に、「ペンのインクがきれたー」と言ったり、少しずれたハナシをしゃべったりと、骨太の議論の流れを少しずつ回り道をしていくようなのです。些細なことなのですが、これによって、いったい今は、なんの議論をしているんだっけ?となってしまうのです。そうなると、本来の論点をみな忘れて、発言をするようになり、ますます、いったい今は何の議論をしてるんだっけ?となるわけです。

様々なティーチング・スタイルを見ることによって、自分も大いに(反面教師的に?)教え方の勉強になります。

2 件のコメント:

S.K@G さんのコメント...

我々から見てもナイスなフィードバックです。これで教授が改善するかどうか、みものですね!(笑)またその結果を教えてください。

twk さんのコメント...

s.k@gさん

ご無沙汰してます、ここでお会いするとは!おかげさまでクラスを受ける視点が変わりました。