2009年5月19日火曜日

プレゼンテーションのコツ~伝えたいことを聞いてもらう方法

実は戦略コンサルタントは、それほどプレゼンが上手ではありません。私が思うに、全般的にみて下手ということではないですが、だからといって、ジェスチャーを交えて、淀みなくかっこいい!これぞプレゼン!という感じのプレゼンテンターはそんなにいないのが実情です。というのが私の感触です。

プレゼン上手ということでいえば、むしろビジネススクールの教授の方がうまいかもしれない。学生にツマラナイと言われず、かつ斜に構えた質問を裁く中で、エンターテイメント性のあるプレゼンスキルが鍛えられるから、というのが私の見方です。

実際、たとえば、授業の後に、戦略コンサルタントがゲストスピーカーとして来たりすると、トーンとしてはパワーダウンするなあ、と感じることもしばしばです。もちろん、メッセージの内容は別の話しです。実務では、華麗なプレゼンが重視されるというよりは、伝えるべきメッセージをいかにきちんと理解してもらえるか、という方に力点が置かれていると、思うのです。

さて、そんな伝えたいことをきちんと伝えるための、プレゼンのコツとは何でしょうか。私も華麗なプレゼンができるタイプでは決してないのですが、職業柄多くのプレゼンを経験してきた中で、いくつかのコツを見いだしました。そのひとつが、これです。

プレゼンのイントロで、これから行うプレゼンの内容の中から、最も衝撃的で、かつ具体的なファクトをまずしゃべる

たとえば:

当初設定したターゲットセグメントでのシェアは5%なのに対し、ターゲットセグメントでないXXの層のシェアはなんと、20%あります。その理由について触れたいと思います。

作業の40%を占めるXXというプロセスでは、ほぼ半分の案件で手戻りが発生することが分かり、その結果として、およそXX円のコスト増になっているんです。


などです。

これがなぜいいかというと、その後のプレゼンにぐっと興味をもってもらえるからです。聴衆は、なるほど、この手の具体性があり、衝撃的な話しがこのプレゼンには入っている、と思ってもらえる効果があります。

よく見られるパターンは、そうした最も大事なファクトを出し惜しみして、言わないというやつです。言ったとしても抽象的に話してしまう。この話しはとてもインパクトがあるので、プレゼンの中で取っておこう、そんな心理でしょうか。でも、出し惜しみせずに、最初にしゃべっても、全く大丈夫です。一度しゃべったからといって、プレゼンの中でもう一度しゃべっても、二度しゃべっても、衝撃的、かつ具体的であれば、全く問題ありませんというのが個人的な経験です。

たとえば、テレビのCMはまさにこの手法です。その商品のもっとも際立つ特徴を、ありとあらゆるCGを駆使して、浮き彫りにすることで、顧客の注目を獲得しているわけです。「油汚れにJoy」で有名な台所用洗剤は、油が一瞬にして逃げる映像を使っていますが、あれはこの商品の一番衝撃的、かつ具体的なメリットを描写しています。この商品の最もいいところを知ったからといって、実際に商品を買ったあとにがっかりするかというと、そんなことはありません。これと同じ原理です。

プレゼンのイントロで、これから行うプレゼンの内容の中から、最も衝撃的で、かつ具体的なファクトをまずしゃべる。これはテクニックのようでいて、じつはプレゼンのエッセンスに関わっています。

まず、衝撃的であるためには、そのクライアントの最も大きな関心時、困っていること、気にしていることに刺さるメッセージでなくてはいけない。次に、具体的であるためには、ただの概念論ではなくて、地べたをハッて情報を収拾し、インパクトのあるファクトをあぶり出さなければいけない。

このプレゼンのコツは、単なるテクニックではあるのですが、これを実施しようとすると、上記のように、コンサルティングとしては本質的なことを考え抜かなくてはいけない、という意味において、なかなか重宝するのではないかと思っているわけです。

2 件のコメント:

飯田英明 さんのコメント...

こんにちは、飯田英明です。

私もそう思います。「つかみ」は、プレゼンでも必要ですね。

「結論から先に」という考え方もありますが、とにかく冒頭で「この話は最後まで聞いた方がいいな」と思ってもらわなければいけない。
そのために最初に結論で始める場合もあれば、それ以外の方が有効な場合もあると思います。

twk さんのコメント...

飯田さん

こんにちは、コメントありがとうございます。

アテンションを獲得して、いかに聞いてもらうか、その舞台設定がとても大事ですよね。

最初に結論を言う、というのはひとつのパターンに過ぎないと思います。