2009年5月12日火曜日

MBAディレクター、顧客の声を聞く

ビジネススクールの学生は、2つのとらえ方がよくされます。ひとつは、原材料というとらえ方。ビジネススクールは、ある意味で工場であって、良質な材料(=学生)を調達し、それに付加価値(MBAの経験)をつけて、市場(=ジョブマーケット)に売っています。もうひとつは、顧客というとらえ方。学生は、1,000万円近い莫大な授業料を払っているお客様という考え方です。

私が通っていた日本での大学院と比べると、ここでは、学生を顧客と捉えている姿勢が感じられます。顧客の声を聞くことには大変熱心で、授業ごと、イベントごと、カリキュラムごとに、サーベイ、サーベイ、サーベイの依頼のあらしで、少し辟易するのですが、その中でもひときわ存在感を放っているのが、Stream Meetingなるものです。

Stream Meetingは、簡単に言えば、MBAプラグラムのディレクター(統括責任者)と、キャリアサービスのヘッドが、クラスにやってきて、学生の意見を聞くという顧客とのダイレクトな接点の場。このセッションは、各学期に数回くらいで、毎回1時間半の設定ですが、必ずといって良いほど、時間をオーバー!しています。

というのも、意見を聞くといっても、人間とは不思議なもので、ここは良かった!という声は、大体そこそこで終わり、むしろ、学生の間に貯まっていた不満、または、こうした方がいいという声が、ドーッと噴出し、MBAディレクターはそれを裁いているうちに、あっという間に時間が過ぎるというパターンです。

何がディスカッションされるのでしょうか?

1. 学校イベントのアップデータ
校舎の改装工事の行方、新しい学位プログラムの動向、ランキングに関する動向、などなど最近の学校行事がアップデートされます。

それから、今までのStream Meetingで出てきた改善要望について、どういうアクションをとっていて、それがどこまで進捗しているか、そのアップデートもされます。たとえば、今年はStrategic Problem Solvingという問題解決のコースが不評だったので、教授を変えました、こういう風にカリキュラムを変えました、といったことが共有。

2. キャリアサービス
とくに、今年はジョブマーケットがタフで試練を迎えているのが、キャリアサービス(日本でいえば、就職課?)。そこのヘッド、ダイアンからのアップデート。

キャリアサービスがとってきた求人数は、昨年比で、なんだかんだといって、6割増しということで、この大変なときに大した門だなあと関心。サマーインターンのポジションがとれなくて、感情的になる学生もいるので、このあたりはコミュニケーションが欠かせないでしょう。

また、かなり些細な注文も学生からつく。キャリアサービスニューズレターなるものが毎週発行されているのですが、それが読みにくい!とか。細かい。

3. アカデミック
一番時間がかかるのは、MBAの授業に対するフィードバック。学生の間になんというんでしょう、クオリティスタンダードのようなものがあり、それを下回ると、一気に不満が噴出するという感じです。たとえば、出た意見は、たとえば、Operationsの工場見学。なんで工場見学は発電プラントなのか、と。機械をみるだけで、全然つまらんじゃないかと。案の定という感じです。または、あの教授はここがダメ、いやいや、けっこういいぞ、などと、教授の評価も意見交換される。

多くの場合、改善要望は、すぐに改善できることは多くはなく、翌年に持ち越しになってしまうわけです。では、意味はないかというとそうではないと思っていて、「顧客の声」をじっくりと聞いている感が出る、または「ガス抜き?」という意味で、組織行動論的な効果があります。また、プログラムディレクター自身が、4クラスすべてに接するのは、多くの時間を割かれるでしょうが、生の声を吸収することができて、いいことだと思います。

いまや、このセッションも当たり前になってしまいましたが、初回のときは、「こういうことやるんだ」とちょっと新鮮だったのを思い出しました。

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