2008年12月31日水曜日

ZARA

ヨーロッパの各国はもちろん、日本でも存在感の高いアパレル小売りのZARA。Affordable Fashionなるポジショニングで一躍有名になりました。ZARAは、Strategyのクラスの中盤あたりのケースでした。

このクラスは、朝から22時まで続くクラスで、丸1日ミーティングルームにスタディグループ6人でこもって、Strategy Auditをするというもの。スタディグループによっては、議論の収拾がつかなくなるところもあるとか。

我がグループは、はじめのストラクチャーをきちっと作ったおかげで、役割分担や個々の作業は比較的スムーズ。最後の仕上げはちょっとこづったけれど、ネイティブスピーカーの高度な編集能力によって、いいレポートが仕上がりました。

洋服のデザインから製造そして店舗のデリバリーまでのリードタイムが、普通のアパレル会社の場合は、8ヶ月。すなわち、ワンシーズン前から企画をはじめて翌シーズンできるというのがパターン。一方、ZARAは、わずか21日という超イノベーティブなバリューチェーンを産み出したとてつもない企業です。

そういう企業なので、至る所でぶっとんだことをやっている企業なわけですが、個人的に面白いと思ったのは、メリハリの効いた外部リソースの使い方です。

調達:
ベーシック品50%は、外部から調達してくる
ファッション品50%は、コア商品として内製する

内製・外製基準が明確。意外とこれが明確でない企業は多い気がする。工場の稼働が余ったから作っていますとか、単純なコスト比較で、外注してしまったりして、自社工場の位置づけが曖昧に成ってしまうケースはよくあるパターン。

製造:
労働集約的な作業は、零細企業にアウトソース
機械化可能な作業は、自社で全部自動化

自動化できない部分―すなわち縫製―は、自社工場の周辺に零細企業を呼びこんで、アウトソースしている。それも、生地や自社工場にピックアップしてもらい、縫製したら工場に届けるということで、「縫製」の部分だけやってもらい、その他の部分にはタッチさせていない―ノウハウ流出せず。

デザイン:
デザイン学校の卒業生を採用し、有名ブランドを徹底的にパクる

このおかげで、デザイナーコストがきわめて安い。有名ブランドをコピーするだけなので、クリエイティビティはいらず、ベーシックスキルだけあればOK。かつ、じつは、新卒の若い人達なので、ZARAのターゲット顧客層でもあるのもきわめてプラス。

宣伝広告:
やらない

自社、アウトソースという議論ではなく、そもそもいわゆる「広告宣伝」はやらない。そもそも何もしないという、第三の選択肢を提示してくれた意味は大きい。これは流通業の通常の広宣費を考えれば、とてつもないコストインパクトになります。その代わり、店舗のレイアウト、ディスプレイ、口コミなどが広告宣伝の代わりになっている。

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企業がだんだん成長してくると、だんだんと面倒くさいことは、戦略的アウトソーシングと称して、「はい、これも外注さんお願い」、となってきて、気づいてみると、「自社のコアなものって何だっけ」と自問する大企業は少なくありません。いやほんとに。
企業のバリューチェーン上で、自社で何をどのようにやり、他社に何をどのように出すのか?そんな問いのヒントになるケースだと思います。

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