2009年1月8日木曜日

経済を「見える化」した!

Londonは、うれしいことに、あの大英博物館を筆頭にして博物館が多くあります。とりわけ、South Kensington駅は、Victoria & Albert Museum、Science Museum、そしてNatural History Musemuと、巨大博物館が3つ隣接している、なんとも贅沢なスポットです。それも、どれも無料というから驚きです。

***


Science Museum, 科学博物館。


産業革命発祥の地、イギリスだからこそ語れる産業の歴史展です。子供が好きかなあと思い、まずは足を運ぶことにしましたが、ちょっと早かったかな。

これは面白いと思った展示物;The Phillips Economics Computer




The Phillips Economics Computerは何かというと、別にコンピュータというわけではなく、お金の流れを、水の流れになぞらえて、経済を「見える化」したという画期的な機器なんです。収入、貯蓄や、消費などのタンクに水が流れていき、最後は、国民総生産というアウトプットとして水が下に輩出される。また、税率などのパラメータは、弁をいじることで調整することができるようになっています。


これはなんだかよく分からないマクロの経済を理解するのに役立ちます。 まさに「見える化」の威力といえると思います。実際、大学の経済の授業で、教育用ツールとして活用されていたそうです。

もともとこれを開発した、Bill Phillips氏は、 エンジニアから経済学者に転じた人で、工学と経済学両方の知見を併せ持っていたたまものでしょう。1949年のころです。これをみた、同僚の経済学者もびっくりしたそうです。

一方で、この現代版をつくれるのだろうか?

国境を跨ぐお金や、レバレッジの聞かせた投資、などの影響で、昔に比べると今の経済ははるかに複雑になっていて、なかなか「見える化」がしづらくなっている世の中になっています。全体像が見渡せない社会になってきています。

じつは、ここに今回のサブプライムローンによる金融危機の根源的な理由があるように思います。だれも、自分が行っているお金の動かし方が、最終的にどう世の中にインパクトするかに思いをはせる、思いをはせる術もなく、お金が巡りに巡っていく。違う言い方をすれば、知の専門家が進みすぎている弊害といえるかもしれません。知の専門家が進めば進むほど、統合化が難しくなる。

こんな今だからこそ、今の経済をより分かりやすく「見える化」する術を考えないといけないのかもしれません。Bill Phillips氏が、工学という異分野のエキスパティーズを持ち込んで、当時の経済を見える化したように。

0 件のコメント: