2009年5月7日木曜日

スピーカー:IMFが解説する金融危機と景気回復

"Crisis and Recovery: Lessons from the IMF World Economic Outlook"と題するゲストスピーカー・イベントに参加しました。

The Economics Subject Area, in cooperation with the Global Crisis Group of the International Growth Centre, are delighted to invite you to an event with the IMF to present their latest World Economic Outlook. Their presentation will focus on how economies normally recover from downturns, how this is influenced by financial factors, and how the financial problems in the OECD nations are transmitted to emerging markets. Ravi Balakrishnan and Prakash Khannan will base their presentation on Chapters 3 and 4 of this report. Lucrezia Reichlin and Hélène Rey will act as discussants, and the meeting will be chaired by Richard Portes.

Timings are as follows:

12.00 – Registration in RCOG foyer
12.30 – Presentation with Q&A
13.30 – Event ends

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ひとつ。わずか1時間のイベントでしたが、その進め方が二重丸。まず、IMFによる解説、それに対抗する形でLBSの教授がショートプレゼンをするというサイクルを、テーマを代えて2回回すというもの。

テーマを明確にした上で、解説→それに対する突っ込みという流れなので、パネルディスカッションのように、議論があっちやこっちや、行かずにとても分かりやすい、かつ、知的応酬を見ることができるわけです。

内容としては、何となくそうだよね、と思っていることを、きわめて定量的、実証的に証明してみせてくれたというもの。検証しているメッセージとしては、たとえば:

-今回の危機は、金融危機と世界同時不況という2重のインパクトがあるため、一段と深刻である
-このような危機は、回復に通常の経済不況より時間がかかる

などなど。まあ、そうだよね、というものですが、過去の経済不況数百件を丹念に紐解いた分析結果が紹介されています。

そのほかに、面白いファインディングスとしては:

-金融危機に端を発する特別な不況の場合、財政政策は有効だが、金融政策は有効ではない
-一般的に経済不況の際には、金融政策は有効だが、財政政策は有効ではない

もし、これが真だとすると、今回は、財政政策はいいが、金利を下げるといった金融政策は全くもって有効でないということになります。

日本の例で考えても、90年代終わりから、量的緩和政策をとりつづけたものの、なかなか貸し渋りが治らなかったことから考えても、この話は整合します。

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